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Ⅲ
ハイテンションガールズ
しおりを挟むとある快晴の日のことである。
「いらっしゃいヒルダちゃん!!」
絶好調な王妃は、初っぱなからフルオープンだった。
ヒルダはちょっと引いたが、そんなヒルダを逃がさないとでもいうような王妃のがっちりした抱擁に、身動きがとれなくなった。
「こんなに大きくなって!夜会では見てたけど、こうして見ると本当にもう……!」
「え、えっと……、……え……」
「背は私よりちょっと高いのね。騎士の格好が似合っていたものね!ああでもドレスを着せたいわ!体にぴったりと沿ったマーメイドラインのものなんてどうかしら!あっ、あなた胸も大きいのねぇ!お尻もウエストもほどよく引き締まって……なんて理想的なボディ……!!髪を短くしたのはいつ?よく似合ってるわ!その髪留めもあなたにぴったり!それにしても、まあまあ、まあまあ、本当に、立派に成長していったのねぇ!!」
なんか一部妖しい発言があった気がするが、ヒルダに気にする余裕は皆無だ。王妃の髪の香油だろうか、いい匂いがするしさらさらのドレスはいい肌触りだし当然だ、この国の女性の頂点、身に付けるもの全て最高級品。そして侍女たちに磨き抜かれた彼女の肢体もまた同じ。華奢で、柔らかく、しかしヒルダを抱きしめる腕の力は強い。アデルならともかく、歳上の女性にこんな風に抱きしめられた覚えが全くない。……実の母でさえも。
それを思い出すと、やっと動揺が収まった。そっと王妃の背中を撫で、同じく我に返っただろう王妃が緩めてくれた腕からゆっくりと体を抜き出した。王妃がじっと見守る前で、今日のためにドルフが貸してくれた女性官僚の制服に相応しい礼を取った。
「本日はお招きいただいて感謝しています。妃殿下にお目にかかれて光栄です」
「かったいわあヒルダちゃん!昔のように『姉さま』呼びしてもいいのよ!?」
「いえ、さすがにそれはちょっと」
ヒルダは苦笑した。
絶縁する前ならまだよかったが、今のヒルダは平民だ。今日は一から十まで全て王妃の手筈で城に来ることができたが、それだけでも僥幸なのはよく心得ている。バルメルク公爵家の養子になればまた大手を振れるだろうが、別にそこまでしてやろうとも思ってないし。
なんでこんなに全力で好意を示されてるんだろうと思ったが、好意自体はとても嬉しい。ずっと女性として尊敬し慕っていたお方ならば、なおさら。
「リーシャンさま、お客さまをお席に案内してもよろしいでしょうか?」
苦笑を含んだ声が部屋の隅に立つ侍女から漏れた。王妃は恥ずかしがることもなく、「そうね、私がするわ」と頷き、ヒルダの手を自ら取って席へ案内していく。王妃の侍女的にこれはどうなんだと視線を向けたら、物凄く嬉しそうな笑顔を返された。……こうして見るとその顔に覚えがあるような気がするが……あまり見つめるのも不躾なので視線を逸らし、ぐいぐいと引っ張っていく王妃に向き直った。
「今日は沢山お話ししましょうね!」
「妃殿下、お忙しいのではないですか?」
「全部予定は前倒しに片付けてきたわ!」
さらりと言っているが、ヒルダも王族の仕事はちょっとは心得ている。地方の侯爵家ですら色々忙しかったのに、王家ともなると分刻みのスケジュールだろう。それを、丸々一日分空けたとは。
さすが、かつて公爵位を女ながらに継ぐと思われていたリーシャン妃。その才覚は王妃になって、衰えるどころか磨きがかかっているようだ。思いっきり個人的事情に全精力を傾けているが。
そこまで気にかけてもらっていると考えると、やっぱりまた嬉しさが襲いかかってくる。ドルフもそうだが、とんでもない方々に気に入られたものだ。
