新選組外伝 永倉新八剣術日録

橘りゅうせい

文字の大きさ
上 下
7 / 51

6 親善試合

しおりを挟む
 試合当日は、朝からひんやりとした雨が降っていた。傘をさすほどでもない弱い雨だ。
 しかし、百合本道場のなかは、静かな熱気に包まれていた。
 来賓席には、千葉周作の弟で桶町の千葉と言われる定吉や、同じ神道無念流の斎藤弥九郎、その弟子の桂小五郎。心形刀流の伊庭軍兵衛と息子の八郎の姿も見える。
 八郎の隣には、伝書の一件以来、百合本と急に仲良くなった、窪田清音が、にこにこと座っていた。まるで狸の置物である。
 どうやら、百合本と収集した古い巻物などを自慢しあっているらしく、このところ頻繁に道場を訪れていた。
 弱い雨にもかかわらず、武者窓や、開けはなたれた扉の前も、どこで試合のことをきいたのか、黒山のひとだかりだった。

 その群がるひとのなかに、頭ひとつどころか、肩から上が完全に飛びだしている巨大な男がいた。
 男は、鋭い眼差しで試合の行方を追っていた。
 山岡鉄太郎である。
 試合自体は、大将戦を待たずして、一対三で『撃剣館』の勝利が決まっていた。
 交流試合は、今年で三年め。
 過去の結果は一勝一敗だったが、今年は、先鋒の井崎松太郎が勝っただけで、撃剣館が三勝を決めて百合本道場を降し、兄弟子の岡田十松が、面目を保っていた。
 しかし、そんな結果とは関係なく、見る者は、いまだに、なにかを期待する表情のものが多かった。
 というのも、百合本道場の大将・永倉新八と、撃剣館の大将・桜田久作の、最後の大将戦は、これからだったからだ。

 桜田は、八戸の出身で、故郷で神道無念流を学び、留学というかたちで撃剣館の弟子になっていたが、この親善試合に向けて、ひそかに練兵館の斎藤弥九郎の息子、鬼勘こと勘之助や、弥九郎の高弟、桂小五郎から特訓を受けていた。
 その鬼勘ゆずりの鋭い突きを喰らったら、六尺豊かな大男でも失神するほどだ……という噂であった。

 やがて道場に、ふたりがあらわれ行司しんぱん役の桃井春蔵が、
「はじめ!」
 と、声をかけた。
 礼を終えると、ふたりは竹刀を正眼に構え、相手の呼吸を読む。
 桜田は、闘志を隠そうともせず、燃えるような視線を新八に注ぐ。
 一方、新八は、むしろ試合などには関心がないかのように、穏やかな表情のまま、それに対峙した。
 桜田は、剣先を細かく震わせるように調子を取っている。
 動きの起こりを読まれないようにと、北辰一刀流の鶺鴒の尾からヒントを得たのだろう。

「やっ!」
 桜田が鋭い突きを放った。
 新八は、なんなくその突きをかわしたが、新八の動きを読んだかのように、二撃、三撃と連続して突きを繰りだす。
 体捌きでかわしながら、新八は、鋭く籠手を打つ。桜田は鍔元でそれを弾きながら、逆に新八の籠手を狙って、小さな動作で打ちこんだ。
 新八がその竹刀を弾き返すと、跳ねあげられた勢いを利用して、竹刀を面に打ちこみ、面金に当たり鋭い音が鳴った。

「浅い!」
 桃井は、認めない。
 新八が、その一撃にあわせて一歩前に出て面を打つと、桜田は、真っ向から受け止め、鍔ぜり合いになった。
 桜田は、力まかせに、ぐいぐいと新八を押しまくる。
 しかし、新八は、それには取りあわず、一歩足を進め、膝裏に入れたその足を支点に、桜田を投げ飛ばした。
 現代剣道では認めない、投げや蹴り、体当たりは、この時代、当然の戦法として認められていた。
 特に神道無念流の組み技は有名で、この流儀の流れを汲む、昭和の剣聖といわれた中山博道の道場では、戦後になっても投げ技を認めている。
 桜田は、背中から床に叩きつけられるが、見事な受身で後方に一回転すると、素早く立ち上がり、よどみなく竹刀を正眼に構えた。
 新八は、と見れば、いままでのように正眼ではなく、拳を頭上に掲げるように、大上段の構えを取った。

