孤独な王女

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一段飛ばしで駆け上がる

再会①

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「こうして至近距離で見ると、本当にでかいな」
「そうだねー。どんな造りになってるんだろう」

 ジヴェルナ王国ほどの大国となると、城門だけでも高く聳えて威容を放つ。その奥にいくつもの尖塔が見えるところを見ると、城自体がかなりの大きさだ。
 といっても、普通に街に住む人々は今さらなので全く気にしない。気にするとしたら旅人がほとんどだ。こうして唖然と見上げる旅人を、閉まりきっている城門を見回る兵士たちは、面白そうに見守るのだ。しかし、今回はただの旅人とは一風変わっていた。

「君たち、お城を見るのは初めてかい?」

 兵士の一人が思わず声をかけたのも仕方がない。旅人にしては異様な二人組だった。
 まず、二人とも幼い。どちらも成人していないことは確かだろう。旅人と考えるにも、大人が側にいる様子もなく、泰然と佇んでいる。
 一人は黒髪で、長い襟足をゆうらりと背中に垂らし、背が低い子どもは頭からフードを被っている。一瞬、光の加減で目の色が変わった気がしたが、それは気のせいだろう。どちらも他より容姿が整っている。
 それから、特に特徴的なこととして。

「うん。あんたは兵士さん?お勤めご苦労様」

 黒髪の少年がにこりと兵士に話しかけた。物怖じした様子もなく、冷静に一瞬兵士の全身を見渡して、しかもそれを気づかせずに人懐っこく笑いかけたものだから、兵士はどことなく圧倒された気持ちになった。鋭い目が柔和に細められるだけで、印象ががらりと変わる。人を惹き付ける笑顔だ。

「今は門が閉まってるみたいだけど、開けたら大変そうだね。これだけ大きいんだもん」

 フードの少年も無邪気に賛同した。目がよく見えないが、爛漫さは全身から漂っている。兵士は自然とにこやかに表情を崩した。

「この門はね、お貴族さまたちがお通りになるときに開かれるんだ。開く前におじさんたちがお城からの招待状を確認したりして、ちゃんと照合できたらお通しするから、無関係の人は入れないんだ。だからそんなに大変なことはないんだよ」
「へえー。じゃあさ、お城で働いてる人たちってみんな、どこから入るの?」
「そりゃあ他の出入り口からさ。ここは正門だから、お客さまを招くためにあるんだよ」
「へぇ」

 少年たちは兵士の話にいちいち丁寧に相づちを打ち、目を輝かせながら質問してくるので、兵士の気分はますますよくなった。しかし、疑問があるのはこちらもだ。

「君たち、親御さんはどこにいるんだい?見るからに、この辺りの子どもじゃないよね?迷子なら詰所に連れていってあげるよ」
「迷子じゃないよ。友だちのところに遊びに来たんだけどね、予定より早く着いちゃったから、観光してるの」

 フードの少年が無邪気に笑えば、黒髪の少年もまた爽やかに微笑んだ。

「おれはこいつの付添人。そういうわけだから、心配してくれる気持ちだけ、ありがたく受け取るよ」
「あ、ああ、そうなのか」
「兵士さん仕事中だろ?邪魔して悪かった。そろそろ行くよ。色々教えてくれて助かった」
「ありがとう!」

 フードの少年が離れながらも元気に手を振るので思わず振り返した兵士は、「困ったことがあれば詰所に行くんだぞー」と声をかけた。黒髪の少年もひらりと手を振ってくれる。
 いい子どもたちだ、と兵士は癒された心地で業務に戻った。












 ……そのため、このような物騒な会話は耳に入っていなかった。

「うーん、門を越えようと思えばできるよね。足がかりたくさんあったし」
「止めとけ、抜けた先にもたくさん兵士がいると思って間違いない。さっきあのおっさんが言ってた裏口からか、あとは夜に侵入する方が確実だ」
「そうだねー。でも、リィやバルトたちに聞いてたより兵士さんたちの質って、悪くなかったね」
「王女が毒にのたうち回ってるのを平然と見下ろせるのは一部だけだろ。全部腐敗してたらそれこそ国家転覆だ。それに、その連中には、旦那の再教育が効いたんだろうな」
「そっかぁ」

 歩き遠ざかる城に、レナは視線だけをやった。

「リィって今、国境にいるんだよね?どうする?」
「辺境からはもう出てるってバルトが言ってただろ。寄り道しなけりゃ五日」
「それならもうすぐかな。じゃあ帰ってくる前に……」

 城へ向けていた視線が、ナオのそれとばっちり絡み合う。
 お互い、先ほどまで見上げていた城門を飛び越えた、そのを捉えようとしていた自分たちを、見抜いている。門の乗り越えを検討したのは別にレナだけではないのだ。

