孤独な王女

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見上げた空は・下章

即興密約②

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「ねえウェルベル」

 エイリーンと交替して二人きりに戻った室内で、小言をもらう気配を察知したリエンは先手を取った。

「あなた、玉座の間で『陛下も好きになりましたので』って言っていたわよね。私の他にも気に入った人がいる風に。それってヴィーのこと?」

 ウェルベルは目を見張って、ゆっくり頷いた。

「その場で問い質されなかったので、お聞き逃しかと思っていました。覚えていらっしゃった上に、よくヴィオレット殿下のことだとお気づきになりましたね」
「さっきエイリーンをヴィーに素直に預けてくれたから確信した。気に入った理由は?」
「お二人とも、そっくり同じことをしていたんですよ。示し合わせたわけでもないでしょうにね」
「同じこと?」
「ああ、そちらはご存じなかったんですね……。ヴィオレット殿下は、西の塔からお出でになった直後に、ご自分の部屋に戻るよりも先に丹紫の部屋へいらっしゃいました。お側の者以外には内密に取り計らってまで。陛下も城にお帰りになったとき、アーノルドさまへのお見舞いを後回しにしましたね。人払いが重々にされたあとを選んで案内させたとか。しかもお二人とも、遺族である私たちには特別なことは何一つなさらないのに、暇さえあれば何度も父を訪ねて来てくださった……」

 リエンは心当たりがありすぎて黙り込んだ。
 丹紫の部屋はアーヴィンの弔いに万人に開放された一間だった。遺体はもう埋葬されて、廟には空の棺が置いてあるだけだ。そこに持ち寄った品々を供えていくわけだが、どんな権威者相手にも刺繍の手巾や手紙など、素朴な、弔問客自身の手によって作られたものばかり入れてゆくのがジヴェルナ流だ。ウェルベルはどうやって知っているのか、きっとリエンやヴィーがなにを持ち込んだのかも把握している。哀切と、それを上回る感謝の表情でリエンを見下ろしていた。

「あくまでもずっと内緒で、というのがですね。堂々と見せつけた方が物事が進みやすくなる、むしろこの時勢ではそうしなくてはならないとわかっていながら、そうはされなかった。純粋に父の死を悼んでくださるその心ばえに、私はころりと参ってしまったというわけです」
「……あなたにそう言われると、むしろ皮肉にしか聞こえないんだけど」
「おや。絆されたのは私の勝手で、あなた方に打算がないとは私が一番わかっている。私は先に礼をとってくれたあなた方へ礼を返しているという、突き詰めればそれだけですよ。貸し借り、恩返しとも違うこの心の向きを、あなたはよくわかってらっしゃらないようだ」

 穏やかなウェルベルの指摘に、そうかもな、とリエンは思った。死者へ手向けを、墓へ花を、棺へ弔いを。この世界の常識の一つだが、あいにく前世では弔いにむやみに手間をかけたら死ぬのが常識だった。振り返るな、立ち止まるな、走り続けろ――生き延びろ。
 あっさり死んだら先に逝った奴らに会わせる顔がない。悼む暇があるなら生きることに注ぎ込め。
 それほど余裕のない世界しか知らなかった。だから何度でもアーヴィンの棺を訪れた。振り返り、思い馳せ、踵を返してまた進む。けれど毎日、必ず一度は戻ってきた。……ヴィーはリエンとは違う思いはあるのだろうが、きっと、情動の根本は一緒のような気がする。
 リエンもヴィーも、死者だけが、躊躇なくたなごころを打ち明けられる存在なのだ。

「しかし、そう特別なものではありませんよ。あなたが弟君の不遇を憤ったように、弟君があなたの憂いとなるのを嫌厭したように、私は父の死をそのような低俗に堕とさなかったことが喜ばしいのです」
「……ああ、なるほど」

 なんとなくわかった気がする、と頷いたリエンに、ウェルベルはなにかを含んだ笑みで頭を掻いた。

「そこであっさり許容されると、盤遊戯などするなという忠告がより身に迫りますね……」
「え?」
「父が年末、テルミディアに帰還早々に私どもへ言ったことですよ。『獰猛な獣相手に一騎討ちの規則など役立たぬように、あの姉弟相手では、同じ土俵に立った時点で負けだから、絶対にそのような迂闊な真似をするな』というのが正確なところですね」
「猛獣扱いされてたの、私たち」
「手に負えないところを指して言ったのでしょう。本当にそうだとは思ってませんよ」

