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第1章 中々無い出会い方
第8話 まただよ……
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ミアは見るからに重そうな口を開いて、小さく話した。
「水城……。ボク……ボク……天国に帰れなくなっちゃった」
――――。
――――――――。
――――――――――――――――。
「――は?」
ミアは何を言っているのだろうか? 帰れなくなった? 俺が準備している間に、何かあったのか?
「ボク、魔剣を使ってここへ来たんだよ」
うん、わからない。魔剣ってなにーーー?
でも今は、それどころじゃなさそうだな。いつか聞こう。
「でも、それを無くしたみたいなの……」
「どういうことだ? 無くすことがあるアイテムなのか?」
「壊れることはよくあることなんだけど、そのことも考慮して、地国に来るときは、予備を用意してくるんだ」
なるほど、頭がいい。確かに予備があれば、行きに行くときに壊れたとしても、帰ることはできるもんな。
まあ、ミアが考えたことではないんだろうな。コイツが考えられるとは思ってない。……悪口ではないぞ。事実を言ったまでだ。
「それで、予備を用意し忘れたのか?」
すると、ミアは顔を横に振りながら言った。
「予備は用意したけど、無くしたんだ」
「――?」
「ボク、裸で来たでしょ? だから、このバッグ以外、全部、天国に置いてきてしまったの」
つまりミアは、地球に来ることに失敗したために、帰ることができなくなった訳だ。
ドンマイ、ミア!
でも、よくよく考えるとおかしくないか?
だって、ミアはさっき俺に魔法を使ってたんだぞ。その時はどうやって魔法を発動させたんだろう。
あの時に使った魔剣で帰ることはできないのかな? ……あの時、何かが壊れるような音は聞こえなかったし。
「なあ、ミア。さっき俺の体を治すときに使った魔剣を使えば帰ることができるんじゃないか?」
「それは無理」
「何でだ?」
「さっきボクが使った魔法は、これを使って発動させたからさ」
そういって、ミアは彼女の手提げバッグを俺に見せてきた。
「バッグを使って発動させたのか?」
「そうじゃねーよ。ここを見てみな」
ミアが指差した場所をよく見てみると、バッグの模様の一部だと思っていた場所に、石のようなものがはめ込まれていた。
しかし、石とは思えないような、模様がそこには刻まれていた。……なんかの生き物みたいな模様だ。
「これは何なんだ? ただの石ではないんだろ?」
ミアは頷くと説明を始めた。
曰く、これは魔法を発動させるために作られたものだという。
この石を身に着けた状態で魔法の名前を唱えるとその魔法が使えるという。
そこで俺が「じゃあ、帰る魔法を唱えれば帰れるんじゃないか?」と聞くと、人によって使える魔法は異なっており、ミアが使えるのは「完治」のみだという。
何とも悲しい。
魔剣は、その中に閉じ込められている魔法を誰でも使うことができるらしい。そのため、「完治」のみしか使うことのできないミアは、魔剣を利用してここへ来たのだという。
しかし、緊張していたからか、発動に失敗してしまい、中途半端な状態でこちらへ来てしまったのだそうだ。
ちなみに、魔剣に込められていた魔法は『転移』という魔法だそうだ。
あと、俺にとっては結構重要なことだが、地球に住む人も、10歳以上なら一つ以上は魔法を持っており、この意志さえあれば誰でも使えるのだという。石を貸してくれるように頼んだら、断られたが。
つまり要約すれば、この石があっても、『転移』を使えないので、意味がないということだそうだ。
「じゃあ、どうするんだ?」
俺がため息をついて困っていると――
「私の出番ですね」
――唐突に後ろから、聞きなれない声が聞こえた。
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最後まで読んでいただきありがとうございます。
よろしければ、『お気に入り』への追加、感想の投稿をよろしくお願いいたします。
特に感想は、作品の向上や誤字脱字等の修正に役に立つので、どんなことでもいいので気になる点があれば是非お願いします。
『お気に入り』への追加をしていただくと、作品を書く活力になります。
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「――は?」
ミアは何を言っているのだろうか? 帰れなくなった? 俺が準備している間に、何かあったのか?
「ボク、魔剣を使ってここへ来たんだよ」
うん、わからない。魔剣ってなにーーー?
でも今は、それどころじゃなさそうだな。いつか聞こう。
「でも、それを無くしたみたいなの……」
「どういうことだ? 無くすことがあるアイテムなのか?」
「壊れることはよくあることなんだけど、そのことも考慮して、地国に来るときは、予備を用意してくるんだ」
なるほど、頭がいい。確かに予備があれば、行きに行くときに壊れたとしても、帰ることはできるもんな。
まあ、ミアが考えたことではないんだろうな。コイツが考えられるとは思ってない。……悪口ではないぞ。事実を言ったまでだ。
「それで、予備を用意し忘れたのか?」
すると、ミアは顔を横に振りながら言った。
「予備は用意したけど、無くしたんだ」
「――?」
「ボク、裸で来たでしょ? だから、このバッグ以外、全部、天国に置いてきてしまったの」
つまりミアは、地球に来ることに失敗したために、帰ることができなくなった訳だ。
ドンマイ、ミア!
でも、よくよく考えるとおかしくないか?
だって、ミアはさっき俺に魔法を使ってたんだぞ。その時はどうやって魔法を発動させたんだろう。
あの時に使った魔剣で帰ることはできないのかな? ……あの時、何かが壊れるような音は聞こえなかったし。
「なあ、ミア。さっき俺の体を治すときに使った魔剣を使えば帰ることができるんじゃないか?」
「それは無理」
「何でだ?」
「さっきボクが使った魔法は、これを使って発動させたからさ」
そういって、ミアは彼女の手提げバッグを俺に見せてきた。
「バッグを使って発動させたのか?」
「そうじゃねーよ。ここを見てみな」
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しかし、石とは思えないような、模様がそこには刻まれていた。……なんかの生き物みたいな模様だ。
「これは何なんだ? ただの石ではないんだろ?」
ミアは頷くと説明を始めた。
曰く、これは魔法を発動させるために作られたものだという。
この石を身に着けた状態で魔法の名前を唱えるとその魔法が使えるという。
そこで俺が「じゃあ、帰る魔法を唱えれば帰れるんじゃないか?」と聞くと、人によって使える魔法は異なっており、ミアが使えるのは「完治」のみだという。
何とも悲しい。
魔剣は、その中に閉じ込められている魔法を誰でも使うことができるらしい。そのため、「完治」のみしか使うことのできないミアは、魔剣を利用してここへ来たのだという。
しかし、緊張していたからか、発動に失敗してしまい、中途半端な状態でこちらへ来てしまったのだそうだ。
ちなみに、魔剣に込められていた魔法は『転移』という魔法だそうだ。
あと、俺にとっては結構重要なことだが、地球に住む人も、10歳以上なら一つ以上は魔法を持っており、この意志さえあれば誰でも使えるのだという。石を貸してくれるように頼んだら、断られたが。
つまり要約すれば、この石があっても、『転移』を使えないので、意味がないということだそうだ。
「じゃあ、どうするんだ?」
俺がため息をついて困っていると――
「私の出番ですね」
――唐突に後ろから、聞きなれない声が聞こえた。
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