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最終章 輪廻と霧の街
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蹴られた顎が痛い。視界がふらふらしている。姉さんに会いたいだけでこんな目に遭う、僕は可哀想だ。不自由だ。こんなに強くなっても、まだ満たされない。
思えば、生まれた時から僕に与えられた自由は多くなかった。病弱で、風邪をよく引いては家族を困らせていた気がする。肺結核を患ってからは、僕を知る人はいよいよ家族だけになった。友達なんて居ない。作れない。作ったら、その子も僕と同じになるから。双子の姉さんは僕とは反対に体がとても強かった。姉さんには友達も沢山居た。僕の世界は姉さんが教えてくれた知識を空想することでしか広げられない、ひどくちっぽけなものだった。
だから、こうやって姉さんが死んだ後に僕は自由を手に入れようとした。この街に来てからは結核も克服して、姉さんみたいに強い体も持てた。これで自由を知れる。僕も好きに生きてよかったと思えるようになる。そう、思っていた。だって、ここでは日本には無い素敵な力が僕に味方してくれているから。──でも、違う。今はわかる。僕は今、不自由だった頃に得た知識と経験からでしか考え、話すしかない。この街に来てから得たのは力と、強い身体だけ。それ以外は何も変わってなんかない。
「…………でも、それでも僕は……!!」
生きたい。本当の幸せを知るために。姉さんと今度こそ生きるために。だってこの街は死後の場所じゃないの?
「残念だけどここは別に死んだ後に来る場所でもなんでもないんだよ」
「!?」
力が、抜ける。立っていられない。わからない、わからない。なんだこれ、こわい。
「リーエイ」
「大丈夫だよユーイオ。脳みそに合わせた体にしてあげるだけだよ」
円は僕の目の前でしわくちゃの姿になっていく。よぼよぼの老人になった彼に、支え無しで立っていられるほどの力は無いらしい。
「ここは世界の不要物の終着点。生死は関係ないんだ」
「つっても頭に入んないんだろうけどさ」
へ? と老人はマヌケな声を出した。
「あ、なんか面白くない。戻してあげるよ」
「……………っは、あぁ……何したんだ、今」
身体の時間が戻され、まともに喋れるようになった円は言った。
「なんで俺がおバカさんに手の内明かさなきゃいけないんだよ、逆に教えて貰えると思ってるのも意味わかんない」
リーエイは勿論拒否。当たり前だ。僕やヴァクターといった例外を除けばリーエイのそれはとんでもない特級能力なのだから。
「ゴミはゴミ箱へ。……聞いたことない?」
──「雷霆」。
ユーイオが円の頭を狙って雷撃を落とした時、あと少しで当たるはずのそれは見事に消えた。
「!」
「……回復、したら姉さんもびっくりする?」
のそのそと円は立ち上がる。不気味な笑みと、あらゆる力を吸収する異能を持って、ユーイオを見つめる。
「僕と姉さん以外のものは全部僕が消して……僕の力にするんだ」
にたりと笑う彼に人らしさは微塵も感じられない。
「で?」
「え」
ユーイオは円を睨みつける。
「力にしてどうするわけ?」
「……姉さんが何一つ危ない目に遭わない世界にするんだよ」
ユーイオは呆れた。呆れすぎて顔に出たかもしれない。何もわかっていないらしい。そういう異能だから仕方ないのだろうが。それにしたって自分勝手が過ぎる。
「ああ、わかったよ。だったらわたしがどう思ってるか本音を言わせてもらおうか」
──ちょっとユーイオ、そんな事するなんて聞いてない。
──いいでしょ、お前が言わなきゃどうしようもないんだから。
「………………ま、円、あのね?」
「!」
「わたしは、円さえ居てくれればいいんだよ。確かに階段から落ちて死んだのは……わたしのミスだけど。でも、わたしは死んでからもずっと円のことは見てたよ。それで思ったけど……こんな悲しいことしないで。もうやめて。円はこんなことをする為に生きてるんじゃない。誰もこんな風に円に残酷になって欲しいなんて思ってない……わかってくれる? これでもわかってくれない?」
美代子はユーイオの体であることを承知の上で、円に抱きついた。届いて、と心の中で願う。
「ね、ねえさ……」
「流石に少しは円もわかってるんじゃない?」
「?」
