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第1章 中々無い出会い方
第9話 謎の先輩
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「私の出番ですね」
――唐突に後ろから、聞きなれない声が聞こえた。
「今度は誰だ?」
さすがに同じ手に二度引っかかるほど、俺は愚かではない。どうせまた、転移魔法でここへ来たんだろう。
それにしても、また女の人の声だったな。今度は裸でないことを祈ろう。
「あ、先輩~~~! 助けてください」
やはりか。やはり、ミアの知り合いであったか。まあ、登場の仕方と状況から考えたらそうだろうな。
もしここで、赤の他人が来たとしたら、それはそれですごい運だと思う。……悪い意味で。
そういえば、ミアの口調がさっきまでと違わないか? もしかしてコイツ、普通に話すこともできるんじゃないか? まあ、どうでもいいけど。
そろそろ振り返るか。いつまでもこのままじゃ話進まないし。裸ではありませんように。裸ではありませんように……。
「うわっ!」
そっと振り返った水城は、覚悟を決めていたにもかかわらず、驚いてしまった。
なぜなら――
「何ですかその物騒なものは。殺す気ですか?」
――手に、普段見ることの絶対にないような長剣を持った女性が立っていたのだから。
「失礼ですね。これは私の愛剣ですね。物騒だなんて言わないでほしいですね」
彼女は、博物館に飾られていそうなその剣を、愛おしく思っているようで、頬ずりをしている。
この人ヤバそうだな。愛剣って、まるで、ペットの愛犬かのように言ってるし。危険そうだな。
ていうか、頬ずりして切れないのか? 器用だな。
水城がそんなことを考えていると、
「ミア、貴方、転移に失敗しましたよね? 大丈夫でしたかね?」
「はい、見ての通り、無事です。服も来ていますし」
「それは、水城さんの服ですね。しっかり洗って返してくださいね。それより、帰れないのではないですかね? 心配だったので、一応迎えに来たんですね」
「助かります。ボク達、天国への行き方が分からなくて困っていたんです」
なんか俺のいないところで話が進んでるな。まあ、問題が解決できるなら文句は特にないけど。少し悲しいぐらいかな。
ていうか、ミアのいい方はなんか嫌だな。
「ボク達」って言ってるけど、行けなくなったのお前のせいだろ、って言いたくなるわ。
「天国への行き方」っていうのも、天国って言われると癖で、死後の世界を想像しちゃうんだよな。「行き方」が「逝き方」に聞こえてきそうだ。なんか死ぬみたいだな。
ところで、この女の人は誰なんだろう? ミアの先輩らしいこと以外に情報が全くないけど。
「あの、すみません。お話し中悪いんですが、貴方はどちら様ですか?」
「申し遅れましたわね。私は、ミアの先輩ですね」
いや、そうじゃなくて。
「あの、お名前を聞いてもよろしいですか?」
「それはですね……。非公開ですね」
は? この人は何言ってんだ? 今更だがここは俺の家だぞ。名乗らずに人の家に上がり込むなんてどうかしてるだろ。
ミアのほうが、まだましに見えてきたぞ。
まあ、言う気もなさそうだし、物騒なもの持ってるから、ココは詮索は諦めるか。
「では、何をしに来たんですか?」
「それは、先程も申し上げた通り、貴方たちを迎えに来たんですね」
そういえば、そんなことを話していたな。他のことが気になりすぎて忘れていた。
じゃあ、俺の準備はとっくにできてるんだし、少し時間が無駄になったが、そろそろ行くとするか。
「では、送ってもらっていいですか? 天国へ。もう準備できてるんで」
「僕も準備はいいよー」
「もちろんですね。では行きますね――」
そういって、数秒置いてから、謎の先輩は唱えた。
「――転移!」
その声が聞こえるとともに、視界が一瞬歪み、気づいたら、見知らぬ場所へ移動していた。
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最後まで読んでいただきありがとうございます。
