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49 井上松五郎
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新八とおつるは、日野に向かうが、人目が多い甲州道中は避けて、八王子(川崎)道から平山城趾を横目に、高幡不動に道をとる。
高幡不動のすぐ隣は、おつるの故郷の程久保村だが、ちらりと一瞥をくれただけで、口には出さぬまま浅川をわたった。
浅川をわたると、そこは歳三の故郷の石田村である。あたりには、緑の海原のごとく、一面の田圃がひろがり風が吹き抜ける。
右手に見えるこんもりとした杜は石田寺、左手に見える木立は「とうかん森」だ。
とうかん森の手前に、ふた棟ならんだ長屋門が見えた。石田村名主の土方伊十郎の屋敷と、歳三の実家である。
石田村の住民の隠し姓は、ほとんどが土方で、昭和三十年代の地図を見ると、石田寺の周囲にある家のすべてが土方姓だった。
以前、土方家は、もう少し浅川に近い、とうかん森のすぐ脇にあった。分家で名主の伊十郎家のならびに移り住んだのは、弘化三年、一月も続いた大雨による洪水によって、土地が流されてしまい、引っ越しを余儀なくされたためである。
そうとは知らない新八は、ちらりと一瞥をくれただけで、無関心に通りすぎた。
ふたりは、見渡すかぎり田圃が続く、上田用水沿いの曲がりくねった畦道をゆく。
現在のこのあたりは、バイパスの工事にともなう大規模な区画整理によって、道は直線化され田舎道の面影はどこにもない。
宮村を経て日野用水沿いの道から、田圃のなかの裏道を抜け甲州道中を横切ると、西明寺の脇道に切れこんだ。
その細い道は、滝山道と呼ばれる古道である。裏道だけに、ぽつりぽつりと農家があるだけで、ひと通りは、ほとんどなかった。
左手にひろがる田圃の向こうには、甲州道中沿いに連なる、日野宿の町並みが見える。町外れにある長屋門は、後に彦五郎の四男が養子に入る、有山家のものだ。
やがて右手に、欣浄寺の社が目に入り、角には「とんがらし地蔵」と呼ばれ親しまれている小さな祠があり、その向かいに井上家があった。
井上家は、茅葺きの大きな母屋と、滝山道に面して土蔵がひと棟、中庭をはさんで右手には、物置小屋が建っていた。
中庭では、刺し子の稽古着に袴という、奇妙ないでたちをした農夫が、鍬の手入れをしている。
ふたりに気づいた農夫は、振り向くと、おつるを見て、驚きの表情を浮かべた。
「お……おつるちゃんじゃねえか! おめえさん、いったい……」
「松五郎おじさまっ!」
おつるは、松五郎に駆け寄ると、その胸にすがりつき、堰を切ったように泣きじゃくった。
松五郎が困り顔で、
「おい、泣いてちゃあ、わかんないよ……さあ、いったい、なにがあったのか話しておくれ」
と、優しく言った。ようやく激しい感情がおさまったのか、おつるが甲府に行ってからの経緯を、訥々《とつとつ》と話しはじめた。
置いてきぼりの新八は、呆然と立ちすくむばかりである。
「そうだったのかい……おめえさんも、いろいろ大変だったなあ。
そんなことなら、いつまでも、ここにいたっていいんだぜ。さあ、もう泣くのはおよし」
松五郎は、しみじみとした表情で、おつるの肩をぽんぽんと叩くと、
「永倉さまには、大変なご迷惑をおかけしました。おつるは、手前の竹馬の友の娘でございます。このとおり、心からお礼申しあげます」
新八に向かって、深々と頭を下げた。
「お、おい、やめてくれ。こう見えても俺は江戸っ子だ。困っているひとを、そのまま、ほっとくわけにはいかねえ……と、勝手にやったことだ。たのむから頭を上げてくれないか」
年上の松五郎に頭を下げられ、新八は狼狽した。
「ありがとうございます。ですが、それでは、手前の気がすみません。お礼に一献さしあげますので、こちらへおいでくださいまし」
そう言うと松五郎は、大きな声で女房にすすぎを用意させ、新八を玄関に誘った。
井上松五郎の弟は、言わずと知れたのちの新選組隊士・井上源三郎である。