円は動けずに居た。抱きついたそれに応えようものなら姉が喋る肉体をこの世から消してしまうからだ。
「こんな事をして自分が幸せに生きていけるわけないって」
「…………」
「黙ってたらその通りだって受け止めるけど」
「……だって見つからなかったんだ」
あの頃のまま止まった知能、知性で得たものは何も無い。成長さえしない。出来ない。
「探せば姉さんが居るって信じきって手当り次第人を攫ったけど……みんな姉さんじゃなかったんだ」
「それで?」
「姉さんじゃない人は僕に必要ないから……それだけ。最初はわかってた……それがいけないことだって。姉さん喜ばないだろうなって」
誰も本当の自分を知らないまま、目の前で死んでいく。自分の、手によって。理不尽だとわかってはいた。
「あんなことをした僕に幸福な生涯は望めない……ごめん、姉さん」
「……いいよ、わたしは円が行くところにどこまでもついて行くよ。地獄でもその果てでも構わないよ」
「姉さん……」
「だって姉弟だもん」
やってしまった事は変えられない。消えない。忘れ去られる訳ではない。だが、それ以前に二人は血の繋がった双子だ。互いに互いをいちばん理解していると思える相手だ。
「わたしは円とまた一緒に家族として生きたいな。円もそう思わない?」
「あ…………う……」
頷いてしまっていいのだろうか。頷くことで何も悪くない姉さんが不幸な人生を歩む羽目になりやしないだろうか。きっとそうなる可能性の方が高い。僕は姉さんが幸せに生きる為にこうして生きてきたのに、それではまるで意味が無い。僕のこの百年に、意味なんて──。
「うあああ……やだ………嫌だ……嫌だ……!」
「円?」
──離れろ!
「へっ」
間に合わない。目の前が、暗く──。
「っうぅ!」
「ユーイオ!?」
右腕の感覚がない。奪われたのかと見ると腕自体は残っているが、二の腕あたりがばっさり切り裂かれたように開いていた。利き腕じゃないだけマシだ。
「………っあぁ……ダメだこれ」
「ダメって……」
リーエイが不安げに聞く。
「美代子の意識が切れた。多分……消えた」
彼女としての人格、魂が完全に感じられない。あれだけ口数が減っていたこの二、三年でさえ「なにかいる」ような感覚で彼女の存在を把握出来ていたのに、その感覚すらない。
「完全に狂ったみたいだ」
リールが言う。そうらしい。円を見れば「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ」とぶつぶつ呟いている。彼は彼女の為だけに生きてきたらしいのだから、その彼女を自分の身勝手で不幸に陥れるなんて考えたら流石に正気でいられないらしい(この際元々正気を保っていなかっただろうことは黙っておく)。
「あああああッ!!」
「っ」
速い。辛うじて「消失」の力を纏った拳をかわすことが出来たが、次も出来るとは限らない程の速さだ。かといってヴァクターを盾にすることも数が限られているし、あまりそんな事はしたくない。
「……」
なら、賭けるしかない。本当に僕の「輪廻」が「消失」に負けないなら。打ち勝てるなら。これは力比べでもなんでもない。僕が僕をどれだけ信じられるかだ。
「ユーイオ!?」
狂った円の前に飛び出すユーイオにリーエイは驚くが、リールとヴァクターに動かないように言われて、伸ばした手を引っ込めた。
「僕が……僕がお前を! ……ううん! お前らを!!」
「許して許して許して許してもう嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だァァァァ!!」
ドォォォン、と衝撃波が走る。
「うあぁっ!?」
「リーエイ!」
「……っはぁ」
それは最早外野同然になった三人にも容赦なく伝わり、牙を剥いた。リーエイは倒れ込んでしまったが、辛うじてリールは耐えていた。ヴァクターは自分を完全に守りきるので手一杯だった。
「ユーイオは?」
「見えない……わからない」
だが、咆哮が聞こえる。それは今までの怒りを、願いを、希望を溜め込んできたものだった、
「こんなもの………すべて還す……らああああああッ!!」
「……」
リーエイはその叫びを聞いて思わず手を組んでしまった。そして、懇願した。神なんて信じたこと、ほとんど無いけれど。もしも本当に居るのなら、頼むから今だけは俺たちの味方をしてくれないだろうか。だって、人生に、使命に一生懸命に生きる人はこんなにも強くくたばらない。信じさせてほしくなるだろう?
