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コケても歩く
青玉と碧玉
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学園内の空気は、最近落ち着いてきたように思う。編入生の存在にも慣れ、それぞれの個性にも慣れ、一段落ついたような雰囲気だ。
ここひと月、とにかく気を張り詰めていたイオンもほっと一息を吐けるようになっていた。
もちろん日々ささやかな騒動がないわけではないし、差別もなくならないし、王女は相変わらずの不良っぷりを発揮してるし、王子とその学友もなんだかんだ好きなことをやっているし、イオンの負担は小さいようで大きい。それでも、リオールの身辺をまとめて整理できたので、ましになった方だ。
(これからまた仕事が増えるんだけどさー)
学園にまとめて問題を放り込むのは効率面からは理解できるが、実際働く側としては重労働すぎる。しかも、今のイオンは慣れた「影」としての立ち回りより、アルブス家三男という慣れない肩書きで動かなくてはならない。これが非常に疲れるのだ。
今の間だけでも緊張解いとくかあ……と、放課後、こっそりと校舎の屋上に登ってぼーっとしていたら、背後から「イオン」と声をかけられた。
生みの母の呼びかけに、イオンはぐでっとしたまま「……なんですか」と応えた。
「私服に着替えなさい」
「はい?」
「館に行くわよ」
「……えーなんで?」
「ボス――伯父さまの命よ」
イオンがやっと振り返ると、ナキアは侍女服ではなく貴婦人の格好をしていた。これでどうやって人目に触れず校舎の屋上まで来れたのか、息子のイオンでも想像がつかない。風で捲れ上がる前髪を片手で押さえ、そのドレス姿に首をかしげた。
「母上も?」
「ええ」
「……最近なんかワタシ働きすぎじゃない?なに?なんかしたっけ?」
「必要なのは用人ではなく、アルブス家三男よ」
「いやもうまじでそれが一番疲れるんだけど」
「あら、そう。それなら、せっかく伯父さまがあなたのために空けた今週末の休暇丸一日、今晩に振り当てましょうか?」
「急いで着替えてきます!!」
いつも指摘される語尾もきちんと短くして叫んだイオンは、全速力で校舎から飛び出した。
館とは王都にあるアルビオン公爵家の屋敷である。当主一家だけではなく、アルビオン一族で当主に認められた者なら滞在が許されている。
領地の屋敷とは違いちんまりした住居だが、内装は筆頭公爵家に相応しいものばかり取り揃えられていた。といっても、これまで十六年、まともにここで過ごした一族はいない。主さまだけがしょっちゅう王都に足を運んでいたが、これもまともな滞在もなくあちこちへ飛び回る日々だった。
そんなわけで常に静穏な館が、この日はどこか活気づいているように感じた。しかし、使用人に尋ねても、今日主さまはいらっしゃらないという。ついでに、呼び出した本人もまだこの館にいないようだ。
(何の用だろ)
一緒に来た母から一室で待機を命ぜられたるので仕方なく引きこもったが、その後、二時間は放置された。窓の外を見れば、夜の闇が重く静かに広がっていた。これ外泊になるのかなぁ、とちょっと思ったが、よく考えれば一ヶ月前までは平日でも勝手に外泊しまくりなんだった。仕事で。
この一月で変な風に「普通の生活」が馴染み始めてる気がする。気づいたら尻の座りが悪くなった。毎日寮の一室で寝起きして、勉強をして、どこぞの公爵家長男から絡まれるのをかわしつつ王族姉弟とアルフィオとリオールの面倒を見て。心労こそ果てしないが、殺伐という言葉とはとてつもなくかけ離れている安穏とした日々だ。
生徒でなおかつ王族の側に控えられる身分なのは同僚の中でも自分だけだったとはいえ、このままだと平和ボケするんじゃ……?と不安になり始めたところで、扉の奥からイオンを呼ぶ使用人の声がした。母が玄関の外で待っているという。出迎えということは主さまかなと思いつつ部屋を出ていき、母と横並びの位置で足を止めた。母の身長を追いこしたのはいつからか自覚はないが、今は頭半分、イオンの方が高い。
