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しおりを挟む「ここが異世界か?」
空は青く辺り一面、草原の世界。
牛のような動物ぽいっ毛深い生き物がウロウロしている。
これが俺の求めた異世界か……
「って俺裸かよ」
来ていた服が無い。
転移すると無くなる仕組みなのだろうか?
分からないが今はいい。
それよりも魔物と戦いたい!
「おっしゃ~! いっちょ狩りますか!」
せっかく眼前に獲物がいるんだから狩るしかない。
久しぶりに血が湧き踊るようなワクワク感。
待てよ武器が無いな。
さすがに素手戦うと身体を痛めるかもしれない。
何か武器になるような物を探そう。
探索を開始して、周辺を隈なく探る。
草原なので見晴らしがよく、すぐに色々見つけた。
「何だコレは?」
イチゴみたいな美味しそうな赤いフルーツが生えている。
ちょうどお腹が空いていたので、一つ手に取ってみると、頭の中に女の人の声で説明みたいなものが聴こえてくる。
【レッドベリー】
エクレス草原に生えるベリー系のフルーツ。
食用可能で、味は甘酸っぱい。
分からない物を食うのは怖いし、説明してくれるのは有り難い。
この草原はエクレス草原というのか!
「うまーい! これだ、これ! 俺が求めてたのは、こういう事だ」
こういう知らない場所で、初めて食べる感動。
これこそ俺の求めてたハンターとしての生き方。
ベリーを採取しまくって食べる。
残った分はどうするか?
あっ? そう言えば俺にはスキルがあるんだっけ?
【レッドベリー】に触れながら【アイテムボックス】と念じると消えた。
もう一度、次は念じながら取り出してみると出てきた。
こういう使い方か理解した。
お腹がいっぱいになり、探索を再開するがどうしても武器になりそうな物は見つからない。
どうしたものかと思案していると、俺の眼の前に緑の小人が現れる。
「ゴブ!」
異世界小説をよく読んでいた俺には分かる。
たぶん、コイツはゴブリンと呼ばれる小鬼の魔物。
ゴブリンは醜悪な顔で俺を睨み突進してくる。
「やるなら、やったら!!!」
武器が無いからと言って、ただで殺られるわけにはいかない。
体当たりしてくるゴブリンに反撃のパンチを繰り出す。
すると効いたのか、地面にお尻を着けるように倒れる。
せっかくのチャンスを不意にはしない。
転がっている拳大の石ころを拾い、ゴブリンに馬乗りになって、石ころを顔に叩き付ける。
それを何度も何度も繰り返す。
相手が死ぬまで何度も何度も。
殴るたびに頭から血を吹き出す。
ぶしゃーぶしゃーと吹き出し、返り血を浴びるが、怯むことはない。
これが俺の求めた血で争うバトル……最高の気分だぜ!!!
「おらっおらっおらっ!」
ついにはピクリとも動かなくなり、ポシュンと消えてナイフが出てきた。
「うん……? ゴブリンはナイフなんて持って無かったはず」
おかしいな……そう思いながらナイフに触れると……
【ゴブリンナイフ】
ゴブリンのレアドロップ。
銅で出来たナイフで切れ味は悪い。
ほーう……これがドロップアイテムってやつか!
敵を倒すと消えてアイテムになるのか。
切れ味は悪いと書かれているが構わない。
俺は遂に武器を手に入れた。
これで、ようやく戦えるな!
毛深い牛は近づくが、警戒心が無いのか襲ってこない。
横に移動して、先程入手したゴブリンナイフを突き刺す。
「もぅ~!?」
驚いて俺の方に振り向くが、俺は素早くサイドに回り込み、同じ様に、ナイフを突き刺す。
それを繰り返して10回刺すと、毛深い牛は倒れて消えていく。
「おっしゃーーー!!! 倒したぜ!」
獲物を倒す快感に俺は、今とても悦んでいる。
1メートル程ある白い骨のような、ドロップしたアイテムに触れる。
【タロスの硬骨】
タロスの硬い骨。
毛深い牛の名前はタロスって言うのか。
良い、なかなか良い骨だ。
長さも適切で武器として使えそうだ。
【ゴブリンナイフ】を【アイテムボックス】にしまい。
今手に入れた骨を武器として装備する。
片っ端から、見えているタロスを骨で叩き倒していく。
ナイフよりも威力があって5回ほど骨で叩くと倒せる、
31体程倒してドロップアイテムを回収する。
【タロスの堅骨】✕10
【タロスの毛皮】✕10
茶色の大きい毛皮。
温暖性能に優れている。
【タロス肉】✕10
食用可能な美味しいお肉。
【霜降りタロス肉】✕1
タロスのレアドロップ。
食用可能で、脂肪の脂が乗ったお肉。
食材を手に入れたから、食事には困らないな。
【タルスの毛皮】を腰に巻き付けて、大事な所を隠す。
もし人に会っても、これなら変態とは思われないだろう。
骨を片手に持ち、腰に毛皮を巻く男……まるで原始人みたいだが、今は文句は言えない。
「あとは水が欲しいな」
今度は喉が渇いたので、水を散策する。
草原地帯のには川は見当たらないが、湧き水が溢れる水溜りを見つける。
飲める水ならいいのだが?
湧き水に手で触れると、お馴染みのアナウンスが頭の中に流れる……
【湧き水】
綺麗な水。飲水可能。
スタミナが少量回復する。
「良かったぁ~ごくっごくっ……ふぅ~生き返った」
魔物と争ったせいで、疲れていたが少し回復した。
テキストにスタミナが回復すると書いてあるから、【湧き水】のお陰のようだ。
アイテムボックスに水をたくさん収納していく。
これで安心だ。
喉も潤った事だし、先に進んでみるか……
視界に入った魔物を狩りながら進んでいく。
タロス5体、ゴブリン10体、ホーンラビット20体を倒してドロップアイテムを入手した。
ホーンラビットは見つかると、すぐに角を向けて突進してくる。
野球でバットを振る時みたいに、全力でフルスイングしたら一撃で倒せた。
余裕だったぜ……
【タロス肉】✕5
【ゴブリンの卑しい血】✕5
飲めるが不味い。
とても苦くて臭いがスタミナを少量回復する。
【ゴブリンの卑しい角】✕5
脆いため武器には向かない。
砕いて使うとスタミナポーションの材料になる。
【ホーンラビットの肉】✕10
食用可能。 味は美味。
【ホーンラビットの毛皮】✕9
小さく白い毛皮。
【ホーンラビットの鋭利な角】✕1
レアドロップ。
鋭い頑丈な角。 武器として最適。
「ははは……大量たいりょう!!!」
【ホーンラビットの鋭利な角】だけ残して、全部【アイテムボックス】に収納した。
新しい武器である角がどれ程の物か使ってみたい。
だが、すでに夕陽が落ちて暗くなりつつある。
どこか寝れる場所を……どうするかな?
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