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第1章  中々無い出会い方

第20話  影の人

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 今回は、一話を通常の3~4倍の量にしました。今後の投稿方針として、今までのような量がいいか、まとめて投稿したほうがいいか、意見がありましたら、ぜひ感想にてお伝えください。
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 水城が勢いよくベッドに着地すると――

「うぎゃっ!」

 ――水城の下から、そんな声が聞こえた。

 ――?
 ――――!?
 ――――――――!!!

 誰だれだれだれだれダレだれだれえぇぇ!

 ここは俺の部屋なんじゃないの?
 てか何でベッドの中に誰かいるの?

 水城はミアの時よりのはるかに驚いていた。
 その理由は、リラックスしていた脳が、唐突に活性化されたかであろう。
 理解が及ばず、焦っているのだ。

 い、い、今の、声……誰の、声……?

 水城が困惑の表情を浮かべ、ベッドから起き上がった状態で硬直していると、ベッドの中から人がモゾモゾと出てきた。

「こんにちわぁ」

 その声は、消えてしまうかのようにか細く発せられた。

「どちら様ですか?」

 当然の質問であった。水城にはこの人がここにいる理由が分からないのである。

「申し訳ぇ、ございません。私としたことがぁ。私はシュメラといいますぅ」

 社会性はあるようだ。ミアとは違って裸じゃないし、敬語も使える。
 問題は――

「なんで俺が泊まる部屋にいたんだ?」

 その質問をすると、元々暗そうな顔をしているのに、より一層暗い顔になって、

「私の仕事はぁ、魔法で体を洗浄することですぅ。しかしぃ、水城様が断られたということを小耳に挟みましたのでぇ、ショックを受けていたのですぅ」

 なるほど、腹いせに俺を脅かそうとしたのかな? ……結果的に被害にあったのはシュメラさんだったけど。それにしても、情報が渡るのが早いな。さすが王城。

「それで、どうしてベッドに入っていたんですか?」

 意地悪な質問をしてみた。なんて答えるのかな。

「水城様より先にベッドに入っておくことでぇ、ベッドの品質をチェックしておきましたぁ」

 いや、無理があるだろ!
 品質チェックのために自分がベッドに入って、布団を被る人がどこにいるんだ。……ここにいるのか。

「とにかく用がないなら出て行ってもらえますか。慣れない場所で疲れているので、一人で落ち着きたいんです」

「あぁ、すみません。ではぁ、最後にぃ、この部屋について説明してから帰りますねぇ。もともとの私の業務なのでぇ。

 そう言ってシュメラは部屋の説明を行った。

 ついでに、と言って大浴場についても説明してくれた。
 ……顔が悲しそうに見えたが。
 そんなに体の洗浄がしたいのか? 世界にはお風呂に入りたくないけど入らざるを得ないから入っている、という人がきっとたくさんいると思う。そういう人を洗ってあげればいいのに。

 俺がそんなことを考えていると、

「説明は以上になりますのでぇ、私はここで失礼しますぅ」

「ありがとうございました」

 シュメラさんは帰ったし、何をしようかな。って言っても、もう決めてるんだけどね。

 そう言って俺は、先程王様にプレゼントしてもらった物をバッグから取り出した。
 きれいな石が2つ、巻物のようなものが1つ。

 さて、これも説明を聞くことができるのかな?

 そう思いながら、説明を聞くことを念じてみると、


―――――――――――――――――――――――――

『コモンスキル:翻訳』の魔石
 この魔石を取り入れることで、『翻訳』スキルを獲得することが
できる。
 また、MPが多少上昇する。

―――――――――――――――――――――――――


 え、コモンスキルって、こういう石――魔石を使って増やすことができるの? だからコモンスキルっていうのかな。
 ということは、レジェンダリースキルはその強さもだけど、固有スキルであるっていうのも、大きな理由なのかもしれないな。

 よし、じゃあさっそく使ってみようか。
 ……って、どうやって使うのかな。

 流れ的に言うと、念じたら使えるのかな?

 そう思った水城は、魔石を手に持った状態で、

 魔石、使用!

 パリンッ!

 そう願った。すると、水城の手の中で魔石が割れ、粉々になって消えていった。

 あれ? 失敗した?

 困った水城は助けを求めて、ステータス画面を開いた。


――――――――――――――――――――――――――――――

名前  水城新太

年齢  16

レベル  1 ( 0/100 )

MP  11/13 ( 0/100 )

スキル
 コモン  2
 レジェンダリー  2

称号  ドヴァ― 転移者

――――――――――――――――――――――――――――――


 ふぅ、良かった。もしこれで、何も起こってなかったら、王様に合わせる顔がなかった。

 ところで、コモンスキルが1から2に上がってるのは分かるけど、MPの上がり方の規則性が分からないな。
 『13/13』の右にある『( 0/100 )』が上昇したら、MPも上昇するんだと思ってたのに。
 もしくは、魔石を使ったことで、『( 0/100 )』のところの値がちょうど100増えたのかもしれないな。

