異世界に転移した最強の子どもは、剣聖になり刀で無双する!

ぺったんこ

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ルネアの案内により森を抜けて、しばらく草原を歩くと町が見えてくる。
 石でできた壁に馬鹿でかい木の門が2つあり、町に入る門と、出る門で別れているようだ。

 門の前では憲兵が立っており審査している。
 人が並んでいるが、馬鹿な小太郎は気にせずに、そのまま門を抜けようとする。

「こらこら! 駄目だろ、ちゃんと並ばないと……ってルネア? 何してるんだ?」

 ルネアが城に仕えている事を知っている憲兵が、少年に背負われている事に気づき話しかける。

「ゴブリンにやられて、脚を痛めたの。 でも、この子に助けてもらったわ」

「ゴブリン? そんなに森の奥まで行ったのか?」

「違うわよ……いつも通り薬草採取で浅い所にいたわ」

 疑いの目を向ける憲兵。
 いつもなら浅い場所にゴブリンが出るわけがない。
 子どもの言う事だから、本当かどうか怪しいと考えている。

「で? その子は?」

「見てわからない?」

 小太郎を下から上まで隈なく観察する憲兵は、ある事に気づき驚く。

「あっ!? 黒髪! まさか別の世界の住人?」

「たぶん間違いないわよ! 今から小太郎を連れて城に行って、女王様にこの事を説明するわ」

「ああ、それがいいな。 よし、分かった! 通っていい! 小太郎、悪いがルネアを頼むぞ!」

「うん、まかせて!」

 了承して小太郎は門をくぐり、町の中へと入る。
 石造りの家が並び建ち、人通りの多い中央の道は露店が開かれており、大勢の人で賑わっている。

 中央の道を真っ直ぐ進むようにルネアに言われて、言う通りに道を進んでいく。
 しばらく歩くと人通りが無くなり、整地され豪華な家が並ぶ場所へとやって来た。
 ここは中央区とばれる貴族街で、王城の関係者以外は許可なく入る事が出来ず、一般市民が足を踏み入れたら罰が課せられる。
 子どもでも例外は無いが小太郎はどうなるだろうか?

「止まれ!!! お前は何だ?」

「ぼくは小太郎!」

「レナ様、これには事情があって……」

 ルネアは金髪の女騎士レナに事情を説明して、通してもらえるようにお願いする。
 
「ルネアが言うならしかたい。 ただ女王様が何と言うか分からないぞ?」

「その時は私が責任を取ります!」

 責任感が強く思いやりのある彼女は固い意志を曲げず、コタロウの為に覚悟を見せる。
 
「分かった。 なら通るといい……」

 
◆◆◆


 城の中、女王様がいる2階の広間。
 豪華な赤い絨毯が敷かれている。
 中には甲冑を装備した兵士やメイド達がいる。
 
 小太郎は憶せず進んで行く。
 王座に座る女王様の前まで来ると、ルネアに指示されて、彼女を降ろして床に座らせる。

「ルネア一体何があったのかしら?」

 黒いドレスを身に纏い、頭にはティアラを付けた金髪の見る目麗しい女王様。
 彼女の名前はオリヴィア・エリザベート、19歳。
 14歳で結婚してすぐに夫である王様を亡くし、女王として、このエルドリア王国を支配している。

「はい、オリヴィア様! 実は……」

 質問する女王様にルネアは経緯を全て説明する。
 オリヴィアも小太郎の黒髪を見て、状況は概ね把握しているし、ルネアが嘘を付くような子ではないことも分かっている。
 だが5歳の子どもが、木の棒でゴブリンを倒したなど到底信じ難い。

「森の浅い場所にゴブリンが出たというのは問題ね! 騎士団長に調査するように命じなさい。 それからアイリスを、ここに呼んでちょうだい!」

「「はい!」」

 女王様の側にいる兵士の2人が返事をして、部屋から退出する。
 数分して、1人の少女が部屋に入って来た。

「お呼びでしょうかお母様?」

 彼女はオリヴィアのひとり娘で王女様。
 名前はアイリス・エリザベート、小太郎と同じ5歳。
 母と同じ金髪で、オールバックにした髪を後ろで1つに結んだ髪型。
 亡くなった父親と同じ、綺麗な青い眼が特徴的だ。
 奉公人の

 アイリスが、この場に呼ばれた理由、それは……

「アイリス、この子、コタロウというのだけど、貴方の従者にどうかしら?」

 一般的に従者とは、1人の主人に対して徹底して仕える者。
 この世界では、主人を守る為に戦う兵士のような役割でもある。
 
「要りませんわ! こんなヒョロくて頭の悪そうな人。 嫌ですわ」

 散々な言い方をするアイリスだが、言ってることは正しい。
 主君が狙われた時に、戦えるだけの戦闘能力が必要になる。
 小太郎の見た目からは、一切それらしい強さを感じない。
 
「そう言わないの……コタロウは可愛らしい見た目をしてるじゃない。 それに、アイリスと同じ年齢なのよ……きっと仲良くなれるわ」
 
「はぁ~そこまで、お母様が言うなら仕方無いですわ。 コタロウ有り難く思いなさい!」

「うん! よろしくアイリス」

「駄目よコタロウ! アイリス様でしょ……ちゃんと敬語で話しなさい」

「アイリス様、よろしく」

「ええ、よろしくですわ」

 どうにか、こうにか従者として、お城に住まわせて貰えるようになった。
 小太郎のこれからが心配になる。
 どうなる事やら……


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