猫獣人と行く異世界ほのぼの冒険記

ぺったんこ

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チョコレート

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「ぷふっ、、、すまない。 、、、ぷっ、ははは」

  俺は、そんなに笑わせる事をしただろうか?

「はぁはぁ、、、君は面白い男だな」

  褒められているのか、それとも貶されているのやら。
 
「意外に見所があるな! 野良獣人の保護者になったり、ポーションを自作したり話題に尽きない」

 ただ自分のできる事をやっただけなんだが、、、
 
 そうだ、、、グラシアさんの顔の傷跡、俺のエナジーポーションで治せないだろうか!
 俺はアイテムボックスから2種類のポーションを取り出し、グラシアさんに説明して渡す。

「ほう~。 このエナジー解毒ポーションも素晴らしい物だな!」

「普通の解毒ポーションではゆっくりしか治らないので、瞬時に治せるなら有用だと思います」

 2人とも賛同してくれた。 
 自分が作った物を評価してもらえるのは嬉しいものだ。
 グラシアの顔の傷に、解毒ポーションは意味が無いと思うが、エナジーポーションの方は効くと思う、、、

「だが無理なんだ、、、」

 先程までの楽しい雰囲気とは一転、悲痛な面持ちになり沈んだ声で話すグラシアさん。
 
「この傷跡は、、、絶対に治らないぃ」

 口を開き重たい過去を語り始める、、、

 今年で25才になるグラシアさん、当時18才で最強と謳われていた。
 その頃はまだ勇者は存在せず、冒険者最高ランクの特級は彼女1人だけだった。

 グラシアさんに匹敵する冒険者がいないため、パーティーを組まずソロで活動していた。
 
 誰しもがグラシアさんに憧れと尊敬を持ち崇めていた。
 彼女の人生は順風満帆で来る日も、来る日も戦いに明け暮れた。
 
 ある日の事、ギルドで上級冒険者でも手に負えないドラゴン討伐の依頼を受けたグラシアさんは、現地に赴き禍々しい黒いドラゴンと戦闘になった。

 普通のドラゴンよりも小さい個体だったが、強力で間違いなく特殊個体だったようで、特級のグラシアさんでも苦戦し、どちらが勝ってもおかしくない激闘を繰り広げた。

 気づいた時には、、、ドラゴンは地に伏せ微動だにしなくなり、勝利を収めることができたが、グラシアさんの身体には無数の傷が付き、呪いに蝕まれた。

 ポーションや教会で治療を試みたが、傷が治ることはなく、呪いによりステータス全体が下がり、スキルも発動できず、時折痛みに苦しむ事もあるそうだ。

 必然的に冒険者引退となったが、これまでの功績を評価され、若くしてギルドマスターとなり今に至る。

 後に称号により判明した禍々しい黒いドラゴンの名前、、、 

「《忌みの暗黒龍》と呼ばれる特殊個体だ!」

「レリムさんが倒したドラゴンよりも強力な個体です」

 レリムの称号に書いてあった、《赤き龍》よりも強く邪悪な龍だと推測されると語るミレイナさん。

「ドラゴンは名前が増える程強くなるんです。」

 普通の個体をドラゴンと呼び。
 強くなるごとに名前が増えていくようだ。
 
「そんなこんなで、呪いは治らないんだ。
 もし治せるとしたら伝説の回復薬であるエリクサーしかないだろうな」

「エリクサーなら全てを治せるという言い伝えがありますが、未だに見つかっていないのです。 
 本当に存在するかどうかも怪しいから、伝説と言われています」

 エリクサーか! 俺が作ってやれたらいいのだが、、、そんな簡単じゃないよな!!!

 俺が傷を治してあげたいと思ったばかりに、とんでもなく重たい雰囲気になってしまった。
 どうにかこの場を楽しい雰囲気に変える事はできないだろうか。

 ・・・ ・・・

 ・・・ ・・・ あるな! 
   
 アレなら、この雰囲気を一掃できる!!!

