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第一部
5-8
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一人残ったクラウスは、暗闇の中でひとりごちた。
「これで、ローナが一族に見つかったか……」
「どうせ王都に住まわせた時点で折り込み済みでしょうに」
どこからともない声に振り返らずとも、クラウスはその声の主を知っていた。ナランが扱ったよりも無造作に宮内に火が灯る。シェリアがコツコツと歩き、適当なところで足を止めた。
「辞令を出して強制的に住まわせたのはあなたと先王だ。退位前の一仕事として。しかも異能持ちを仕官させる前代未聞」
「それを許したのが、あんたでしょう。エルフィズの守護は要のリギアが死に、そろそろ襤褸切れ同然だ。カンナが目醒めて力を馴染ませ、確実にサレンディアを掌握できるまで隠せればよかったんだから。ま、今でも完全にとは言えない様子だけど」
クラウスは横目にシェリアを見た。今回の件にナランが絡んでいるのは、疑惑よりも確信だった。とりあえずの釘は刺したが……同胞を狩られかかったシェリアが様子見の姿勢なのはいつものこととしておくが、それをありがたいと思うのはたいそう癪だ。いつもというか、ここ二十年ほどの話でもあったし。
「歳なんて関係ないくせに燃え尽きたような無気力はなんなんですかね。余生は後何年ですか。そろそろボケが出てくるんじゃないですか。それまでに放ったらかしの引き継ぎを陛下と公爵殿にしていくことをお勧めしますよ。お二人ともかわいそうです」
「……あんたね」
クラウスさまと呼んで慕う若者たちには到底聞かせられない文句である。シェリアは青筋を立てながら呆れるという器用な表情を作った。
「あなたのお仲間が、フィリスを見て懐かしいと言ったようで。あなたにとっても?」
「さあ。まともに見てないわ。寝過ごしまくった間に、落陽が夕立の元に還ったことに感慨深くでもなったんじゃないの」
「それを言えば、黎明には曙光が還りましたね。弱いといえば弱いですが。あなたは本当になにも教えていないのでしょう?」
クラウスは今朝乱入した、王家とサレンディアの対談の場を思い出して、くすりと笑った。両家が赤の子を揃って出してきたわりに、片方は確信犯で片方がとんと無自覚の所業であった。まあ、国力が古より遥かに安定している今では象徴的な意味合いしかないのだが。シュランツガルドは王家の子にしてはかなりツキがいい。
「そこら辺、ボケた前職国王がするべき引き継ぎでしょう。私の知ったことじゃない。失伝するならそこまでだわ」
「必要になったら掘り返すという意味で?」
「……どうかしらね」
少しの間と微妙な返答に、クラウスはほんの少し笑った。昔なら即座に否定したものを。
老いを止め、人間と己に明確な境界線を引きながらも、突き詰めたその最果てまでは分かたれない。なんだかんだで捨てきれない人間味。シェリアの時を止めたのが人間なら、動かすのもまた人間なのだろう。
「サレンディアの記録も役立てられるといいですが。次代がちょっと……」
「あれ以外のまともなのはいないの。能力は優秀でも、性格ひん曲がってるじゃないの」
「取り繕ってあれですから、当主になったらますますですかね。まあそのための側付きです」
「投げたわね。いつまでカンナ以外に膝を屈しないでいるの」
「もちろん、最期まで」
シェリアは今度こそ心底まで呆れ返った。
クラウスは若い時分――少年ともいえる頃――からよんどころない事情で年単位で昏睡していたカンナのために外界に出て術師でもないのに王家の周囲をうろちょろしまくり、当時王子だった先王(別名虐殺王)からおれに仕えろ鬱陶しいと言われても「ふざけんな」と一蹴し、あちこち邪魔をしまくり、当時の「玄」とかち合っては大爆笑され、妹が後を追ってくれば手を取り合って向かうものを撥ね飛ばし、得た友情と妹の恋路に時々寄り道し、どこまでもひたすらに駆けていた。
歳を取って落ち着いて見えるのは完全に見た目だけだ。いや、それこそ若い頃から詐欺かというくらい表情筋は完璧に穏和な人物を形成していたが。
「これでひねくれてるってわけじゃないのが納得いかないわ……」
クラウスは類まれな頭脳と行動力を兼ね備えている。サレンディアとして異能の才を持たないことなど欠点にはならないほど。
