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とある主人の語り――脱出、のち、
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拉致されて、拉致犯にいきなり逃げようと言われて抱えられて、そしたら城に放火しまくった従者が助けに来てくれて、結局火に巻かれて窓から脱出、庭園の木々に支えられて辛くも生還。
なんだこの流れ。
……結局どういうことだったんだこれ。三階分落下の衝撃が抜けきれなくて呆然と腕の中に守られていると、また一つ影が降ってきて、気づいたら館丸々燃え上がってがらがらと崩れ落ちていて。
しかもアルフ、さすがに気絶してるみたいで、声をかけても反応がなかった。近くに飛び降りてきた拉致犯も。
慌てまくって声をかけ続けたら、二人とも、最後には目覚めた。目覚めて、なんかさっきまでの険悪な空気は消えて、無言のまま仲良く同じ逃走の道を進んだ。おれを連れて。
燃え落ちる城を出ても、アルフは一度だって足を止めなかった。拉致犯が黙っておれを奪い取るように抱き抱えたら、ちらりと視線だけやって、先導役に専念するように足を早めた。……そうだよ。こいつ、腕を怪我してるんだよ。前に王弟殿下に斬られた傷もある、右腕。拉致犯はそれを気遣ったのか。
わけわかんなくなった。殺し合うくらい仲悪くなかったっけお前たち。
アルフは人とすれ違う道を選ばなかった。低木ばかりの森。すいすいと緑の木立を泳ぐように駆け抜けて、おれを抱えた拉致犯が続く。
だからいまだにどこに連れ去られてたのかもよくわからないし、どこを目指しているかもわからなくて。でもやがて視界が開けたと思ったら、目の前に、こじんまりとした小さな家が建っていた。少し前まで、都に呼ばれるまでおれが暮らしていたような。
その玄関の前では見覚えのある顔の女の子がいて。
「……坊っちゃん、アルフさん……!」
ご無事でなによりです、駆け寄ってそう泣きじゃくるサリーに、ふっと緊張がほどけて、情けなくも気絶することになったのだった。
気絶したのはおれだけじゃなかったらしい。むしろ、覚醒が早かったのはアルフよりおれの方だった。アルフはおれの半日後に起きた。
小さな家には、サリー以外に人はいないらしかった。ここはどこだとサリーに尋ねたら、わかりませんと首を振られた。おれが拐われてアルフが屋敷から姿を消したあとに執事長に連れてこられたから、と。
サリーはよく泣いた。おれが目覚めたときも泣いたし、そのあとおれの世話やアルフの看病をしながら時々また泣いて、アルフが起きたときはしがみついて大号泣。その時おれはニヤニヤ笑う拉致犯に引っ張られて部屋の隅に立っていた。「お邪魔虫」や「野暮」という言葉をここではじめて知った。
アルフは覚醒したばかりで意識がはっきりしていないのか、珍しくぼんやりした顔をしていて、無事な左腕でサリーの背中を擦っていた。
一番怪我の具合がひどい右腕や擦り傷や火傷など、アルフの怪我をちゃんと手当てしたのは、意外にも拉致犯だった。内傷はともかく外傷の応急措置とは、傭兵というものには欠かせない技術らしい。家の中にその辺りの薬もしっかり用意してあったのを、惜しみなく使っていた。
「お坊っちゃん、その『拉致犯』ってのやめねぇ?」
「そんなこと言われたって。お前の名前知らないし」
「そこは聞けよ!?」
なんだかんだおれの扱いが酷いアルフもサリーの泣きべそ顔には弱いらしくて、数日経ってもベッドで寝ることになっていた。おれと拉致犯――エランド・オレリアは時々様子を見に行ったけど、部屋に長々と居座ることはしなかった。
アルフはエランドの顔を見るたび相当変な顔をした。包帯を交換してもらうときとかサリーと見比べてニヤニヤ笑われるときとかは元々の悪人顔が凶悪になる。そしてサリーが怖がったら慌てて殺気を引っ込めるもんだから、エランドはそれをせせら笑うように愉しんでる。やっぱりこの二人、仲がいいわけじゃない。
