病み憑き

雪鳴月彦

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第三章:風岡夏純――①

風岡夏純――①

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 当然、成績も悪いし学校での評判も決して良いものではなかったのだが、それに関して両親は特に文句を言うことはしてこなかった。

 だからと言って放任主義というわけでもない。

 竜次と弟、両方に対して平等に接してくるし、問題を起こせば当然のように説教もされる。

 ただ、これまで行ってきた悪事を表沙汰にしないまま上手くやってきたため、表面上は平穏を保てているだけの話。

 もしこれまでのことがばれてしまえば、どうなるかは想像するまでもない。

 不良だが、一線を越えるような問題は起こさない息子。

 親の目には、きっと竜次はそういう風に映っていることだろう。

「……」

 竜次の体格では狭く感じる階段を上がり、自分の部屋へと入る。

 部屋の中央に置かれた黒い丸テーブルの前にどかりと座ると、置きっぱなしにしていた煙草に火をつけた。

(…………)

 自ら吐き出す紫煙に目を細めながら、カフェで見た真美の妹を思い返す。
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