 レナは無邪気な笑みを悪辣に可愛らしく深め、ナオもまた一度瞑目して、雷鳴閃く色を瞳に乗せた。
 薄い唇から、吐息混じりの声が漏れる。

「……説教、だな」
「楽しみだね!」










☆☆☆










 あと一日で王都に着くという日の昼過ぎ、ナキアが突然現れた。お話があるので、と言われてリエンは首をかしげた。何か急に呼び出されるような用事かと一瞬考えたものの、思い当たる節はない。何かしら公務をど忘れしている可能性はあったが、馬車に同乗していたユゥも心当たりはなさそうだった。
 さてはてどういうことだ、と思いつつ停めた馬車の中に呼べば、ナキアが変な顔で入ってきた。

「殿下、差し出がましいことではありますが……ご友人をもっとまともな方にお願いできないのですか?」
「は?」

 かなり意味不明なことを言われた。差し出がましいというか普通に失礼な言い分だ。が。

「城にて、昨日より殿下の客分として少年二人が密かに滞在しています。黒髪の襟足が長い少年と、色違いの瞳を持つ幼い少年です」
「あ、来たんだ」
「ええ、参りましたとも。私たちの仲間すら蹴散らして、まっすぐに陛下の居室まで」
「……わあお」
「ちなみに通行手形などなく、不法侵入です」
「だろうね。そんなの用意した覚えもないし」

 至ってあっけらかんと告げるリエンに、ナキアは頭痛が増したように額を押さえた。

「でも、私が現状離宮を拠点にしてるのも今不在だったのも知ってるはずだから、宿とかで待ってる気がしたけど。宿代なかったのかな。なんで王さまの所に突撃?」
「……私から申し上げることはできません」

 ナキアは変な顔のまま伝令を終えたらさっさと城へ帰っていった。まだ帰還していないヴィーのために城内を監視する役目かなにかを負っているのだろう。
 この後、外で馬車の警護をしていたガルダにナオたちのことを教えると、こちらも頭が痛そうな顔をしていたのが印象的だった。 











 ナオとレナは、リエンの想像通り、国王の私室に殴り込みはしたが寝床は城の外で探すつもりだった。それを引き留めたのは他でもないアーノルドで、リエンの友人だと伝えられたディスケやタバサはそれはそれは張り切って二人の少年をもてなした。
 もちろん余計な世話を喜ぶ二人ではないので、服の替えや食事、風呂の準備以外のことは拒絶した。意外だったのは、ディスケもタバサもあっさりと頷いて引き下がっていったことだ。

「……あいつがどんだけやらかしたかうっすら想像できるんだが」
「まあ、ナヅミ姉だもん」

 友人=同類と見なされていることに少し物申したくなるが、気楽なのは確かなので見逃すことにした。貰えるものは貰う主義が共通しているのもある。そうして孤児でありながら大国の城を一晩の宿とした。
 もちろん「影」が監視しているが、ナオもレナも大胆なほど寛いで見せた。常に気配を察知しているわけではないが、いざ攻撃をされたときは傷を負う前に対処できる自信はしっかりある。ガルダの故郷でやり過ぎなほど勘を取り戻してきたので。

 寝心地のよすぎる寝台で睡眠を万全に取り、翌日、二人は午前を自由に過ごした。客室からの出入りの制限もされなかったので、散策に出たのだ。さすがに平服なので人目に出ないところを探してうろつくようにし、取り壊されている真っ最中の後宮にも忍び込んだ。昼食も時間になれば用意されると教えられていたのでその時間に客室に戻りしっかりと食事を摂り、残さず平らげた。手配したタバサはリエンの食事量を思い出して慎重になっていたが、二人とも予想より食べてくれた。
 皿を下げに来たタバサは普通の成長期の子どもらしさを感じ、ほっとした心地で国王の言葉を伝えた。
 とたんにピりついた空気に、気を緩ませるには早すぎたと思ったが。

「ふーん」
「わかりました!ご飯ありがとう!美味しかった」

 二人の態度に性格の差が出ているが、恐らく心情は同じだろうと理解はできた。タバサは無言で頭を下げ、部屋を出ていった。

「……思ったより早かったな」
「ね。アルビオンさんとか忙しいって話だったけど。でもリィを呼ぶのはちょっと余計」
「ちょっとどころじゃねえよ。もし途中に来たらお前に相手を頼むからな」
「いいよー。じゃあ先に言いたいことはぼくに言わせてね」
「ああ」

 その後、定刻まで待つと、アーノルドが一番に現れた。次にベリオル、ネフィルと続く。後ろの二人はここで初めてナオたちと顔を合わせたことになる。まじまじと少年二人を見つめるのに対し、ナオは冷たい一瞥を、レナは冷笑をくれてやった。
 その態度に、ベリオルもネフィルもわずかに喉を逸らした。呑まれるほどではないが、確かに威圧感を感じた。そもそも、大国の国王やその側近、王子王女の後見たる筆頭公爵を堂々と呼びつけて落ち着き払っている。身分に関わることなど全て些末事だというような傲岸不遜な態度だった。

(この少年たちが……)

 ベリオルはアーノルドからは「リエンの友人だ」という説明しか受けていない。用件は多少の予想はつけられるが、実際に目にすると、似ている、と思わせられた。
 ネフィルも、初対面であっさり己を打ち負かしていったかの女性を思い出した。

