病み憑き

雪鳴月彦

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第三章:風岡夏純――①

風岡夏純――①

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 秋本 真美の自殺問題が落ち着かないタイミングで、今度は失踪問題。

 それも、よりによって自殺した生徒の妹だ。

 学校側だって穏やかではいられないし、ましてや責任者である校長の立場ならその心境はかなり苦しいことだろう。

 わたしにはよくわからないから関心もないけど、PTAとかからも色々言われたりするのかもしれないし。

 体育館の壇上、校長の横には、先生たちで用意したのか家族から提供されたのかは定かでないが、秋本 夢美の写真が大きく引き伸ばされて置かれている。

 情報提供を呼びかけるために役立つことを期待しているのは明らかで、事実、周囲の生徒たちは興味深そうにその写真を眺めていた。

 激しい雨と校長の暗い声。そんな鬱々とした音だけが響く中で、わたしの耳は小さな囁きを聞き取った。

「――ねぇ、あたしあの写真の子見かけたかも。三日前に階段で一組の角田くんと話してた。たぶんあの子で間違いないよ」
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