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第一部
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朝を感じさせるのは瞼を差すような日の光であり、鶏の威勢のいい鳴き声であり、煮炊きの匂いである。
その全てが一緒くたになって、強烈な刺激としてローナを叩き起こした。
(朝!)
カッと目を開いて勢いよく身を起こすと、枕元のクラウスが苦笑した。
「おはようローナ」
「おはよう!」
「トーサ君が隣で寝ているから、静かにね。先にこっち飲みなさい。着替えはそこ。少しでも朝食を食べてから探しに行きなさい。ルアが用意しているから」
「いや、帰ってきてから」
「ルアもナジカも、昨日君が倒れてからずっと、待ちぼうけをしていたんだよ」
ローナは薬湯を一気飲みしようとして固まり、そのまま意欲をしおしおと萎ませた。頭痛も目眩も夜明け前よりましになったが、気合いと勢いに任せればいけるんじゃないかという程度には酷い。けれど説教はともかく、いきなり倒れて一晩中心配をかけただろう二人を蔑ろにはしたくない。
朝を待ったのだから今さら朝食の時間くらい延ばしたって変わらないだろうと、無理やり意識を切り替えた。
「……わかった。伯父さんは?」
「私の分は、後でここに持ってきてもらうように頼んでおいて」
「トーサの分は?」
「起きるまではどうかな。内臓は逸れていたとはいえ、腹部に傷があるからね」
「今起きてるみたいだけど」
ローナの眠っていた寝台の隣、もう一つの寝台に横たわるトーサは、見た目だけはすやすや眠っているようだが、指摘されたとたんにぱちりと片目を開けた。
「なにか飲むか?」
唇が薄く開いたのを見て問いかけると、目だけが頷く。クラウスが薬湯を吸い飲みに移している間に、トーサはゆっくりと体を起こそうとしていた。
「トーサ君はそのまま寝ていなさい。抜糸まで大人しくしているように。傷が開くよ。食欲は?」
「……あります」
「普通の飯でもいいの?」
「食って治すからいいんだよ……」
脇腹とはいえ胴体に穴を空けたくせにそんな無茶なと、ローナは呆れ半分困惑半分で伯父を見たが、クラウスは本人が言うならと頷いた。
「ただし量は少なめに。満腹で突っ張ったらいけないから」
「伝えとく。じゃあ行ってきます!」
「行ってらっしゃい。気を付けて。現場にはまだ公爵殿がいるだろうから、先に話を通すといいよ」
「わかった。ありがとう」
ローナは自分の分の薬湯を一気飲みして着替えると、そのコップを持って部屋を出ていった。
公爵邸はだだっ広い。ローナとトーサの一時的な医務室になった場所は食堂からどの辺りだろうかと思ったが、長く続く廊下を見て進む先を悩んだのは、ほんの僅かな間だけだった。
自分のいる場所が風上から風下に変わったように、突然ルアやナジカの気配がわかった。廊下と階段をどう進めばいいのかも。
トーサを探したときに似ているが、ただでさえ頭が痛いのに気合いを入れたつもりはないし、なにより、わかるというよりは誰かに情報を鼻っ面にぶち当てられたような勢いだった。
(首飾りがないとこうなるのか……)
力の制御が全然できない。セナトの気配を感じる必要はなかったし、この場所から朝食の献立を当てたって意味がない。
話好きの人に興味のない話題で捕まって、会話を切りたいのに切れないのに似ている。そういうときは、せめてこちらの興味がある話題にずらせば辛さはましになる。だが今のローナにこれは失敗だった。興味というか目下の一大事は、首飾りの行方に他ならない。
「力」が屋敷の外へと手を伸ばしていくので、慌てて打ち切るようにナジカとトーサのことを思い浮かべた。トーサから異様に張り詰めた雰囲気は感じられず、どうやらもう死ぬ気はないようだとか、これからどこでどう暮らすんだろうとか、ナジカはそれについて行くのかとか。
ナジカ・ハヴィンからナジカ・ハーバルトに変わるなら、トーサとは義理の父娘になるな、と考えたらちょっと笑えた。基本的に人のことを名前で呼ぶナジカにトーサに向かって「お父さま」と言わせてみたい。多分もっと笑う。
「あいつ、老け顔だから、案外似合う、かも……っ」
ごまかしにも早々に限界が来た。いきなり体が真っ二つに割れた。いや、体じゃなく、意識が。片方がナジカの元へ、もう片方がトーサの方へ。特別頭痛が増したりはしなかったが、感覚的に物凄く気持ち悪い。現実のローナに残る意識は乏しく、さらには一度外へ向かった力さえ、帰ってこずにそのままどこかへ向かっている。
コップを落として割ったのは、音がした後に気づいた。それで自分のいる場所を思い出す。意識はどんどん千切れていくけれど、ここに繋ぎ止めされすれば、取り戻せるはず。
「よけいな、ことは、かんがえるな」
早く、早く元通りになって、料理の仕上げをしているルアや、カトラリーを広いテーブルに丁寧に並べていくナジカに会いに行って、笑っておはようと……。
……あれ、家族は「余計なこと」なんだっけ?
