上 下
40 / 60

前座未満

しおりを挟む

 ナジェルは、スートライト侯爵家長女との婚姻を諸手を上げて歓迎するつもりだった。いずれ継承する子爵家に宗主の血が入る名誉に預かることもそうだし、ナジェル本人がヒルダのことを好ましく思っていたからだ。
 しかもあちら側から申し入れられたことだ。いち分家が断る余地はなく――父母はどうせならアデルがよかったと傲慢にも惜しんでいたが――、ナジェルの意志に関わらず、手のひらに宝石が落ちてくる。一時はスートライト侯爵家の娘が嫁ぐというので早とちりして「大輪」との仲をやっかまれたのが面倒だったが、相手がヒルダとわかったとたんに潮が引くようにその妬み嫉みが失せたことには、腹立ちと奇妙な恐ろしさを覚えていた。

 彼らは、ヒルダをずば抜けたものを持つ兄妹に挟まれた可哀想な子だと、そんな風に言いながら、ナジェルにそんな「可哀想な子」と添い遂げるなんてと同情し、あるいは嘲笑うのだ。
 その矛盾に気づいていないのか。

(ヒルディアさまとて、スートライト侯爵家のご令嬢なんだぞ)

 頭脳で兄に劣ろうが、美貌で妹に劣ろうが、かの方は紛れもなく教養深く貞淑な貴婦人だ。一度話しただけでそうなのだとは誰もがわかるはずだ。わからないはずがない。わから……ないのか、まさか?

(だけど、気づかれても厄介なのか)

 結局ヒルダが手に入るのならそれでよい、と葛藤しつつも頷いたナジェルだが、一つ、大問題があった。

(緊張で……顔が……強ばる……!!)

 ヒルダを「未来の妻」として認識するようになってから、美しいとか可愛いとか思うたびに自分の心身が石のように固まるこの現象は一体なんなのか。病気なのか。恋なのは確かなはずだがこれは重すぎないか。
 自分がこんなに奥手というか面倒な性格だとは思っていなかった。ヒルダはまさしく神々しく輝いていて、触れることさえ禁忌に思え、会話するのもその声を聞いてもいいのか毎度ためらうことになる。というか未来の妻と考えただけで鼻血さえ出そうで、そんな醜態はさすがに晒せないと、とことん接触を避ける日々が始まった。
 それでもヒルダから折々に送られる手紙の文字に心を踊らせ、贈られる品にやにさがり、時に共に社交に出ると隣の存在を意識するだけでくらくらとめまいがした。ただし、こちらから手紙を送ろうとすると途端に書くべき言葉が全く思いつかず、贈り物にも品物の見当をつけることすらできず、鼻血問題のために顔を会わせても逃げるしかない。泣きたい。
 しかも、相談できる相手がいなかった。
 サーヴェ子爵家の雰囲気は、ヒルダと接触しているうちに妹姫のアデルとも関わりを持ち、気を引くことさえできれば結婚相手をすげ替えることもできるのでは、と画策していたので、ナジェルの婚約者としての至らない部分をあえて糺すこともなかった。恋愛感情をもて余すナジェルはそんな思惑に気づかず、「どのみち結婚するんだから親交を深めるのはその後でいいや」と問題を先送りしてしまった。

 そんなわけで、あの婚約解消はなるべくしてなったのだ。

 ナジェルがその事実を知ったのは、ヒルダがその書面に名前を書き込み、屋敷を飛び出していった後だった。












 なんでもないような日の晩餐の後。両親に呼び出されておめでとうと言われて差し出されたその婚姻誓約書を見て、訳がわからなくなった。
 なぜ自分の名前と大輪の名前が並んでいる?重婚、な訳がない。我欲だけで犯罪をしでかすほど腐った父だとは思いたくもない。しかし問いただすまでもなく「さすがだ」「よくやりましたわね」と誉められている内容を聞くだけで事態が見えてきて、ここに来てナジェルは一気に顔色を青ざめさせた。

 本人の直筆署名が求められる書類に、家族といえども、委任を受けたわけでもない他者が記名するのも、立派な犯罪だ。

「この婚姻誓約書は無効です!!」

 それだけを叫んで子爵邸を飛び出し、侯爵邸へと駆けつけた。ヒルダはこのことを知っているのだろうか。――知らないはずがない。きっとヒルダとの婚約は解消かなにかされているからこそのあの書面だ。でもそれにもナジェル本人の署名が必要で、つまりそれも無効であって――。

(なぜ侯爵はこんな真似を!?)

