どーでもいいからさっさと勘当して

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 ナジェルは、スートライト侯爵家長女との婚姻を諸手を上げて歓迎するつもりだった。いずれ継承する子爵家に宗主の血が入る名誉に預かることもそうだし、ナジェル本人がヒルダのことを好ましく思っていたからだ。
 しかもあちら側から申し入れられたことだ。いち分家が断る余地はなく――父母はどうせならアデルがよかったと傲慢にも惜しんでいたが――、ナジェルの意志に関わらず、手のひらに宝石が落ちてくる。一時はスートライト侯爵家の娘が嫁ぐというので早とちりして「大輪」との仲をやっかまれたのが面倒だったが、相手がヒルダとわかったとたんに潮が引くようにその妬み嫉みが失せたことには、腹立ちと奇妙な恐ろしさを覚えていた。

 彼らは、ヒルダをずば抜けたものを持つ兄妹に挟まれた可哀想な子だと、そんな風に言いながら、ナジェルにそんな「可哀想な子」と添い遂げるなんてと同情し、あるいは嘲笑うのだ。
 その矛盾に気づいていないのか。

(ヒルディアさまとて、スートライト侯爵家のご令嬢なんだぞ)

 頭脳で兄に劣ろうが、美貌で妹に劣ろうが、かの方は紛れもなく教養深く貞淑な貴婦人だ。一度話しただけでそうなのだとは誰もがわかるはずだ。わからないはずがない。わから……ないのか、まさか?

(だけど、気づかれても厄介なのか)

 結局ヒルダが手に入るのならそれでよい、と葛藤しつつも頷いたナジェルだが、一つ、大問題があった。

(緊張で……顔が……強ばる……!!)

 ヒルダを「未来の妻」として認識するようになってから、美しいとか可愛いとか思うたびに自分の心身が石のように固まるこの現象は一体なんなのか。病気なのか。恋なのは確かなはずだがこれは重すぎないか。
 自分がこんなに奥手というか面倒な性格だとは思っていなかった。ヒルダはまさしく神々しく輝いていて、触れることさえ禁忌に思え、会話するのもその声を聞いてもいいのか毎度ためらうことになる。というか未来の妻と考えただけで鼻血さえ出そうで、そんな醜態はさすがに晒せないと、とことん接触を避ける日々が始まった。
 それでもヒルダから折々に送られる手紙の文字に心を踊らせ、贈られる品にやにさがり、時に共に社交に出ると隣の存在を意識するだけでくらくらとめまいがした。ただし、こちらから手紙を送ろうとすると途端に書くべき言葉が全く思いつかず、贈り物にも品物の見当をつけることすらできず、鼻血問題のために顔を会わせても逃げるしかない。泣きたい。
 しかも、相談できる相手がいなかった。
 サーヴェ子爵家の雰囲気は、ヒルダと接触しているうちに妹姫のアデルとも関わりを持ち、気を引くことさえできれば結婚相手をすげ替えることもできるのでは、と画策していたので、ナジェルの婚約者としての至らない部分をあえて糺すこともなかった。恋愛感情をもて余すナジェルはそんな思惑に気づかず、「どのみち結婚するんだから親交を深めるのはその後でいいや」と問題を先送りしてしまった。

 そんなわけで、あの婚約解消はなるべくしてなったのだ。

 ナジェルがその事実を知ったのは、ヒルダがその書面に名前を書き込み、屋敷を飛び出していった後だった。












 なんでもないような日の晩餐の後。両親に呼び出されておめでとうと言われて差し出されたその婚姻誓約書を見て、訳がわからなくなった。
 なぜ自分の名前と大輪の名前が並んでいる?重婚、な訳がない。我欲だけで犯罪をしでかすほど腐った父だとは思いたくもない。しかし問いただすまでもなく「さすがだ」「よくやりましたわね」と誉められている内容を聞くだけで事態が見えてきて、ここに来てナジェルは一気に顔色を青ざめさせた。

 本人の直筆署名が求められる書類に、家族といえども、委任を受けたわけでもない他者が記名するのも、立派な犯罪だ。

「この婚姻誓約書は無効です!!」

 それだけを叫んで子爵邸を飛び出し、侯爵邸へと駆けつけた。ヒルダはこのことを知っているのだろうか。――知らないはずがない。きっとヒルダとの婚約は解消かなにかされているからこそのあの書面だ。でもそれにもナジェル本人の署名が必要で、つまりそれも無効であって――。

(なぜ侯爵はこんな真似を!?)