思えば、生まれた時から僕に与えられた自由は多くなかった。病弱で、風邪をよく引いては家族を困らせていた気がする。肺結核を患ってからは、僕を知る人はいよいよ家族だけになった。友達なんて居ない。作れない。作ったら、その子も僕と同じになるから。双子の姉さんは僕とは反対に体がとても強かった。姉さんには友達も沢山居た。僕の世界は姉さんが教えてくれた知識を空想することでしか広げられない、ひどくちっぽけなものだった。
だから、こうやって姉さんが死んだ後に僕は自由を手に入れようとした。この街に来てからは結核も克服して、姉さんみたいに強い体も持てた。これで自由を知れる。僕も好きに生きてよかったと思えるようになる。そう、思っていた。だって、ここでは日本には無い素敵な力が僕に味方してくれているから。──でも、違う。今はわかる。僕は今、不自由だった頃に得た知識と経験からでしか考え、話すしかない。この街に来てから得たのは力と、強い身体だけ。それ以外は何も変わってなんかない。
「…………でも、それでも僕は……!!」
生きたい。本当の幸せを知るために。姉さんと今度こそ生きるために。だってこの街は死後の場所じゃないの?
「残念だけどここは別に死んだ後に来る場所でもなんでもないんだよ」
「!?」
力が、抜ける。立っていられない。わからない、わからない。なんだこれ、こわい。
「リーエイ」
「大丈夫だよユーイオ。脳みそに合わせた体にしてあげるだけだよ」
円は僕の目の前でしわくちゃの姿になっていく。よぼよぼの老人になった彼に、支え無しで立っていられるほどの力は無いらしい。
「ここは世界の不要物の終着点。生死は関係ないんだ」
「つっても頭に入んないんだろうけどさ」
へ? と老人はマヌケな声を出した。
「あ、なんか面白くない。戻してあげるよ」
「……………っは、あぁ……何したんだ、今」
身体の時間が戻され、まともに喋れるようになった円は言った。
「なんで俺がおバカさんに手の内明かさなきゃいけないんだよ、逆に教えて貰えると思ってるのも意味わかんない」
リーエイは勿論拒否。当たり前だ。僕やヴァクターといった例外を除けばリーエイのそれはとんでもない特級能力なのだから。
「ゴミはゴミ箱へ。……聞いたことない?」
──「雷霆」。
ユーイオが円の頭を狙って雷撃を落とした時、あと少しで当たるはずのそれは見事に消えた。
「!」
「……回復、したら姉さんもびっくりする?」
のそのそと円は立ち上がる。不気味な笑みと、あらゆる力を吸収する異能を持って、ユーイオを見つめる。
「僕と姉さん以外のものは全部僕が消して……僕の力にするんだ」
にたりと笑う彼に人らしさは微塵も感じられない。
「で?」
「え」
ユーイオは円を睨みつける。
「力にしてどうするわけ?」
「……姉さんが何一つ危ない目に遭わない世界にするんだよ」
ユーイオは呆れた。呆れすぎて顔に出たかもしれない。何もわかっていないらしい。そういう異能だから仕方ないのだろうが。それにしたって自分勝手が過ぎる。
「ああ、わかったよ。だったらわたしがどう思ってるか本音を言わせてもらおうか」
──ちょっとユーイオ、そんな事するなんて聞いてない。
──いいでしょ、お前が言わなきゃどうしようもないんだから。
「………………ま、円、あのね?」
「!」
「わたしは、円さえ居てくれればいいんだよ。確かに階段から落ちて死んだのは……わたしのミスだけど。でも、わたしは死んでからもずっと円のことは見てたよ。それで思ったけど……こんな悲しいことしないで。もうやめて。円はこんなことをする為に生きてるんじゃない。誰もこんな風に円に残酷になって欲しいなんて思ってない……わかってくれる? これでもわかってくれない?」
美代子はユーイオの体であることを承知の上で、円に抱きついた。届いて、と心の中で願う。
「ね、ねえさ……」
「流石に少しは円もわかってるんじゃない?」
「?」
円は動けずに居た。抱きついたそれに応えようものなら姉が喋る肉体をこの世から消してしまうからだ。
「こんな事をして自分が幸せに生きていけるわけないって」
「…………」
「黙ってたらその通りだって受け止めるけど」
「……だって見つからなかったんだ」
あの頃のまま止まった知能、知性で得たものは何も無い。成長さえしない。出来ない。