 国王と王太子を畜生呼ばわりして飄々としているので、さすがアーヴィンの息子だ。といっても、アーヴィンはウェルベルに、リエンたちに勝てとか負かせとかを言いたいわけではなく、世代的に、アーヴィン亡きあと大公位を継ぎ、長くリエンかヴィーの施政に関わることになるウェルベルにその心構えをさせたかっただけだったらしい。
 アーヴィンが結果的にリエンとヴィーに下した判断は、「全てが根本から我らとかけ離れた人種」だったという。
 リエンたちは、駆け引きにおいてこちらを読むつもりはない。しかし読もうと思えば読める能力も判断も備わっている。それだけでも奇妙なおかしいのに、こちらがリエンたちを読もうとするときに使う数々の器には絶対にはまらない。器に押し込めようとすれば器、すなわちこちらの価値観が壊れかける。
 勝てる勝てない以前の問題だ。土台が違うからそうなる。だからリエンとヴィーを別の「人種」として、分けて考えろと言ったのだ。

「父はまあ、それでも愉快がっていましたよ。遊ぶのが好きでしたからね。あなた方でなくても他に遊び道具がいた。私に言う前に留め置いていたアルダの客人にも『成果』として話していたらしいんですがね、それはもう奮った口振りで」
「なんて吹き込んだのよ」
「吹き込むとはお口が悪い。ただ、お生まれゆえに常道をあまりご存じないようだと不安げに、いささか不満げに、そしてほんの少し憤懣をおり混ぜて、と。客人は見当違いな慰めを父にかけていましたね」
「充分にえげつないじゃないの。思いっきり思考を誘導させてるじゃない」
「とはいえ、父の味わった、器を壊される危機感だけはあちらに伝わらなかったようでして。そこは残念がっていましたな」

 からりと笑ったウェルベルが、ふと瞳を暗くした。

「……あの騒動と侵攻は、父がこれまでの方針から変えて、中央と――つまりあなた方との糸を保てと私に命じたおりのことでした。読めないならばありのままを見て理解していくしかありませんからね。エイリーンにしても、学園に入学させるつもりだったのですよ」
「……二枚舌に気づいたの?」
「父はあなた方以外との読み合いなら負けませんよ。そうではなく、札の取り方です。懐柔が遅々として進まないところに奪取できる好機が来たので策を換えたのです。あちらはもう、私たちを読む気すらなかった。相手が思いつきで唐突に勝負を放棄したのでは、これもしようがない」
「あなた、エイリーンと違って、会議ではずっと大人しかったわね。アルダにしてもアルビオンにしても……恨み辛みはあるの?」

 またも直球の問いかけにウェルベルは一瞬息を止め、「どうでしょうか」と困ったように眉を下げた。

「私にとっては、役目と感情が、幸いにして方向の一致を得ておりますから。細かく考えていません。ただ……娘のあの苛烈さは、父を亡くしてからのことです。音に聞く『覚醒』のような豹変具合でして」
「その言い方だと、あなたは『覚醒』していない?」
「はい。私のみならず、シモン、ジラールの継嗣方も同様に。むしろそれが後継者としての条件のようですからね。三家が内々に取り決めたそうで、私も継承したのちに先輩方にご教授頂きました」
「……うっわ。なにそれ、うっっっわ」

 リエンは全力でドン引いた。その衝撃で軽くよろめいて、机のへりに手をかける。ウェルベルが心配そうに声をかけたが首を振った。あまりのことに言葉一つも出てこず、息だけをつく。
 三大公家のその内約は、「覚醒」のあとの危険性を鑑みてのことなのだろうと簡単に予想はついた。「覚醒」後の喪失、そこから立ち直った成功例は、リエンの祖父くらいしかいないのだから、それなら元から因果を絶った方が早い。
 一足先に大人にならなくてはいけない――そんな状況に持ち込ませなければいいだけだ。
 でもそれならばだ。なぜ王家にはその意志が欠片も見られなかったのか。
 祖父も王さまも「覚醒」しているし、リエン本人も、リエンの知るところの直系は全員通過している。血は遠くとも身近にいるベリオルとヴィーだってそうだ。
 よりにもよって、暴走すればどこまでも突っ走れる力を持つ王家側の方が、一切の抑止もないとは……。……いや、とリエンは瞬いた。なんか今日、レナに言ったばかりのような気がする。

「……まさか『覚醒』の成果が王家の求心力になってる?」

 いやそんなまさか。いやでも……脳裏でリエンの先祖に当たる王族の業績を紐解こうとしてみたが焦りでうまくいかなかった。そもそも、貴族どもは「覚醒」についてどの程度知っているのか。
 だが、ウェルベルを見ると、リエンの回答はあながち間違いではなかったらしく、神妙に頷いてきた。

(中立派……!!)