 ヒルダを想うのとは別に、スートライト家門下の子爵家嫡男としても見過ごせなかった。
 まずあまりにも外聞が悪い。姉の婚約を妹が横取りしたのだ。スートライト侯爵家の内部だけに留まらず、噂好きな貴族が様々に囀ずることになるだろう。王国社交界で話の種にされることは間違いなかった。
 同時に、臣下の信頼を大きく損なう。この領ではアデルは女神もかくやという求心力を持っている。その女神を、これまで夫候補に入っていなかった男へぽんと差し出したのだ。サーヴェ家だけが強い風を吹き付けられるだけではない。正規の手続きをもって婚姻を申し込んだ各家は、礼儀と忠節を踏みにじった侯爵についてどう思うだろうか。
 ――だいたい、アデルが敵意を真っ向からぶつけてきたのは数日前のことで、なぜそんな彼女が婚約者にすりかわるのだ。

「約束はないが、ヒルディアさまとぜひ会わせていただきたい!」

 なぜか慌ただしい気配の屋敷の中でそう叫んだナジェルは違和感を抱いた。宗主の屋敷に先触れもなく突撃してきたナジェルに対し、使用人たちは安堵していたのだ。どこかからやたらとすごい音が響いているのも気になったが、今はそんなことに構う余裕はない。

「よ……よくいらっしゃいました、ナジェル・サーヴェさま」
「ヒルディアさまはどこだ」
「そ、それより、どうぞこちらへ。アデライトお嬢さまにお会いしてくださいませんか」
「ヒルディアさまが先だ!」
「もうあの方はいらっしゃらないのです!それよりもお嬢さまを!」

 ナジェルが先に客として礼を欠いたとはいえ、使用人の態度はあまりにもひどい。ナジェルは仕える主人の義理の息子に当たるのだ、その意向に対し「それよりも」だと?
 しかも――なんだその口振りは。「お嬢さま」はお前にとってアデルだけなのか。それとも、それがこの屋敷の総意なのか。

「ヒルディアさまとてわが領の姫で、このスートライト家のご令嬢だろうが!!」
「ヒィっ!っあ、あの方は、スートライトとご縁を切られたのです!もうこの屋敷にはいらっしゃいません!ですからお嬢さまをっ、どうか!旦那さまも奥さまも近づけずにお止めできないのです!」
「――……は……?」

 頭が真っ白になった次の瞬間、ガッシャン、とひときわ大きな破壊音に思わず顔を上げた。「アデル!危ない!」「落ち着いて!」という侯爵夫妻の声も聞こえた。
 ヒルダの声は、しない。

 足が自然とその音の方向に進み始めた。階段を登り、廊下を進み、使用人の誰もが通りすぎる間際にナジェルの顔を見て安堵をこぼす。その意味を考えたらいけないと本能が告げていた。……それでも、ヒルダの姿を確かめたかった。出ていったのなんて嘘だと思いたかった。

「おお!ナジェル!ちょうどよかった、お前が適役だろう!」
「アデル!あなたの愛しの方がお見えよ!ほら!」

 とんでもない騒音が響く部屋の扉付近には侯爵夫妻しかいなかった。ナジェルは呆然としたまま、その部屋に押し込められた。

「……アデライト・スートライト嬢……?」
「――なに。あんたまで、来たの?」

 そこには美しい獣がいた。部屋は破壊の限りを尽くされ、元の相様など全く想像できない。局地的な嵐が襲ったという方がまだ信じられる。割れ物という割れ物は全て破片として散乱し、壁紙も剥がれ、木材の家具も悉くが折れ割れている。これを人間の、まして「大輪」と称される若き貴婦人がしでかしたとは、脳が受けつけられなかった。
 おぞけをふるったナジェルをアデルはちらりと見て、瞬間、飛びかかってきた。
















