9 / 57
第1章 中々無い出会い方
第9話 謎の先輩
しおりを挟む
「私の出番ですね」
――唐突に後ろから、聞きなれない声が聞こえた。
「今度は誰だ?」
さすがに同じ手に二度引っかかるほど、俺は愚かではない。どうせまた、転移魔法でここへ来たんだろう。
それにしても、また女の人の声だったな。今度は裸でないことを祈ろう。
「あ、先輩~~~! 助けてください」
やはりか。やはり、ミアの知り合いであったか。まあ、登場の仕方と状況から考えたらそうだろうな。
もしここで、赤の他人が来たとしたら、それはそれですごい運だと思う。……悪い意味で。
そういえば、ミアの口調がさっきまでと違わないか? もしかしてコイツ、普通に話すこともできるんじゃないか? まあ、どうでもいいけど。
そろそろ振り返るか。いつまでもこのままじゃ話進まないし。裸ではありませんように。裸ではありませんように……。
「うわっ!」
そっと振り返った水城は、覚悟を決めていたにもかかわらず、驚いてしまった。
なぜなら――
「何ですかその物騒なものは。殺す気ですか?」
――手に、普段見ることの絶対にないような長剣を持った女性が立っていたのだから。
「失礼ですね。これは私の愛剣ですね。物騒だなんて言わないでほしいですね」
彼女は、博物館に飾られていそうなその剣を、愛おしく思っているようで、頬ずりをしている。
この人ヤバそうだな。愛剣って、まるで、ペットの愛犬かのように言ってるし。危険そうだな。
ていうか、頬ずりして切れないのか? 器用だな。
水城がそんなことを考えていると、
「ミア、貴方、転移に失敗しましたよね? 大丈夫でしたかね?」
「はい、見ての通り、無事です。服も来ていますし」
「それは、水城さんの服ですね。しっかり洗って返してくださいね。それより、帰れないのではないですかね? 心配だったので、一応迎えに来たんですね」
「助かります。ボク達、天国への行き方が分からなくて困っていたんです」
なんか俺のいないところで話が進んでるな。まあ、問題が解決できるなら文句は特にないけど。少し悲しいぐらいかな。
ていうか、ミアのいい方はなんか嫌だな。
「ボク達」って言ってるけど、行けなくなったのお前のせいだろ、って言いたくなるわ。
「天国への行き方」っていうのも、天国って言われると癖で、死後の世界を想像しちゃうんだよな。「行き方」が「逝き方」に聞こえてきそうだ。なんか死ぬみたいだな。
ところで、この女の人は誰なんだろう? ミアの先輩らしいこと以外に情報が全くないけど。
「あの、すみません。お話し中悪いんですが、貴方はどちら様ですか?」
「申し遅れましたわね。私は、ミアの先輩ですね」
いや、そうじゃなくて。
「あの、お名前を聞いてもよろしいですか?」
「それはですね……。非公開ですね」
は? この人は何言ってんだ? 今更だがここは俺の家だぞ。名乗らずに人の家に上がり込むなんてどうかしてるだろ。
ミアのほうが、まだましに見えてきたぞ。
まあ、言う気もなさそうだし、物騒なもの持ってるから、ココは詮索は諦めるか。
「では、何をしに来たんですか?」
「それは、先程も申し上げた通り、貴方たちを迎えに来たんですね」
そういえば、そんなことを話していたな。他のことが気になりすぎて忘れていた。
じゃあ、俺の準備はとっくにできてるんだし、少し時間が無駄になったが、そろそろ行くとするか。
「では、送ってもらっていいですか? 天国へ。もう準備できてるんで」
「僕も準備はいいよー」
「もちろんですね。では行きますね――」
そういって、数秒置いてから、謎の先輩は唱えた。
「――転移!」
その声が聞こえるとともに、視界が一瞬歪み、気づいたら、見知らぬ場所へ移動していた。
ΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔ
最後まで読んでいただきありがとうございます。
よろしければ、『お気に入り』への追加、感想の投稿をよろしくお願いいたします。
特に感想は、作品の向上や誤字脱字等の修正に役に立つので、どんなことでもいいので気になる点があれば是非お願いします。
『お気に入り』への追加をしていただくと、作品を書く活力になります。
ΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔ
――唐突に後ろから、聞きなれない声が聞こえた。
「今度は誰だ?」
さすがに同じ手に二度引っかかるほど、俺は愚かではない。どうせまた、転移魔法でここへ来たんだろう。
それにしても、また女の人の声だったな。今度は裸でないことを祈ろう。
「あ、先輩~~~! 助けてください」
やはりか。やはり、ミアの知り合いであったか。まあ、登場の仕方と状況から考えたらそうだろうな。
もしここで、赤の他人が来たとしたら、それはそれですごい運だと思う。……悪い意味で。
そういえば、ミアの口調がさっきまでと違わないか? もしかしてコイツ、普通に話すこともできるんじゃないか? まあ、どうでもいいけど。
そろそろ振り返るか。いつまでもこのままじゃ話進まないし。裸ではありませんように。裸ではありませんように……。
「うわっ!」