 怒りと失望と呆れが一気にやって来て、机に拳を落とした。ルシェル時代の状況が――リエンへ「女王万歳」と叫んでいたその影の部分が、色々、色々見えてきた。
「覚醒」後の暴走の飛び火が怖いから傍観、でも「覚醒」の成果に期待大。
 馬鹿にするのも大概にしろと吠えたくなるのを、もう一度机を叩いてごまかした。

「――ウェルベル」
「はい」
「大公家の役目は王家と貴族家、両面の監視か」
「その面はあります。同じ王族と言えど、『覚醒』のない以上名望は王家に落ちますから、注目はそう浴びません。父は例外でしたが、あの人はのらりくらりと躱すのが得意でしたから」
「今は?私に打ち明けたからには違うだろう」
「陛下が私どもを引きずり出しましたから。沈黙の弊害も顕在しましたし、以前の通りにはゆきません。ゆえにあの時、玉座の間で私どもが捧げた恭順に偽りはなく、王家への一体なる忠誠と奉仕は大公家の新たな内約です。父の見解も、既に三大公家全体に周知させております」
「……そう」

 じんじんと痛む手を擦っていると、ウェルベルの両手に掬い取られ、包み込まれた。

「私があの時、他に申し上げたことは覚えていらっしゃいますか。誠心誠意とは受け取る側の心のままということ」
「……覚えてるわ」
「あなたが私たちを信じなくても、存分に使ってくださればそれでいいのです。ヴィオレット殿下に関することなのでしょう、私へのご用、何でも承りましょう」
「……なんでも?」
「ええ。先ほど申し上げたことが全て。大公としても、個人としても、否やはどこにもありません」
「娘を王家に差し出すことも厭わない?」

 ウェルベルの手の力が緩むのを感じながら、リエンはひたりとその驚愕の表情を凝視した。わずかな揺れも見逃さないように。その覚悟のほどを見定めるために。

「強制はしたくない。その害は私じゃなくあの子にいくから」
「……あれだけ無礼を働いた娘をお許しに?あれでなくとも、シモンにもジラールにも相応の歳の姫がおりますが」

 さすがにリエンの狙いに気づいているが、あえてエイリーンを選ぶ理由までは思いつかないらしい。リエンはやっと、柔らかく微笑んだ。

「あの度胸と打たれ強さがね。泣くかと思ったら泣かないし、察しが悪すぎるわけでもない。あれだけ気骨があれば将来性はいくらでも見込めるわ」
「なんと……変わったご趣味ですな」
「あなたの娘なんだけど?」

 リエンとウェルベルがここで決めても、人生を左右されるのはヴィーとエイリーンだ。だからリエンは「仮の契約だ」と言った。 

「そうね、エイリーンが成人になるまでを期日としましょうか。それまでの間に解消したい事由があるなら解消できる」
「解消をお許しに?」
「二人とも、これから成長していくから。案外反りが合わない可能性だってあるし、心の向きを強制なんてできないし。そこで破綻した後にどうこうするのは手遅れでしょ。私もあなたと似たようなものよ。気に入った子に不幸な思いはさせたくない。ヴィーはもちろんだけど、エイリーンもね」
「なるほど……。あれの父として、そこまで気にかけてくださり感謝します」
「もらい受けるからにはできることをするわ。それはあなたたちの奉仕とは別のこと。それで、父親の許しは?」
「もちろん、陛下の意向に従います。娘にもきちんと言い含めておきましょう。公表は……今はしない方が賢明ですな。戦の直前直後では……もっと年をおかないと、いらぬ憶測ばかり飛ぶ」
「そうね。今はとりあえず、証拠として書面にだけ」

 ウェルベルが手を離してくれたのでその場で机の端の白紙とペンを引き寄せ、さらさらと書き付けた。書記官いらずの整った文面には備考として婚約留保期間もきちんと記しておく。複写は作らず、リエンは自らの署名を最後につけて、ひらひらと紙を振ってインクを乾かした。

「これ、渡しておくわ。エイリーンに伝えるついでに、ヴィーにも言っておいてくれる?」
「弟君相手に逃げ腰が過ぎるのでは?」

 恭しく受け取ったウェルベルは苦笑して言った。

「一段落したので一つ申し上げますが、順序としては、陛下のご結婚がなければ、誰もこの密約に納得しませんよ?いかに陛下にそのお気持ちがなかろうと、です」
「そんなのしてる暇ないわよ」
「弟君の分はあるのにですか」

 結局別の小言をもらってしまった。しかもヴィーへの説明役をしてくれる気はないらしい。だがヴィーを目の前で怒らせたくはないのだ。ただでさえ最近ずっとそっち方面でねちねちうるさいのに、ここで爆発されたらたまらない。
「そこまでおわかりなのにどうしてかな」という顔をウェルベルがしていたので睨みつけたが、全然怯んでくれない。

