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第1章  中々無い出会い方

第5話   俺の人生を狂わせた元凶

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「ボクがキミのあらゆる怪我と病気を治してやったんだよ」

は? 嘘だろ?

「嘘だと思うなら膝の怪我、見てみろよ」

 俺は今日、外出中にとある理由で怪我をした。だから、膝にハンカチを巻いていた。
 それを取ってみると……怪我が痕跡すらもなく治っていた。

「え? どうしてだ?」

「だから言った通りだって。ボクが治したんだよ」

「――――」

 理解が追い付かない。そんな魔法のようなことができるのか? というか――

「これは、魔法か?」

「その通り。ちなみに、これもさっき言ったけど、キミの病気、全部まとめて完治してっからな」

 一瞬、考える時間をおいて、

「――っ!」

 あるものが、俺の中を過った。

 すべての病気ということは……つまり――

さっしの通り、キミの持病、AIDSも、何の痕跡もなく消えてるよ」

「――っ!」

 そん、な、こと、が、ある、の、か?


==============================


 俺は、いつも秘密を抱えて生活していた。それは、後天性免疫不全症候群――AIDSを患っていることだ。
 家族全員が感染しており、発見されたのが遅かったこともあってか、既に、俺以外の家族は他界していた。
 そんなことが、学校中に広まり、苦痛の日々が続くようになったのは、当たり前のように生活していたとある1日だった。
 それから1週間も経てば、俺の周りに友達はいなかった。
 そして、俺の不登校生活が始まる。

 そう、俺にとって、AIDSは、俺から、家族、友達、居場所を奪い、そして、俺の命を奪う予定のものだった。

 なのに――。なのに――。


==============================


 正直、気持ちは複雑だった。たぶん、半年前の俺だったら、発狂してそのまま帰らぬ人となっていたと思う。……今のは言い過ぎかもしれない。
 だけど、それほどに、俺にとって大きな存在である。
 しかし、今の俺は、自分でも思うほどに冷静だった。

 理由はわかる。

 過去の記憶を忘れてしまったわけでもなければ、病気が完治したことがどうでもいいわけではない。
 それよりも、俺の心を引き、思考を奪う事柄が存在したからだ。
 諦めかけていた人生、そんな中で見えた一筋の光。これに頼らずに俺はどうやって人生を謳歌すればいいんだ。

「おい、さっき俺に行ったよな?


――俺のことを、召喚しに来たって」



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