冬の冷えた闇に煌々と焚かれた灯りの下、数分無言で並び立っていると、二人の鋭敏な耳は、からからという車輪の回る音や騎馬の揃った足音、馬の息遣いや武器の擦れ合う音を拾い上げた。その数、二十は下らない。ぞろぞろと足並みを揃えてこの館に向かってくる。
初めてイオンはちらっとナキアを見た。
主さまの護衛にしてもやたらと随従が多くないかと思ったが、相変わらず母は直立不動で、視線すら動かさない。馬車が玄関から少し離れて停まると、ナキアがそちらへ歩き始めた。イオンものこのことそれについていった。
馬車馬の邪魔にならない地点に止まったナキアは、開き始めた馬車の扉を見つつ、初めてふっと笑った。
「元気そうね、セレネス」
イオンはと言えば、馬車から降りてきたその人物を長い前髪の隙間から目にした瞬間に脱兎のごとく逃げ出した。
同じく出迎えとして立っていた使用人たちが唖然としているのに対し、馬車の御者や護衛や領官などはやむなしと頷いたり苦笑したりしている。
そして、セレネスは、母に軽く挨拶したあと、満面の笑みで大好きな弟を追跡した。
用人としてのイオンならばたとえ相手が兄でも確実に逃げおおすことができただろうが、衆人環視の中では力を貴族子息の平均以下に制限してしまうイオンは、軍属して実戦にも駆り出されている、並み以上の実力のセレネスにたやすく押し倒されるに至ったのである。
「イオン!久しぶりだな!元気にしてたか?」
「だあああああっやめろ!離せ!顔寄せるな気持ち悪い!!」
「ひどい!ひどいぞ弟よ!感動の再会じゃないか!私もヘリオス兄上もとても寂しかったんだぞ?」
「知らないよ!!」
ここで動いたのは、馬車に同乗していたセレネスの従者だった。ナキアに挨拶したあと、熱烈な愛情表現をする主人を容赦なく引き剥がした。
「なんだアスティ!離せ!」
「申し訳ありません、イオンさま。セレネスさまもヘリオスさまも、ずいぶんとあなたさまにお会いできず便りもなく、寂しがっていたのは本当なのです。それに、ご心配もしております」
「……」
幼少からセレネスに仕えていたためイオンとも幼なじみであるアスティは、眩しそうにイオンを見下ろしていた。同年代なのになんで「大きくなったなあ」と言いたげな目で見てくるのか。イオンはむすっとした顔で起き上がり、服についた砂をはたいた。
従者に襟首を離されたセレネスも、にやっと笑った。今度腕を広げたときはイオンも避けなかった。セレネスは抱擁してぽんぽんと弟の背中を叩いて、あっさりと離れた。
「いじめられたらすぐに言えよ。直々に手を下してやる」
「何歳だと思ってるわけ」
セレネスはつっけんどんな物言いも無視して弟の長い前髪を半分だけ掻き上げ、露になった青い瞳をうっとりと眺めた。
「目を抉るような真似は、二度としてくれるなよ。おれたちはこの色が大好きなんだから」
「……だから何歳だって」
「お前が六歳の時だったか?そこからはめっきり会える機会もなくなって、一時期は連れていった母上もお恨み申し上げたが、お前にとって、その仕事は本当に救いだったんだな」
セレネスの笑みに悔恨の色が混じる。セレネスとヘリオスにとってイオンは「影」などという道具ではなく、大事な大事な弟だった。
あの時、イオンは目を潰さずに済んだが、そのかわりに日の当たらない場所に生きるようになった。侯爵家の三男として、明るい将来が約束されていたはずなのに。
「本当ならおれたちが、お前の居場所を守ってやるべきだったのに」
「――そんなこと、しなくていいよ」
イオンは自分で前髪を後ろに撫で付け、ナキア譲りの青い瞳でまっすぐに兄を見つめ返した。
改めて目が合ったセレネスは、ひっそりと息をのんだ。
己のなすことに自信と誇りを持つ者の表情が目の前にあった。
「おれは、守られるより、守る方が性に合ってるみたいだから」
はじめはきょとんとしていたセレネスは、一拍おいて、盛大に噴き出した。「そうかそうか!」と大笑いしながらまたイオンの体をばしばしと叩く。苦情は当然無視だ。
「セレネス、イオン。いい加減上がりなさい」
「……えーとつまり、ワタシが呼ばれたのはこのため?」