「ローナ君、どうしたの……うわっ!?」
急激に靄がかる視界に飛び離れるセナトの影を見る。トーサが跳ね起きクラウスが振り向いた、衣擦れのかすかな音。屋敷のすぐ近くはまだ人通りは閑散としていて、広い通りに向かうにつれ往来が賑やかになる。がらりがらりと時々音を立てる焦げ臭い屋敷の近く、カイトがケイトの呼びかけに淡々と応えていると、途中で言葉を不自然に切った。
「ローナ君!どうなってんの急に!?めっちゃゾワゾワするんだけど!首飾り失くしたって聞いたけどそれだけでこうなるの!?」
誰もいないがらんとしたクラウスの家が物寂しい。なのに変な音がして、辿ればクラウスの部屋のようだ。
ばたばたと滅多になくクラウスが慌ててローナに駆け寄ってくる。肩で結って垂らした髪が跳ね踊る。セナトがローナの側でそわそわしている。袖口から武器を出したりしまったり。
「うわ無理、これ以上近寄ったら反射で殺しそう……あ、クラウスさま、ローナ君これどうなってます?」
「ローナ、ローナ?こっち向いて。そのまま座れるかい。寝てもいいから、前には倒れないで、破片が」
「あ、ちょっと女の子二人呼んでこよ。私よりましなはず」
くるりと踵を返したセナトへとっさに手を伸ばした、ような気がする。いつから自分は綱渡りをしていたのだろう、ちかちかする黒白の靄の中をぐらりと落ちそうになって、トーサの手が襟首を掴んで引き戻してくれた。頭の上に舌打ち。
「おいローナ、そんなに具合悪いなら当分大人しくしとけよ。傷口が開くだろうが、おれの」
「トーサ君、そのまま押さえて」
セナトがルアとナジカに声をかけると、それぞれ手に持った物を放り出して駆けつけてくる。ああ、安心させようと思ってたのに。
クラウスの指に額を押された。なぞるようになにかを描いている。
徐々に靄が薄れていく。ローナ自身の潤んだ目が、視界の端に金と銀の光を見た。
「ローナ!」
耳が声を聞く。額が熱い。体中が軋みを上げる。汗の伝う感触、涙と一緒にこぼれていく……水。そうだ、水の音だ。クラウスの部屋、書斎机の脇の水盆がひとりでに波立っていて。ぽたりと雫が落ちて。
りぃん、と鈴の音がした。
その人が振り返った。
豊かな黒髪が波打つ隙間から、青光りする瞳がローナを見た。ローナもその人を見た。
それが最後だった。
「……確か、首飾りが異能の制御になるんじゃなかったか」
「この後探しに来るとクラウスさまはおっしゃっていたが」
反射的に暗器を抜き払ったケイトは、しっかりとセレノクール公爵邸の方を振り向いていた。カイトもいつでも抜ける姿勢で同じ方向を見ている。その方向から、確かに妙な気配を感じたからだ。
周囲は、崩壊しても時々音を立てて細かく崩れてゆく、煙の立つ屋敷の方に意識が向いていて、カイトたちの張り詰めた雰囲気には気づいていなかった。
術師はその異能があるゆえ手に負えない。だからこそ、彼ら玄は会敵即殺を本能に叩き込んでいる。気配を感じれば殺す。それが普通の人間にとっては最も安全だった。