 ヒルダを想うのとは別に、スートライト家門下の子爵家嫡男としても見過ごせなかった。
 まずあまりにも外聞が悪い。姉の婚約を妹が横取りしたのだ。スートライト侯爵家の内部だけに留まらず、噂好きな貴族が様々に囀ずることになるだろう。王国社交界で話の種にされることは間違いなかった。
 同時に、臣下の信頼を大きく損なう。この領ではアデルは女神もかくやという求心力を持っている。その女神を、これまで夫候補に入っていなかった男へぽんと差し出したのだ。サーヴェ家だけが強い風を吹き付けられるだけではない。正規の手続きをもって婚姻を申し込んだ各家は、礼儀と忠節を踏みにじった侯爵についてどう思うだろうか。
 ――だいたい、アデルが敵意を真っ向からぶつけてきたのは数日前のことで、なぜそんな彼女が婚約者にすりかわるのだ。

「約束はないが、ヒルディアさまとぜひ会わせていただきたい!」

 なぜか慌ただしい気配の屋敷の中でそう叫んだナジェルは違和感を抱いた。宗主の屋敷に先触れもなく突撃してきたナジェルに対し、使用人たちは安堵していたのだ。どこかからやたらとすごい音が響いているのも気になったが、今はそんなことに構う余裕はない。

「よ……よくいらっしゃいました、ナジェル・サーヴェさま」
「ヒルディアさまはどこだ」
「そ、それより、どうぞこちらへ。アデライトお嬢さまにお会いしてくださいませんか」
「ヒルディアさまが先だ!」
「もうあの方はいらっしゃらないのです!それよりもお嬢さまを!」

 ナジェルが先に客として礼を欠いたとはいえ、使用人の態度はあまりにもひどい。ナジェルは仕える主人の義理の息子に当たるのだ、その意向に対し「それよりも」だと?
 しかも――なんだその口振りは。「お嬢さま」はお前にとってアデルだけなのか。それとも、それがこの屋敷の総意なのか。

「ヒルディアさまとてわが領の姫で、このスートライト家のご令嬢だろうが!!」
「ヒィっ!っあ、あの方は、スートライトとご縁を切られたのです!もうこの屋敷にはいらっしゃいません!ですからお嬢さまをっ、どうか!旦那さまも奥さまも近づけずにお止めできないのです!」
「――……は……?」

 頭が真っ白になった次の瞬間、ガッシャン、とひときわ大きな破壊音に思わず顔を上げた。「アデル!危ない!」「落ち着いて!」という侯爵夫妻の声も聞こえた。
 ヒルダの声は、しない。

 足が自然とその音の方向に進み始めた。階段を登り、廊下を進み、使用人の誰もが通りすぎる間際にナジェルの顔を見て安堵をこぼす。その意味を考えたらいけないと本能が告げていた。……それでも、ヒルダの姿を確かめたかった。出ていったのなんて嘘だと思いたかった。

「おお!ナジェル!ちょうどよかった、お前が適役だろう!」
「アデル!あなたの愛しの方がお見えよ!ほら!」

 とんでもない騒音が響く部屋の扉付近には侯爵夫妻しかいなかった。ナジェルは呆然としたまま、その部屋に押し込められた。

「……アデライト・スートライト嬢……?」
「――なに。あんたまで、来たの?」

 そこには美しい獣がいた。部屋は破壊の限りを尽くされ、元の相様など全く想像できない。局地的な嵐が襲ったという方がまだ信じられる。割れ物という割れ物は全て破片として散乱し、壁紙も剥がれ、木材の家具も悉くが折れ割れている。これを人間の、まして「大輪」と称される若き貴婦人がしでかしたとは、脳が受けつけられなかった。
 おぞけをふるったナジェルをアデルはちらりと見て、瞬間、飛びかかってきた。
















 ナジェルが意識を取り戻したときにはアデルも姿を消しており、スートライト侯爵家は前代未聞の不祥事に大荒れに荒れていた。そんな中でナジェルは折れた腕と肋骨の回復と、事態の正確な把握に努めた。
 混乱の渦中にいながらにして、大人たちへのささやかな抵抗も忘れなかった。
 アデルとの婚約を公表させず保留に持ち込み、ずいぶんな勝手をしでかした両親へは嫡男の大怪我を盾にとって侯爵家へ糾弾させるように仕向けた。侯爵家はろくな謝罪もなくアデルの大暴走を「身を引いてくれた姉への思いが爆発した」とか大変お粗末な理由をつけて、ろくな謝罪もなくごまかしていたので笑ってしまう。その言い訳で「誰」を庇っているつもりだ。
 少なくともナジェルの両親は侯爵家へ不信を抱いた。宗主の横暴に自らの意志で乗っかったくせに、自分達が損をすると気づいたら手のひらを返したのだ。我が親ながら呆れたもので、政務からの引退を進言した。

