異世界に転移したツインテール、つるペタ、引きこもりボッチ少女は、夢である家型ロボットを戦わせます。

ぺったんこ

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「あなたは死にました」

 光り輝く神秘的な空間で、眩い光に包まれた女性の姿をした神様が告げた。
 ここは神の間と呼ばれ、死んだ人間が訪れる場所。
 
 この物語の主人公である青山 幼女あおやま ろり 16歳は、学校には行かず不登校で家に引き籠もって、毎日ゲームばかりしていた。
 そんな彼女は不健康な生活を送る日々を過ごしていたが、ある日、栄養失調で亡くなり神の間へと辿り着いた。

「こ、こまるのだ!? まだ、やりたいゲームがいっぱい有るのだ! 生き返らせてくれなのだっ!」

「それは出来ません。 ですが別の世界になら、あなたを転移させられます」

「別の世界? どんな所なのだ?」

 元の場所には復活できないと知った彼女だが、落胆するどころか興味を持ってしまう。
 神様は幼女に今から転移させる世界の説明をする。

 ……彼女がいた地球とは違い魔物と呼ばれる、人に害をなす悪しき存在が溢れ、剣や魔法を駆使して倒すファンタジーな世界。
 中世のヨーロッパに近い背景をしており、発展途上で生活レベルは元いた場所より低い。
 
 そんな魔物がいる世界に、安心安全な日本で自堕落的な生き方をしてきた幼女では、生き残れないのは目に見えている。
 だから神様は彼女にギフトと言う名の、祝福を授ける事にした。

「あなたが望むギフトを4つ与えます。」

「ふむふむ……分かったのだ!」

 胸はつるペタで引き籠もりボッチの青山 幼女は得意げにトレードマークの黒髪ツインテールを揺らし、欲しいギフトを答える。

「家型ロボットを作って、敵と戦わせたいのだ!」

 引き籠もりボッチの彼女の夢は【家型ロボット】を造り、戦わせて敵を倒す事。
 他にも、クジラロボットや人型の花ロボット等、様々なロボットを作り、自分の国であるロボット帝国を持ちたいという野望もある。

「ロボット作成、修理修復、改造、アイテムボックス、この4つのギフトが欲しいのだっ!」

 彼女の考えはこうだ……

 必要な材料を揃えて【ロボット作成】で家型ロボットを作り、【改造】で必要な材料を消費して武器等をカスタムしていく。
 壊れたら【修理修復】で同じ様に材料を消費して直す。
 【アイテムボックス】は収納場所に困らないようにするためだ。

「なぜ家型ロボットなのですか?」

 神様の疑問は至極真っ当だ。
 家じゃなくても、格好良い機動戦士ガン○ムや、パトレ○バー、戦車、飛行機、軍用機、機動要塞とかで戦う方が、見栄えもよく、戦闘や移動にも向いてると思われる。