「そうよ」
しれっと答えたナキアに、イオンは全力で苦い顔を作った。
「予定はまだ先だった覚えがありますけど」
「前倒ししたんだよ。殿下方がこれから忙しくなるだろうから手助けを、とご当主と父上に急かされたんだ」
「それ聞いてないし」
「言わなかったのよ。事前に知っていたら逃げるでしょう、あなた」
「……」
毎度毎度、会うたびに全力で兄に抱きつかれる身にもなってほしい。逃げるに決まってるだろう。母がそのまま促してくるので、次兄と共に、やっと館に入った。アスティ以下アルビオン領から来た面々や館の使用人は、兄弟が感動の再会をしている間に、ナキアの指示で既に散っていた。
用人としてなら絶対にしないぶすくれ顔の末の息子と笑いっぱなしの次男を引き連れるナキアも、母親の顔になっていた。心なしか寛ぐように目を細めて息子たちを振り返る。
「あなたたち、着替えてきなさい。そのあとは食堂よ」
この顔ぶれで食事をするのも、とても久しぶりのことだった。
上階で弟と道を分かれたセレネスは、アスティが既に待っていた一室に入り、早速着替え始めた。アスティが黙々と手伝う中、ぽつりと呟きが漏れる。
「久しぶりにご当主にお会いした時の父上の気持ちが、よくわかった」
思わず主人を見上げたアスティは、その表情に爛漫な笑みがないことに気づいた。そこにあるのは、寂寥感と苦い喜びだった。従者の問いかけるような眼差しに気づいて、セレネスは今度こそはっきりと苦笑した。アスティはイオンが「影」だと知っている数少ない人間だったので、隠すのも無駄だと思ったのだ。
「アスティ。イオンはでかくなってたな」
「そうですね。お会いしたのも二年ぶりです」
「おれたちに守られる気はないんだとさ」
襟のボタンをとめるセレネスの背後に回って新しい上着を持って待機するアスティは、ちょっと驚いた。愛情表現という名の突撃をかましてくる兄たちをなんだかんだと明確に拒絶しないあたりが、イオンなりの甘え方だと、アスティにはわかっていた。それがもう甘えずともよくなったから「でかくなった」ということか。
「いいことではないですか」
「それはそうなんだが、なんだかな、やっぱり兄としての体面がな。役立たずって言われたみたいじゃないか」
「なにをおっしゃってるんですか。これからはご兄弟で共に守ることができるということでしょう?」
セレネスはたっぷり一分ほど黙り込んだ。それでも手先は動いていたので、アスティは上着を着せてから裾を伸ばしたりと最後の仕上げをして離れた。
「アスティ」
「はい」
「お前、いいことを言うな」
「恐れ入ります」
「こいつ」
謙遜する気が欠片もない従者の腹をどつくふりをしたセレネスは、晴れ晴れと笑っていた。
「――さてと。おれだけ抜け駆けもできないな。父上たちに手紙を出す。アスティ、用意しておけ」
「御意」
☆☆☆
セレネスが王城に伺侯するという情報は、風のような早さで諸侯の間を駆け巡ったらしい。公務として学園を欠席してその場に立ち会ったヴィーいわく、見物客で謁見の間が賑やかだったそうだ。
アルビオン一族の者が伺候するのは、実に十六年ぶりの快挙だ(ネフィルはこっそり入ったのでノーカン)。しかも高位の若君となれば、注目が集まるのも当然だ。それも王族直系の姉弟がアルビオン領へ旅をした直後ということで、「どちらがアルビオンを引っ張り出したのか」を知るために、謁見を見学したのたろう。
もちろんリエンは学園で不良学生をやっており、謁見の場にはいなかった。セレネスは王さまと挨拶を交わしたあとはヴィーやマティスと歓談したらしい。彼の優先順位がこれでわかろうというものだ。それでもリエンを無視できるわけがないから、その夕方頃、学園にやって来て、たった今ヴィーを交えて会談中である。
「うん、やっぱりイオンとそっくりだわ。目の色が違うだけで面白いくらい似てるのね。ヘリオスと合わせて三つ子でもいいんじゃない?」
リエンは遠慮なくそう言い放ち、セレネスは一拍おいて大笑いした。
「いや、殿下、もうほんと……っ」