……なんで、おれもこの変人をもらうって言ったんだろうな。あのときは「千里眼」という言葉が気になって、アルフが教えてくれそうにないならエランドに、と考えてたら咄嗟に「いる」って言ってたんだけど。結局エランドは教えたくれないし。
「ぼ、坊っちゃん、水仕事は私がしますから」
「サリーは働きすぎ。おれも本邸で暮らす前はこういうのしてたから慣れてる。分担してやろう」
「でも……」
「おれの看病はもうしなくていいからクソガキから雑巾奪え、侍女」
「ア、アルフさん!?」
アルフは、数日たつとやっと自由に動き回るようになった。エランドに馬鹿にされるなら、サリーに泣かれるなら、と根性で回復に努めていたのは知ってるけど、これで強がりじゃなくて本当に元気になってるから、こいつも相当な変人だ。今も顔色いいし。怪我の痛みなんて感じさせない動作だし。
「クソガキ、前に約束してただろ。雑巾は侍女に預けてこっち来い」
「サリーです!坊っちゃん、お預かりしますね」
「約束……?」
「全部終わったら話してやるって言っただろ。もうそろそろ時間がなくなる」
「なに?」
アルフは黙っておれに背中を向けた。この不遜な態度にも慣れてきてしまった。まだ半年とちょっとなのにな。
アルフは家の裏庭に向かうようだった。途中からエランドがひょっこりついてきたけど、ちらりと嫌そうな視線を向けただけで、黙々と足を進めて。いつ止まるんだろう。どこを見て歩いているんだろう、こいつは。ずっと、ずっとそうだ。
「お前は――『千里眼』?」
背中に尋ねたら、雰囲気がちょっと変わった。ありえないんだけど、この時ばかりは、こいつが泣きそうに見えたんだ。
「時間がない」という意味は、二日後にわかった。
親父さまがやって来たから。
アルフには戦争のことは聞いていた。でもそれは歴史を追うようなもので、あいつが「千里眼」と戦場で畏れられていたこと、兄はその時一緒にいて、敵の策謀に嵌まって殺されたこと、アルフは仲間が庇って助かったけど、戦争に行くきっかけになった故郷に戻ると、焦土と化してしまっていたこと、結局、何も守れないまま生き残って……そうして、親父さまに雇われたこと。おれや兄上の名誉と復讐のために、神皇国を揺さぶろうとしていることなんて、これまで考えもしなかったもので。
そんな内容を聞いて、重くてどろりとして冷たい感情を一日でなんとか消化できたところでの来訪だ。親父さまに「顔色が悪いな」と頬を撫でられ、頭を撫でられ、そっと抱きしめられて……遥か昔のような温かな触れ合いに気をとられて、アルフがこの場にいないことにも気づかなかった。
「レオ、お前には今回のことで色々と負担をかけたな」
「……いえ。おれがあまりにも無知でした。それこそ、迷惑をかけて申し訳ありませんでした」
親父さまが目を見開いた、その理由にも。
「挽回の機会を下さい。兄上に恥じないよう、親父さまの功績を汚さぬよう、筆頭貴族たるディオ家の主となるべく邁進していきます」
「……その必要はない」
あまりに冷たく固い声にはっと顔を上げたのと同時。エランドが部屋に飛び込んできた。
「おいお坊ちゃん!逃げろ!」
「え?」
エランドは一瞬後に床に倒れた。その腕を締め上げ、背中に膝を載せているのは――執事長。いつも親父さまの後ろに佇む、親父さまの腹心。
「まさか『暴虎』まで手懐けるとは……惜しい才だ。ここで終わらせなくてはならないとは」
「親父、さま?」
「お坊ちゃん!――ちっ、あいつどこ行きやがった!主人の危機だぞ!?」
喚くエランドを親父さまは無視して、おれに手を翳した。なにかを包んだ紙を握った手を。
「火事で死ぬと思っていたのだがな……。全て知ったなら話は早いが、もう、お前に用はない。ただでさえ心が弱いのだ。筆頭貴族家にそのような弱みを野放しにしておく余裕はない。ディオ家はもっと別の優秀な者に継がせる」
「な、にを」
「お休み、レオ」
その時の親父さまの顔は、とてもとても優しくて。
恐ろしいほど鮮やかで、泣きたくなるほど複雑な感情。
(……そういえば、アルフは親父さまの命令でもおれを殺すことは絶対にないけど、親父さまがご自分でおれを殺す可能性もあったんだな)