「探せば姉さんが居るって信じきって手当り次第人を攫ったけど……みんな姉さんじゃなかったんだ」
「それで?」
「姉さんじゃない人は僕に必要ないから……それだけ。最初はわかってた……それがいけないことだって。姉さん喜ばないだろうなって」
誰も本当の自分を知らないまま、目の前で死んでいく。自分の、手によって。理不尽だとわかってはいた。
「あんなことをした僕に幸福な生涯は望めない……ごめん、姉さん」
「……いいよ、わたしは円が行くところにどこまでもついて行くよ。地獄でもその果てでも構わないよ」
「姉さん……」
「だって姉弟だもん」
やってしまった事は変えられない。消えない。忘れ去られる訳ではない。だが、それ以前に二人は血の繋がった双子だ。互いに互いをいちばん理解していると思える相手だ。
「わたしは円とまた一緒に家族として生きたいな。円もそう思わない?」
「あ…………う……」
頷いてしまっていいのだろうか。頷くことで何も悪くない姉さんが不幸な人生を歩む羽目になりやしないだろうか。きっとそうなる可能性の方が高い。僕は姉さんが幸せに生きる為にこうして生きてきたのに、それではまるで意味が無い。僕のこの百年に、意味なんて──。
「うあああ……やだ………嫌だ……嫌だ……!」
「円?」
──離れろ!
「へっ」
間に合わない。目の前が、暗く──。
「っうぅ!」
「ユーイオ!?」
右腕の感覚がない。奪われたのかと見ると腕自体は残っているが、二の腕あたりがばっさり切り裂かれたように開いていた。利き腕じゃないだけマシだ。
「………っあぁ……ダメだこれ」
「ダメって……」
リーエイが不安げに聞く。
「美代子の意識が切れた。多分……消えた」
彼女としての人格、魂が完全に感じられない。あれだけ口数が減っていたこの二、三年でさえ「なにかいる」ような感覚で彼女の存在を把握出来ていたのに、その感覚すらない。
「完全に狂ったみたいだ」
リールが言う。そうらしい。円を見れば「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ」とぶつぶつ呟いている。彼は彼女の為だけに生きてきたらしいのだから、その彼女を自分の身勝手で不幸に陥れるなんて考えたら流石に正気でいられないらしい(この際元々正気を保っていなかっただろうことは黙っておく)。
「あああああッ!!」
「っ」
速い。辛うじて「消失」の力を纏った拳をかわすことが出来たが、次も出来るとは限らない程の速さだ。かといってヴァクターを盾にすることも数が限られているし、あまりそんな事はしたくない。
「……」
なら、賭けるしかない。本当に僕の「輪廻」が「消失」に負けないなら。打ち勝てるなら。これは力比べでもなんでもない。僕が僕をどれだけ信じられるかだ。
「ユーイオ!?」
狂った円の前に飛び出すユーイオにリーエイは驚くが、リールとヴァクターに動かないように言われて、伸ばした手を引っ込めた。
「僕が……僕がお前を! ……ううん! お前らを!!」
「許して許して許して許してもう嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だァァァァ!!」
ドォォォン、と衝撃波が走る。
「うあぁっ!?」
「リーエイ!」
「……っはぁ」
それは最早外野同然になった三人にも容赦なく伝わり、牙を剥いた。リーエイは倒れ込んでしまったが、辛うじてリールは耐えていた。ヴァクターは自分を完全に守りきるので手一杯だった。
「ユーイオは?」
「見えない……わからない」
だが、咆哮が聞こえる。それは今までの怒りを、願いを、希望を溜め込んできたものだった、
「こんなもの………すべて還す……らああああああッ!!」
「……」
リーエイはその叫びを聞いて思わず手を組んでしまった。そして、懇願した。神なんて信じたこと、ほとんど無いけれど。もしも本当に居るのなら、頼むから今だけは俺たちの味方をしてくれないだろうか。だって、人生に、使命に一生懸命に生きる人はこんなにも強くくたばらない。信じさせてほしくなるだろう?
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