お嬢さま口調を止めたリエンと会話するのは初めてのはずだが、セレネスはそこに突っ込む気はないようだった。ネフィルいわく、アルブス家はアルビオン一族の突然変異一家らしいが、こうして開けっ広げに笑っているのを見ると、本当だと納得する。「魔の微笑」どこ行った。
セレネスは涙さえ出てきたのでそれを拭い、なんとか笑いを落ち着けたあとは、すっと真顔になった。
「殿下方、感謝申し上げます」
おもむろにリエンとヴィーに向けて頭を下げる姿は誠実そのものだった。突然のことに、ヴィーと一緒に首をかしげる。
「何のこと?」
「弟には内緒でお願いします。あれはちょっと、自分の生まれに自信がない――なかったんですよ。アルビオンの色を継がなかったから」
「あの青い目?ナキアとそっくりで綺麗だと思うけど、それでは駄目なの?」
「幼い頃からの刷り込みっていうのは、なかなか馬鹿にできないものでして。私や兄は母から受け継いだ青い色が好きで羨ましいくらいだったんですが、弟は反対に、緑の瞳にこだわりました。しかも愚かな大人が当時の領主館に出入りしていまして、母の不貞の疑惑をこっそりと弟に吹き込んで……」
姉弟は揃って同じ顔をした。「馬鹿じゃないの」と言外に訴えてくる二人に、セレネスはまた笑いをこらえる顔になった。
「ええ。父は母に一途だし、母も父を夫として大切に思っています。いくら母が用人であるとはいえ、それは侮辱以外の何物でもありません。しかし、イオンは当時幼すぎました。父よりも家を空けがちな母の仕事のことなどまだ知らないくらいに。――私たち三人で領主館を庭にして遊んでいたら、ふとイオンが姿をなくしました。はぐれたのでしょうから、よくない大人の存在もあったので、会わせないうちにと必死に探していたんですが……。泣いているイオンを見つけたのは館の裏手の庭です。手のひら大の石を掴んで、自分の目に突き立てようとしていました。私たちは必死に呼びかけて駆けつけようとしたんですが、間に合いませんでした」
姉弟がはっと息を呑むのに対し、セレネスは笑みを崩さなかった。笑って思い出せるようになったのはつい先日のことだ。
「そこで、忽然と現れた母が、イオンの手から石を奪い取ってくれました。そのまま父の元へ二人で向かって、イオンが母と同じ生き方をすると決まりました」
アルビオン一族の中に拠り所がなかった、弱く純真なイオンが見つけた居場所が「影」だったのだ。もちろんセレネスたちはイオンを弟として息子として愛していたのだろうが、それだけでは生きてゆけなかったから、ナキアはイオンを暗く淀んだ世界に放り込んだ。イオンに適正があったのは、幸か不幸か。望んで影に潜み、着実に修練を積み、若くして優秀な用人へと成長した。
「そんなイオンが、用人であることを誇りに思うのと同時に、学園で父の息子と名乗って胸を張っているのです。こんなに喜ばしいことはありません」
「……それ、ぼくらのせいで単に仕事増やしてるだけじゃ……」
「いえ、いえ。殿下方のお陰で収まるべきところに収まったんですよ。母だってそうでしょう?」
「……まあ、確かに。イオンの目指すべき最終形態はああなのね」
つまり、アルブスの名を名乗る自信がなかったイオンに対し、リエンとヴィーがなにがしかやらかした結果吹っ切れたとかそういう意味らしい。心当たりはあるようはないような、いや、やっぱりある。リエンたちが好き放題やるからイオンが苦労したという話だ。
反省はしないが、さすがにその兄の手前微妙な顔になるのは、仕方ないことだろう。
セレネスは姉弟そっくり同じな渋面を見て、またまた大笑いした。
ここひと月、とにかく気を張り詰めていたイオンもほっと一息を吐けるようになっていた。
もちろん日々ささやかな騒動がないわけではないし、差別もなくならないし、王女は相変わらずの不良っぷりを発揮してるし、王子とその学友もなんだかんだ好きなことをやっているし、イオンの負担は小さいようで大きい。それでも、リオールの身辺をまとめて整理できたので、ましになった方だ。
(これからまた仕事が増えるんだけどさー)
学園にまとめて問題を放り込むのは効率面からは理解できるが、実際働く側としては重労働すぎる。しかも、今のイオンは慣れた「影」としての立ち回りより、アルブス家三男という慣れない肩書きで動かなくてはならない。これが非常に疲れるのだ。