 その後も侯爵家を震源にして領内に伝わる動揺は留まるところを知らなかった。
 アデルの婚姻のためにその哀れな姉を勘当までして見せたことも、亀裂を走らせた。天才になれない凡人というだけで、害にもならなかった娘。その娘を追い出してまでアデルに夫をあてがいたかったのかと、特に若い娘を持つ貴族家は無言で距離を置くようになった。
 侯爵が王都からアデルを連れ帰れなかったというそれだけであらぬ風聞が飛び交うのも、もはや自明の理であった。侯爵家は公に弁明させるために必要な駒であるアデルを手元に収められず、領内の統制を失った。

(……違う。ヒルディアさまがいないからだ)

 兄妹の威光に潰されることなくまっすぐと立ち続けたヒルダなら、セシルとアデルがいなくても、きっと毅然として鎮めていたはずだ。
 それでも今は侯爵にやってもらうしかない。それを支えるのが門下の役目。いかに不信を抱こうとも領全体の荒廃は見過ごせない。その片手間でヒルダのことを密かに探し回る日々だった。
 理不尽な婚約解消を盾に要求したのが当主からの勘当なんて、明らかに過ぎたる願いで、それをいともたやすく容認した侯爵はなにも考えていなったに違いない。臣下たちの心が離れつつある今もそうだ。ヒルダの名前をたったの一度も声に出すことなく、セシルとアデルをと言うだけの日々。
 今さらのようにヒルダを取り巻く環境の醜悪さが身に迫ったが、彼女はもうそこから脱していた。自分の手で。

 会いたい、なんて。ナジェルにはもう言う資格はないかもしれないが、それでも会いたかった。

 荒廃する領地だとか、政治的思惑だとか、言い訳はいくらでも出てきて、正直後で我に返ったとき自殺したくなるくらい自己嫌悪に駆られたが。

 本当は、ただ一つだけの理由で、道を走る馬車を飛び出したのだ。








「鼻血か……まさか本当に出るとは……」

 公爵家の仲裁ですごすご引き下がり、馬車の座席に座り直したとき。ぽたりと鼻血が出てきてげんなりした。これまでヒルダの前で鼻血出そうとは何度となく思ってきたが、出たのは今回がはじめてだ。

 ……やっぱり病的なのでは、自分。










☆☆☆









「ヒルダさん!よかった!」
「心配したのよもう!」
「昨日は、迷惑をかけて本当に申し訳ありませんでした」
「迷惑じゃなくて心配だし!言葉も固すぎるわよ!」

 ソラリア商会で働く女性陣は、ヒルダ以外の全員が平民だ。結婚している者が大半だが、未婚のヒルダと同年代の娘もいる。近年貴族の間で女性の社会進出について注目されている中、平民方面でその道を先駆ける立場にあるのがソラリア商会だった。まだまだ試行錯誤の途上だが、未婚の女性にとってはそこらの嫁入り修行より人気らしい。今ヒルダにぎゅっと抱きついたネイミがそう言っていた。家にいたら知らないままだった知識が増えるし、色んな地方の品を扱うから目が肥えるし、お金までもらえるし、食堂のご飯は美味しいし、というお得さがいいらしい。もちろん身上調査と雇用試験で基準を通過する必要があるが、それもほとんど性格嗜好と知識水準を知るためにあるようなもので、未熟であっても職場で教育しながら実務に携わってもらう形になっている。それは男性陣も同じだ。上も下も手探りなので、改善の邪魔になる堅苦しさなど取っ払われ、商会内部では身分の隔ては存在していない。

「はぁー?自分からフッたくせに、追っかけてくるなりヒルダさんのせいだなんてみっともないこと言ったの?」
「そこは地面にデコ擦り付けるとこでしょ」
「ないわー」
「ないない」
「あたしだったらひっぱたいてるわ」
「甘いわよ。そんなタマなし、蹴り潰して本物にしてやればいいの」

 兄上とアデルが宣言通りにヒルダの謝罪行脚に付き合うことになって、商会に来たヒルダは、アレンや同僚たちみんなに謝ったあと、商会内の食堂で、こうして女性陣に囲まれることになったのだった。兄上とアデルは別邸に呼びつけた上で待たせているナジェルを踏み潰すために帰っていき、アレンは女性陣から邪魔だと追い出された。ヒルダは今日まで大事を取って休みだが、彼女たちは休憩時間にヒルダを囲みにやって来る。そしてみんな事情を聞いて、伝達させ、代わる代わるやって来てはヒルダを優しく過激な言葉で慰めてくれた。話題が変わることもあったが気づけば蛇行し螺旋し戻ってきてさらに突き抜けたりする場面もあった。
 食堂で働く女性も時おり話に加わり、うち一名はいい笑顔でスッと肉切り包丁を取り出して「ここに来たら切り落としてやるからね」と言った。