よろしければ、『お気に入り』への追加、感想の投稿をよろしくお願いいたします。
特に感想は、作品の向上や誤字脱字等の修正に役に立つので、どんなことでもいいので気になる点があれば是非お願いします。
『お気に入り』への追加をしていただくと、作品を書く活力になります。
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「今度は誰だ?」
さすがに同じ手に二度引っかかるほど、俺は愚かではない。どうせまた、転移魔法でここへ来たんだろう。
それにしても、また女の人の声だったな。今度は裸でないことを祈ろう。
「あ、先輩~~~! 助けてください」
やはりか。やはり、ミアの知り合いであったか。まあ、登場の仕方と状況から考えたらそうだろうな。
もしここで、赤の他人が来たとしたら、それはそれですごい運だと思う。……悪い意味で。
そういえば、ミアの口調がさっきまでと違わないか? もしかしてコイツ、普通に話すこともできるんじゃないか? まあ、どうでもいいけど。
そろそろ振り返るか。いつまでもこのままじゃ話進まないし。裸ではありませんように。裸ではありませんように……。
「うわっ!」
そっと振り返った水城は、覚悟を決めていたにもかかわらず、驚いてしまった。
なぜなら――
「何ですかその物騒なものは。殺す気ですか?」
――手に、普段見ることの絶対にないような長剣を持った女性が立っていたのだから。
「失礼ですね。これは私の愛剣ですね。物騒だなんて言わないでほしいですね」
彼女は、博物館に飾られていそうなその剣を、愛おしく思っているようで、頬ずりをしている。
この人ヤバそうだな。愛剣って、まるで、ペットの愛犬かのように言ってるし。危険そうだな。
ていうか、頬ずりして切れないのか? 器用だな。
水城がそんなことを考えていると、
「ミア、貴方、転移に失敗しましたよね? 大丈夫でしたかね?」
「はい、見ての通り、無事です。服も来ていますし」
「それは、水城さんの服ですね。しっかり洗って返してくださいね。それより、帰れないのではないですかね? 心配だったので、一応迎えに来たんですね」
「助かります。ボク達、天国への行き方が分からなくて困っていたんです」
なんか俺のいないところで話が進んでるな。まあ、問題が解決できるなら文句は特にないけど。少し悲しいぐらいかな。
ていうか、ミアのいい方はなんか嫌だな。
「ボク達」って言ってるけど、行けなくなったのお前のせいだろ、って言いたくなるわ。
「天国への行き方」っていうのも、天国って言われると癖で、死後の世界を想像しちゃうんだよな。「行き方」が「逝き方」に聞こえてきそうだ。なんか死ぬみたいだな。
ところで、この女の人は誰なんだろう? ミアの先輩らしいこと以外に情報が全くないけど。
「あの、すみません。お話し中悪いんですが、貴方はどちら様ですか?」
「申し遅れましたわね。私は、ミアの先輩ですね」
いや、そうじゃなくて。
「あの、お名前を聞いてもよろしいですか?」
「それはですね……。非公開ですね」
は? この人は何言ってんだ? 今更だがここは俺の家だぞ。名乗らずに人の家に上がり込むなんてどうかしてるだろ。
ミアのほうが、まだましに見えてきたぞ。
まあ、言う気もなさそうだし、物騒なもの持ってるから、ココは詮索は諦めるか。
「では、何をしに来たんですか?」
「それは、先程も申し上げた通り、貴方たちを迎えに来たんですね」
そういえば、そんなことを話していたな。他のことが気になりすぎて忘れていた。
じゃあ、俺の準備はとっくにできてるんだし、少し時間が無駄になったが、そろそろ行くとするか。
「では、送ってもらっていいですか? 天国へ。もう準備できてるんで」
「僕も準備はいいよー」
「もちろんですね。では行きますね――」
そういって、数秒置いてから、謎の先輩は唱えた。
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