今の間だけでも緊張解いとくかあ……と、放課後、こっそりと校舎の屋上に登ってぼーっとしていたら、背後から「イオン」と声をかけられた。
生みの母の呼びかけに、イオンはぐでっとしたまま「……なんですか」と応えた。
「私服に着替えなさい」
「はい?」
「館に行くわよ」
「……えーなんで?」
「ボス――伯父さまの命よ」
イオンがやっと振り返ると、ナキアは侍女服ではなく貴婦人の格好をしていた。これでどうやって人目に触れず校舎の屋上まで来れたのか、息子のイオンでも想像がつかない。風で捲れ上がる前髪を片手で押さえ、そのドレス姿に首をかしげた。
「母上も?」
「ええ」
「……最近なんかワタシ働きすぎじゃない?なに?なんかしたっけ?」
「必要なのは用人ではなく、アルブス家三男よ」
「いやもうまじでそれが一番疲れるんだけど」
「あら、そう。それなら、せっかく伯父さまがあなたのために空けた今週末の休暇丸一日、今晩に振り当てましょうか?」
「急いで着替えてきます!!」
いつも指摘される語尾もきちんと短くして叫んだイオンは、全速力で校舎から飛び出した。
館とは王都にあるアルビオン公爵家の屋敷である。当主一家だけではなく、アルビオン一族で当主に認められた者なら滞在が許されている。
領地の屋敷とは違いちんまりした住居だが、内装は筆頭公爵家に相応しいものばかり取り揃えられていた。といっても、これまで十六年、まともにここで過ごした一族はいない。主さまだけがしょっちゅう王都に足を運んでいたが、これもまともな滞在もなくあちこちへ飛び回る日々だった。
そんなわけで常に静穏な館が、この日はどこか活気づいているように感じた。しかし、使用人に尋ねても、今日主さまはいらっしゃらないという。ついでに、呼び出した本人もまだこの館にいないようだ。
(何の用だろ)
一緒に来た母から一室で待機を命ぜられたるので仕方なく引きこもったが、その後、二時間は放置された。窓の外を見れば、夜の闇が重く静かに広がっていた。これ外泊になるのかなぁ、とちょっと思ったが、よく考えれば一ヶ月前までは平日でも勝手に外泊しまくりなんだった。仕事で。
この一月で変な風に「普通の生活」が馴染み始めてる気がする。気づいたら尻の座りが悪くなった。毎日寮の一室で寝起きして、勉強をして、どこぞの公爵家長男から絡まれるのをかわしつつ王族姉弟とアルフィオとリオールの面倒を見て。心労こそ果てしないが、殺伐という言葉とはとてつもなくかけ離れている安穏とした日々だ。
生徒でなおかつ王族の側に控えられる身分なのは同僚の中でも自分だけだったとはいえ、このままだと平和ボケするんじゃ……?と不安になり始めたところで、扉の奥からイオンを呼ぶ使用人の声がした。母が玄関の外で待っているという。出迎えということは主さまかなと思いつつ部屋を出ていき、母と横並びの位置で足を止めた。母の身長を追いこしたのはいつからか自覚はないが、今は頭半分、イオンの方が高い。
冬の冷えた闇に煌々と焚かれた灯りの下、数分無言で並び立っていると、二人の鋭敏な耳は、からからという車輪の回る音や騎馬の揃った足音、馬の息遣いや武器の擦れ合う音を拾い上げた。その数、二十は下らない。ぞろぞろと足並みを揃えてこの館に向かってくる。
初めてイオンはちらっとナキアを見た。
主さまの護衛にしてもやたらと随従が多くないかと思ったが、相変わらず母は直立不動で、視線すら動かさない。馬車が玄関から少し離れて停まると、ナキアがそちらへ歩き始めた。イオンものこのことそれについていった。
馬車馬の邪魔にならない地点に止まったナキアは、開き始めた馬車の扉を見つつ、初めてふっと笑った。
「元気そうね、セレネス」
イオンはと言えば、馬車から降りてきたその人物を長い前髪の隙間から目にした瞬間に脱兎のごとく逃げ出した。
同じく出迎えとして立っていた使用人たちが唖然としているのに対し、馬車の御者や護衛や領官などはやむなしと頷いたり苦笑したりしている。
