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第三章:風岡夏純――①
風岡夏純――①
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「山神って、植染でも結構山間部の地区よ。あんな所と角田くんが本当に関係してるの?」
教室へ戻って早々に。わたしはたった今仕入れたばかりの話を晴樹以外の三人へ伝えた。
全員黙ったままわたしの言うことを聞き終え、真っ先に口を開いてきたのが茜だった。
さすがは市長の娘というべきか、こちらが問題の地名を述べてすぐ、ピンとくるものがあったらしい。
「茜はその場所知ってるの?」
「まぁ、一応ね。お父さん側の親戚が住んでるから、何度も連れていかれたことあるし。あの辺り、特に目立つようなものは何もないわよ? 植染自体が寂れてる中で特にその傾向が強いような地区だし。住んでるのはほとんど老人。後は農家の後継ぎで一緒に暮らしてる夫婦とか、そういう人たちばかり。……スーパーやコンビニもあそこら辺には無かったと思う」
わたしは、肩にかかる自分の黒髪をいじりながら頭の中にある知識を提供してくれる茜をジッと見つめ話を聞く。
「山神って、植染でも結構山間部の地区よ。あんな所と角田くんが本当に関係してるの?」
教室へ戻って早々に。わたしはたった今仕入れたばかりの話を晴樹以外の三人へ伝えた。
全員黙ったままわたしの言うことを聞き終え、真っ先に口を開いてきたのが茜だった。
さすがは市長の娘というべきか、こちらが問題の地名を述べてすぐ、ピンとくるものがあったらしい。
「茜はその場所知ってるの?」
「まぁ、一応ね。お父さん側の親戚が住んでるから、何度も連れていかれたことあるし。あの辺り、特に目立つようなものは何もないわよ? 植染自体が寂れてる中で特にその傾向が強いような地区だし。住んでるのはほとんど老人。後は農家の後継ぎで一緒に暮らしてる夫婦とか、そういう人たちばかり。……スーパーやコンビニもあそこら辺には無かったと思う」
わたしは、肩にかかる自分の黒髪をいじりながら頭の中にある知識を提供してくれる茜をジッと見つめ話を聞く。
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