 ナジェルが意識を取り戻したときにはアデルも姿を消しており、スートライト侯爵家は前代未聞の不祥事に大荒れに荒れていた。そんな中でナジェルは折れた腕と肋骨の回復と、事態の正確な把握に努めた。
 混乱の渦中にいながらにして、大人たちへのささやかな抵抗も忘れなかった。
 アデルとの婚約を公表させず保留に持ち込み、ずいぶんな勝手をしでかした両親へは嫡男の大怪我を盾にとって侯爵家へ糾弾させるように仕向けた。侯爵家はろくな謝罪もなくアデルの大暴走を「身を引いてくれた姉への思いが爆発した」とか大変お粗末な理由をつけて、ろくな謝罪もなくごまかしていたので笑ってしまう。その言い訳で「誰」を庇っているつもりだ。
 少なくともナジェルの両親は侯爵家へ不信を抱いた。宗主の横暴に自らの意志で乗っかったくせに、自分達が損をすると気づいたら手のひらを返したのだ。我が親ながら呆れたもので、政務からの引退を進言した。

 その後も侯爵家を震源にして領内に伝わる動揺は留まるところを知らなかった。
 アデルの婚姻のためにその哀れな姉を勘当までして見せたことも、亀裂を走らせた。天才になれない凡人というだけで、害にもならなかった娘。その娘を追い出してまでアデルに夫をあてがいたかったのかと、特に若い娘を持つ貴族家は無言で距離を置くようになった。
 侯爵が王都からアデルを連れ帰れなかったというそれだけであらぬ風聞が飛び交うのも、もはや自明の理であった。侯爵家は公に弁明させるために必要な駒であるアデルを手元に収められず、領内の統制を失った。

(……違う。ヒルディアさまがいないからだ)

 兄妹の威光に潰されることなくまっすぐと立ち続けたヒルダなら、セシルとアデルがいなくても、きっと毅然として鎮めていたはずだ。
 それでも今は侯爵にやってもらうしかない。それを支えるのが門下の役目。いかに不信を抱こうとも領全体の荒廃は見過ごせない。その片手間でヒルダのことを密かに探し回る日々だった。
 理不尽な婚約解消を盾に要求したのが当主からの勘当なんて、明らかに過ぎたる願いで、それをいともたやすく容認した侯爵はなにも考えていなったに違いない。臣下たちの心が離れつつある今もそうだ。ヒルダの名前をたったの一度も声に出すことなく、セシルとアデルをと言うだけの日々。
 今さらのようにヒルダを取り巻く環境の醜悪さが身に迫ったが、彼女はもうそこから脱していた。自分の手で。

 会いたい、なんて。ナジェルにはもう言う資格はないかもしれないが、それでも会いたかった。

 荒廃する領地だとか、政治的思惑だとか、言い訳はいくらでも出てきて、正直後で我に返ったとき自殺したくなるくらい自己嫌悪に駆られたが。

 本当は、ただ一つだけの理由で、道を走る馬車を飛び出したのだ。








「鼻血か……まさか本当に出るとは……」

 公爵家の仲裁ですごすご引き下がり、馬車の座席に座り直したとき。ぽたりと鼻血が出てきてげんなりした。これまでヒルダの前で鼻血出そうとは何度となく思ってきたが、出たのは今回がはじめてだ。

 ……やっぱり病的なのでは、自分。










☆☆☆









「ヒルダさん!よかった!」
「心配したのよもう!」
「昨日は、迷惑をかけて本当に申し訳ありませんでした」
「迷惑じゃなくて心配だし!言葉も固すぎるわよ!」

 ソラリア商会で働く女性陣は、ヒルダ以外の全員が平民だ。結婚している者が大半だが、未婚のヒルダと同年代の娘もいる。近年貴族の間で女性の社会進出について注目されている中、平民方面でその道を先駆ける立場にあるのがソラリア商会だった。まだまだ試行錯誤の途上だが、未婚の女性にとってはそこらの嫁入り修行より人気らしい。今ヒルダにぎゅっと抱きついたネイミがそう言っていた。家にいたら知らないままだった知識が増えるし、色んな地方の品を扱うから目が肥えるし、お金までもらえるし、食堂のご飯は美味しいし、というお得さがいいらしい。もちろん身上調査と雇用試験で基準を通過する必要があるが、それもほとんど性格嗜好と知識水準を知るためにあるようなもので、未熟であっても職場で教育しながら実務に携わってもらう形になっている。それは男性陣も同じだ。上も下も手探りなので、改善の邪魔になる堅苦しさなど取っ払われ、商会内部では身分の隔ては存在していない。

「はぁー?自分からフッたくせに、追っかけてくるなりヒルダさんのせいだなんてみっともないこと言ったの?」
「そこは地面にデコ擦り付けるとこでしょ」
「ないわー」
「ないない」
「あたしだったらひっぱたいてるわ」
「甘いわよ。そんなタマなし、蹴り潰して本物にしてやればいいの」