ないものねだりでひねくれるくらいならまだ可愛げがあるのだが、もし仮にクラウスが異能を持っていればとっくに殺されるか自ら寿命を削り落として早逝していたし、実際のクラウスは現実的である。ないならない。持たない自分のできることをただ成すだけ。
ぼやいていると、クラウスがやたらじろじろ見つめてくるのに気づいた。
「なに」
「……いえ。まさか本当にただ雑談するためだけにここに来たんですか?暇持て余しすぎでしょう。どうせなら公爵殿の負担軽減の方にも働いたらどうですか」
「待ち合わせしてる間の暇潰し程度でしかないわよ。どうして休暇中に働いてやらなきゃいけないわけ」
「期限がないなら気分転換もいいと思いますが……待ち合わせ?」
こんな極端に侵入が制限される宮内を待ち合わせに使うなど、よほどの嫌がらせでなければ、シェリアのような人外しかいない。おそらく後者だろうとクラウスは頷いた。多分。嫌がらせを絶対にしないとは言い切れないが。今のところ怠惰すぎて嫌がらせも面倒くさがっていそうだ。
「あんた失礼なこと考えてない」
「さてなんのことやら。それでしたら伝言を頼みます。ローナの首飾りを無傷で拾って、サレンディアへ届けてくれて助かりましたと、お願いします。では私はここで失礼します」
クラウスは優雅に一礼すると、もはや一瞥もなく扉へ進み、手をかけた。開く直前に、軽い靴音が一つだけ鳴った気がしたが、やはり振り向くことはなかった。
外へ出て後ろ手に扉を閉めれば、生温い風が音を立てて吹き抜けた。雲の流れも早い。国王も神祇官もいなくなった小路にかかる木かげが色を深くしていく。
まもなく通り雨が降る。
クラウスは大股に踏み出した。今から急いで帰っても途中で降られそうだが、仕方がない。朝昼をまともに食べていないので空腹だし、ローナは最悪こそ免れたがまだ危険な容態だし、トーサについてももう一度診察しておきたい。
ルアやナジカだって、昨夜からろくに眠っていないはずだ。
気にかかることはいくつもあって、気ばかり忙しなくても時間は無情に流れ去る。
どこもかしこも手がかかる。それでも厄介だとは思わなかった。
「クラウス!!」
結局、上着を傘のように翳して濡れ鼠一歩手前の状況で公爵邸に帰り着いたクラウスは、とたんにナジカの突撃に遭った。
目元がやけに赤く腫れているのはまた泣いたんだろうとか、香の匂いではなくパンの香りがついているのでローナは無事目覚めたようだとか、どうやらクラウスに用があるみたいだが珍しく迷わず来れたものだとか。諸々クラウスは瞬時に状況を読み取ったが、理解できないことが一点。
「ナジカ、濡れるからちょっと離れて。どうしてそんなに怒ってるんだい」
目だけでなく頬を真っ赤にして、息を切らしているナジカは、聞いている風ではなかった。表情の変化に乏しかった少女は昨夜の大泣きからずいぶんと変容を遂げていた。とはいえ感慨深くなる余裕は今はない。濡れるのなんてお構いなしにクラウスの懐にしがみつき、クラウスを潤んだ緑の瞳で見上げて、ナジカは勢い任せに言った。
「私クラウスの家にまだ住んでていいよね?」
「うん?」
「ローナが駄目って言ってもクラウスがいいって言えば、いいんだよね?ヤヌシってそういうのなんだよね?私、もっとちゃんと働くから。掃除だってごはん作るのだって少しずつできるようになってるから。郵便の仕分けもできるようになったよ。文字もこれからたくさん覚えるし、縫い物も頑張るから、だから、いいよね?」
クラウスはなんなら即答したかったが、あまりに矢継ぎ早に健気なことを言われすぎて、あーとんーの中間の音を発するに留まった。
奥の方からセナトが布を持ってやって来ているのが見えたが、ナジカを見つけて目を見開いたあと、どこか悟ったような表情で天井を仰いでいた。クラウスも公爵邸の質素な天井の鑑賞と決めこみたかったが、ナジカの眼力からは逃れようがなかった。逸らしたら泣く。別の意味で負けられないにらめっこ開幕だ。
「……ちょっと落ち着こうか。セナト君」
「はい」
ナジカの頭にセナトから受け取った布をそのまま被せた。新たに布を取りに戻ったセナトを見送りつつ、布越しに頭を撫で撫で乾いた笑みを浮かべる。遠い目になっている自覚はある。
次から次へとなんなのか。
(本当に手がかかる……)
どうやらちょくちょく後先考えない甥っ子は、余計なことを考えて余計なことを口走ったようである。
