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第2章  ダンジョンを知る

第51話  運が狂っている。

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 俺が一安心していると、斬られたゴブリンが少しして四散し、消滅した。
 そこには、3枚のコインと、1つの宝箱が落ちていた。

「これは何ですか?」

 俺はコインのみを拾い上げ、へラトリアに聞いた。宝箱はミミックやトラップの可能性があると聞いていたからである。
 ちなみに、その3枚のコインのうち、2枚は同じ見た目だった。

「ゴブリンの見た目をしたコインが1枚あるはずだ。それが、ゴブリンコイン。これは、どんな種類でもいいから、ゴブリンを倒せば1枚手に入るものだ」

 そう言われて見てみると、1枚しかないほうのコインには、ゴブリンの見た目のような彫刻が彫られていた。

「次に、2枚あるほうのコインは、モンスターコインというものだ。こっちは、倒した種類や個体によってドロップする枚数が変わるそうだ。ちなみに、このコインが、ギルドでランクを上げるための基本になる」

 この発言によって、点と点が線になった。

 ギルドの説明で言ってたのはこのことかぁ。確かにこれを売却することで、ギルドレベルが上がるとか言ってたな。クエストで上げる方法もあるらしいけど。

「モンスターを倒すと必ずコインを落とすから、もし倒したモンスターの名前が知りたかったら、このコインをもとに調べるといいぞ」

 なるほど、汎用性はんようせいがあるんだな。きちんと拾って、収納しておこう。

「収納」

 俺の手にあったコインは収納された。


―――――――――――――――――――――――――

収納物一覧表
 『防御力』のスクロール  2
 モンスターコイン  2
 ゴブリンコイン  1

―――――――――――――――――――――――――


 うん。名前も確認できるみたいだ。知らないコインでも、『収納』があれば、簡単に確認できそうだな。

「この宝箱は、安全なのか?」

「ああ、これは安全だ」

 俺が聞くと、即答された。

「もしかして、見分ける方法があるのか?」

「ああ、宝箱の種類だ」

 種類?

 へラトリア曰く、宝箱には複数の種類があるそうだ。

 ①木、石、鉄、金、白金はっきんの宝箱……モンスターからのドロップ、ダンジョンにランダムで出現。危険はない。レア度は左から右に行くにつれて高くなる(木<石<鉄<金<白金)。

 ②赤、青、緑の宝箱……初回しか存在せず、モンスターからドロップすることや、ランダムに出現することはない。ミミックやトラップの可能性もある。中身は、限定品であることが多い。
 
 今回ドロップしたのは、最低ランクの木の宝箱であるため、心配はないということだ。

 安心した俺が、中身を確かめようと、開けようとすると――

「この宝箱の中身は完全にランダムだから、何かを望めばその確率が――あ」

 もう既に開けてしまっていた。

 水城が明けると、宝箱には金貨が入っており、それを取り出すと、箱自体は消滅した。

「これって、さっき、へラトリアがこの剣を買うときに使っていたのと、同じものだよな?」

 俺はそう聞きながら、へラトリアのほうを向いた。

 するとへラトリアは、目を丸くし、とても驚いた様子で、――


「き、金貨を木の宝箱から……? しかも、さ、3枚も同時に? そんなことって……」

 ――なにやら、ブツブツとつぶやいていた。   




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