どちらも近藤周助から天然理心流を習っており、兄弟ともども免許皆伝を授かっていた。
源三郎は、市ヶ谷甲良屋敷に道場を構える試衛館に泊まり込んで、門弟の育成にあたっているので、ほとんど日野にはいなかった。
松五郎の長女モトは、のちに新選組隊士となった松本捨助に嫁入りする。
この物語の二年前に誕生した次男の泰助は、慶応三年、少年ながら新選組に入隊して、近藤勇の太刀持ちをつとめたと伝えられている。
また、井上家と惣次郎の沖田家とは姻戚関係にあった。惣次郎の姉・ミツのところへ、井上の分家・井上惣蔵の弟・林太郎が婿入りし、林太郎とミツのあいだに生まれた長男・芳次郎のところへ、松五郎の末娘・はなが嫁入りしている。
林太郎は浪士組として、歳三や勇とともに上洛しているが、新選組には加わらず、清河八郎と江戸に戻って新徴組に参加した。
松五郎の屋敷の見かけは、どう見ても茅葺きの百姓家だが、千人同心なので、武家屋敷の格式を持たせるため、小さいながらも玄関と式台を備えていた。
客間に通されると新八は、あらためて松五郎を見る。
その顔は、畑仕事で真っ黒に日焼けして、目尻には深い皺がより、年齢よりも老けて見えるが、着物から出た腕は、鍛え上げられた剣客のそれだった。
松五郎は、新八の杯に酒を注ぐと、あらためて礼をのべた。
新八は、その口上よりも、松五郎のたくましい腕に注目する。前腕の筋肉は、細い鋼線をより集めたようなしなやかなもので、農作業などの、単純な肉体労働でついたものには見えなかった。
「いや、礼は、もうそれぐらいにしておいてください。それよりも……井上さんは、剣術の修行をなさっておられるのでしょうか?」
「ええ。この日野では、名主の下佐藤の彦五郎が、天然理心流の道場を開いており、月に何度か、江戸から近藤宗家が教授にまいります」
「日野宿の名主……そりゃあ、もしかして、トシさんの義理の兄貴のことではないですか?」
新八の言葉に、松五郎が目を丸くした。
「こいつは驚いた。永倉さん、トシ坊のことを、ご存知だったんですかい」
「知ってるもなにも……」
新八は、小仏峠で歳三と出会い、祐天一家のやくざ者と喧嘩した経緯を語りはじめる。
話をきいているうちに、松五郎は、たまらず笑いだした。
「は、ははっ、トシ坊らしいなあ。あの野郎は、餓鬼のころから、ちっとも変わりゃしねえ」
「へえ、トシさんは、餓鬼の時分から、あんなにとんがっていたんですか」
「おうよ。暴れん坊で、喧嘩で相手を怪我させちゃあ、彦さんは、あちこちで頭を下げて、名主の面目丸つぶれさ」
これには、新八も腹を抱えて笑い転げた。
しかし松五郎は、不意に表情を引き締め、
「だがトシのやつ……今度ばかりは、ちょっと危なっかしい」
と、続けた。
「ああ、相手はたしか、祐天仙之助とかいう、甲州のやくざ者の代貸とかぬかしてましたね」
「祐天仙之助といやあ、正月に殺られた甲府の顔役、三井の卯吉の子分。甲州勝沼の修験の倅さ。
武居の吃安、黒駒の勝蔵なんかと並ぶ大物だ。おまけに、剣術もよく使うという話だ」
「なあに、ああ見えて、トシさんの剣術は、そこらの剣客顔負けでしたよ。いっしょに喧嘩した俺が言うんだから間違いねえ」
「そのトシなんだが……練武館の若先生と、祐天一家に探りを入れるんだと、八王子に行ったっきり、帰ってきやがらねえのさ」
「な、なんですって! 練武館といやあ、心形刀流伊庭道場……トシさんは、八郎さんと八王子に行ったんですか!」
松五郎のひと言に、新八が驚愕の声をあげた。
「永倉さん、伊庭八郎殿をご存知でしたか。いやあ、世の中は狭いもんですねえ」
新八は、自分が神道無念流・撃剣館の免許持ちで、八郎とは江戸で知りあったこと、いまは武者修行中で、八王子千人町の増田蔵六の道場に、居候していることを、手短に伝えた。
「こりゃあ驚いた。なんと、永倉さんも、天然理心流の修行をしていなすったとは……」
「ふうむ……しかし、トシさんと八郎さんが、八王子に来ていたなんて、ちっとも知らなかったな。まあ、俺は甲府に行ったとき以外、ほとんど道場にこもりっきりだったが……」
新八は、歳三と八郎の顔を思い浮かべながら、そうつぶやいた。