ぷは、と布から顔を出したナジカにただいまと言うと、ナジカはやっと我に返ったのか、「おかえりなさい」と、ちょっぴりはにかんだ。
「これで、ローナが一族に見つかったか……」
「どうせ王都に住まわせた時点で折り込み済みでしょうに」
どこからともない声に振り返らずとも、クラウスはその声の主を知っていた。ナランが扱ったよりも無造作に宮内に火が灯る。シェリアがコツコツと歩き、適当なところで足を止めた。
「辞令を出して強制的に住まわせたのはあなたと先王だ。退位前の一仕事として。しかも異能持ちを仕官させる前代未聞」
「それを許したのが、あんたでしょう。エルフィズの守護は要のリギアが死に、そろそろ襤褸切れ同然だ。カンナが目醒めて力を馴染ませ、確実にサレンディアを掌握できるまで隠せればよかったんだから。ま、今でも完全にとは言えない様子だけど」
クラウスは横目にシェリアを見た。今回の件にナランが絡んでいるのは、疑惑よりも確信だった。とりあえずの釘は刺したが……同胞を狩られかかったシェリアが様子見の姿勢なのはいつものこととしておくが、それをありがたいと思うのはたいそう癪だ。いつもというか、ここ二十年ほどの話でもあったし。
「歳なんて関係ないくせに燃え尽きたような無気力はなんなんですかね。余生は後何年ですか。そろそろボケが出てくるんじゃないですか。それまでに放ったらかしの引き継ぎを陛下と公爵殿にしていくことをお勧めしますよ。お二人ともかわいそうです」
「……あんたね」
クラウスさまと呼んで慕う若者たちには到底聞かせられない文句である。シェリアは青筋を立てながら呆れるという器用な表情を作った。
「あなたのお仲間が、フィリスを見て懐かしいと言ったようで。あなたにとっても?」
「さあ。まともに見てないわ。寝過ごしまくった間に、落陽が夕立の元に還ったことに感慨深くでもなったんじゃないの」
「それを言えば、黎明には曙光が還りましたね。弱いといえば弱いですが。あなたは本当になにも教えていないのでしょう?」
クラウスは今朝乱入した、王家とサレンディアの対談の場を思い出して、くすりと笑った。両家が赤の子を揃って出してきたわりに、片方は確信犯で片方がとんと無自覚の所業であった。まあ、国力が古より遥かに安定している今では象徴的な意味合いしかないのだが。シュランツガルドは王家の子にしてはかなりツキがいい。
「そこら辺、ボケた前職国王がするべき引き継ぎでしょう。私の知ったことじゃない。失伝するならそこまでだわ」
「必要になったら掘り返すという意味で?」
「……どうかしらね」
少しの間と微妙な返答に、クラウスはほんの少し笑った。昔なら即座に否定したものを。
老いを止め、人間と己に明確な境界線を引きながらも、突き詰めたその最果てまでは分かたれない。なんだかんだで捨てきれない人間味。シェリアの時を止めたのが人間なら、動かすのもまた人間なのだろう。
「サレンディアの記録も役立てられるといいですが。次代がちょっと……」
「あれ以外のまともなのはいないの。能力は優秀でも、性格ひん曲がってるじゃないの」
「取り繕ってあれですから、当主になったらますますですかね。まあそのための側付きです」
「投げたわね。いつまでカンナ以外に膝を屈しないでいるの」
「もちろん、最期まで」
シェリアは今度こそ心底まで呆れ返った。
クラウスは若い時分――少年ともいえる頃――からよんどころない事情で年単位で昏睡していたカンナのために外界に出て術師でもないのに王家の周囲をうろちょろしまくり、当時王子だった先王(別名虐殺王)からおれに仕えろ鬱陶しいと言われても「ふざけんな」と一蹴し、あちこち邪魔をしまくり、当時の「玄」とかち合っては大爆笑され、妹が後を追ってくれば手を取り合って向かうものを撥ね飛ばし、得た友情と妹の恋路に時々寄り道し、どこまでもひたすらに駆けていた。
歳を取って落ち着いて見えるのは完全に見た目だけだ。いや、それこそ若い頃から詐欺かというくらい表情筋は完璧に穏和な人物を形成していたが。
「これでひねくれてるってわけじゃないのが納得いかないわ……」
クラウスは類まれな頭脳と行動力を兼ね備えている。サレンディアとして異能の才を持たないことなど欠点にはならないほど。
ないものねだりでひねくれるくらいならまだ可愛げがあるのだが、もし仮にクラウスが異能を持っていればとっくに殺されるか自ら寿命を削り落として早逝していたし、実際のクラウスは現実的である。ないならない。持たない自分のできることをただ成すだけ。
