ドヴァ― ~伝説スキル2つ持ちの異世界攻略~

魚花冠

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第2章  ダンジョンを知る

第41話  ゴヴニュの制約

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「拘束!」

 やっとのことで拘束を解き、安堵しているアリシアに対して、俺は、再び拘束を行ったのである。しかも、手足両方に。

「なんでまたするんですか――!」

 叫びながら、アリシアは再び拘束を解き始めた。

「あははーー」

 相変わらず、ミリアは楽しそうで、王様も温かい目で見守っていた。そして、フィーラさんは少し困っていた。


  ■  □  ■  □  ■


 アリシアは再び拘束を解いた。ようした時間は、一度目に比べて格段に減っていた。

「もう慣れました」

 少し自慢じまんげに、アリシアはそう言った。

 そうか。なら――

「もう一度拘束しましょうか?」

「結構です! 断じて結構です!」

 俺の冗談を、アリシアは全力で否定した。相当嫌だったのだろう。

「もう一度したら、ただじゃ済ませませんから」

 挙句の果てにはそんなことを言っていた。意外と真面目に。
 おぅ、怖い。まあ、元からもうする予定はなかったけど。

 俺とアリシアがそんな話をしていると、

「楽しそうなところ悪いんですが、水城さんに言っていなかったことがあるんです」

 何だろうか? 真剣な様子だが、そこまで重大なことなのだろうか。

「実は、私のレジェンダリースキル――『ゴヴニュ』は、スキル獲得時にMPマジックポイントを消費するんです」

 何を言っているのだろうか? コモンスキルを獲得するのには、MPを必要とする。……そんなことは、魔石を使っても同じではないか。
 確か、MPの使用に関するルールは、案内人の人に以前聞いた。

 コモンスキルを1つ習得するのに1必要で、レジェンダリースキルには必要がないと聞いている。

 そこまで考えて、俺は思いついた。

 もしかして、使用するMPがバカ高いのだろうか? そういえば、コモンスキルが増えていることに気を取られて、MPの欄を確認していなかったな。……まあ、いつも確認しないけど。

 そこで、俺は気になって、ステータス画面を開いてみた。


――――――――――――――――――――――――――――――

名前  水城新太

年齢  16

レベル  1 ( 0/100 )

MP  8/14 ( 0/100 )

スキル
 コモン  4
 レジェンダリー  2

アビリティーボーナス
 剣捌き  +1%
 忍び歩き  +1%

称号  ドヴァ― 転移者

――――――――――――――――――――――――――――――


 うん、分からない。いつもMPを確認していないのだから、当然と言えば当然だが。気になるとすれば――

「初期の時よりも、MPの全数が増えてるな」

 記憶は曖昧あいまいだが、MPの全数は、12で、1使用されていた記憶がある。確か。
 ……ということは――どういうことだ?

 一人で考えていると、先程の俺の独り言に、フィーラさんが応答した。

「そうなんです。魔石を使うと、MPを1消費しますが、同時に全数が1増えるんです」

 つまり、計算すると、使用できるMPの値としては、±0プラスマイナスゼロということになる。

「しかし、この『ゴヴニュ』を使うと、全数が変化しないため、自身のMPが結果的に1減ってしまうんです」

 それを聞いた俺は――


「だから、何?」

 ――別に何も気にしなかった。



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