殺さない例外は今のところ一人だけ。術師とも呼べぬ――己が血の意味すらろくに知らぬ未熟者。
一瞬よりも長く触れた気配は、カイトやケイトが手を下すまでもなく、ふっつりと絶えている。セナトの仕業ではないだろう。ランファロードは城にいる。なによりも、ただ気配に触れただけなのが、以前の剣術大会での邂逅を思い出させた。
二人は警戒しつつも武器から手を離した。
「ケイ、様子を見てきてくれ。私はまだここから動けない」
「城の方はどうする。終戦からぱったり絶えていたくせに、今さら思い出したように表敬訪問するなんてよ。即位の祭りはとっくに終わってるっつーの」
「いずれにせよ、クラウスさまがいなければサレンディアとはまともに挨拶すらできない。伝言も一緒に頼む」
「あ、そうだった。さすがに殺しちゃまずいのか。わかった、行ってくる」
ケイトが身軽に駆け去っていくのを見送ることもなく、カイトは他の配下に新たな指示を出しはじめた。昨夜から消火もせず自然な鎮火を待っていたのは、その作業で緩んだ包囲網から敵が逃げ出すのを嫌ったためだ。とはいえもう日が昇ったし、後片付けはカイトがいなくても済む。
指示だけ出した後は急いで城へ向かった。火事から避難する紳士淑女に紛れて逃げようとした術師をクラウスが生け捕りにした昨夜から明けて、サレンディアが数十年ぶりに伺候した今朝だ。
どう見繕っても、まともな用事ではありえなかった。
その全てが一緒くたになって、強烈な刺激としてローナを叩き起こした。
(朝!)
カッと目を開いて勢いよく身を起こすと、枕元のクラウスが苦笑した。
「おはようローナ」
「おはよう!」
「トーサ君が隣で寝ているから、静かにね。先にこっち飲みなさい。着替えはそこ。少しでも朝食を食べてから探しに行きなさい。ルアが用意しているから」
「いや、帰ってきてから」
「ルアもナジカも、昨日君が倒れてからずっと、待ちぼうけをしていたんだよ」
ローナは薬湯を一気飲みしようとして固まり、そのまま意欲をしおしおと萎ませた。頭痛も目眩も夜明け前よりましになったが、気合いと勢いに任せればいけるんじゃないかという程度には酷い。けれど説教はともかく、いきなり倒れて一晩中心配をかけただろう二人を蔑ろにはしたくない。
朝を待ったのだから今さら朝食の時間くらい延ばしたって変わらないだろうと、無理やり意識を切り替えた。
「……わかった。伯父さんは?」
「私の分は、後でここに持ってきてもらうように頼んでおいて」
「トーサの分は?」
「起きるまではどうかな。内臓は逸れていたとはいえ、腹部に傷があるからね」
「今起きてるみたいだけど」
ローナの眠っていた寝台の隣、もう一つの寝台に横たわるトーサは、見た目だけはすやすや眠っているようだが、指摘されたとたんにぱちりと片目を開けた。
「なにか飲むか?」
唇が薄く開いたのを見て問いかけると、目だけが頷く。クラウスが薬湯を吸い飲みに移している間に、トーサはゆっくりと体を起こそうとしていた。
「トーサ君はそのまま寝ていなさい。抜糸まで大人しくしているように。傷が開くよ。食欲は?」
