病み憑き

雪鳴月彦

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第二章:秋本夢美――②

秋本夢美――②

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「はい。あたしの言うことを一つ聞いてくれたら、今回の件、誰にも言わずにおいてあげますよ。もちろん、あたし自身今後一切先輩たちには関わりません。……まぁ、そっちがあたしに構ってこなければの話ですけど」

「何もしねぇよ。何だ、その取引ってのは?」

 追い詰められ、すがるようにあたしを見つめてくる角田の態度におかしくなるのを堪えつつ、ポケットから一枚のメモ用紙を取り出す。

「今からじゃ不自然でしょうから、今日の放課後、ここに書いてある場所まで一人で来てもらえますか? 誰にも言わず秘密にして」

 あたしが差し出したその紙を、恐る恐る手を伸ばして受け取る角田。

 そこに書かれているのは、先日あたしが向かったバス停の住所。

「……何だこれ? おれに何をさせるつもりなんだよ?」

 角田だってこの地域で育ってきた人間だ。記されている場所がどのような所なのかくらいは大体の見当がついているだろう。
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