「初めまして!ぼくはレナといいます。こっちはナオ。そっちの名前も教えてもらっていい?」

 例えば、無邪気に笑いながらも棘を隠しもしないこと。

「なんで姫さんを呼びやがった」

 例えば、真っ向から鋭くこちらの手際を咎めること。

「おれらが用があったのはお前らだけで、あいつは無関係だ」
「卿らは、リエンに会うつもりはないのか?」
「なんでお前にお膳立てされなきゃいけねえんだよ」
「リィが帰ったら離宮に行ってびっくりさせるつもりだったの!」
「それは出過ぎたことをした」
「あとその卿って呼び方止めろ気持ち悪い」
「最適な呼び方がわからんのでな。卿らは、安易に名前で呼ばれたくはないのだろう」

 図星なのでナオは舌打ちした。レナは仕方ないと肩を竦めて隣に座るナオの膝を叩く。それで渋々諦めていたので、譲歩した、ということだろう。
 対するアーノルドは淡々とした物言いでありつつも、手探りで言葉を選んでいた。初対面の頃のリエンとも違う、独特の雰囲気。天衣無縫であり、その小さな身体のうちに激しい嵐を抱く少年たちは、昨晩からその片鱗を表に出していた。

『こんばんは、リィのお父さん』
『初めまして。おれらはあいつの同胞だ』

 国王の居室まで近衛の目を掻い潜り、「影」が立ち塞がれば容易く打ち払い、アーノルドと対面すれば間抜けな挨拶と共にその反応を観察する。この男が、という目で。

 ――この男が、奈積とリエンを追い詰めた一人か、と。

『お前らに聞きたいことも言いたいことも山ほどある。時間を寄越せ』
『リィの小さな頃に責任がある人たち呼んでほしいな。ナヅミ姉のことも知ってる人で。いるんでしょ?まとめてやった方が、色々楽だと思うよ』
『これはおれたちの自己満足だ。……でもな』

 黒い瞳も色違いの青と茶色の瞳も。抑えきれない怒りでぎらついていた。

『おれらだけしかいないんだから、やるしかねえんだよ』








☆☆☆









「リィ、お帰りなさい!」

 蛙のごとくリエンに飛びつこうとしたレナは、ガルダに襟首をがっしり捕まれて阻まれた。いつかの再現である。 

「離してくれない?」
「嫌だ」
「相変わらず心が狭いねえ」
「お前はずいぶんとふてぶてしくなったようだが?」

 ただし以前よりも火花が激しく散っている。ユゥがポカンとこれを見ていたので、リエンは二人を宥めることにした。

「ガルダ、離してあげて。レナは久しぶり。ユゥ、この子は療養旅行中に知り合った友だちのレナよ」
「……ゆう?」

 地に足を着けたレナが目を真ん丸にしてユゥを見つめ、リエンを振り返った。その物言いたげな眼差しに、リエンはああ、と手を打ち合わせた。

「今気づいたわ。でも全く無関係の別人よ」
「あ、そうなんだ。えーと、はじめまして。リィの友だちのレナです」
「はじめまして、リエンさまの侍女のユーフェ・サルビアと申します。リエンさまからはユゥと呼ばれております」
「侍女?」

 またレナがリエンを振り返った。

「バルトが『侍女嫌い』って言ってたのは?」
「……ユゥは例外」
「へー!」

 ユゥはきらきらとした瞳にたじろいだようだった。そういえばこっちは子どもが苦手だったとリエンが庇おうとしたら、とっくにレナがユゥとの距離を詰めていた。

「ぼくのことレナって呼んでね!ぼくと、あともう一人連れがいるんだけど、ユゥって呼んでもいい?あ、でも、リィだけの特別な呼び名とか?」
「そんなんじゃないわ」
「どうぞお好きなようにお呼びください、レナさま」
「さま付けなしで!よろしく!」

 二人が握手したのを見てリエンはほっとしつつ、ぐるりと部屋を見渡した。タバサにこの客室を案内されて扉を開けてみるとレナが待ち受けていたのだが、ナオの姿が見えない。

「レナ、ナオは?」
「ぼくも知らない。どこか散歩してるんじゃないかな」

 レナはしれっと嘘をついた。もちろん、つい先ほどまでナオを差し置いて国王たちに説教かましたのは内緒ごとである。今はナオが遠慮容赦なく絞り上げているはずだ。

「王さまに急襲したって聞いたんだけど、どうしたの?」
「誰、そんな人聞きの悪いこと言ったの。リィがいない間暇だったから、王都観光のついでにリィのお父さんの顔を見ておこうかなって思っただけだよ」
「別に、観光ついでに見るような面白味のある顔じゃないでしょ」
「言われてみればそうだったかも。全然びっくりしなかったんだもん」
「やっぱりそうだった?」
「あとね、卿って呼ばれたの、生まれて初めてだった。さすが偉い人って感じがしたよ。お前呼びとかじゃないんだもんね」
「王さまは確かにその辺り上品なのよね。いつもそこにくっついてるベリオルって人には会った?あの人なら偉い人だけど色々俗っぽいわよ」
「へー」

 聞くだけで胃が痛くなる会話に、ユーフェは聞こえていないふりでお茶の支度に取りかかることにしたのだった。

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