 兄上とアデルが宣言通りにヒルダの謝罪行脚に付き合うことになって、商会に来たヒルダは、アレンや同僚たちみんなに謝ったあと、商会内の食堂で、こうして女性陣に囲まれることになったのだった。兄上とアデルは別邸に呼びつけた上で待たせているナジェルを踏み潰すために帰っていき、アレンは女性陣から邪魔だと追い出された。ヒルダは今日まで大事を取って休みだが、彼女たちは休憩時間にヒルダを囲みにやって来る。そしてみんな事情を聞いて、伝達させ、代わる代わるやって来てはヒルダを優しく過激な言葉で慰めてくれた。話題が変わることもあったが気づけば蛇行し螺旋し戻ってきてさらに突き抜けたりする場面もあった。
 食堂で働く女性も時おり話に加わり、うち一名はいい笑顔でスッと肉切り包丁を取り出して「ここに来たら切り落としてやるからね」と言った。

「やだー、アルマ、切り落としたあとその包丁で料理しないでよー?」
「きたなーい」
「いっそ鋳直し寸前の刃筋がガッタガタなやつでやっちゃえば?わざわざきれいなの使わなくてもさ。買い換えの手間が省けるじゃない」
「ああ、いい案だね」

 平民の女性って、たくましい。ヒルダは笑みを浮かべて黙って聞いていたが、口角がひきつってしまうのは許してほしかった。貴族女性ならありえないあけすけな会話にもここ数ヵ月で慣れた気になっていたが、まだまだ甘かった。
 世の男性は女性を怒らせてはいけない。笑顔で心を抉りにくるから。しかももらい事故が多い。実際に屍が視界の端のそこここに転がっているのを、ヒルダはなんとか見ないふりでやり過ごした。
 だが、姦しい彼女たちのお陰でヒルダもほっと一息つけるようになった。一人で静かなところにいると時々自己嫌悪がまた首をもたげるけれど、騒がしい渦中にいれば気分が紛れるし、温かな気遣いが心の傷にじんわりの沁み入るように効く。
 そう時間もかからず、兄妹がまた迎えに来てくれたときには、ヒルダは屈託なく笑えるようになっていた。
 向かう先はバルメルク公爵邸。学園での一件以来交流を持った体で、兄上は堂々と馬車で乗り付けた。
 それまでの道中でナジェルが王都までやって来たわけを聞いた、のだが。

「新しい話なんて一つもなかったわ」

 アデルはつまらなそうに言い、兄上が補足した。

「あの人たちがろくに宗主としての役目を果たせず、外国の間者も領地をうろついている素振りがある、ということでね。まずいと思ったそうだ」

 それはルーデルの手の者で、うろつくどころか、宗主が招き入れた挙げ句に利用されたとまではさすがに考えつかないようだったが、確かに危機には違いない。
 領の窮状を知らせて、泣き落としでもなんでもして、セシルに帰省ではなく本腰を入れて帰ってきてもらうために、ナジェルは出奔も同然の形で飛び出してきたわけだ。

「じゃあ、あたしを連れていこうとしたのって……」
「私とアデルの保険にするつもりだったんだろう」
「あいつったら、ほんっと舐めきってたのよ」
「わざわざ教えてもらわずとも知っているし、手も打っている。しかもルーデルはもう干渉しようとする気さえないのは確認済みだと言ったら、私たちとあの人たちとの亀裂にもやっと理解が及んだようだったよ。後は穏当に、話し合いで全て片がついた。ヒルダ、もうしばらく奴は王都に残るが、心配はいらないよ」

 一方的にペンや文鎮や装飾品を槍のごとくぶん投げたり、言葉の矢を雨あられと降らせたりした話し合いを穏当で片付けられたナジェルがここにいたら断末魔の叫び声を上げていそうだ。
 しかしヒルダは「そう、よかったわ」と、ほんわか笑っただけですませた。
 穏当すなわち流血沙汰回避。愛しい兄妹が無駄に血に汚れずにすんで、なによりである。
 
 その時、かたりと馬車の揺れが鎮まった。御者がバルメルク公爵邸の門番とやり取りしている声が聞こえてきて、ヒルダの表情に緊張が舞い戻ってきた。
 謝罪行脚の前に身綺麗にしている間に先触れを出してもらったので、公爵邸ではドルフが待っているはずだった。
 ジュストと、ハルトと共に。
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