 このころ江戸の剣術界では、神道無念流と対するときは、胴を狙えと言われていた。
 というのも、神道無念流は、上段を得意とするので、構えの関係で、どうしても胴が空き、胴の攻撃に対して防御が遅れがちになってしまうからだ。
 しかしそれは、一種の誤解といえよう。
 なぜならば、この胴ががら空きになってしまう構えは、相手の攻撃を誘っているからだ。
 一刀流や、薩摩の示現流など、先々を基本とする流儀を除き、剣術は、相手に攻撃させ、その相手の攻撃にあわせる、後の先。もしくは、後の後が基本になっている。
 たとえば、新陰流では、相手の攻撃を誘うため、あえて剣先を正中線から外すように構えるし、馬庭念流にいたっては、さあ打て。と、いわんばかりに、頭を相手に差し出す構えを取る。
 つまり、この構えで胴を取られてしまうのは、単に力量が不足しているにすぎないのである。

「やっ」
 新八が低い気合い声とともに、上段に構えたとたん、その雰囲気が一変した。
「ほう……」
 それを見た来賓席の伊庭軍兵衛から、思わず低い声が洩れた。
 八郎は、食い入るように新八を見つめている。
「ふふふ、新八め。思った以上にやりよるわ……」
 窪田が楽しそうにつぶやいた。
「イヤーッ」
 桜田は、怯むことなく突きを放った。
 かねてから、新八が上段を得意とするときいていたので、突きの鬼勘に、厳しい稽古をつけてもらったのは、この瞬間を待ち望んでいたからだ。
 しかし、剣先は、攻撃と同時に体をかえた新八の面をかすり、後方へ突き抜ける。
 新八の竹刀が振りおろされ、したたかに桜田を斬った。
 それは、あの夜、を斬りすてたときと、同じ呼吸タイミングであった。
「勝負あり! それまで!」
 桃井の声が、高らか響きわたった。
 見物人から、一斉にため息が洩れる。

 八郎は、殺気を孕んだ鋭い視線で、新八を見つめている。
 その口元には、嬉しくてたまらない、といったような微笑を浮かべていた。
「いよう。伊庭の若先生。あんた、いまの上段をどう見た?」
 にこにこと試合を見ていた窪田が、八郎に向かって唐突に声をかけた。
「わたしには、永倉さんの竹刀が真剣に見えました」
 間髪をいれず八郎がこたえる。
「――ふふっ。伊庭先生」
 今度は軍兵衛に向きなおり、窪田が言う。
「あんた……幸せ者だなあ。伊庭道場は、今後も安泰だ」
 軍兵衛が、嬉しそうに頭を下げた。

 新八が道場の隅で面を外し、汗を拭いていると、門弟の真鍋勝之進がやって来て、結び文を手わたした。
「師範代」
 真鍋は、亀沢町のすぐ近くに屋敷を構える、三河田原一万二千石・三宅対馬守の家臣である。
「あそこにいる背の高い、がっしりした男が、これを師範代にわたしてくれと……」
「ふうん……誰だ、そいつは」
 新八が、真鍋がゆび指したほうを見ると、そこに立っていたのは、先日顔をあわせたばかりの、山岡鉄太郎だった。
 山岡は、新八と眼が合うと、小さくうなずき、くるりと背を向け、そのまま立ち去った。

文には、たった一行。

『裏の馬場で待つ』

 と、記されていた。
 山岡は、飛騨にいたころ岩佐一亭から書を習い、その後は、東晋の書聖・王義之(おう ぎし)を手本に、一日千文字を書いて習字したといわれるだけあって、見事な筆跡だった。
「昔馴染みが祝いに来たんで、話してくる。なに、打ち上げには、ちょいと遅れるが、必ず行くんで、待っててくれ」
 新八は真鍋に言い残し、刀を腰に差すと、そのままぶらりと道場を出た。

 亀沢町には、町に囲まれるようにして、広い馬場があった。
 馬場の裏手には、低い土手があり、その下には堀が、堀をはさんでその対岸は、本所御蔵である。
 いつもなら、まだ調練をする者がいる時刻だが、朝から一日雨で、さすがに乗馬している者は、ひとりもいない。
 新八が誰もいない、ひっそりとした厩舎の脇を抜けると、馬場の真ん中の芝生で、山岡が腕を組み、突っ立っていた。
 山岡は、新八の姿を認めると、嬉しそうに笑い、一礼した。
「わざわざ呼びだして申し訳ない……しかし、貴殿の試合を見たら、いてもたってもいられなくてね」
「試合が望みかい?」
「貴殿が嫌でなければ」
「ふふっ、いいね。単刀直入だ。山岡さん……あんたのことが気に入ったぜ」
「得物は、これしかないが……」
 と、山岡が刀を指す。
「寸止めでいこう」
 すかさず新八がこたえる。
「承知」
「では……」