そんな変なことに納得して。口に流し込まれた丸薬を無理やり飲まされて。
ああ、これが最期か、と――……。
――ふざけるな。
なんだこの流れ。
……結局どういうことだったんだこれ。三階分落下の衝撃が抜けきれなくて呆然と腕の中に守られていると、また一つ影が降ってきて、気づいたら館丸々燃え上がってがらがらと崩れ落ちていて。
しかもアルフ、さすがに気絶してるみたいで、声をかけても反応がなかった。近くに飛び降りてきた拉致犯も。
慌てまくって声をかけ続けたら、二人とも、最後には目覚めた。目覚めて、なんかさっきまでの険悪な空気は消えて、無言のまま仲良く同じ逃走の道を進んだ。おれを連れて。
燃え落ちる城を出ても、アルフは一度だって足を止めなかった。拉致犯が黙っておれを奪い取るように抱き抱えたら、ちらりと視線だけやって、先導役に専念するように足を早めた。……そうだよ。こいつ、腕を怪我してるんだよ。前に王弟殿下に斬られた傷もある、右腕。拉致犯はそれを気遣ったのか。
わけわかんなくなった。殺し合うくらい仲悪くなかったっけお前たち。
アルフは人とすれ違う道を選ばなかった。低木ばかりの森。すいすいと緑の木立を泳ぐように駆け抜けて、おれを抱えた拉致犯が続く。
だからいまだにどこに連れ去られてたのかもよくわからないし、どこを目指しているかもわからなくて。でもやがて視界が開けたと思ったら、目の前に、こじんまりとした小さな家が建っていた。少し前まで、都に呼ばれるまでおれが暮らしていたような。
その玄関の前では見覚えのある顔の女の子がいて。
「……坊っちゃん、アルフさん……!」
ご無事でなによりです、駆け寄ってそう泣きじゃくるサリーに、ふっと緊張がほどけて、情けなくも気絶することになったのだった。
気絶したのはおれだけじゃなかったらしい。むしろ、覚醒が早かったのはアルフよりおれの方だった。アルフはおれの半日後に起きた。
小さな家には、サリー以外に人はいないらしかった。ここはどこだとサリーに尋ねたら、わかりませんと首を振られた。おれが拐われてアルフが屋敷から姿を消したあとに執事長に連れてこられたから、と。
サリーはよく泣いた。おれが目覚めたときも泣いたし、そのあとおれの世話やアルフの看病をしながら時々また泣いて、アルフが起きたときはしがみついて大号泣。その時おれはニヤニヤ笑う拉致犯に引っ張られて部屋の隅に立っていた。「お邪魔虫」や「野暮」という言葉をここではじめて知った。
アルフは覚醒したばかりで意識がはっきりしていないのか、珍しくぼんやりした顔をしていて、無事な左腕でサリーの背中を擦っていた。
一番怪我の具合がひどい右腕や擦り傷や火傷など、アルフの怪我をちゃんと手当てしたのは、意外にも拉致犯だった。内傷はともかく外傷の応急措置とは、傭兵というものには欠かせない技術らしい。家の中にその辺りの薬もしっかり用意してあったのを、惜しみなく使っていた。
「お坊っちゃん、その『拉致犯』ってのやめねぇ?」
「そんなこと言われたって。お前の名前知らないし」
「そこは聞けよ!?」
なんだかんだおれの扱いが酷いアルフもサリーの泣きべそ顔には弱いらしくて、数日経ってもベッドで寝ることになっていた。おれと拉致犯――エランド・オレリアは時々様子を見に行ったけど、部屋に長々と居座ることはしなかった。
アルフはエランドの顔を見るたび相当変な顔をした。包帯を交換してもらうときとかサリーと見比べてニヤニヤ笑われるときとかは元々の悪人顔が凶悪になる。そしてサリーが怖がったら慌てて殺気を引っ込めるもんだから、エランドはそれをせせら笑うように愉しんでる。やっぱりこの二人、仲がいいわけじゃない。
……なんで、おれもこの変人をもらうって言ったんだろうな。あのときは「千里眼」という言葉が気になって、アルフが教えてくれそうにないならエランドに、と考えてたら咄嗟に「いる」って言ってたんだけど。結局エランドは教えたくれないし。
「ぼ、坊っちゃん、水仕事は私がしますから」
