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第二章:秋本夢美――②
秋本夢美――②
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子猫で試した結果が奇跡に近い偶然でなければ、この願いも現実のものとなるはずだ。
あたしの家庭を壊した罪人たちへの復讐。
これで、計画のスイッチは入れられた。後はこのまま、事の成り行きを見守れば良い。
(……暫くは警察の動きとかに気をつけとかないといけないのかな?)
これから死ぬであろう五人はともかく、角田だけはあたしが自ら殺したことになる。
呪いは犯罪にならないけれど、この生贄だけは法の裁きの適用内だ。
(無事全員が死んだら、またここに来よう。適当に生贄を捧げて捕まらないようお願いすれば――)
今後やるべきことを頭に浮かべ、外に出ようかと方向転換をしかけた瞬間。
「……?」
穴の奥。一筋の光も差さないその完全な闇が、まるで生き物のように蠢いたような錯覚を見た。
色の付いた空気が揺れるような、そんな非現実的な何かを目の当たりにした気がして、あたしはついその闇に目を凝らしてしまう。
あたしの家庭を壊した罪人たちへの復讐。
これで、計画のスイッチは入れられた。後はこのまま、事の成り行きを見守れば良い。
(……暫くは警察の動きとかに気をつけとかないといけないのかな?)
これから死ぬであろう五人はともかく、角田だけはあたしが自ら殺したことになる。
呪いは犯罪にならないけれど、この生贄だけは法の裁きの適用内だ。
(無事全員が死んだら、またここに来よう。適当に生贄を捧げて捕まらないようお願いすれば――)
今後やるべきことを頭に浮かべ、外に出ようかと方向転換をしかけた瞬間。
「……?」
穴の奥。一筋の光も差さないその完全な闇が、まるで生き物のように蠢いたような錯覚を見た。
色の付いた空気が揺れるような、そんな非現実的な何かを目の当たりにした気がして、あたしはついその闇に目を凝らしてしまう。
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