「陛下、本当にお気持ちがないのですか?人を選べとは申さないとしても?」
「なによそれ」
「身分も年齢も、この際度外視しましょうか。それでも陛下ご自身にはこれといった方がおられない?」
「あいにくと――」

 そんなのいない、と言いかけたリエンはぴたりと止まった。
 リエンが結婚を厭うのは、出産不能であることが大前提として。それとは別に、肉欲の類いへの強烈な忌避感のためだ。許すなら白い結婚のみ。否応なく共犯となるのだから、相手も納得した上での結婚が最も望ましい。だが、そんなことがあり得るはずがない。そんなはずが……。

「陛下?」
「……いる、かもしれないけど」
「誰ですか!?」

 やたらと食い付きがよくなったウェルベルから顔を逸らした。今思いついただけでもわりと自分の都合のよさに嫌悪感が湧いてきたのだが、それでも、とも思ってしまった。もし本当に結婚圧力がどうしようもなくなったら頼んでもいいかな、と。身分は低いが名望著しいし能力もやたら高い。作法も儀礼も既に身に付けている。

(でも一生を捧げるとかいっても、さすがに結婚は予定外だろうな)

 あちらが望まない限りこっちが手放す気はないが、そうなった場合はどうしよう。便宜を計ることにするか。特別に法を作って愛妾ありとか。そっちと本当に結ばれてくれれば……でも外聞が悪くなるよなぁ。当事者が納得づくでも、世間は厳しいだろう。
 思わずため息を吐いた。恋とかなにそれ。結婚って一体どういうものなんだ。それにそうなった場合、王をやめたリエンに、変わらずついてきてくれるものだろうか。

(あ、それってユゥもだ。イオンと結婚するならそうなるよね)

 また独りぼっちに戻るのか……ああでも、ネフィルがいる。シュバルツに今度こそ傭兵としてお邪魔するとかもありかな。

「陛下?」
「うん、後回し」
「は?」
「ウェルベル、命令としてヴィーへの説明を任せた!」
「えっ、ちょっ陛下!?」
「ほらほら、もう用件は済んだし、あなたも忙しいでしょ?明日出陣だしね!私も忙しいから出てって出てって!ベリオル!ハロルド!ディスケ!待たせた、入っていいわよ!」
「陛下!」

 リエンの声を聞いて開いた扉の向こうでベリオルたちが目を丸くしている。リエンは構わずぐいぐいとウェルベルの背中を押して無理やり部屋から出した。だがお互い時間がないのは本当だ。やがて諦めたウェルベルは、じっとりとした目でリエンを振り返った。

「ユーリ殿には子細をお伝えしておきますよ。立ち飲みの無作法も含めて」

 リエンがエルサに頭が上がらないことをわかっている発言だった。負け惜しみにしてはあまりに攻撃力が高いそれを、リエンは全力で聞かなかったことにした。








☆☆☆







 昨年は大急ぎで駆け下った道を、今年は大急ぎで真逆に進んでいく。
 昨年のあの強行軍ってこんなに辛かったのか、と当時のあやふやな記憶を思いやって遠い目をして揺さぶられていたユーフェの顔に、冷たい秋風が吹き付けてくる。
 と、不意にぶしっという無防備なくしゃみの音に驚いて、なんとか振り返った。

「なんでもない」

 ユーフェが喋ろうとすれば舌を噛むとわかっているのか、相手は問われる前にそう答えた。片手で鼻を擦って。この速度で前に人を載せて片手で手綱を握って全く平然としているこの人、本当に人外。

「お前の体調の方を気にすべきだな。異常は?」

 お尻が痛い以外はなんにもありません、という意味でどうにかこうにか首を横に振ると、そうか、と声が返ってきた。

「イオンがいれば予定通りにそっちに預けられたんだがな。リエンさまが心配するから無理だけはよせ」

 それはもちろんわかっている。懐にしっかり結びつけた大事な荷物をぎゅっと抱きしめた。本当ならジヴェルナの城までユーフェを送り届けてくれるはずのイオンは、神聖王国との国境でユーフェをこの人に預けてから別行動だ。お荷物で申し訳ないが、こうしてガルダたちの一隊にお邪魔するしかなかった。ユーフェが速く安全にあの方の元へ帰るには、イオンかこの人の二択しかなかった。

(帰らないと)

「胸を張って帰るぞ」

 考えが読まれたようで驚いてまた振り返る。ガルダはまっすぐ先を見据えながら、ほんの少し唇を吊り上げた。

「おれたちが揃って帰還すれば、リエンさまは大喜びだ」

 あ、これおれにも抱きついてくれるかもって期待してないかな、とユーフェは思った。
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