少年の行く先は

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第一部

2-2

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 ランファロードは、王城でも最も奥まった飛燕宮の、人気の少ない一画をすたすたと歩いていった。

 まだ朝早く、日も昇り始めたばかりの時刻である。
 最近はほとんど訪れる余裕もなく、時たま深夜に主の顔を覗きに来るぐらいのもので、夜更けと違う夜明けの静けさを新鮮に感じる。道行きで支度の早い侍女数人とすれ違う。挨拶されたので返すと頬を染められたが、興味は全くわかない。自分の容姿がどれだけ人目を引くのか自覚するランファロードにしてみれば、むしろ鬱陶しかった。慎ましやかな見た目に似合わず豪気な女官長などを見習えばいいものを。
 主の部屋につくと、控えの間に通された。継承権がなく旨味がないと、誰も世話を見たがらない主を気にかけてくれる女官長は、今朝も主の部屋で当然のようにランファロードを迎え、主の身支度を手伝いに行った。他数人の侍女はまたもや頬を染めつつお茶を出してくれるので、飲みながら待った。

「――ランファが?」
 ミアーシャは赤い髪を手で梳けずりながらきょとんとした。普段寝てばかりなので目覚めは早く、今日も起こされる前に寝台に起き上がっていた。訪ねてきた女官長ライナはええ、と少し不満げに頷いた。
「この時間に来るのは、少々非常識じゃありませんか?」
『氷の貴公子』相手にこんなことを言うのはこの人ぐらいのものである。だいたいランファロードを従者としていることにやっかみをもらうこともあるミアーシャは、思わず笑ってしまう。軽やかに笑声を響かせるのは、嬉しさのためだ。ライナは、ランファロードの訪問がミアーシャの睡眠を妨げたのではないかと慮ってくれる奇特な人物なのだ。 
「いいよ、会うよ。あいつが忙しいのは知ってるからな」
 この時間しかとれなかったのだろうと、ベッドから降りて部屋を出ていこうとすると、「お待ちください」と引き留められた。
「ライナ?」
「まさか、王女殿下ともあろう者が、寝起きとわかる格好で殿方と会われるわけではありませんよね?」
 図星を指されてミアーシャがぎくりと固まると、ライナは深々と嘆息した。
「待たせましょう」
「……手早く頼む」
「五分はかかりますわ」





 そうしてちゃんと櫛で寝癖を整えられ、淡い紫のワンピースと白の肩かけ
に着替え、バルコニーでランファロードと会うことにする。ライナは心得たように人払いをし、離れたところで控えた。天気がいいので、ミアーシャも清々しくお茶を飲んだ。
「――じゃあ、今日の正午からなら大丈夫、なのか?」
「ええ」
 ランファロードは淡々と頷き、ミアーシャの顔が輝いた。お忍びを許容してくれたことも、今日、それの人生二度目の決行日であることも、いっしょに行ってくれることも。全てミアーシャにとってはとても嬉しいことだった。
「……眼を離した隙にどこかへ行かれるより、ましなので」
 ランファロードが思わず付け足したのも当然なほど上機嫌だったが、ミアーシャだって、同じ轍を踏もうとは思っていない。独断専行にはもう懲りた。
 あの日、城にもどってお説教かと思いきや、ミアーシャが二日寝込むほどの熱を出してしまい、うやむやになった。それでもライナには怒られたし、リンダには泣きつかれた。ランファロードは、その後ろでずっと、ミアーシャの言い訳を聞いているだけだった。相変わらず疲労で死にそうな顔で。
 何も言われなかったのが、一番こらえた……とは、面と向かって言えない。そこまで失望させたのかと落ち込んだし、そこまでしても曖昧な自分の立場に心底嫌気が差した。
 義兄が帰ってきて即位して、義理の妹が王位継承権第一位になったことで、よりいっそう城は居心地が悪くなった。ミアーシャの周囲はいいのだ。けれど、その外縁が……相変わらず、自分の存在意義を問うている。なんのための王女という身分なのかと。
(……もし、兄たちが反乱を起こさなかったら……?)
 もし、母がミアーシャを見てくれていたら。