そして、セレネスは、母に軽く挨拶したあと、満面の笑みで大好きな弟を追跡した。
用人としてのイオンならばたとえ相手が兄でも確実に逃げおおすことができただろうが、衆人環視の中では力を貴族子息の平均以下に制限してしまうイオンは、軍属して実戦にも駆り出されている、並み以上の実力のセレネスにたやすく押し倒されるに至ったのである。
「イオン!久しぶりだな!元気にしてたか?」
「だあああああっやめろ!離せ!顔寄せるな気持ち悪い!!」
「ひどい!ひどいぞ弟よ!感動の再会じゃないか!私もヘリオス兄上もとても寂しかったんだぞ?」
「知らないよ!!」
ここで動いたのは、馬車に同乗していたセレネスの従者だった。ナキアに挨拶したあと、熱烈な愛情表現をする主人を容赦なく引き剥がした。
「なんだアスティ!離せ!」
「申し訳ありません、イオンさま。セレネスさまもヘリオスさまも、ずいぶんとあなたさまにお会いできず便りもなく、寂しがっていたのは本当なのです。それに、ご心配もしております」
「……」
幼少からセレネスに仕えていたためイオンとも幼なじみであるアスティは、眩しそうにイオンを見下ろしていた。同年代なのになんで「大きくなったなあ」と言いたげな目で見てくるのか。イオンはむすっとした顔で起き上がり、服についた砂をはたいた。
従者に襟首を離されたセレネスも、にやっと笑った。今度腕を広げたときはイオンも避けなかった。セレネスは抱擁してぽんぽんと弟の背中を叩いて、あっさりと離れた。
「いじめられたらすぐに言えよ。直々に手を下してやる」
「何歳だと思ってるわけ」
セレネスはつっけんどんな物言いも無視して弟の長い前髪を半分だけ掻き上げ、露になった青い瞳をうっとりと眺めた。
「目を抉るような真似は、二度としてくれるなよ。おれたちはこの色が大好きなんだから」
「……だから何歳だって」
「お前が六歳の時だったか?そこからはめっきり会える機会もなくなって、一時期は連れていった母上もお恨み申し上げたが、お前にとって、その仕事は本当に救いだったんだな」
セレネスの笑みに悔恨の色が混じる。セレネスとヘリオスにとってイオンは「影」などという道具ではなく、大事な大事な弟だった。
あの時、イオンは目を潰さずに済んだが、そのかわりに日の当たらない場所に生きるようになった。侯爵家の三男として、明るい将来が約束されていたはずなのに。
「本当ならおれたちが、お前の居場所を守ってやるべきだったのに」
「――そんなこと、しなくていいよ」
イオンは自分で前髪を後ろに撫で付け、ナキア譲りの青い瞳でまっすぐに兄を見つめ返した。
改めて目が合ったセレネスは、ひっそりと息をのんだ。
己のなすことに自信と誇りを持つ者の表情が目の前にあった。
「おれは、守られるより、守る方が性に合ってるみたいだから」
はじめはきょとんとしていたセレネスは、一拍おいて、盛大に噴き出した。「そうかそうか!」と大笑いしながらまたイオンの体をばしばしと叩く。苦情は当然無視だ。
「セレネス、イオン。いい加減上がりなさい」
「……えーとつまり、ワタシが呼ばれたのはこのため?」
「そうよ」
しれっと答えたナキアに、イオンは全力で苦い顔を作った。
「予定はまだ先だった覚えがありますけど」
「前倒ししたんだよ。殿下方がこれから忙しくなるだろうから手助けを、とご当主と父上に急かされたんだ」
「それ聞いてないし」
「言わなかったのよ。事前に知っていたら逃げるでしょう、あなた」
「……」
毎度毎度、会うたびに全力で兄に抱きつかれる身にもなってほしい。逃げるに決まってるだろう。母がそのまま促してくるので、次兄と共に、やっと館に入った。アスティ以下アルビオン領から来た面々や館の使用人は、兄弟が感動の再会をしている間に、ナキアの指示で既に散っていた。
用人としてなら絶対にしないぶすくれ顔の末の息子と笑いっぱなしの次男を引き連れるナキアも、母親の顔になっていた。心なしか寛ぐように目を細めて息子たちを振り返る。
「あなたたち、着替えてきなさい。そのあとは食堂よ」
この顔ぶれで食事をするのも、とても久しぶりのことだった。