「……あります」
「普通の飯でもいいの?」
「食って治すからいいんだよ……」
脇腹とはいえ胴体に穴を空けたくせにそんな無茶なと、ローナは呆れ半分困惑半分で伯父を見たが、クラウスは本人が言うならと頷いた。
「ただし量は少なめに。満腹で突っ張ったらいけないから」
「伝えとく。じゃあ行ってきます!」
「行ってらっしゃい。気を付けて。現場にはまだ公爵殿がいるだろうから、先に話を通すといいよ」
「わかった。ありがとう」
ローナは自分の分の薬湯を一気飲みして着替えると、そのコップを持って部屋を出ていった。
公爵邸はだだっ広い。ローナとトーサの一時的な医務室になった場所は食堂からどの辺りだろうかと思ったが、長く続く廊下を見て進む先を悩んだのは、ほんの僅かな間だけだった。
自分のいる場所が風上から風下に変わったように、突然ルアやナジカの気配がわかった。廊下と階段をどう進めばいいのかも。
トーサを探したときに似ているが、ただでさえ頭が痛いのに気合いを入れたつもりはないし、なにより、わかるというよりは誰かに情報を鼻っ面にぶち当てられたような勢いだった。
(首飾りがないとこうなるのか……)
力の制御が全然できない。セナトの気配を感じる必要はなかったし、この場所から朝食の献立を当てたって意味がない。
話好きの人に興味のない話題で捕まって、会話を切りたいのに切れないのに似ている。そういうときは、せめてこちらの興味がある話題にずらせば辛さはましになる。だが今のローナにこれは失敗だった。興味というか目下の一大事は、首飾りの行方に他ならない。
「力」が屋敷の外へと手を伸ばしていくので、慌てて打ち切るようにナジカとトーサのことを思い浮かべた。トーサから異様に張り詰めた雰囲気は感じられず、どうやらもう死ぬ気はないようだとか、これからどこでどう暮らすんだろうとか、ナジカはそれについて行くのかとか。
ナジカ・ハヴィンからナジカ・ハーバルトに変わるなら、トーサとは義理の父娘になるな、と考えたらちょっと笑えた。基本的に人のことを名前で呼ぶナジカにトーサに向かって「お父さま」と言わせてみたい。多分もっと笑う。
「あいつ、老け顔だから、案外似合う、かも……っ」
ごまかしにも早々に限界が来た。いきなり体が真っ二つに割れた。いや、体じゃなく、意識が。片方がナジカの元へ、もう片方がトーサの方へ。特別頭痛が増したりはしなかったが、感覚的に物凄く気持ち悪い。現実のローナに残る意識は乏しく、さらには一度外へ向かった力さえ、帰ってこずにそのままどこかへ向かっている。
コップを落として割ったのは、音がした後に気づいた。それで自分のいる場所を思い出す。意識はどんどん千切れていくけれど、ここに繋ぎ止めされすれば、取り戻せるはず。
「よけいな、ことは、かんがえるな」
早く、早く元通りになって、料理の仕上げをしているルアや、カトラリーを広いテーブルに丁寧に並べていくナジカに会いに行って、笑っておはようと……。
……あれ、家族は「余計なこと」なんだっけ?
「ローナ君、どうしたの……うわっ!?」
急激に靄がかる視界に飛び離れるセナトの影を見る。トーサが跳ね起きクラウスが振り向いた、衣擦れのかすかな音。屋敷のすぐ近くはまだ人通りは閑散としていて、広い通りに向かうにつれ往来が賑やかになる。がらりがらりと時々音を立てる焦げ臭い屋敷の近く、カイトがケイトの呼びかけに淡々と応えていると、途中で言葉を不自然に切った。
「ローナ君!どうなってんの急に!?めっちゃゾワゾワするんだけど!首飾り失くしたって聞いたけどそれだけでこうなるの!?」
誰もいないがらんとしたクラウスの家が物寂しい。なのに変な音がして、辿ればクラウスの部屋のようだ。
ばたばたと滅多になくクラウスが慌ててローナに駆け寄ってくる。肩で結って垂らした髪が跳ね踊る。セナトがローナの側でそわそわしている。袖口から武器を出したりしまったり。
「うわ無理、これ以上近寄ったら反射で殺しそう……あ、クラウスさま、ローナ君これどうなってます?」
「ローナ、ローナ?こっち向いて。そのまま座れるかい。寝てもいいから、前には倒れないで、破片が」
「あ、ちょっと女の子二人呼んでこよ。私よりましなはず」
くるりと踵を返したセナトへとっさに手を伸ばした、ような気がする。いつから自分は綱渡りをしていたのだろう、ちかちかする黒白の靄の中をぐらりと落ちそうになって、トーサの手が襟首を掴んで引き戻してくれた。頭の上に舌打ち。
「おいローナ、そんなに具合悪いなら当分大人しくしとけよ。傷口が開くだろうが、おれの」
「トーサ君、そのまま押さえて」
セナトがルアとナジカに声をかけると、それぞれ手に持った物を放り出して駆けつけてくる。ああ、安心させようと思ってたのに。
クラウスの指に額を押された。なぞるようになにかを描いている。
徐々に靄が薄れていく。ローナ自身の潤んだ目が、視界の端に金と銀の光を見た。
「ローナ!」
耳が声を聞く。額が熱い。体中が軋みを上げる。汗の伝う感触、涙と一緒にこぼれていく……水。そうだ、水の音だ。クラウスの部屋、書斎机の脇の水盆がひとりでに波立っていて。ぽたりと雫が落ちて。
りぃん、と鈴の音がした。
その人が振り返った。
豊かな黒髪が波打つ隙間から、青光りする瞳がローナを見た。ローナもその人を見た。
それが最後だった。
「……確か、首飾りが異能の制御になるんじゃなかったか」
「この後探しに来るとクラウスさまはおっしゃっていたが」
反射的に暗器を抜き払ったケイトは、しっかりとセレノクール公爵邸の方を振り向いていた。カイトもいつでも抜ける姿勢で同じ方向を見ている。その方向から、確かに妙な気配を感じたからだ。
周囲は、崩壊しても時々音を立てて細かく崩れてゆく、煙の立つ屋敷の方に意識が向いていて、カイトたちの張り詰めた雰囲気には気づいていなかった。
術師はその異能があるゆえ手に負えない。だからこそ、彼ら玄は会敵即殺を本能に叩き込んでいる。気配を感じれば殺す。それが普通の人間にとっては最も安全だった。
殺さない例外は今のところ一人だけ。術師とも呼べぬ――己が血の意味すらろくに知らぬ未熟者。
一瞬よりも長く触れた気配は、カイトやケイトが手を下すまでもなく、ふっつりと絶えている。セナトの仕業ではないだろう。ランファロードは城にいる。なによりも、ただ気配に触れただけなのが、以前の剣術大会での邂逅を思い出させた。
二人は警戒しつつも武器から手を離した。
「ケイ、様子を見てきてくれ。私はまだここから動けない」
「城の方はどうする。終戦からぱったり絶えていたくせに、今さら思い出したように表敬訪問するなんてよ。即位の祭りはとっくに終わってるっつーの」
「いずれにせよ、クラウスさまがいなければサレンディアとはまともに挨拶すらできない。伝言も一緒に頼む」
「あ、そうだった。さすがに殺しちゃまずいのか。わかった、行ってくる」
ケイトが身軽に駆け去っていくのを見送ることもなく、カイトは他の配下に新たな指示を出しはじめた。昨夜から消火もせず自然な鎮火を待っていたのは、その作業で緩んだ包囲網から敵が逃げ出すのを嫌ったためだ。とはいえもう日が昇ったし、後片付けはカイトがいなくても済む。
指示だけ出した後は急いで城へ向かった。火事から避難する紳士淑女に紛れて逃げようとした術師をクラウスが生け捕りにした昨夜から明けて、サレンディアが数十年ぶりに伺候した今朝だ。
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