その甲府で、ふたりとすれ違いになっていたことを、新八は知らない。しかし、ほつれた糸はいま、ひとつになろうとしていた。
高幡不動のすぐ隣は、おつるの故郷の程久保村だが、ちらりと一瞥をくれただけで、口には出さぬまま浅川をわたった。
浅川をわたると、そこは歳三の故郷の石田村である。あたりには、緑の海原のごとく、一面の田圃がひろがり風が吹き抜ける。
右手に見えるこんもりとした杜は石田寺、左手に見える木立は「とうかん森」だ。
とうかん森の手前に、ふた棟ならんだ長屋門が見えた。石田村名主の土方伊十郎の屋敷と、歳三の実家である。
石田村の住民の隠し姓は、ほとんどが土方で、昭和三十年代の地図を見ると、石田寺の周囲にある家のすべてが土方姓だった。
以前、土方家は、もう少し浅川に近い、とうかん森のすぐ脇にあった。分家で名主の伊十郎家のならびに移り住んだのは、弘化三年、一月も続いた大雨による洪水によって、土地が流されてしまい、引っ越しを余儀なくされたためである。
そうとは知らない新八は、ちらりと一瞥をくれただけで、無関心に通りすぎた。
ふたりは、見渡すかぎり田圃が続く、上田用水沿いの曲がりくねった畦道をゆく。
現在のこのあたりは、バイパスの工事にともなう大規模な区画整理によって、道は直線化され田舎道の面影はどこにもない。
宮村を経て日野用水沿いの道から、田圃のなかの裏道を抜け甲州道中を横切ると、西明寺の脇道に切れこんだ。
その細い道は、滝山道と呼ばれる古道である。裏道だけに、ぽつりぽつりと農家があるだけで、ひと通りは、ほとんどなかった。
左手にひろがる田圃の向こうには、甲州道中沿いに連なる、日野宿の町並みが見える。町外れにある長屋門は、後に彦五郎の四男が養子に入る、有山家のものだ。
やがて右手に、欣浄寺の社が目に入り、角には「とんがらし地蔵」と呼ばれ親しまれている小さな祠があり、その向かいに井上家があった。
井上家は、茅葺きの大きな母屋と、滝山道に面して土蔵がひと棟、中庭をはさんで右手には、物置小屋が建っていた。
中庭では、刺し子の稽古着に袴という、奇妙ないでたちをした農夫が、鍬の手入れをしている。
ふたりに気づいた農夫は、振り向くと、おつるを見て、驚きの表情を浮かべた。
「お……おつるちゃんじゃねえか! おめえさん、いったい……」
「松五郎おじさまっ!」
おつるは、松五郎に駆け寄ると、その胸にすがりつき、堰を切ったように泣きじゃくった。
松五郎が困り顔で、
「おい、泣いてちゃあ、わかんないよ……さあ、いったい、なにがあったのか話しておくれ」
と、優しく言った。ようやく激しい感情がおさまったのか、おつるが甲府に行ってからの経緯を、訥々《とつとつ》と話しはじめた。
置いてきぼりの新八は、呆然と立ちすくむばかりである。
「そうだったのかい……おめえさんも、いろいろ大変だったなあ。
そんなことなら、いつまでも、ここにいたっていいんだぜ。さあ、もう泣くのはおよし」
松五郎は、しみじみとした表情で、おつるの肩をぽんぽんと叩くと、
「永倉さまには、大変なご迷惑をおかけしました。おつるは、手前の竹馬の友の娘でございます。このとおり、心からお礼申しあげます」
新八に向かって、深々と頭を下げた。
「お、おい、やめてくれ。こう見えても俺は江戸っ子だ。困っているひとを、そのまま、ほっとくわけにはいかねえ……と、勝手にやったことだ。たのむから頭を上げてくれないか」
年上の松五郎に頭を下げられ、新八は狼狽した。
「ありがとうございます。ですが、それでは、手前の気がすみません。お礼に一献さしあげますので、こちらへおいでくださいまし」
そう言うと松五郎は、大きな声で女房にすすぎを用意させ、新八を玄関に誘った。
井上松五郎の弟は、言わずと知れたのちの新選組隊士・井上源三郎である。
どちらも近藤周助から天然理心流を習っており、兄弟ともども免許皆伝を授かっていた。
源三郎は、市ヶ谷甲良屋敷に道場を構える試衛館に泊まり込んで、門弟の育成にあたっているので、ほとんど日野にはいなかった。
松五郎の長女モトは、のちに新選組隊士となった松本捨助に嫁入りする。