「やだー、アルマ、切り落としたあとその包丁で料理しないでよー?」
「きたなーい」
「いっそ鋳直し寸前の刃筋がガッタガタなやつでやっちゃえば?わざわざきれいなの使わなくてもさ。買い換えの手間が省けるじゃない」
「ああ、いい案だね」

 平民の女性って、たくましい。ヒルダは笑みを浮かべて黙って聞いていたが、口角がひきつってしまうのは許してほしかった。貴族女性ならありえないあけすけな会話にもここ数ヵ月で慣れた気になっていたが、まだまだ甘かった。
 世の男性は女性を怒らせてはいけない。笑顔で心を抉りにくるから。しかももらい事故が多い。実際に屍が視界の端のそこここに転がっているのを、ヒルダはなんとか見ないふりでやり過ごした。
 だが、姦しい彼女たちのお陰でヒルダもほっと一息つけるようになった。一人で静かなところにいると時々自己嫌悪がまた首をもたげるけれど、騒がしい渦中にいれば気分が紛れるし、温かな気遣いが心の傷にじんわりの沁み入るように効く。
 そう時間もかからず、兄妹がまた迎えに来てくれたときには、ヒルダは屈託なく笑えるようになっていた。
 向かう先はバルメルク公爵邸。学園での一件以来交流を持った体で、兄上は堂々と馬車で乗り付けた。
 それまでの道中でナジェルが王都までやって来たわけを聞いた、のだが。

「新しい話なんて一つもなかったわ」

 アデルはつまらなそうに言い、兄上が補足した。

「あの人たちがろくに宗主としての役目を果たせず、外国の間者も領地をうろついている素振りがある、ということでね。まずいと思ったそうだ」

 それはルーデルの手の者で、うろつくどころか、宗主が招き入れた挙げ句に利用されたとまではさすがに考えつかないようだったが、確かに危機には違いない。
 領の窮状を知らせて、泣き落としでもなんでもして、セシルに帰省ではなく本腰を入れて帰ってきてもらうために、ナジェルは出奔も同然の形で飛び出してきたわけだ。

「じゃあ、あたしを連れていこうとしたのって……」
「私とアデルの保険にするつもりだったんだろう」
「あいつったら、ほんっと舐めきってたのよ」
「わざわざ教えてもらわずとも知っているし、手も打っている。しかもルーデルはもう干渉しようとする気さえないのは確認済みだと言ったら、私たちとあの人たちとの亀裂にもやっと理解が及んだようだったよ。後は穏当に、話し合いで全て片がついた。ヒルダ、もうしばらく奴は王都に残るが、心配はいらないよ」

 一方的にペンや文鎮や装飾品を槍のごとくぶん投げたり、言葉の矢を雨あられと降らせたりした話し合いを穏当で片付けられたナジェルがここにいたら断末魔の叫び声を上げていそうだ。
 しかしヒルダは「そう、よかったわ」と、ほんわか笑っただけですませた。
 穏当すなわち流血沙汰回避。愛しい兄妹が無駄に血に汚れずにすんで、なによりである。
 
 その時、かたりと馬車の揺れが鎮まった。御者がバルメルク公爵邸の門番とやり取りしている声が聞こえてきて、ヒルダの表情に緊張が舞い戻ってきた。
 謝罪行脚の前に身綺麗にしている間に先触れを出してもらったので、公爵邸ではドルフが待っているはずだった。
 ジュストと、ハルトと共に。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

