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第8話 ミウの洗脳、ユイの葛藤
しおりを挟む---翌日の昼休み、水泳部の部室---
翌日の昼休み、ミウは再び部室を訪れた。ハルカからミウとご飯を一緒に食べることになったと連絡がきた。3日間続けて俺は物置に閉じ込められるか?
ハルカはミウを自分に懐かせるような行為は、焦らし続けるような緩やかなペースで進めていた。初日はキス舌を絡めるような行為だけ......。それだけでも、初心なミウにとっては大きな衝撃だったのだろう。
2日目は濃厚なキスに加えてミウの耳に唇を這わせるなど、声と吐息と唇でミウの耳の性感を開発するような愛撫を続けていた。
3日目になると唇や舌を使って耳と首筋を丁寧に刺激していく。日々少しだけ進んでいく悩まし気な行為、ミウの漏らす吐息や声が少しずつ溶けるような響きに変わっていく。
水泳部の部室である密室が、若い少女たちの甘酸っぱい匂いで満ちていく。俺は相変わらず大きなロッカー(物置)に潜んでいるだけだが、初心なミウがハルカに染められていく様子は匂い立つような官能さが感じられた。
「ねぇ、ミウちゃん、いいのかしら?彼......陸くんと毎日お昼休み一緒に過ごす約束はどうしちゃったの?」
一緒にお弁当を食べる密会を繰り返していた恋人未満の彼のことを、ミウに何度も思い出させるように耳朶を甘く噛んだり吸ったりしながら囁く。
既にハルカと唇を重ねるだけで溶けた表情を浮かべるミウに、ハルカは彼と自分を比べさせているのだ。ハルカも意地が悪い......いや、ああいうことをハルカにしてきたのは俺だから、俺には何も言う権利はない。
「ぁ...ぁっ...ハルカ先輩に会いたいから。今日は無理って......伝えました...くんっ♡」
ハルカの背中にしがみつくように抱き着いているミウが身悶えている。ミウがハルカにくっついていられる時間は限られている。その時間を少しも無駄にしたくなくて抱き着いているのだ。ミウはまだ恐らく男性との経験が無いのだろう。ましてや女性との経験などないと推測される。
「そうなの?......昨日も一昨日もミウはその彼に会ってあげなかったのでしょう?」
会って[あげる]......という言葉を使い、ミウ自身が選択できることだと認識させる。そしてミウが望めば、その彼に会う必要がないことも......。
「いいのよ?......くちゅ♡......んぅ♡......ミウが誰と一緒に過ごすか、ミウが決めればいいの。ミウが好きな人が誰かもミウが判断するのよ?」
毎日お昼に好きな同級生と会って、お弁当を食べたり、雑談したり......時にはキスをしたり......そのような甘い時間を屋上で過ごしてきた思い出をハルカが塗りつぶしている。
ハルカを選べば、もっと気持ちいい事があるのだと......。ハルカに依存するともっと楽になれると......。
「でも、ミウは浮気性なのかしら......。陸くんのこと好きだったのでしょう?付き合いたかったのでしょう?屋上で熱烈にキスしてたって聞いたわ......」
ハルカはミウの舌を甘く啜りながら、指先でミウの小さな耳朶を撫でて別の指が色白の少女の首筋を這っていく。鎖骨まで降りていきそうな指が何度も上下して、首筋をくすぐるように指でなぞるだけで、ヒクヒクと肉が震える。
「そんなつもりじゃ♡......んぁっ♡...ハルカ先輩......が触ると♡......ミウの身体♡、すごく気持ちよくなっちゃう♡......熱くて堪らなくなっちゃう♡......」
「あら、ミウの耳も首筋も誰かが触れたの?......比べてるのかな?キスは陸くんとしたのよね、何度も何度も......。私とミウの大好きな彼を比べるなんてひどいわ、意地悪なミウ♡......」
ミウが同級生とキスした記憶を呼び起こすように囁き、柔らかく濡れた唇を何度も甘く啄み咥えていく。
「あぁ♡...ぁっ♡......全然違うの♡......ハルカ先輩の唇、柔らかくて♡......私の唇まで溶けちゃいそう♡......」