 ……もしも、ミアーシャがを止められていたら。
 そこには、こことは違う未来があったはずだった。

「……昼からしか時間がとれず、申し訳ありません」

 はっと我に返った。考え事に耽っていたけれど、それはランファロードに謝らせるためではない。むしろ、こちらこそ謝罪することだ。本来なら二度と外出も許されないはずだったのに。継承権もろくな縁談もないお飾りの姫のくせに、城で一番の有望株を振り回し続けている。
 けれど、やっぱりミアーシャは謝罪できなかった。まともに息をするために。自分で自分を否定しないために。
「……いい。私も、あれで、ちょっとは懲りたから。私のそばにお前たちがいることを……本当の意味で思い知った。迷惑はかけたくない」
「…………」
 今度はランファロードがふっつりと黙り込んだのを、お茶を飲みながら窺う。一番忙しい時期は乗り越えたとはいえ、やはり大した休息は取っていないらしかった。 
「……私も手伝おうか」
「……はい?」
「書類整理とかは難しいけれど、使いっ走りならできるぞ?」
「やめてください周りが卒倒します」
「リルがやるよりかはましだろう?」
 義妹の名を出すと、頭痛がするとばかりに額を押さえられた。
「……比較するところじゃありませんし、ましというだけで状況は変わりません」
「そうか?」
 本当にやめてほしそうだったし、視界の隅でライナもすごい顔をしていたので、諦めた。譲れないからこそ、せめて負担だけでも軽くしたいのだが……。
 手伝えないなら、待つばかりのミアーシャに、一体何ができるというのだろう……。
「んー。なら、こうしようか」
 ランファロードが顔を上げた、その藍色の瞳と眼があって、にっこり微笑んだ。








 ――今日の三時から、行こう。それくらいなら、私も待てる。

(……思ったよりまともな意見だった、といえば、怒られただろうな……)
 ティリベルの副長官に宛がわれた執務室で、恐ろしい早さで書類を捌きながら、ランファロードはそう一人ごちた。次から次へと持ってこられる書類が目減りしていく様に、たまたま居合わせた文官がものすごく怯えているが、気にするのも面倒だった。
「君、時間が空いているなら、これらを長官のところへ」
「は……はいっ」
 時間に余裕ができたからといって、仕事に手を抜くことはない。それが、不安定な王族兄妹を守るためには従者という身分では足りないと、政治に首を突っ込んだランファロードなりの矜持であり、義務だった。
 だが、カリカリとペンで署名していく間にも、ふと気が逸れてしまう。他でもない主人のためだ。
 結局一人でお忍びを決行したことについて、お説教をしなかったのは、する権利がなかったからだ。本来ならば、まず一番にミアーシャのそばに侍るべきランファロードが、遠い場所にいたのだから。そして、今回も気を遣わせてしまった。それがとても情けなかった。
(……一度、リセットしたい)
 大体こんなに多忙なのはランファロードのせいではない。新王妃の誕生に合わせて退官したエレノア・セレノクールという、優秀なもう一人の副長官の抜けた穴を、長官であるノゼル・ダポートが埋めようとしなかったからだ。このアホみたいに忙しい時期に、普段は二人で捌いていた物事が全部、ランファロードに降りかかったのだ。それに最近は新たな問題も浮上してきていた……と。
(いや、余計なことは考えるな。今日だけは、せめて……)
 今日の午後の休暇をもぎ取るだけでも苦労したのだ。長官に、下から上がってきた様々な始末書を押しつけ、軍との折衝を粗方やっつけ、しまいには長官に「特務機関ハルジアに告げ口しますよ」と、休みない自分の数ヶ月の出勤状態のメモを見せて脅しつけ、ようやく長官も折れてくれた。さすがに仕事を任せすぎたと反省して欲しい。ぜひとも。でなければハルジアに本気で通報して、部下の仕事を管理できない無能な上司のレッテルを張り付けてやるところだ。あそこは内部の監察も行う上で特権を与えられているので、長官だろうと引きずり落とせる。
 ふふふふふ、と知らず漏れていた小さな笑い声に、文官がまた怯えたが、今度は気づかず、正午の鐘と共に仕事を切り上げた。



「……あ、兄さん!仕事?」
「いや、仮眠室に……」
 城の一角にある図書館へ足を運んだのはその通り、仮眠室があるからだ。法務機関ルーリィの棟で、史官が管理する一角だ。
 違う機関で働く弟ネイシャは、本棚を漁っていた手を止めて、輝かしい笑顔で寄ってきた。まるで対のように明るい金のくせっ毛が揺れる。ランファロードと同じ造作で、でもより瑞々しい。セフィア兄弟は、社交界ではその人気を二分するほどの美貌だった。ただし、系統は全く違う。滅多に笑わないランファロードとは対極に、ネイシャは普段からうっすらと笑みを浮かべている。
 そしてネイシャは、何よりも兄が大好きだった。ランファロードはその辺りを少し失念していて、ふと思いついて、「今、暇か?」と尋ねた。珍しくも兄に頼られるチャンス、と目をきらりと光らせたネイシャは、この後の用事を全部同僚に押しつけることにして、「全然暇だよ!!」と元気よくのたまった。
「どのくらい休むの?」
「一時間半仮眠したいんだが」
「起こせばいいんだね?わかった」
 ネイシャも、過酷な兄の現状を知っている。本来ならば夜までぐっすり寝かせてやりたいが、それをやるとランファロードに嫌われる。出すぎたことをしないのがネイシャにとっても精一杯のことだった。