 ふたりは、腰のものを抜くと、お互いに正眼につけて向かいあった。
 雨は、いつの間にかあがり、あたりには、夕闇がせまる。
 濡れた芝生が、妙に青臭く匂っていた。
 芝生は、じっとりと湿っているが、足場は悪くない。これなら滑ることもないだろう。
 六尺を越える上背の山岡が、無言の圧力を放つ。
 一方、新八は、先ほどの試合のときとは、うってかわり、真っ向からそれを受け止めた。
 しかし、剣先を相手につけたまま、ふたりは動かない。いや、動けなかった。
 お互いに相手の呼吸をはかり、無言の対峙が続く。

 どれぐらいそうしていただろうか。新八が不意に、正眼に構えていた剣をゆっくりと引き下げ、しゃに構えなおした。
 山岡は、剣を正眼につけたまま、微動だにしない。

――が、足の指だけを微妙に動かし、じりじりと間合いを詰める。
 ふたりの間の空気が、密度を増したように張りつめ、額から汗が流れた。
 ふたりは、もはや間境いに来ていた。
「えいっ!」
「やっ!」
 一瞬、光が走り、刀が空気を斬り裂いた。
 山岡が新八の面を打つ。
 と、同時に新八の刀が、山岡の脇でぴたりと止まった。
「お見事!」
 新八が言うと、
「やはり相打ちでしたな」
 山岡がそうこたえた。
 新八は、刀を鞘におさめると、山岡に言った。
「ふしぎだ……さっきまでは、あんたと剣を交えるのは、もうたくさんだと思っていたんだが……
終わってみると、また、たちあいたいような気もする」
「それは、拙者も同様だ。久しぶりに冷や汗をかいた」
「ふふふ……」
「は、はははっ」
 ふたりは、眼をあわせると、可笑しそうに笑いあった。

――その夜。
 門弟が帰った誰もいない伊庭道場では、隅に百匁蝋燭を灯しただけの薄明かりのなか、ただひとり、八郎だけが残っていた。
 道場は、先ほどまで、激しい稽古をする門弟たちの気合い声や、竹刀を打ち合う音が響きわたっていたのが、嘘のように静まりかえっている。
 八郎は、誰もいない空間に向かって真剣を正眼に構えていた。
 ただ、じっと構えているだけなのに、八郎の額には、うっすらと汗がにじんでいる。
 眼に映らないないだけで、八郎の脳裏には、刀を上段に構える、あの日の新八の姿が、ありありと浮かんでいた。
 八郎は、ときおり低い気合いを発し、鋭い突きを放ったり、逆袈裟に刀を走らせる。
 刀身が煌めき、空気を斬り割く音が鳴るが、そのたびに、
「むう……」
 と、唸ったり。
「やはり駄目か……」
 などと、つぶやいたりしている。
 誰もいない道場は、しんとして、寒いぐらいひんやりとしていた。
 しかし、さして動いていないはずなのに、いつの間にか汗が首筋にまで滴っていた。
「やっ!」
 八郎が、渾身の突きを放つ。
 その突きが、新八の胴を貫いた。
 と、思った瞬間、すでに体捌きで体勢を変えた新八の剣が、八郎を袈裟懸けに斬っていた。
「くそっ!」

「――八郎。斬られたのは、何度めだ?」
 いきなり後ろから声をかけられ、八郎は、飛びあがらんばかりに驚いた。
 誰もいないはずの道場の、しかも、八郎の真後ろには、いつの間にか義父の軍兵衛が立っていた。
「父上……いつからそこに」
「気配と足音を消していたとはいえ、わしが入ってきたことぐらい、気付かんでどうする」
「夢中になりすぎて、まったく気付きませんでした。――そう、斬られたのは、二十八回めです」
「なにを、そのように焦っているのだ」
「焦っていましょうか?」
「おまえは、まだ剣術をはじめて間もない。そう簡単に、免許の相手が斬れるわけがあるまい」
「わたしが、誰と立ち合っていたのか、わかるのですか?」
 その疑問は、もっともだった。端から見れば、八郎はただ単に、ひとり稽古をしていたにすぎない。
 仮に敵を想定していたとしても、それは、八郎の頭のなかにしかないのだから。

「ふふふ、わしを誰だと思っておる。――永倉新八殿。違うか?」
「なぜ、それが……」
「おまえは、あの試合のとき、明らかに殺気を放っていた。わからんほうが、どうかしている。窪田先生もお気づきだったぞ」
「さようでしたか。――以後、気をつけましょう」

「どれ、手本になるかわからんが、ひとつ、わしもやってみるか……」
 軍兵衛は、そう言って、柄に手をかけると腰を落とし、よどみない動作で刀を抜いた。
 軍兵衛が、刀を正眼に構えると、見えない剣気が吹きあがった。
 普段の穏やかさからは一変し、目は不気味に輝き、冷徹な武人の表情になっている。
「むっ!」
 それは、なんともあっけない突きだった。
 軍兵衛は、ひょいと刀をだし、わずかに右に回すように突いただけである。
 だが八郎には、そこに、水月(みぞおち)を貫かれた新八の姿が見えた。
 しかし、目をこらしていたのにも関わらず、その突きが、いつだされたのか、八郎には、まったくわからなかった。
「これが、乗り突き。一刀流の極意じゃ」