「クスっ...良い子ね、ミウ......。ミウは私の事、彼に会う前から大好きだったのでしょう?......だからいつも私に抱き着いて、胸に顔を埋めて......お姉ちゃんより好きになってくれるのかしら?」
ハルカはブラウスの胸元のボタンを外していき、暑さで もわっ♡ とした熱がこもるブラに隠れていない露出した豊満な乳房に何度もミウの顔を埋めさせる。
「はぁ♡......はぁ♡...ハルカ先輩の匂い♡......甘くて溶けちゃいそう♡お姉ちゃんと比べるのは......ちょっと......ぁんっ♡」
さすがに姉は特別なのだろう。だが、ハルカはそのような事承知の上で、毎日何度も何度もハルカ自身を刷り込んでいく。
「そう、ミウがお姉ちゃんより私を好きになってくれたら、いっぱいご褒美あげるのに、残念ね......くちゅ...」
ハルカは姉と自分を比べさせる言葉を何度も囁いては甘い誘惑を繰り返した。胸に埋めさせていたミウの顎に指を上げて持ち上げると、再び淫らなキスを始めた。
「むぁ♡......はぁ♡......先輩♡......ぁ......溶けちゃいそうな♡......キス♡......んふっ♡」
ミウの心と身体に刷り込むようにハルカの存在をミウに感じさせていた。ミウは気持ち良くて切ないのか、瞼をぎゅっと閉じている時間が多い。その間、ハルカはずっとロッカーの中にいる俺に視線を向けている。欲情しきって、今日もご褒美が欲しいという熱い視線だ。
そしてミウの身体も熱くなっているのは、しっとりと汗ばんだ肌や、もじもじと太腿を擦り付けている様子からも気持ち良さが身体から漏れ始めているのだろう。
「ミウのお姉ちゃんは、こうしてミウを愛してくれるの?......ミウを気持ちよくしてくれるの?......ミウを大切にしてくれるの?......」
首筋をなぞっていたハルカの指が鎖骨から滑るように...ミウに期待させるように...ミウのブラウスの上から3つ目までのボタンを外していく。
「ぁ...駄目♡......恥ずかしいです♡、ハルカ先輩♡......んぅ♡......んはぁっ♡......くちゅ♡」
ミウが理性的な言葉を漏らすと、そのたびにミウの理性を削り続ける甘く淫らなキスが始まる。ミウはハルカに翻弄されてしまっているな。
「ミウを大切にしてくれるのは......ハルカおねえさんでしょう?......ミウ、言ってごらんなさい?......」
「んぁっ♡......ぴちゃ♡......んっ、先輩の唇♡...もっと♡...ぁぁ。ミウを...愛してくれるのも♡...大切にしてくれるのも♡......ハルカ先輩だけです♡......お姉ちゃんなんて...」
唾液を交換しすぎて、ミウの口元から一滴垂れていく。虚ろな瞳で、恋焦がれるようにハルカを見つめているミウが雌の顔をしていた。3日間でこんなにハルカに溺れるとはな。姉の束縛でストレスが溜まっていただけではない、寂しかったのだろう。
そろそろ時間か。ハルカが唇を離し、ミウの髪を撫でながら微笑む。
「そろそろ練習の時間かな。今日もミウが来てくれて嬉しかったわ。ミウは食事をして教室に戻りなさいね?また私に会いたくなったら連絡してね?」
ミウが惚けた表情で固まっている。我に返ると恥ずかしそうに頬を赤く染めて頷いた。
「また......今日も一緒に帰っていいですか♡?」
「いいわよ?ユウスケも一緒だけどいいかしら?」
「はい、もちろん大丈夫です。あの......ハルカ先輩はユウスケさんと付き合ってるんですか?」
「さぁ......どうかしら......」
ハルカが悩まし気な視線をロッカーの中で隠れている俺に向けてくる。
「ミウにもね、今度ユウスケの素敵なところ教えてあげるわ。ミウはこれからいっぱい色んな事を勉強しないといけないからね」
ミウはハルカの言葉を不思議そうな表情で聞きながら頷いた。ハルカは水泳着に着替えてプールに向かうと、ミウは弁当を食べて教室に戻っていった。それを見て俺はようやくロッカーの中から解放される。