そっと振り返った水城は、覚悟を決めていたにもかかわらず、驚いてしまった。
なぜなら――
「何ですかその物騒なものは。殺す気ですか?」
――手に、普段見ることの絶対にないような長剣を持った女性が立っていたのだから。
「失礼ですね。これは私の愛剣ですね。物騒だなんて言わないでほしいですね」
彼女は、博物館に飾られていそうなその剣を、愛おしく思っているようで、頬ずりをしている。
この人ヤバそうだな。愛剣って、まるで、ペットの愛犬かのように言ってるし。危険そうだな。
ていうか、頬ずりして切れないのか? 器用だな。
水城がそんなことを考えていると、
「ミア、貴方、転移に失敗しましたよね? 大丈夫でしたかね?」
「はい、見ての通り、無事です。服も来ていますし」
「それは、水城さんの服ですね。しっかり洗って返してくださいね。それより、帰れないのではないですかね? 心配だったので、一応迎えに来たんですね」
「助かります。ボク達、天国への行き方が分からなくて困っていたんです」
なんか俺のいないところで話が進んでるな。まあ、問題が解決できるなら文句は特にないけど。少し悲しいぐらいかな。
ていうか、ミアのいい方はなんか嫌だな。
「ボク達」って言ってるけど、行けなくなったのお前のせいだろ、って言いたくなるわ。
「天国への行き方」っていうのも、天国って言われると癖で、死後の世界を想像しちゃうんだよな。「行き方」が「逝き方」に聞こえてきそうだ。なんか死ぬみたいだな。
ところで、この女の人は誰なんだろう? ミアの先輩らしいこと以外に情報が全くないけど。
「あの、すみません。お話し中悪いんですが、貴方はどちら様ですか?」
「申し遅れましたわね。私は、ミアの先輩ですね」
いや、そうじゃなくて。
「あの、お名前を聞いてもよろしいですか?」
「それはですね……。非公開ですね」
は? この人は何言ってんだ? 今更だがここは俺の家だぞ。名乗らずに人の家に上がり込むなんてどうかしてるだろ。
ミアのほうが、まだましに見えてきたぞ。
まあ、言う気もなさそうだし、物騒なもの持ってるから、ココは詮索は諦めるか。
「では、何をしに来たんですか?」
「それは、先程も申し上げた通り、貴方たちを迎えに来たんですね」
そういえば、そんなことを話していたな。他のことが気になりすぎて忘れていた。
じゃあ、俺の準備はとっくにできてるんだし、少し時間が無駄になったが、そろそろ行くとするか。
「では、送ってもらっていいですか? 天国へ。もう準備できてるんで」
「僕も準備はいいよー」
「もちろんですね。では行きますね――」
そういって、数秒置いてから、謎の先輩は唱えた。
「――転移!」
その声が聞こえるとともに、視界が一瞬歪み、気づいたら、見知らぬ場所へ移動していた。
ΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔ
最後まで読んでいただきありがとうございます。
よろしければ、『お気に入り』への追加、感想の投稿をよろしくお願いいたします。
特に感想は、作品の向上や誤字脱字等の修正に役に立つので、どんなことでもいいので気になる点があれば是非お願いします。
『お気に入り』への追加をしていただくと、作品を書く活力になります。
ΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔΔ
0
お気に入りに追加
135
あなたにおすすめの小説
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。

アラヒフおばさんのゆるゆる異世界生活
ゼウママ
ファンタジー
50歳目前、突然異世界生活が始まる事に。原因は良く聞く神様のミス。私の身にこんな事が起こるなんて…。
「ごめんなさい!もう戻る事も出来ないから、この世界で楽しく過ごして下さい。」と、言われたのでゆっくり生活をする事にした。
現役看護婦の私のゆっくりとしたどたばた異世界生活が始まった。
ゆっくり更新です。はじめての投稿です。
誤字、脱字等有りましたらご指摘下さい。

伝説の霊獣達が住まう【生存率0%】の無人島に捨てられた少年はサバイバルを経ていかにして最強に至ったか
藤原みけ@雑魚将軍2巻発売中
ファンタジー
小さな村で平凡な日々を過ごしていた少年リオル。11歳の誕生日を迎え、両親に祝われながら幸せに眠りに着いた翌日、目を覚ますと全く知らないジャングルに居た。
そこは人類が滅ぼされ、伝説の霊獣達の住まう地獄のような無人島だった。
次々の襲い来る霊獣達にリオルは絶望しどん底に突き落とされるが、生き残るため戦うことを決意する。だが、現実は最弱のネズミの霊獣にすら敗北して……。
サバイバル生活の中、霊獣によって殺されかけたリオルは理解する。
弱ければ、何も得ることはできないと。
生きるためリオルはやがて力を求め始める。
堅実に努力を重ね少しずつ成長していくなか、やがて仲間(もふもふ?)に出会っていく。
地獄のような島でただの少年はいかにして最強へと至ったのか。
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる