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三章 記憶と人間の街
拒絶
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「準備オッケー? ユーイオ」
「………うん」
翌朝、本当にふたりは図書館の地下に来ていた。辺りには本の一冊も無い。リール曰く大昔に造られた時に使われていたカウンターフロア──入ってすぐの場所に当たるらしい。
「じゃあユーイオの好きなタイミングで来ていいよ」
「っ……」
なめられている。いや、合わせてもらっている。手合わせだ。リーエイにとってこれは実戦でもなんでもないただのお遊びなのだろう。
「──「輪廻」ッ!!」
命なきものに命を吹きこめ。ユーイオが命じると、古びたテーブルや椅子が動き出して本来の木の姿へ戻る。天井がとても高いので(正確には今使われているフロアから断絶されているため)、巨木は折れることも天井を貫通することもなかった。
「トンベ・ア・ゴーシュ!」
ユーイオが言うと、巨木はリーエイの方へめきめきと倒れ出した。どうやらかなり異能の腕を上げてきたらしい。リーエイも流石にここまで成長しているとは思っていなかったようで、咄嗟に「時間詐称」を使って巨木を避ける。
「すごいねユーイオ。吹き込んだ命に命令を下せるなんて」
「別に。逆転させるだけじゃ確実なダメージは通せないでしょ。生きるか死ぬか、それだけだと警戒されて逆に相手にされないから一発で殺せないように見せかけることを覚えたんだよ」
「面白いねぇ、少しなめてたよ」
ばっ、とリーエイは跳び上がる。異形の体のせいか、その跳躍力は人間のものではない。
「全部止まれ──「時間詐称」!」
その瞬間、リーエイ以外の全てが止まった。リーエイがいくら動こうと空気は風のひとつも起こさない。実践であり実戦でないとはいえ、これくらいしないと本気になれない。リーエイは止まったユーイオの首元に向かっておもちゃのナイフを投げる。勿論ナイフもリーエイの異能の支配下にある。ナイフはユーイオの首を掻っ切る手前でピタリと止まった。
「っ………!!」
異能を解除した瞬間おもちゃのナイフはユーイオの首に当たる。こつん、と当たって落ちたおもちゃのナイフをじっと見つめてユーイオは言った。
「ダメだよリーエイ、おもちゃじゃ異能が使えない」
「!」
「僕を子供だからってなめきってるね? 手加減となめるはまた別でしょ?」
リーエイは数秒遅れて気が付いた。利き手が、右手が動かない。正しくは右手首から先の感覚が一切無いのだ。
「悪いけど僕はお前が思ってるより器用なんだ」
「っ……「時間詐称」」
時を止めて頭の中を整理しようと思った。だが──
「「輪廻」──無駄だよリーエイ。逃げないで? 今お前からは利き手の神経と異能を奪ってる。足は自由にしてるけど……僕を蹴りあげたところで僕はその蹴り上げた力そのものを無かったことにする。諦めてよ、リーエイ」
ユーイオは本当に強くなっていた。ブルーブラックの髪から覗く琥珀色の双眸はリーエイをしっかりと捉えている。
「……やれやれだよユーイオ。俺が「時間詐称」以外の手段を持ってないと思う?」
「!」
リーエイの左手には杖があった。ユーイオはその杖がどの異能の杖なのかわからない。
「俺の神経と異能を返せ。「拒絶」」
「嫌だね。「輪廻」!」
ユーイオはリーエイの異能、右手の神経と「拒絶」まで逆転させてしまった。だが、流石にふたつの異能と神経そのものを無かったことにし続けるのはユーイオも苦しいようで、額に汗をかいている。
「厄介だなあ。全部存在を逆転させられるのは俺も困るよ?」
「っ………僕は強くないとダメなんだ。美代子の願いを果たすためにね!」
生を死に、死を生へ覆し命を巡らせる「輪廻」の異能がすべての生を死に還していく。異能も力だ。力あるものは皆生きている。死したものは皆力などないからだ。
「異武装、他にも持ってるなら今のうちに出しときなよ」
「なんで? もしかしてユーイオ余裕ない? そうだよね、俺の右手の神経と異能と「拒絶」を奪ってたらだるいに決まってるよね」
「…………」
見抜かれているなら仕方がない。──「輪廻」。
「あ、右手の神経返してくれるの? じゃあ俺の「時間詐称」も──」
「嫌だね」
「…………!?」
どさ、とリーエイは倒れた。だが、僕は命までは還していない。僕は警戒しつつリーエイに近付く。何かあれば「輪廻」で僕に向けられた殺意や力そのものを還せばいい。
「リーエイ?」
動かない。うつ伏せに倒れた彼を仰向けにひっくり返す。鼓動を聞きたくても、とうの昔に人間をやめた彼の心臓は動いてくれない。ひょっとして、僕が異能を還したからだろうか。異能が無ければ「代償」も働かないのだろうか。
「リーエイ、ねえ」
もう一度呼びかけても反応はない。やはり異能を彼に返すのが良さそうだ。
「……いきなり襲わないでね。「輪廻」」
「時間詐称」を彼に返せば、代償で誰よりも長く生きざるを得ない体に戻るはずだ。
「………………ユーイオ? って俺負けた?! 記憶ないんだけど!!」
目が覚めた瞬間から騒がしい奴だ。これが本当に元軍人なのだろうか。
「勝ち負けはもういいよ。……ごめん、異能をなかったことにして。代償も無くなるのは意外だった」
リールの時は、特に倒れたりしなかったから。
「そう……だね、俺も異能が生きたものとして扱われるのは意外だった」
リーエイは酷く疲れたように言った。
「やっぱり異能取られると疲れる?」
「んー……良い気はしないしそりゃ疲れるよ。異能があるからこそ異形はこの街の中で自由になれるし。異能が無いと代わりに重い鉄球がついた足枷をつけられた気分になるね」
たしかに、リーエイは異形は異能があるからこそ異形なのだと、昔言っていたような気がする。つまり異能がない異形は人間でもなく異形でもない、生命体としては成れの果てとでも呼ぶような存在になるのだろうか。
「……まぁだから、敵でもない限り簡単に異能なんかなかったことにしちゃダメだよ。ユーイオの「輪廻」は誰にも奪えないし誰にも消せないものなのに、誰の異能でもなかったことにできる、恐ろしい力なんだから」
──恐ろしい、力。そう言われて僕は少しぞっとした。
「……そうだね。わかった」
「そんなしゅんとしないで。ユーイオは何があってもユーイオだし。俺はそのユーイオの親。それは絶対に変わらない。でしょ?」
「…………うん。今日はありがとう」
リーエイは僕の頭をくしゃっと撫でて笑う。
「いいよ。さぁて疲れたし家に帰ってご飯でも食べようか。何がいい?」
「なんでも」
僕が言うとリーエイは少し怒ったように「なにそれ、いちばん困る」と言った。
この実践でわかったことは幾つかある。ユーイオはその辺の異形よりも「輪廻」──つまり異能のコントロールが上手いこと。異能は使えば使うほどコントロールが上達し、より緻密な力の扱いも可能になるがユーイオのそれは百年以上生きる俺たちとそう変わらない。もうひとつは、精神力にも優れていること。世界のどこかを変えるような異能は、基本的に一部、ひとつのパーツを変えるのが精一杯だ。しかし、ユーイオは俺の右手の神経、異能、異武装を死んだものにした。人間の身でありながら三つもこの街にあるパーツを変えてしまったのだ。しかもその持続時間は五分以上ときた。一体どれだけ努力をしただろう。俺はユーイオの力の恐ろしさを実感すると同時に親として誇らしくなった。
「………」
リールの異能をなかったことにするよりも、リーエイの異能をなかったことにする方が体力を奪われた。これはリーエイの異能が戦闘により応用しやすい異能だからだろう。神経のひとつやふたつ死んだものにするのは特に問題なかった。多分、ヒト一人の五感を全て無かったことにしても僕は平気だ。異武装もひとつくらいならどうということはない。
ただ、異能を奪うときには代償が何なのかしっかりわかっていないといけないかもしれない。家に戻って、僕はすぐに異能全覧を開いた。「吸収」の代償を確認すると、「全ての物事における学習能力の欠如」と書かれていた。──厄介だ。つまり、アイツからこの異能をなかったことにすると、アイツは学習能力を一時的に取り戻すことになる。僕の動きや異能をその間に覚えてしまわれては困る。──もっとも、異能を戻した瞬間学習能力が欠け、異能をなかったことにされている間のことが学習できなければ何ら問題はなさそうだが。何にせよ、アイツ相手には異能そのものではなく異能の「全てを吸収する力」だけをなかったことにする必要がありそうだ。
全覧の目次に戻る。「拒絶」の異能とその代償について見る。「あらゆる力を拒絶し無効化する異能。代償は誰にも自身の存在を受け入れて貰えないこと。」と書かれていた。異武装の場合、たしか本来の力には劣るものの、武器に込められた異能を使用でき、その代償も負わなくていい代物だったはずだ。実は僕はリーエイから「拒絶」の異武装を無かったことにして、異能で戻したときにリーエイに返すのを忘れてしまっていたのだ。だから、僕の右手には「拒絶」の杖が握られている。
「……「反射」とこの「拒絶」を上手く使えば「吸収」──今は「消滅」だっけ、を上手くあしらえるかもしれないし……あの「停滞」も打ち消せるかもしれない」
ごめんねリーエイ。僕はきっと死ぬまでこの杖を盗んだままかもしれない。やっぱり僕は所詮最下層出身の悪い子供だ。でも、これがないとこの街を消すことは出来ないかもしれない。全部僕の我儘だ。わかっている。それでも善い人は許してくれるでしょ?
「………うん」
翌朝、本当にふたりは図書館の地下に来ていた。辺りには本の一冊も無い。リール曰く大昔に造られた時に使われていたカウンターフロア──入ってすぐの場所に当たるらしい。
「じゃあユーイオの好きなタイミングで来ていいよ」
「っ……」
なめられている。いや、合わせてもらっている。手合わせだ。リーエイにとってこれは実戦でもなんでもないただのお遊びなのだろう。
「──「輪廻」ッ!!」
命なきものに命を吹きこめ。ユーイオが命じると、古びたテーブルや椅子が動き出して本来の木の姿へ戻る。天井がとても高いので(正確には今使われているフロアから断絶されているため)、巨木は折れることも天井を貫通することもなかった。
「トンベ・ア・ゴーシュ!」
ユーイオが言うと、巨木はリーエイの方へめきめきと倒れ出した。どうやらかなり異能の腕を上げてきたらしい。リーエイも流石にここまで成長しているとは思っていなかったようで、咄嗟に「時間詐称」を使って巨木を避ける。
「すごいねユーイオ。吹き込んだ命に命令を下せるなんて」
「別に。逆転させるだけじゃ確実なダメージは通せないでしょ。生きるか死ぬか、それだけだと警戒されて逆に相手にされないから一発で殺せないように見せかけることを覚えたんだよ」
「面白いねぇ、少しなめてたよ」
ばっ、とリーエイは跳び上がる。異形の体のせいか、その跳躍力は人間のものではない。
「全部止まれ──「時間詐称」!」
その瞬間、リーエイ以外の全てが止まった。リーエイがいくら動こうと空気は風のひとつも起こさない。実践であり実戦でないとはいえ、これくらいしないと本気になれない。リーエイは止まったユーイオの首元に向かっておもちゃのナイフを投げる。勿論ナイフもリーエイの異能の支配下にある。ナイフはユーイオの首を掻っ切る手前でピタリと止まった。
「っ………!!」
異能を解除した瞬間おもちゃのナイフはユーイオの首に当たる。こつん、と当たって落ちたおもちゃのナイフをじっと見つめてユーイオは言った。
「ダメだよリーエイ、おもちゃじゃ異能が使えない」
「!」
「僕を子供だからってなめきってるね? 手加減となめるはまた別でしょ?」
リーエイは数秒遅れて気が付いた。利き手が、右手が動かない。正しくは右手首から先の感覚が一切無いのだ。
「悪いけど僕はお前が思ってるより器用なんだ」
「っ……「時間詐称」」
時を止めて頭の中を整理しようと思った。だが──
「「輪廻」──無駄だよリーエイ。逃げないで? 今お前からは利き手の神経と異能を奪ってる。足は自由にしてるけど……僕を蹴りあげたところで僕はその蹴り上げた力そのものを無かったことにする。諦めてよ、リーエイ」
ユーイオは本当に強くなっていた。ブルーブラックの髪から覗く琥珀色の双眸はリーエイをしっかりと捉えている。
「……やれやれだよユーイオ。俺が「時間詐称」以外の手段を持ってないと思う?」
「!」
リーエイの左手には杖があった。ユーイオはその杖がどの異能の杖なのかわからない。
「俺の神経と異能を返せ。「拒絶」」
「嫌だね。「輪廻」!」
ユーイオはリーエイの異能、右手の神経と「拒絶」まで逆転させてしまった。だが、流石にふたつの異能と神経そのものを無かったことにし続けるのはユーイオも苦しいようで、額に汗をかいている。
「厄介だなあ。全部存在を逆転させられるのは俺も困るよ?」
「っ………僕は強くないとダメなんだ。美代子の願いを果たすためにね!」
生を死に、死を生へ覆し命を巡らせる「輪廻」の異能がすべての生を死に還していく。異能も力だ。力あるものは皆生きている。死したものは皆力などないからだ。
「異武装、他にも持ってるなら今のうちに出しときなよ」
「なんで? もしかしてユーイオ余裕ない? そうだよね、俺の右手の神経と異能と「拒絶」を奪ってたらだるいに決まってるよね」
「…………」
見抜かれているなら仕方がない。──「輪廻」。
「あ、右手の神経返してくれるの? じゃあ俺の「時間詐称」も──」
「嫌だね」
「…………!?」
どさ、とリーエイは倒れた。だが、僕は命までは還していない。僕は警戒しつつリーエイに近付く。何かあれば「輪廻」で僕に向けられた殺意や力そのものを還せばいい。
「リーエイ?」
動かない。うつ伏せに倒れた彼を仰向けにひっくり返す。鼓動を聞きたくても、とうの昔に人間をやめた彼の心臓は動いてくれない。ひょっとして、僕が異能を還したからだろうか。異能が無ければ「代償」も働かないのだろうか。
「リーエイ、ねえ」
もう一度呼びかけても反応はない。やはり異能を彼に返すのが良さそうだ。
「……いきなり襲わないでね。「輪廻」」
「時間詐称」を彼に返せば、代償で誰よりも長く生きざるを得ない体に戻るはずだ。
「………………ユーイオ? って俺負けた?! 記憶ないんだけど!!」
目が覚めた瞬間から騒がしい奴だ。これが本当に元軍人なのだろうか。
「勝ち負けはもういいよ。……ごめん、異能をなかったことにして。代償も無くなるのは意外だった」
リールの時は、特に倒れたりしなかったから。
「そう……だね、俺も異能が生きたものとして扱われるのは意外だった」
リーエイは酷く疲れたように言った。
「やっぱり異能取られると疲れる?」
「んー……良い気はしないしそりゃ疲れるよ。異能があるからこそ異形はこの街の中で自由になれるし。異能が無いと代わりに重い鉄球がついた足枷をつけられた気分になるね」
たしかに、リーエイは異形は異能があるからこそ異形なのだと、昔言っていたような気がする。つまり異能がない異形は人間でもなく異形でもない、生命体としては成れの果てとでも呼ぶような存在になるのだろうか。
「……まぁだから、敵でもない限り簡単に異能なんかなかったことにしちゃダメだよ。ユーイオの「輪廻」は誰にも奪えないし誰にも消せないものなのに、誰の異能でもなかったことにできる、恐ろしい力なんだから」
──恐ろしい、力。そう言われて僕は少しぞっとした。
「……そうだね。わかった」
「そんなしゅんとしないで。ユーイオは何があってもユーイオだし。俺はそのユーイオの親。それは絶対に変わらない。でしょ?」
「…………うん。今日はありがとう」
リーエイは僕の頭をくしゃっと撫でて笑う。
「いいよ。さぁて疲れたし家に帰ってご飯でも食べようか。何がいい?」
「なんでも」
僕が言うとリーエイは少し怒ったように「なにそれ、いちばん困る」と言った。
この実践でわかったことは幾つかある。ユーイオはその辺の異形よりも「輪廻」──つまり異能のコントロールが上手いこと。異能は使えば使うほどコントロールが上達し、より緻密な力の扱いも可能になるがユーイオのそれは百年以上生きる俺たちとそう変わらない。もうひとつは、精神力にも優れていること。世界のどこかを変えるような異能は、基本的に一部、ひとつのパーツを変えるのが精一杯だ。しかし、ユーイオは俺の右手の神経、異能、異武装を死んだものにした。人間の身でありながら三つもこの街にあるパーツを変えてしまったのだ。しかもその持続時間は五分以上ときた。一体どれだけ努力をしただろう。俺はユーイオの力の恐ろしさを実感すると同時に親として誇らしくなった。
「………」
リールの異能をなかったことにするよりも、リーエイの異能をなかったことにする方が体力を奪われた。これはリーエイの異能が戦闘により応用しやすい異能だからだろう。神経のひとつやふたつ死んだものにするのは特に問題なかった。多分、ヒト一人の五感を全て無かったことにしても僕は平気だ。異武装もひとつくらいならどうということはない。
ただ、異能を奪うときには代償が何なのかしっかりわかっていないといけないかもしれない。家に戻って、僕はすぐに異能全覧を開いた。「吸収」の代償を確認すると、「全ての物事における学習能力の欠如」と書かれていた。──厄介だ。つまり、アイツからこの異能をなかったことにすると、アイツは学習能力を一時的に取り戻すことになる。僕の動きや異能をその間に覚えてしまわれては困る。──もっとも、異能を戻した瞬間学習能力が欠け、異能をなかったことにされている間のことが学習できなければ何ら問題はなさそうだが。何にせよ、アイツ相手には異能そのものではなく異能の「全てを吸収する力」だけをなかったことにする必要がありそうだ。
全覧の目次に戻る。「拒絶」の異能とその代償について見る。「あらゆる力を拒絶し無効化する異能。代償は誰にも自身の存在を受け入れて貰えないこと。」と書かれていた。異武装の場合、たしか本来の力には劣るものの、武器に込められた異能を使用でき、その代償も負わなくていい代物だったはずだ。実は僕はリーエイから「拒絶」の異武装を無かったことにして、異能で戻したときにリーエイに返すのを忘れてしまっていたのだ。だから、僕の右手には「拒絶」の杖が握られている。
「……「反射」とこの「拒絶」を上手く使えば「吸収」──今は「消滅」だっけ、を上手くあしらえるかもしれないし……あの「停滞」も打ち消せるかもしれない」
ごめんねリーエイ。僕はきっと死ぬまでこの杖を盗んだままかもしれない。やっぱり僕は所詮最下層出身の悪い子供だ。でも、これがないとこの街を消すことは出来ないかもしれない。全部僕の我儘だ。わかっている。それでも善い人は許してくれるでしょ?
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