「今日はこの王妃宮に陛下も出禁にしたのよ。厄介ごとを持ってこられても困るもの」
「陛下まで!?」
前言撤回。ここまで気に入られるといっそ怖い。しかも国政に関わるだろうことを厄介ごとと言い切った。取り繕わないのはいいのだが、その信頼がやたらと重すぎる。
(あれ、あたし、囲い込まれてるのかしら)
そう思って目を眇め、王妃の取ってくれた手を見下ろす。しかし、ドルフは別段ヒルダに言うこともなかった。警戒も、寛容も。
心構えだけしてそれをおくびにも出さないまま、王妃に勧められた席につく。テラスに面した日当たりのいい茶室だった。テラスの外を見れば、晴れ渡った空と植物の緑が鮮やかだ。胸がすくような風を感じた気がしていると、対面に座った王妃は早速頬杖をついて、にこにこと笑いかけた。
「私のお気に入りの場所なの、ここ。いい眺めでしょ?」
「はい」
「華々しい庭園のガゼボでもよかったんだけど、ここが一番落ち着くのよ。お花、見たかったかしら?」
「妃殿下のお心のままに」
「もう、ヒルダちゃんったら。そうじゃないのよ。あなたは私のお客さまだって、先程も言っていたでしょう?私はあなたを私の力の及ぶ限りでもてなしたいの。あなたが望まないことをしたくはないし、我慢させるなんてもっての他」
「ですが、私は……」
「身分を気にするようなら、王妃は休業するわ。今の私は二児の母というだけの女。リサお姉さまとお呼びなさい。口調も畏まらなくていいわ」
だから、なぜここまで気に入られているのか。
この方々はつくづくあたしの思考を停止させてくるな、とヒルダは現実逃避気味に思った。ドルフより王妃の方が破壊力抜群だが。ドルフの時はルフマンが緩衝材になっていたのに、王妃は率直にヒルダにぶちまけてくる。
「私、ずっとあなたとお友だちになりたかったのよ」
ヒルダはこの発言を聞いて、やっと躊躇を消した。
囲い込むようなことを言いつつ、ヒルダの意志を尊重するとも告げた。そして私的な友だち発言だ。つまり、全てはヒルダ次第。それなら無闇矢鱈に警戒を振り撒かなくていい。
王妃の本心がどこにあるかはどうでもいい。言質を取れたならその範囲で立ち回るだけ。あと単純に友だちという文言が嬉しい。物凄く嬉しい。
「あたしなんかでよろしければ……」
「固い!」
「えーと、よ、よろしくお願いします……?」
「ええ!よろしくね!」
心底嬉しいとばかりに輝く王妃――リサの笑顔とともに、のどかなお茶会が始まったのだった。
話題は色とりどりだった。
好きな食べ物、好きな色、お気に入りのものや趣味。たまに政治に話が飛べば一周回って王妃の嫌いな食べ物に着地したりする。反対もしかり。
二人は途切れることなく話し、声をかけ合い、お互いへの理解を深めていった。
ヒルダは一応は敬語だったが、一応、と呼べるほどには砕けた言葉遣いになった。出されたお茶菓子とお茶を持つ姿勢も失礼にならない程度に留め、最高級品に舌鼓を打つ。
そのお菓子は昔ルーアン公爵家で供され幼いヒルダが目を輝かせて口にしていたものだと、知っているのはリサと王妃の侍女だけだ。覚えているわけもない大人になったヒルダはただ美味しいと表情を綻ばせるのみで、見ていた二人はますます笑みを深めた。
飲み物はヒルダやリサが望めば紅茶以外も供された。蜂蜜とレモンの入ったホットミルクが一番に好きだと、子どもっぽい好みに恥ずかしげなヒルダが打ち明ければ王妃の侍女が部屋から一旦姿を消し、再び現れたときにはそれを用意していた。合わせてリサが発酵ではなく生の茶葉を煎った茶が大好きだと言えば今度はそれが。ヒルダも相伴に預り、未知の味に目を瞬かせれば王家直轄領の一部で嗜まれているものだという。ついついヒルダもスートライト侯爵領のことを思い出してあそこ特産の茶葉も……と考え、リサがそれはセシルの商会で手に入るのかと確認をとる。そういえばどこそこの店のお菓子がこのお茶に合いそうだのと横道に逸れていき、元は何の話かお互いに忘れ去っては苦笑したり。
とにかく、茶会の作法など丸無視で、お喋り好きな女の性を示すように話題は二転三転し、それでいて笑顔の絶えないお茶会になったのだった。
そうこうしているうちに日は中天を通りすぎ、お腹いっぱいになった二人は今度は食後の運動を、と庭園に出ることになった。その時、リサは侍女の手を借りてシャツとキュロットというラフな格好に着替えている。
ヒルダとリサがそれぞれ手に取ったのは、騎士団の剣と同じ規格の木剣だった。
「王妃となってから、昔より体を動かす機会がめっきり減っちゃって。でも素振りだけだとつまらないから相手を探そうとしたらみんな『王妃さまに向ける剣はありません』なんて言うのよ?わかってるわよそんなこと。剣じゃなくて木剣ならいいでしょうよ」
「あたしに相手が務まるでしょうか?」
「むしろ私の方がご無沙汰過ぎて申し訳ないわ。付き合わせてごめんなさいね」
「いえ、ここにいるのはあたしの意志です」
ヒルダが爽やかな笑顔と共にそう答えると、リサは恋する乙女のように頬を赤らめ、ぎゅっと木剣を胸に抱きしめた。
「かっこかわいい系……!!」
「え?」
絞り出すような声にヒルダはただただ首をかしげ、そのやり取りを見ていた侍女は口許を手で覆いながらそっと目を逸らしていた。今日よく見られる光景ではある。
気を取り直したリサとヒルダは柔軟の後に軽く型通りに打ち合わせて体を解した。同時に少し勘を取り戻した二人は、多才な侍女の審判の元、お互いの間合いに入らない位置で礼をして、木剣を構えた。
「――はじめ」
侍女の静かだが気迫のこもった声と共に、二人は前に飛び出した。
☆☆☆
「……いや、これ、素人の立合じゃないだろ」
王妃宮、少し離れた木陰で二人の女性の剣舞を見ていた男は、思わずそう愚痴っていた。声に滲むのは呆れと驚き、わずかな興奮。王妃が剣を振るのは近衛たちから苦情が来ていたので知っていたが、思った以上に鍛練を積んでいたようだ。相手をする娘も同等に。
陽光に反射する銅の髪、官僚の制服の裾がひらりひらりと優雅に舞い踊る。高らかに鳴らされる乾いた音、絶え間ない足さばき。王妃は娘の動きに釣られるように、徐々に姿勢がよくなり、動きに無駄がなくなっていった。――釣られる、というより引き出しているのだ。あの娘が、王妃の培った経験と感覚を。
「彼女がスートライトの秘宝か」
文字通り、秘めたる宝。兄妹が「至宝」ならば彼女こそと、王妃やドルフから散々話を聞いて皮肉にそう名付けたものだが、どうやらその通りにただ者ではなかったらしい。もう少しまともに取り合っていればよかったかな、と男は頭を掻いた。
ふと視線を感じたのでそちらを辿ると、王妃の侍女がこちらに顔を向けていた。「そこで何してるんだ」という目だ。声もなく笑って、立てた人差し指を唇に当てた。
☆☆☆
すごいわ、とヒルダは内心で舌を巻いていた。貴婦人――しかもこの国の最高位のお方とは思えない技倆。しかも実戦慣れしているのがよく分かる。ヒルダの入れたフェイントに目敏く気づくし、自分から仕掛けたりもする。組手はなしだとあらかじめルールをつけておきはしたが、それさえなければもっとこの人はしなやかに軽やかに舞っただろう。その姿を見たいと、そう思った。
――ルーアン公爵家は、なんという傑物を育て上げたのだ。
政治に明るく、社交界を統べ、剣技にも長ける。そういえば昔は馬に乗って郊外を走るのが趣味だと言っていたし……隙がないとはこのことか。
リサは満面の笑みを浮かべていた。計算のない健やかな表情は今日ずっと目にしているもので、その衒いのない笑みがなによりも美しく彼女を引き立たせる。
ヒルダも釣られるように微笑みつつ、腕を、足を、伸び伸びと酷使する。筋肉痛になろうと構うまい。こんな貴重な体験、逃してたまるか。
もっと鋭く、もっと速く、もっと先へ。
引きずり込まれる。
ヒルダはもう何もかも忘れていた。しがらみの一切が脳裏から飛んでいき、そこにいるのはもはや、全力を尽くして遊ぶ無邪気な少女のただ一人。
幼少から得られなかった、何かにひたすら一途に没頭できる機会。一度ぐんとのめり込めば、抜け出し方など分かるわけがない。
リサの横薙ぎの一閃を半歩引いて躱す。下から掬い上げるように剣を振ると受け止められた。すぐさま手首を捻り刃を滑らせ、重心を下げて懐へ飛び込む。がら空きの胴体を目の前に、獲ったと確信を強め、ヒルダは――
「う、わっ!?」
石に蹴躓いて膝をしたたかに地面に打ち付けた。
「えっ、ヒ、ヒルダちゃんっ!?」
とっさに受け身を取ったものの、これまで全力疾走していたような勢いを全て受け流すことなど不可能だった。地面を二転三転し、最後はぱたりと仰向けになる。その目はぱちくりと開き、大きく晴れの空を映していた。
状況の一切を理解できないというような、幼子のようにあどけない、無垢な表情だった。
やがて、じん、とぶつけた膝が疼いた瞬間。
――やっと、我に返った。
「――っはあっ!はぁっ!」
「ヒ、ルダっ……ちゃん!だい……大丈夫っ!?」
「はっ……いっ、無事、です……!」
息が整わない。全身が暑い。どくどくと血が身体中を駆け巡っていくのがわかる。
かっちりした襟が首を絞めているように感じて、震える腕を使って乱雑にボタンを二つ外す。知らないうちに木剣を投げ飛ばしていたようで、もう片方の手を地面について、体を起こそうとするが……力が入りきれなかった。ぱたりと倒れ直すヒルダの頭の側に、リサが木剣を杖に近寄ってきた。歩くのも辛いらしく、駆け寄ってきた侍女に体を支えられて、やっと立っているような有り様だった。お互いに汗で顔中を濡らしている。リサの前髪を伝う汗は、ヒルダの地面に広がる髪のすぐ傍にぽつりぽつりと落ちていった。
「リサ、姉、さま……」
「う、ん」
「……あたし、今……転び、ましたよね」
「そ、そうね。怪我をしてる、でしょう?」
「膝、が、めちゃくちゃ、痛いです」
「早く侍医に見てもらいましょう!」
「全身も痛いです。筋肉痛です」
「私もよ……でも……」
「……こんなに、動けなくなるまで遊んだの、初めてです」
なんとか息を整えるリサも、それを支える侍女も、ヒルダのその笑みに吸い込まれるように視線を向けた。
「たの、しい…………」
ふうっと、息をつき。ヒルダは誰に向けるでもなく笑っていた。最初は顔が笑みを作っていただけ。赤く色づく頬にえくぼを作り、目を細め、唇を吊り上げて白い歯をわずかに覗かせて。
しかし、段々と笑い声が、外気に晒された細い喉の奥から響きはじめた。
「ふふ……っあはは……!」
掌で口許を覆い隠そうとして、ヒルダはぱたりと地面にそれを返した。
「腕、重いし……体に力入らないし……膝痛いし!」
そんなことを言いつつも全身を小刻みに震わせている。疲労ではなく、笑いで。
「すっごい……!全然、もう、動ける気がしない……!こんな、後先何も考えなかったのっ、初めて……!」
切れ切れに呟き、大きく息を吸い込み、青い瞳を空色に染めて。
何もかも煌めく世界を前に、ヒルダは快哉を唄った。
何度目かわからぬ、自由をもぎ取った己への。
「あははははははははっ!」
平民の少女の大爆笑は、この後しばらく続くことになる。
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