ぼやいていると、クラウスがやたらじろじろ見つめてくるのに気づいた。
「なに」
「……いえ。まさか本当にただ雑談するためだけにここに来たんですか?暇持て余しすぎでしょう。どうせなら公爵殿の負担軽減の方にも働いたらどうですか」
「待ち合わせしてる間の暇潰し程度でしかないわよ。どうして休暇中に働いてやらなきゃいけないわけ」
「期限がないなら気分転換もいいと思いますが……待ち合わせ?」
こんな極端に侵入が制限される宮内を待ち合わせに使うなど、よほどの嫌がらせでなければ、シェリアのような人外しかいない。おそらく後者だろうとクラウスは頷いた。多分。嫌がらせを絶対にしないとは言い切れないが。今のところ怠惰すぎて嫌がらせも面倒くさがっていそうだ。
「あんた失礼なこと考えてない」
「さてなんのことやら。それでしたら伝言を頼みます。ローナの首飾りを無傷で拾って、サレンディアへ届けてくれて助かりましたと、お願いします。では私はここで失礼します」
クラウスは優雅に一礼すると、もはや一瞥もなく扉へ進み、手をかけた。開く直前に、軽い靴音が一つだけ鳴った気がしたが、やはり振り向くことはなかった。
外へ出て後ろ手に扉を閉めれば、生温い風が音を立てて吹き抜けた。雲の流れも早い。国王も神祇官もいなくなった小路にかかる木かげが色を深くしていく。
まもなく通り雨が降る。
クラウスは大股に踏み出した。今から急いで帰っても途中で降られそうだが、仕方がない。朝昼をまともに食べていないので空腹だし、ローナは最悪こそ免れたがまだ危険な容態だし、トーサについてももう一度診察しておきたい。
ルアやナジカだって、昨夜からろくに眠っていないはずだ。
気にかかることはいくつもあって、気ばかり忙しなくても時間は無情に流れ去る。
どこもかしこも手がかかる。それでも厄介だとは思わなかった。
「クラウス!!」
結局、上着を傘のように翳して濡れ鼠一歩手前の状況で公爵邸に帰り着いたクラウスは、とたんにナジカの突撃に遭った。
目元がやけに赤く腫れているのはまた泣いたんだろうとか、香の匂いではなくパンの香りがついているのでローナは無事目覚めたようだとか、どうやらクラウスに用があるみたいだが珍しく迷わず来れたものだとか。諸々クラウスは瞬時に状況を読み取ったが、理解できないことが一点。
「ナジカ、濡れるからちょっと離れて。どうしてそんなに怒ってるんだい」
目だけでなく頬を真っ赤にして、息を切らしているナジカは、聞いている風ではなかった。表情の変化に乏しかった少女は昨夜の大泣きからずいぶんと変容を遂げていた。とはいえ感慨深くなる余裕は今はない。濡れるのなんてお構いなしにクラウスの懐にしがみつき、クラウスを潤んだ緑の瞳で見上げて、ナジカは勢い任せに言った。
「私クラウスの家にまだ住んでていいよね?」
「うん?」
「ローナが駄目って言ってもクラウスがいいって言えば、いいんだよね?ヤヌシってそういうのなんだよね?私、もっとちゃんと働くから。掃除だってごはん作るのだって少しずつできるようになってるから。郵便の仕分けもできるようになったよ。文字もこれからたくさん覚えるし、縫い物も頑張るから、だから、いいよね?」
クラウスはなんなら即答したかったが、あまりに矢継ぎ早に健気なことを言われすぎて、あーとんーの中間の音を発するに留まった。
奥の方からセナトが布を持ってやって来ているのが見えたが、ナジカを見つけて目を見開いたあと、どこか悟ったような表情で天井を仰いでいた。クラウスも公爵邸の質素な天井の鑑賞と決めこみたかったが、ナジカの眼力からは逃れようがなかった。逸らしたら泣く。別の意味で負けられないにらめっこ開幕だ。
「……ちょっと落ち着こうか。セナト君」
「はい」
ナジカの頭にセナトから受け取った布をそのまま被せた。新たに布を取りに戻ったセナトを見送りつつ、布越しに頭を撫で撫で乾いた笑みを浮かべる。遠い目になっている自覚はある。
次から次へとなんなのか。
(本当に手がかかる……)
どうやらちょくちょく後先考えない甥っ子は、余計なことを考えて余計なことを口走ったようである。
ぷは、と布から顔を出したナジカにただいまと言うと、ナジカはやっと我に返ったのか、「おかえりなさい」と、ちょっぴりはにかんだ。
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