「サリーは働きすぎ。おれも本邸で暮らす前はこういうのしてたから慣れてる。分担してやろう」
「でも……」
「おれの看病はもうしなくていいからクソガキから雑巾奪え、侍女」
「ア、アルフさん!?」
アルフは、数日たつとやっと自由に動き回るようになった。エランドに馬鹿にされるなら、サリーに泣かれるなら、と根性で回復に努めていたのは知ってるけど、これで強がりじゃなくて本当に元気になってるから、こいつも相当な変人だ。今も顔色いいし。怪我の痛みなんて感じさせない動作だし。
「クソガキ、前に約束してただろ。雑巾は侍女に預けてこっち来い」
「サリーです!坊っちゃん、お預かりしますね」
「約束……?」
「全部終わったら話してやるって言っただろ。もうそろそろ時間がなくなる」
「なに?」
アルフは黙っておれに背中を向けた。この不遜な態度にも慣れてきてしまった。まだ半年とちょっとなのにな。
アルフは家の裏庭に向かうようだった。途中からエランドがひょっこりついてきたけど、ちらりと嫌そうな視線を向けただけで、黙々と足を進めて。いつ止まるんだろう。どこを見て歩いているんだろう、こいつは。ずっと、ずっとそうだ。
「お前は――『千里眼』?」
背中に尋ねたら、雰囲気がちょっと変わった。ありえないんだけど、この時ばかりは、こいつが泣きそうに見えたんだ。
「時間がない」という意味は、二日後にわかった。
親父さまがやって来たから。
アルフには戦争のことは聞いていた。でもそれは歴史を追うようなもので、あいつが「千里眼」と戦場で畏れられていたこと、兄はその時一緒にいて、敵の策謀に嵌まって殺されたこと、アルフは仲間が庇って助かったけど、戦争に行くきっかけになった故郷に戻ると、焦土と化してしまっていたこと、結局、何も守れないまま生き残って……そうして、親父さまに雇われたこと。おれや兄上の名誉と復讐のために、神皇国を揺さぶろうとしていることなんて、これまで考えもしなかったもので。
そんな内容を聞いて、重くてどろりとして冷たい感情を一日でなんとか消化できたところでの来訪だ。親父さまに「顔色が悪いな」と頬を撫でられ、頭を撫でられ、そっと抱きしめられて……遥か昔のような温かな触れ合いに気をとられて、アルフがこの場にいないことにも気づかなかった。
「レオ、お前には今回のことで色々と負担をかけたな」
「……いえ。おれがあまりにも無知でした。それこそ、迷惑をかけて申し訳ありませんでした」
親父さまが目を見開いた、その理由にも。
「挽回の機会を下さい。兄上に恥じないよう、親父さまの功績を汚さぬよう、筆頭貴族たるディオ家の主となるべく邁進していきます」
「……その必要はない」
あまりに冷たく固い声にはっと顔を上げたのと同時。エランドが部屋に飛び込んできた。
「おいお坊ちゃん!逃げろ!」
「え?」
エランドは一瞬後に床に倒れた。その腕を締め上げ、背中に膝を載せているのは――執事長。いつも親父さまの後ろに佇む、親父さまの腹心。
「まさか『暴虎』まで手懐けるとは……惜しい才だ。ここで終わらせなくてはならないとは」
「親父、さま?」
「お坊ちゃん!――ちっ、あいつどこ行きやがった!主人の危機だぞ!?」
喚くエランドを親父さまは無視して、おれに手を翳した。なにかを包んだ紙を握った手を。
「火事で死ぬと思っていたのだがな……。全て知ったなら話は早いが、もう、お前に用はない。ただでさえ心が弱いのだ。筆頭貴族家にそのような弱みを野放しにしておく余裕はない。ディオ家はもっと別の優秀な者に継がせる」
「な、にを」
「お休み、レオ」
その時の親父さまの顔は、とてもとても優しくて。
恐ろしいほど鮮やかで、泣きたくなるほど複雑な感情。
(……そういえば、アルフは親父さまの命令でもおれを殺すことは絶対にないけど、親父さまがご自分でおれを殺す可能性もあったんだな)
そんな変なことに納得して。口に流し込まれた丸薬を無理やり飲まされて。
ああ、これが最期か、と――……。
――ふざけるな。
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