病み憑き

雪鳴月彦

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第二章:秋本夢美――②

秋本夢美――②

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 疲労に軋む両足を急かすように動かし、すぐ側まで駆け寄る。

「これ、ひょっとして……」

 信じられないような心地で、その物体へ顔を近づける。

 そこにあったのは、外で見た神社をコンパクトサイズに縮小したような小さな社殿。

(いや、社殿って言うよりこれ……、祠、だよね?)

 黒ずみ、腐りきったような色をした高さ一メートル程の建築物。

 屋根部分は崩れてぶすぶすになっていて、もう何十年と手入れされていないような有り様だ。

 元は紙重をぶら下げていたのであろう紐は腐って千切れ、ブラリと垂れ下がってしまっている。

(これ、昔祀ってた神様の祠? 本当に残ってたってこと? いや、でもまさか――)

 望んでいたはずなのに、予想外の展開に直面したような何とも言えない感覚が込み上げてくる。

 信じられない。

 半ば呆然となりながら対面する祠を凝視しているあたしの耳に、ピチャンッ……という水滴の落ちる音が入ってきた。
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