美しく優秀な次女がいるのなら、私は必要ありませんよね? 〜家を捨てた私は本当の姿に戻り、追いかけてきた皇子と街で暮らす〜

夜野ヒカリ
恋愛
アスラート帝国のカトル公爵家の長女リーナは、プラチナブロンドに青銀の瞳の美しく聡明な少女だったが、 母親と妹からの命令で、カツラを被り、肌を汚して生活していた。 そうしなければ暴力を振るわれたためである。 しかし、母親と妹はリーナの本当の姿も、自分たちが強制したことも忘れて、リーナを“醜い無能”と罵った。 自分の扱いに耐えられなくなったリーナは、ある決意をした。 ───── 「お父様、今日より私は、カトルの姓を捨て、平民として生きたく思います」 リーナの18歳の誕生日、リーナは父親である公爵にそう切り出す。 ───── リーナが公爵家を出た時、公爵家の財政管理、領地管理、他家との関係の保持─── ほとんどの仕事はリーナがしていたのだが…………。 貴族としての身分を捨て、街の食堂で働き始めたリーナはそこで幸せになれるのか!? 密かなにリーナに想いを寄せていて、リーナを追いかけて街に下りた皇子との恋の行方は!? 話、設定、登場人物の口調etc. 色々とブレブレですが、ご容赦くださいm(__)m 本編は最後まで執筆、公開予約済みです。本編完結後、のんびりと番外編を更新していく予定です! 3/18 : Hotランキング 60位→30位→15位→10位→6位 3/19~21 : Hotランキング1位 ありがとうございます!!

婚約破棄されたら魔法が解けました

かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」 それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。 「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」 あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。 「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」 死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー! ※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です

転生幼女は幸せを得る。

泡沫 ウィルベル
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!? 今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−

モブですが、婚約者は私です。

伊月 慧
恋愛
 声高々に私の婚約者であられる王子様が婚約破棄を叫ぶ。隣に震える男爵令嬢を抱き寄せて。  婚約破棄されたのは同年代の令嬢をまとめる、アスラーナ。私の親友でもある。そんな彼女が目を丸めるのと同時に、私も目を丸めた。  待ってください。貴方の婚約者はアスラーナではなく、貴方がモブ認定している私です。 新しい風を吹かせてみたくなりました。 なんかよく有りそうな感じの話で申し訳ございません。

世界最強の公爵様は娘が可愛くて仕方ない

猫乃真鶴
ファンタジー
トゥイリアース王国の筆頭公爵家、ヴァーミリオン。その現当主アルベルト・ヴァーミリオンは、王宮のみならず王都ミリールにおいても名の通った人物であった。 まずその美貌。女性のみならず男性であっても、一目見ただけで誰もが目を奪われる。あと、公爵家だけあってお金持ちだ。王家始まって以来の最高の魔法使いなんて呼び名もある。実際、王国中の魔導士を集めても彼に敵う者は存在しなかった。 ただし、彼は持った全ての力を愛娘リリアンの為にしか使わない。 財力も、魔力も、顔の良さも、権力も。 なぜなら彼は、娘命の、究極の娘馬鹿だからだ。 ※このお話は、日常系のギャグです。 ※小説家になろう様にも掲載しています。 ※2024年5月 タイトルとあらすじを変更しました。

転生後モブ令嬢になりました、もう一度やり直したいです

月兎
恋愛
次こそ上手く逃げ切ろう 思い出したのは転生前の日本人として、呑気に適当に過ごしていた自分 そして今いる世界はゲームの中の、攻略対象レオンの婚約者イリアーナ 悪役令嬢?いいえ ヒロインが攻略対象を決める前に亡くなって、その後シナリオが進んでいく悪役令嬢どころか噛ませ役にもなれてないじゃん… というモブ令嬢になってました それでも何とかこの状況から逃れたいです タイトルかませ役からモブ令嬢に変更いたしました ******************************** 初めて投稿いたします 内容はありきたりで、ご都合主義な所、文が稚拙な所多々あると思います それでも呼んでくださる方がいたら嬉しいなと思います 最後まで書き終えれるよう頑張ります よろしくお願いします。 念のためR18にしておりましたが、R15でも大丈夫かなと思い変更いたしました R18はまだ別で指定して書こうかなと思います

何を間違った?【完結済】

maruko
恋愛
私は長年の婚約者に婚約破棄を言い渡す。 彼女とは1年前から連絡が途絶えてしまっていた。 今真実を聞いて⋯⋯。 愚かな私の後悔の話 ※作者の妄想の産物です 他サイトでも投稿しております

公爵令嬢ですが冤罪をかけられ虐げられてしまいました。お覚悟よろしいですね?

八代奏多
恋愛
 公爵令嬢のシルフィーナ・アストライアは公爵令息のエドガー・サウディス達によって冤罪をかけられてしまった。 『男爵令嬢のリリア・アルビュッセを虐め倒し、心にまで傷を負わせた』として。  存在しない事実だったが、シルフィーナは酷い虐めや糾弾を受けることになってしまう。  持ち物を燃やされ、氷水をかけられ、しまいには数々の暴力まで。  そんな仕打ちにシルフィーナが耐えられるはずがなく……。 虐めて申し訳ない? 数々の仕打ちの報いは、しっかり受けていただきます ※設定はゆるめです。 ※暴力描写があります。 ※感想欄でネタバレ含むのチェックを忘れたりする残念な作者ですのでご了承ください。

処理中です...