上階で弟と道を分かれたセレネスは、アスティが既に待っていた一室に入り、早速着替え始めた。アスティが黙々と手伝う中、ぽつりと呟きが漏れる。
「久しぶりにご当主にお会いした時の父上の気持ちが、よくわかった」
思わず主人を見上げたアスティは、その表情に爛漫な笑みがないことに気づいた。そこにあるのは、寂寥感と苦い喜びだった。従者の問いかけるような眼差しに気づいて、セレネスは今度こそはっきりと苦笑した。アスティはイオンが「影」だと知っている数少ない人間だったので、隠すのも無駄だと思ったのだ。
「アスティ。イオンはでかくなってたな」
「そうですね。お会いしたのも二年ぶりです」
「おれたちに守られる気はないんだとさ」
襟のボタンをとめるセレネスの背後に回って新しい上着を持って待機するアスティは、ちょっと驚いた。愛情表現という名の突撃をかましてくる兄たちをなんだかんだと明確に拒絶しないあたりが、イオンなりの甘え方だと、アスティにはわかっていた。それがもう甘えずともよくなったから「でかくなった」ということか。
「いいことではないですか」
「それはそうなんだが、なんだかな、やっぱり兄としての体面がな。役立たずって言われたみたいじゃないか」
「なにをおっしゃってるんですか。これからはご兄弟で共に守ることができるということでしょう?」
セレネスはたっぷり一分ほど黙り込んだ。それでも手先は動いていたので、アスティは上着を着せてから裾を伸ばしたりと最後の仕上げをして離れた。
「アスティ」
「はい」
「お前、いいことを言うな」
「恐れ入ります」
「こいつ」
謙遜する気が欠片もない従者の腹をどつくふりをしたセレネスは、晴れ晴れと笑っていた。
「――さてと。おれだけ抜け駆けもできないな。父上たちに手紙を出す。アスティ、用意しておけ」
「御意」
☆☆☆
セレネスが王城に伺侯するという情報は、風のような早さで諸侯の間を駆け巡ったらしい。公務として学園を欠席してその場に立ち会ったヴィーいわく、見物客で謁見の間が賑やかだったそうだ。
アルビオン一族の者が伺候するのは、実に十六年ぶりの快挙だ(ネフィルはこっそり入ったのでノーカン)。しかも高位の若君となれば、注目が集まるのも当然だ。それも王族直系の姉弟がアルビオン領へ旅をした直後ということで、「どちらがアルビオンを引っ張り出したのか」を知るために、謁見を見学したのたろう。
もちろんリエンは学園で不良学生をやっており、謁見の場にはいなかった。セレネスは王さまと挨拶を交わしたあとはヴィーやマティスと歓談したらしい。彼の優先順位がこれでわかろうというものだ。それでもリエンを無視できるわけがないから、その夕方頃、学園にやって来て、たった今ヴィーを交えて会談中である。
「うん、やっぱりイオンとそっくりだわ。目の色が違うだけで面白いくらい似てるのね。ヘリオスと合わせて三つ子でもいいんじゃない?」
リエンは遠慮なくそう言い放ち、セレネスは一拍おいて大笑いした。
「いや、殿下、もうほんと……っ」
お嬢さま口調を止めたリエンと会話するのは初めてのはずだが、セレネスはそこに突っ込む気はないようだった。ネフィルいわく、アルブス家はアルビオン一族の突然変異一家らしいが、こうして開けっ広げに笑っているのを見ると、本当だと納得する。「魔の微笑」どこ行った。
セレネスは涙さえ出てきたのでそれを拭い、なんとか笑いを落ち着けたあとは、すっと真顔になった。
「殿下方、感謝申し上げます」
おもむろにリエンとヴィーに向けて頭を下げる姿は誠実そのものだった。突然のことに、ヴィーと一緒に首をかしげる。
「何のこと?」
「弟には内緒でお願いします。あれはちょっと、自分の生まれに自信がない――なかったんですよ。アルビオンの色を継がなかったから」
「あの青い目?ナキアとそっくりで綺麗だと思うけど、それでは駄目なの?」
「幼い頃からの刷り込みっていうのは、なかなか馬鹿にできないものでして。私や兄は母から受け継いだ青い色が好きで羨ましいくらいだったんですが、弟は反対に、緑の瞳にこだわりました。しかも愚かな大人が当時の領主館に出入りしていまして、母の不貞の疑惑をこっそりと弟に吹き込んで……」
