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第一章:秋本夢美――①
秋本夢美――①
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ここへは過去に数回来たことがある。
紗由里とも来たしお姉ちゃんと二人で入ったこともあり、そのときの思い出が脳裏を掠めた。
そこそこ広い店内には学生の姿が多く見られるけれど、それでも全体の半分くらいは空席だった。
そんな中、一際大きな声を響かせている空間へ意識を向けると、案の定六人の姿が確認できた。
他校の制服を着た大人しそうな男子が、読んでいた文庫本を鞄にしまうと迷惑そうな視線で六人を一瞥し、席を立ってこちらに歩いてくる。
それと入れ替わるようにして奥へと進み、あたしは会話が聞き取れる距離に席を確保し腰をおろした。
ちびちびとラッシーに口を付けつつ、ただひたすら六人の会話へ神経を集中させる。
誰なのかわからない知人の悪口や、説教をしてきたらしい教師への愚痴。そんなどうでも良いやり取りがひたすら続く。
(やっぱり、簡単に進展は望めないか……)
二十分近くの時間を無駄にして、弱々しいため息を鼻から漏らす。
紗由里とも来たしお姉ちゃんと二人で入ったこともあり、そのときの思い出が脳裏を掠めた。
そこそこ広い店内には学生の姿が多く見られるけれど、それでも全体の半分くらいは空席だった。
そんな中、一際大きな声を響かせている空間へ意識を向けると、案の定六人の姿が確認できた。
他校の制服を着た大人しそうな男子が、読んでいた文庫本を鞄にしまうと迷惑そうな視線で六人を一瞥し、席を立ってこちらに歩いてくる。
それと入れ替わるようにして奥へと進み、あたしは会話が聞き取れる距離に席を確保し腰をおろした。
ちびちびとラッシーに口を付けつつ、ただひたすら六人の会話へ神経を集中させる。
誰なのかわからない知人の悪口や、説教をしてきたらしい教師への愚痴。そんなどうでも良いやり取りがひたすら続く。
(やっぱり、簡単に進展は望めないか……)
二十分近くの時間を無駄にして、弱々しいため息を鼻から漏らす。
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