 日頃お世話になっている人に、親しみを込めてプレゼントしようと思っていたチョコレートを、アイテムボックスから取り出す。
 某有名企業GODI○○なら沈んだ空気を楽しい雰囲気にに変えられるはずだ。

「今日はもう一つ用事があって、2人にプレゼントを持ってきたんだ」

 女性2人にGODI○○のチョコレートを渡した。
 先にミレイナさんが箱のフタを開けて中を確認する

「何ですか、この黒いのは?」

「俺の故郷で作られたお菓子です」

 やはり色が気になるようで、中々口にしようとしない。

「なんだ、怖いなら私が食べてやる、、、ヒョイ」
 
 さすがギルマス! 怖れがない!
 ミレイナさんからチョコレートを奪い食べてしまう。

「あっ。 ギルドマスター、ズルいです」

「もぐもぐっ、、、んんん」

 グラシアさんの動きが止まり、顔がとろけ始める。
 
「お、、、美味しいぃぃぃ、、、ふあ~」
 
 美しく勇ましい顔立ちが惚けて乙女に変わり、突如光に包まれる。
 不思議な事に身体の傷跡が徐々に消えていく、、、

「い、、、癒やされるぅ♥」

「ギルドマスターの傷が治った!!!
 どうして、、、、まさか、このお菓子が?、、、鑑定」

 ミレイナさんがチョコレートに鑑定を使った
 俺は何が起こっているのか分からず、ただ呆けている。

「う、、、嘘よ、、、お菓子なんかに癒やしの祝福が、、、」

 祝福? 何かそんなの書いてあったな。
 俺も鑑定が使える魔導眼鏡を取り出してかける。
 

《GODI○○チョコレート》3,000エント
 ~シリーズ、、、森のめぐみカカオの魅力~
 大切な人へ素敵なプレゼント。
 食べた人は幸福な気分になり、祝福される。


 最後の方に書いてあるな!
 そうか、祝福で呪いを打ち消したのか!!!
 
 

 時間が経過してチョコレートの幸福から解き放たれたグラシアさん。
 同時に呪いから開放された事で、彼女の機嫌はすこぶる良いみたいだ。

「ありがとう、、、君のお陰で永い悪夢から開放さた、、、」

「いえ、よかったです!」

「スキルは使えず、激痛に苛まれる日々に絶望していた。  でも、もう我慢する必要もない!」

 本当によかった。 
 まさかチョコレートで呪いが解けるなんて、、、溶ける?
 もしかして解けると、溶けるを掛け合わせたのか?
 そんな訳ないよな!

「何かお礼をしたいが、欲しい物はあるか?」

  いきなり聴かれても、何も思いつかないな!
 
「何でもいいんだぞ、、、私はギルドマスターだから給料もかなりある」

 うーん、、、欲しい物?
 俺のせいで暗く重たい雰囲気になってしまったから、今みたいにグラシアさんが喜んでくれるだけで嬉しい。
 それにチョコレートに関しても、レリムが甘い物が欲しいと言ったから、たまたま通販で購入しただけだ。

「それにしても、このチョコレートと言う物は美味しいな!」

 再びチョコレートの魅力に取り憑かれてしまった。
 そこに、ポーションの代金を支払う為に、退室していたミレイナさんが戻ってくる。

「あっ! また私を差し置いて、、、もう許しません、あむっ!」
 
「あぁぁ♥ 美味しぃぃんんん、、、」

 ミレイナさんもチョコレートを食べて幸福に浸る。
 美人だが仕事中は真面目で厳しい顔つきをしている彼女。
 今は緩みきって優しい女性の顔になっている。

「だめぇ~仕事中なのにっ、、、手が止まらないぃぃ」

「私もだ、、、こんなに美味しいお菓子、初めて食べた」

 2人共、チョコレートにハマって話が前に進まない、、、


 また、しばらくして2人が落ち着いた所で、ミレイナさんからポーションの代金を受け取る。

「内訳をいいますね!」


 エナジーポーション
 1万エント✕50個、、、500,000エント

 エナジー解毒ポーション
 5千エント✕50個、、、250,000エント

 〆て750,000エント!!!

 
 全部売ればもっと稼げたが、売却せずに半分は手元に残した。
 それでも薬草を売っていた時とは破格の代金だ!!!
 ニートだった俺が、こんな大金を稼ぐなんて。
 感動で涙が溢れてくる、、、

「感動してるところ悪いが、、、いいだろうか」

「何ですかグラシアさん」

「ちょっと待て、私の事は呼び捨てでいい!
 君は命の恩人なんだから、グラシアと呼んでくれ!」

「私もミレイナでいいですよ!」

「分かりました! これからはグラシアと、ミレイナって呼ばせてもらいます!」

 チョコレートのお陰で女性2人との仲が良くなった。
 ありがとうGODI○○!!!

「それで呪いを治してくれたお返しの話だが、何がいい?」

 そうだった! そういう話だったな、、、

「レリムと一緒に旅行に行きたいんですが、何処か良い場所はないですか?」

「ある! 魚好きのレリム君にピッタリの場所が」




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