 ところで、コモンスキルがどうなったのかも見てみるか。


――――――――――――――――――――――――――――――

コモンスキル
 籠絡Ⅰ ( 0/1 )
 翻訳Ⅰ ( 0/1 )

――――――――――――――――――――――――――――――


 よし、しっかり増えているな。
 やはり、さっき魔石が割れたのは、魔石を使用したことによる効果だったんだろうな。ヒヤヒヤさせてくれるぜ。
 この流れで、もう一つの魔石も使っておくか。どうせただ持ってたとしても、石でしかないんだろうし、使ったところで、何か代償が発生するわけでもないし。

 そう思った水城は、もう一つの魔石に触れて、確認を行った。


―――――――――――――――――――――――――

『コモンスキル:収納』の魔石
 この魔石を取り入れることで、『収納』スキルを獲得することが
できる。
 また、MPが多少上昇する。

―――――――――――――――――――――――――


 お、収納スキル来た~~~!
 異世界といえば収納スキル、収納スキルといえば異世界だもんな。

 今となっては異世界系小説の中では定番となっているような必須アイテム『収納』。こんな早くに出会えるとは。
 よく使われてるだけあって強いんだよな。身軽に行動できるし。

 これはもう、使う以外に道はないでしょ!

 そう言って水城は使用した。すると先程と同様に、魔石は割れ、霧散していった。

 そして、安定のステータス確認。


――――――――――――――――――――――――――――――

名前  水城新太

年齢  16

レベル  1 ( 0/100 )

MP  11/14 ( 0/100 )

スキル
 コモン  3
 レジェンダリー  2

称号  ドヴァ― 転移者

――――――――――――――――――――――――――――――


 はい、思っていた通りです。生物には慣れがあるっていうけど、もう魔法の世界――天国に慣れつつある俺が怖いな。

 よし、コモンスキル表示。

 きちんと自分を分析しているかのようなことを言っているくせに、行動自体は、何ら変わらないのであった。


――――――――――――――――――――――――――――――

コモンスキル
 籠絡Ⅰ ( 0/1 )
 翻訳Ⅰ ( 0/1 )
 収納Ⅰ ( 0/1 )

――――――――――――――――――――――――――――――


 そして、流れ作業で『収納』の説明も開く。


―――――――――――――――

スキル名 収納
 異空間に物体を収納することが可能。ただ
し、要領に限度があり、収納不可能なものが
存在する。

―――――――――――――――


 よしゃあ! 手に入れたぜ、収納!
 早速使ってみるか。

 そう言って水城は、王様にもらった巻物のようなものを収納することを念じた。

 しかし、何も起こらなかった。

 あ、そういえば、魔石を使うときは発動石を起動させないといけないんだっけ。

 そう思った水城は、先程もらった発動石を手に持ち、机に置いてある巻物のようなものに対して手を向けて叫んだ。

「収納!」

 すると、魔法石が発光し、巻物が消滅した。

 よし、成功。ところで、どうやって取り出すんだろう。収納はできたけど、取り出しの方法がよく分かんないな。

 一か八かで水城が収納一覧を念じてみると、


―――――――――――――――――――――――――

収納物一覧表
 『剣さばき』のスクロール  1

―――――――――――――――――――――――――


 嘘~~~~! 完全にネタバレじゃん!

 収納したものを確認できたのはよかったが、次に使おうと思っていたアイテムの情報公開が行われてしまったため、水城は心底落ち込んだ。

 先に、スクロールも使えばよかった……。

 しても情報されたことは変わらない、そう考えて水城は諦めた。
 ……ダジャレじゃないぞ。

 気を取り直してスクロールも見てみるか。


―――――――――――――――――――――――――

『アビリティーボーナス:剣捌き』のスクロール
 このスクロールを取り入れることで、『剣捌き』のアビリティー
ボーナスを+1%受けることができる。

―――――――――――――――――――――――――


 水城には理解しがたかった。
 1%のボーナスを受け取るというのはどのくらいなのかがよく分からなかった。自分の技術の1%なのか、レベルの1%なのか、決まった値の1%なのか。それによって、喜べるのかが微妙であった。
 特に上2つだと、現在レベル1で、剣など扱ったことのない水城にとっては、ほぼ無意味であった。

 例えば、同等の実力を持っており、常に引き分けだった二人のうち、一人がこれを使えば、その僅か1%が勝敗を分けるだろう。

 ……けど今の俺にとってあまり関係はないな。
 まあ、使わない道はないけど。

 そう言うとスクロールを使うことを念じた。
 するとスクロールは、千切れることなどなく、消えていった。

 ここは、魔石とは違うんだな。

 そして、ステータスを開いてみると、


――――――――――――――――――――――――――――――

名前  水城新太

年齢  16

レベル  1 ( 0/100 )

MP  10/14 ( 0/100 )

スキル
 コモン  3
 レジェンダリー  2

アビリティーボーナス
 剣捌き  +1%

称号  ドヴァ― 転移者

――――――――――――――――――――――――――――――


 それを見た水城は驚いた。


 ――なんか新しい項目増えてる。



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 最後まで読んでいただきありがとうございます。
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