「暑い...」
ミウが部室に訪れるようになってから、1日目も2日目も......今日も同じだ。
ハルカが練習を終えて戻ってくる。練習で疲れて息遣いが荒い......いや、それはこれからまたご褒美が貰えると欲情しきったハルカの熱い吐息も混じっているのだろう。
「今日はちゃんと、次の授業出るんだぞ?......優等生のお前が毎日昼休み後サボってたら怪しまれるからな?」
「わかってるわ♡......それじゃ、今日もいっぱいご褒美くれるのね♡?......ユウスケ?」
ハルカは半開きになった濡れた唇を俺に押し付けてきた。この後、昼休みが終わるギリギリまでハルカがよがり狂い続けていた。
◇
---放課後、水泳部の練習終了後の校門---
ハルカとミウの部活が終わると、3人で帰宅した。日が経つにつれて、ミウのテンションは上がっていく。そしてハルカを見上げるその表情は、恋を知った少女そのものだ。ミウを家(隣の家だが)に送り届けると、ハルカも同様に家(3軒隣の家だが)に送っていく。体力も性欲もタフなハルカだが、さすがに疲れた様子で今日は大人しく家に帰っていった。
俺が家に帰ると、ミウの姉であり兄貴の恋人であるユイの姿があった。一瞬目を疑って、部屋に入りなおすと肩をすくめて自分の机の前に座る。ユイは柔らかいラグの上で正座して会釈した。
「ここ、兄貴の部屋じゃないですよ?」
「わかってるわ、私がそんなに、そそっかしそうに見える?」
ユイが無邪気に笑っていた。学校では見せない笑顔だ。学校でのユイは生徒会長であるという自負から、隙を見せない少女だった。俺が部屋に入った時は随分緊張した面持ちだったが、今笑って気持ちはほぐれたのだろう。
「リョウスケさんを待たせてもらっていたの。その......リョウスケさんのお母様がユウスケくんがもう帰ってくるから、お喋り相手にどうぞ......って」
兄貴はまだ部活の練習で帰宅していなかったようだ。そして母が退屈そうなユイの相手を俺にさせようとして、ユイは俺の部屋に通されたようだ。
床に座っているユイが俺を見上げている。ユイは清純そうで穢れを知らない美しい姿で、表情を変えると真剣な面持ちで聞いてきた。
「ユウスケくん、ミウがお世話になっているようで......あの......ありがとうございます」
「俺は大したことしてませんよ。ミウちゃんには幼馴染を相談相手にできるよう紹介しただけです」
「そう......、ミウは何か言ってた?私のこととか......」
姉を嫌っているんじゃないか不安だったのだろう、ユイは潤みがちな視線を俺に向けてくる。
「ユイさんがミウちゃんのことを大切に思っている事は、ミウちゃんの話しを聞く限りとても強く感じます。だけどミウちゃんにとって、それは......」
「それは?......」
ユイは無意識に身を乗り出していた。俺の言葉の先を聞きたがっているのは明白だった。だが、そのタイミングで玄関から兄貴の大きな声が聴こえてきた。
「ただいま~~、ユイが来てるんだって?」
ユイが溜息をついていた。話しの先が聞きたかったことと、相談事が他にもあったのだろう。
「ユウスケくん、ごめんね?......リョウスケさん、帰ってきちゃった。私、行ってくるね?そ、それで......ユウスケくんの連絡先とSNSのアカウント教えてくれないかな?......」
交際している兄貴の弟とは言え、連絡先を聞くのは恥ずかしかったようだ。耳まで顔を真っ赤にさせて俯いている様子に、俺は連絡先を書いたメモを渡し耳元で小声で囁いた。
「ユイさんは......何でも自分の中に溜め込み過ぎですよ?......1年前も、そして今も。辛くないですか?......俺、何でも相談にのりますから」
俯いて赤面した顔をあげるユイは驚いた表情を浮かべていたが恥ずかしそうに頭を下げると、俺の渡したメモを握りしめて部屋を出て行った。
ユイは帰宅した後、すぐに俺のSNSアカウントと繋げてきた。
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