この物語の二年前に誕生した次男の泰助は、慶応三年、少年ながら新選組に入隊して、近藤勇の太刀持ちをつとめたと伝えられている。
また、井上家と惣次郎の沖田家とは姻戚関係にあった。惣次郎の姉・ミツのところへ、井上の分家・井上惣蔵の弟・林太郎が婿入りし、林太郎とミツのあいだに生まれた長男・芳次郎のところへ、松五郎の末娘・はなが嫁入りしている。
林太郎は浪士組として、歳三や勇とともに上洛しているが、新選組には加わらず、清河八郎と江戸に戻って新徴組に参加した。
松五郎の屋敷の見かけは、どう見ても茅葺きの百姓家だが、千人同心なので、武家屋敷の格式を持たせるため、小さいながらも玄関と式台を備えていた。
客間に通されると新八は、あらためて松五郎を見る。
その顔は、畑仕事で真っ黒に日焼けして、目尻には深い皺がより、年齢よりも老けて見えるが、着物から出た腕は、鍛え上げられた剣客のそれだった。
松五郎は、新八の杯に酒を注ぐと、あらためて礼をのべた。
新八は、その口上よりも、松五郎のたくましい腕に注目する。前腕の筋肉は、細い鋼線をより集めたようなしなやかなもので、農作業などの、単純な肉体労働でついたものには見えなかった。
「いや、礼は、もうそれぐらいにしておいてください。それよりも……井上さんは、剣術の修行をなさっておられるのでしょうか?」
「ええ。この日野では、名主の下佐藤の彦五郎が、天然理心流の道場を開いており、月に何度か、江戸から近藤宗家が教授にまいります」
「日野宿の名主……そりゃあ、もしかして、トシさんの義理の兄貴のことではないですか?」
新八の言葉に、松五郎が目を丸くした。
「こいつは驚いた。永倉さん、トシ坊のことを、ご存知だったんですかい」
「知ってるもなにも……」
新八は、小仏峠で歳三と出会い、祐天一家のやくざ者と喧嘩した経緯を語りはじめる。
話をきいているうちに、松五郎は、たまらず笑いだした。
「は、ははっ、トシ坊らしいなあ。あの野郎は、餓鬼のころから、ちっとも変わりゃしねえ」
「へえ、トシさんは、餓鬼の時分から、あんなにとんがっていたんですか」
「おうよ。暴れん坊で、喧嘩で相手を怪我させちゃあ、彦さんは、あちこちで頭を下げて、名主の面目丸つぶれさ」
これには、新八も腹を抱えて笑い転げた。
しかし松五郎は、不意に表情を引き締め、
「だがトシのやつ……今度ばかりは、ちょっと危なっかしい」
と、続けた。
「ああ、相手はたしか、祐天仙之助とかいう、甲州のやくざ者の代貸とかぬかしてましたね」
「祐天仙之助といやあ、正月に殺られた甲府の顔役、三井の卯吉の子分。甲州勝沼の修験の倅さ。
武居の吃安、黒駒の勝蔵なんかと並ぶ大物だ。おまけに、剣術もよく使うという話だ」
「なあに、ああ見えて、トシさんの剣術は、そこらの剣客顔負けでしたよ。いっしょに喧嘩した俺が言うんだから間違いねえ」
「そのトシなんだが……練武館の若先生と、祐天一家に探りを入れるんだと、八王子に行ったっきり、帰ってきやがらねえのさ」
「な、なんですって! 練武館といやあ、心形刀流伊庭道場……トシさんは、八郎さんと八王子に行ったんですか!」
松五郎のひと言に、新八が驚愕の声をあげた。
「永倉さん、伊庭八郎殿をご存知でしたか。いやあ、世の中は狭いもんですねえ」
新八は、自分が神道無念流・撃剣館の免許持ちで、八郎とは江戸で知りあったこと、いまは武者修行中で、八王子千人町の増田蔵六の道場に、居候していることを、手短に伝えた。
「こりゃあ驚いた。なんと、永倉さんも、天然理心流の修行をしていなすったとは……」
「ふうむ……しかし、トシさんと八郎さんが、八王子に来ていたなんて、ちっとも知らなかったな。まあ、俺は甲府に行ったとき以外、ほとんど道場にこもりっきりだったが……」
新八は、歳三と八郎の顔を思い浮かべながら、そうつぶやいた。
その甲府で、ふたりとすれ違いになっていたことを、新八は知らない。しかし、ほつれた糸はいま、ひとつになろうとしていた。
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