「だって面白いのだっ! それに重要なのは見た目じゃなく、想いなのだ!!!」

「考えてみるのだ……人間にとって重要なのは【衣食住】。 住処である家はとっても大事。 自分が生活している家は最後の砦!」

「家は人を守る為にあるのだ! だから強くないといけないのだっ……」

 言葉を捲し立て己の内に秘める情熱を解き放つ。
 
「それに家が離れたら不安になって寂しい……でも家型ロボットで色んな場所に行けば安心なのだ! いつも、側にいてくれる安心感があるのだっ!」

 これぞ引き籠もりボッチのみが辿り着ける究極の答え。
 ぶっ壊れた発想と独創力。
 そんなに、家から離れるのが怖いのか?……たぶん、ただのビビりである。

「ふんっ~わたしは天才なのだ!!! 褒めるてくれてもいいのだ」

「わぁーすご~い! パチパチ~~~」

 自慢気に語り終わり、腕を組んでドヤ顔をキメる幼女を、空気を読んだ神様は棒読みのセリフで拍手しながら褒める。

「へへんなのだっ!」

「あなたが望んだギフトを今から与えますね」

 神様は両手を幼女に向けて、閉じていた手をパーに開く。
 キラキラした光が手から放たれて彼女を包み込み、輝きが彼女の中へと吸い込まれるように入っていく。
 
「ふわぁ~何か力が湧いてくるのだ! 今なら、わたし何でも出来るのだっ~~~!!!」

「ふふふ、喜んでもらえて、なによりです。 では、早速試してみましょう。 使いたいギフトを発音して、頭の中で念じてみて下さい」

「うむ、やってみるのだ! 【ロボット作成】!!!」

 念じながらギフト名を口にすると、幼女の前にテレビぐらいの大きさの画面が現れる……


 『名前』……決めて下さい。

 『形態』……決めて下さい。

 『目的』……決めて下さい。

 『必要な材料』……?


「自分が想像したロボットをテキストに文字を入力してみて……」

 女神様の説明通りに、画面下にあるキーボードを操作して、テキストの一番上から順番に入力していく……


 『名前』……メカホーム

 『形態』……家型ロボット

 『目的』……戦闘、移動、住居

 『必要な材料』……銅のインゴット100、木材100、地の魔石(小)10、水の魔石(小)10、火の魔石(小)10、風の魔石(小)10


「入力すると、必要な材料が分かるようになります。 今回は最初という事で、私がプレゼントしますが、次回からは自分で集めて下さい」

「うむ、ありがとうなのだ!」

 神様が手を二回叩いて拍手すると、幼女の周りに必要な材料全てが現れる。
 
 画面に新しいテキストが出る。


 ……必死な材料を消費して、作成を実行されますか?

 ……『YES』 or 『NO』


「もちろんYESなのだぞっ!」

 『YES』を選択した事により画面が消えて、上に黒い異次元空間が出現し、そこから家型ロボットが落ちてくる。

「おぉぉぉ~~~! 凄いのだ、格好いいのだ、強そうなのだっ~!」

 初めてギフトにより作成したロボットを見て、飛び跳ねて感動する幼女。
 家型ロボット……メカホームは、そのまんまの縦長の家に、機械の腕が生え、足は戦車のようなキャタピラになっている。
 家の外側は銅で出来ていて鈍い光を放ち、中は木材が使用されている。
 幼女がメカホームに触れると、彼女の頭上にある家の玄関らしき扉が開き、階段が下まで伸びてくる。

「わぁ~中に入ってみるのだ!」

 彼女は神様と一緒に階段を上がり中に入る。
 中は木造で、テーブル、キッチン、お風呂、冷蔵庫、トイレがあり住むには困らない。
 さらに玄関から入ったリビングにはテレビが6台あり、メカホー厶視点の上下前後左右、合計6箇所の映像が映し出されている。

「いいのだっ! うん……? これ何なのだ?」
 
 興奮した幼女はテレビからケーブルが伸びて繋がっているゲームのコントローラを手に取り操作する。

「ポチッとな……なのだ!」

 ゲームの読み込みだけ早い彼女は、コントローラを巧みに操作して、メカホームのステータスを表示させる。


 【ステータス】

 『名前』……メカホーム 『ランク』F

 『耐久値』……800

 『右手武器1』……ガトリング砲(威力F、弾数200発)

 『右手武器2』……なし

 『左手武器1』……ガトリング砲(威力F、弾数200発)

 『左手武器2』……なし

 
「これが一番簡単にできる家型ロボットだから、弱めで武器もあんまり、ありません。 強くしたいなら改造するなり、新しくランクの高いロボットを造って下さい」

「い、い、いいのだっ! これから改造していく楽しみが増えたのだっ!」
 
「それから、ランクと威力の所に書いてあるアルファベットは、最低を表すFです。 最高はSで7段階評価となります。 あと、弾数を撃ち終わったら、再充填まで丸一日かかりますので、戦闘の際はお気をつけ下さい」

 説明を聞き終えてメカホームから降り、家型ロボットを【アイテムボックス】へと収納する。

「それでは、これから異世界へと、あなたを転移させます。 言葉は分かるように、していますので安心して下さい」

「神様ありがとうなのだっ! いざレッツゴー!!!」
 
 幼女は神様だと気づいていたみたいで、お礼を言うと身体全体を淡い光が包み込み、彼女は消えていく……



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