姉弟は揃って同じ顔をした。「馬鹿じゃないの」と言外に訴えてくる二人に、セレネスはまた笑いをこらえる顔になった。
「ええ。父は母に一途だし、母も父を夫として大切に思っています。いくら母が用人であるとはいえ、それは侮辱以外の何物でもありません。しかし、イオンは当時幼すぎました。父よりも家を空けがちな母の仕事のことなどまだ知らないくらいに。――私たち三人で領主館を庭にして遊んでいたら、ふとイオンが姿をなくしました。はぐれたのでしょうから、よくない大人の存在もあったので、会わせないうちにと必死に探していたんですが……。泣いているイオンを見つけたのは館の裏手の庭です。手のひら大の石を掴んで、自分の目に突き立てようとしていました。私たちは必死に呼びかけて駆けつけようとしたんですが、間に合いませんでした」
姉弟がはっと息を呑むのに対し、セレネスは笑みを崩さなかった。笑って思い出せるようになったのはつい先日のことだ。
「そこで、忽然と現れた母が、イオンの手から石を奪い取ってくれました。そのまま父の元へ二人で向かって、イオンが母と同じ生き方をすると決まりました」
アルビオン一族の中に拠り所がなかった、弱く純真なイオンが見つけた居場所が「影」だったのだ。もちろんセレネスたちはイオンを弟として息子として愛していたのだろうが、それだけでは生きてゆけなかったから、ナキアはイオンを暗く淀んだ世界に放り込んだ。イオンに適正があったのは、幸か不幸か。望んで影に潜み、着実に修練を積み、若くして優秀な用人へと成長した。
「そんなイオンが、用人であることを誇りに思うのと同時に、学園で父の息子と名乗って胸を張っているのです。こんなに喜ばしいことはありません」
「……それ、ぼくらのせいで単に仕事増やしてるだけじゃ……」
「いえ、いえ。殿下方のお陰で収まるべきところに収まったんですよ。母だってそうでしょう?」
「……まあ、確かに。イオンの目指すべき最終形態はああなのね」
つまり、アルブスの名を名乗る自信がなかったイオンに対し、リエンとヴィーがなにがしかやらかした結果吹っ切れたとかそういう意味らしい。心当たりはあるようはないような、いや、やっぱりある。リエンたちが好き放題やるからイオンが苦労したという話だ。
反省はしないが、さすがにその兄の手前微妙な顔になるのは、仕方ないことだろう。
セレネスは姉弟そっくり同じな渋面を見て、またまた大笑いした。
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ぽちぽち更新します。
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脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
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気付いたら異世界に転生していた主人公。
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うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
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「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
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転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
悪役令嬢エリザベート物語
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私の名前はエリザベート・ノイズ
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