 仮眠室は本来あまり使われることはない。特に、大きな国事が終わったあとならばなおさらだ。図書館の奥の仮眠室はがらんと全く人気がなく、ランファロードは剣を寝台の脇に立てかけて、横になった。本当に限界だったのか、呼吸を数えることもなく、そのままことんと眠りに落ちていった。
 ネイシャとしては、ここまで無防備な姿を晒してくれるだけでも嬉しいことだった。小さい頃から兄に守られていたからこそ、返せる機会をずっと窺っているのだ。これしきのことでは全然足りない。
「……お昼ごはん食べたのかな」
 ぽつりと呟いて、慌てて口を塞いだ。兄は過去のあることから、気配にはひどく敏感だった。わずかな物音でも目覚めるくらいに……だが、今は全くその気配がない。ほっとしながらも、少し怒りが芽生えたのは仕方ないことだろう。
 兄の寝顔を眺めつつ、持ち込んだ図書館の本をぱらぱらと捲っていたら、後ろの扉から微かに物音がして、……そっと小さく息をついて、立ち上がった。

「……何の用」
「……ネイシャ。ランファは……」
 仮眠室の前でうろうろと落ち着かなげなミアーシャは、思わぬ人物の登場に驚いていた。ネイシャはすかさず自分の口元に人差し指を当てた。ぐいとその細い腕を引っ張り、仮眠室から遠ざける。咄嗟のことに、ミアーシャは反応できなかった。
「なにしに来たの。まさかまた一人ってわけじゃないよね」
「お前、知ってたのか?」
 ミアーシャの脱走事件は知っている者の方が稀だが、ネイシャにしてみれば驚かれることではない。無視して周囲を見回すと、近衛唯一の女騎士が視界の片隅に見えたので、ようやく手を離した。
「ほんのちょっとは学習したみたいだね。でも、なんでここに来たの?」
「……ランファの様子を見ようかと……」
「あのね」
 あんまり考えなしな王女に、ネイシャはとことん苛ついた。誰のせいで兄が限界まで働き続けたと思っているのだ。本棚に背中を預けて、少し背の低い王女をまるで敬う気配もなく見下ろす。
「兄さんの気持ち考えてよ。何のために自分の部屋に戻らず仮眠室にいると思ってるの?あんたが心配する筋合いは全くないんだよ。さっさと帰って」
「……」
「知ってるでしょ。ぼくはあんたが嫌いだ。あんたの兄君もね。王族はみんな嫌い。兄さんを振り回して、ずっと使い潰す。昔からずっとそうだ。けどね」
 ランファロードの瞳より明るい水色の瞳が剣呑に煌めいた。黙り込むミアーシャを傷つけることすら、ネイシャはためらわない。なにより、この無邪気に残酷に甘えようとしてくる様が、昔の自分に似ていて反吐が出そうだった。
「兄さんはあんたにだけは心配されたくないんだよ。あんたの前じゃ、いつだって完璧な顔をする。だから帰って、黙って待ってろ。これ以上兄さんを追い詰めるな」
 そう、まるでミアーシャはネイシャにそっくりだった。なにより、ランファロードが背負いこもうとするところが。見捨てた方が楽だったのに、戦乱の最中をネイシャを引き連れて、常にネイシャのために人をためらわず殺した。戦乱を乗り越えても、何もできない幼いネイシャは知らない間に人質になって、ランファロードは王家の犬になった。その間、一切の苦痛も漏らさなかった。
 ネイシャがその真実を知ったのは、兄に並び立とうと官吏になったあと。

 ……ミアーシャが同じように守られてるから、ランファロードを止められないのだった。でないと、かつての自分が否定されてしまうから。ランファロードが守ってくれた事実が、無駄になるから。

「何もできないなら、黙って守られるくらい、しろ。あんたの前じゃ兄さんは笑うよ。それで満足しろ。兄さんの矜持を足蹴にすることだけは、ぼくは絶対に許さない」


  
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