 軍兵衛はそう言って刀を斜に構え直すと、それを、すうーっと正眼に戻し、
「やっ!」
 今度は、腕をまっすぐ振りあげ、同じように、よどみなく振りおろした。
 八郎には、そのタイミングとは、微妙に合わない速さで、刀がくるりと廻ったように見えた。
「一刀両断。これは、新陰流の極意じゃ」
 八郎は戦慄していた。
 上段から、渾身の太刀を振りおろした新八の剣が、軍兵衛の振りあげた刀身の鎬に沿って外される。
 その刀身が振りおろされた瞬間、新八が、ばっさりと斬られる場面が、映像として、ありありと浮かんだからだ。
「父上。いまのは……」
「我が心形刀流は、流祖・是水軒が、一刀流、新陰流など、従来の剣術を研究しつくして、たてたものだ。
 大切なのは、型そのものではない。型にひそむ技。そして、相手の心の動きに合わせること……」
「心の動き……」
「――どうじゃ、わしの技が観えたか」
「はっ、しかと観ました……いえ、技そのものは、見えませんでしたが、その技は、しかと心に映りました」
「ふ、ふふ……よろしい。観えたのなら、いずれおまえにも出来るようになろう……」
 八郎は、一礼すると軍兵衛に背を向け、再び刀を正眼に構えた。
「もう八つを回っておる。いい加減、稽古をやめて休んだらどうだ」
「父上。わたしには時間がありません……
このまま続けさせてください。なにかが、つかめそうな気がするのです」
 軍兵衛は、やれやれと首を振り、道場を出てゆく。
 そして、その背中に、八郎の激しい気合い声がとどくと、深いため息をついた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

裏長屋の若殿、限られた自由を満喫する

克全
歴史・時代
貧乏人が肩を寄せ合って暮らす聖天長屋に徳田新之丞と名乗る人品卑しからぬ若侍がいた。月のうち数日しか長屋にいないのだが、いる時には自ら竈で米を炊き七輪で魚を焼く小まめな男だった。

大江戸美人揃

沢藤南湘
歴史・時代
江戸三大美人の半生です。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

アブナイお殿様-月野家江戸屋敷騒動顛末-(R15版)

三矢由巳
歴史・時代
時は江戸、老中水野忠邦が失脚した頃のこと。 佳穂(かほ)は江戸の望月藩月野家上屋敷の奥方様に仕える中臈。 幼い頃に会った千代という少女に憧れ、奥での一生奉公を望んでいた。 ところが、若殿様が急死し事態は一変、分家から養子に入った慶温(よしはる)こと又四郎に侍ることに。 又四郎はずっと前にも会ったことがあると言うが、佳穂には心当たりがない。 海外の事情や英吉利語を教える又四郎に翻弄されるも、惹かれていく佳穂。 一方、二人の周辺では次々に不可解な事件が起きる。 事件の真相を追うのは又四郎や屋敷の人々、そしてスタンダードプードルのシロ。 果たして、佳穂は又四郎と結ばれるのか。 シロの鼻が真実を追い詰める! 別サイトで発表した作品のR15版です。

【新訳】帝国の海~大日本帝国海軍よ、世界に平和をもたらせ!第一部

山本 双六
歴史・時代
たくさんの人が亡くなった太平洋戦争。では、もし日本が勝てば原爆が落とされず、何万人の人が助かったかもしれないそう思い執筆しました。(一部史実と異なることがあるためご了承ください)初投稿ということで俊也さんの『re:太平洋戦争・大東亜の旭日となれ』を参考にさせて頂きました。 これからどうかよろしくお願い致します! ちなみに、作品の表紙は、AIで生成しております。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

鎌倉最後の日

もず りょう
歴史・時代
かつて源頼朝や北条政子・義時らが多くの血を流して築き上げた武家政権・鎌倉幕府。承久の乱や元寇など幾多の困難を乗り越えてきた幕府も、悪名高き執権北条高時の治政下で頽廃を極めていた。京では後醍醐天皇による倒幕計画が持ち上がり、世に動乱の兆しが見え始める中にあって、北条一門の武将金澤貞将は危機感を募らせていく。ふとしたきっかけで交流を深めることとなった御家人新田義貞らは、貞将にならば鎌倉の未来を託すことができると彼に「決断」を迫るが――。鎌倉幕府の最後を華々しく彩った若き名将の清冽な生きざまを活写する歴史小説、ここに開幕!

処理中です...