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Irregular 23
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Sは既に半勃ちで身をのけ反らして腰をNに押し付けてきた。
後ろ手にNの頭を抱いてキスをせがみ、自分が放った精の味を初めて知って眉を潜めた。
「生臭い・・・んだ・・・・」
思わず漏れたSの呟きに、Nは腰を振りながら笑っていた。腹筋が揺れる振動まで背中越しにSに響いて、余計に固く勃ち上がった。
「これ位勃ったら、大丈夫かな。S君、ゴム着けて・・・すぐに挿れても大丈夫にしてあるから。あ、ジェルはたっぷり着けてね。」
「・・・本気なんですか?」
Sの声が沈んでいるようにNには聞こえて、また笑ってしまった。
「一応、チャレンジしてみて?ほら。」
Nは起き上がり、素早くSにコンドームを装着させ、それにジェルをたっぷりと垂らした。
「俺の身体がでかいから、君が抱くのは無理だと思う。後ろ向きになるから・・・そのまま、いいよ?」
突き出されたNの臀部にSは両手を掛けてみたものの、いつまでもそれ以降の動きが無かった。
「Nさん、ごめんなさい・・・・しぼみました。」
泣きそうな声のSに振り返ると、唇をへの字にして涙を堪えているようだった。
「ああ、気にするなって。」
Nは振り返り膝立ちになっているSの身体を抱き締めた。
「ごめんなさい。折角準備してくれたのに・・・」
「いいって。」
Nは笑顔でSの頭を何度も撫でた。
「Nさん、あの、僕、やっぱり・・・・・」
「ん?こういうのは無理だったか?」
Sは首を振った。
「僕、やっぱり、抱いて欲しいんだって、分かりました。最初から抱かれるのが前提だから、検索して・・・想像して、怖くなったんだと思います。」
「え?」
「Nさん、僕を抱けますか?」
「何言ってるの!当たり前じゃん。今、そうしたばっかりじゃないか。」
「・・・僕が、Nさんを、欲しかったんだって、今、分かりました。」
「無理すんなよ。俺に合わせなくていいんだぞ?」
「初めてなんです。こんなに・・・痛い位、勃つの・・・・明日、リベンジしていいですか?ちゃんと準備しますから。」
「痛い位に勃っても・・・中に、欲しいんだね?」
「怖い・・・けど、そうです。」
「じゃあ、俺が経験者というか達人?達にレクチャー受けたのを、君に話そうか。」
「はい・・・その前に・・・」
Sは抱き合ったNの胸を腕でそっと押して、Nの身体はベッドに仰向けになった。
「僕も、したいんです。やり方、教えて下さい。」
そう言って半勃ちのままのNの猛りを握った。
「え?口で?いいよ、無理しないで。」
「僕が欲しいとお願いしているのに?」
「・・・こんな事、勿論、初めてだよね?」
「はい。されたのも、さっきが初めてです。気持ち良すぎて、何処をどうされたのか全く覚えてなくて・・・だから、Nさんに言われた通りにしてみたいんです。」
「ありがとう。本当はこのまま君の身体を触りながらが一番いいんだけど、初めてだと色々危ないから・・・君が少しでも楽な方がいいから・・・ベッドに腰掛けるからね、君は足の間に座って。」
言われた通り、腰掛けたNの両足の狭間に正座したSは顔を上げてNの言葉を待った。NはSの髪を何度も撫で、口元で微笑んで優しい眼差しで見下ろした。
「S君、俺、幸せ過ぎて死にそう。」
「・・・まだ何もしてませんよ?」
Sは笑ってNの完全に勃ったものを握った。
「あっつい・・・・」
「吐き気との勝負になっちゃうから、無理して全部口に入れなくていいんだけど・・・」
「はい、よろしくお願いします。」
「って、それ、俺のセリフ。」
Nは笑ってSの頬を撫でた。
「手で扱きながら口にモノを出し入れするんだけど、君が気持ちいい場所を思い出して、そこを舐めたり吸ったりしてくれたらいいかな・・・」
SはNの滴が溜まった先端に音を発ててキスをした後、口を開けて思い切り咥え込み、そしてすぐに嘔吐いて咳き込んだ。
「ほらぁ。無理しないでって言ったでしょ?咥えなくても、ハーモニカ拭くみたいにしてくれてもいいよ・・・」
涙目で頷きながら、Sは言われた通りにしながらも時折喉奥に向かってNの猛りを滑らせ、嘔吐きながらも次第に慣れたのか咥える深さが増していった。上目遣いにNを見上げるSの顔は涙と鼻水とで洪水状態だったが、眉を寄せながらも懸命に悦ばせようとしている姿はNには可愛く美しくしか見えなかった。
Sの頬や耳を撫でながら、Nはずっと呻いていた。テクニックの欠片も無い行為でも、愛しさが全てをカバーする。まして、泣きながら顔を振るごとに、腹にくっつきそうな程のSの揺れる猛りが目に入って、Nは刺激の限界を迎えた。
「S君・・・来て。」
NはSの腕を強く引いて腰掛ける自分に跨ぐように膝に乗せ、唇を深く重ねながら二人の猛りをひと掴みに握った。
「先にイったらごめん。」
キスの合間に苦しそうに囁き、Nは激しく手を降った。Nの首に縋りつくSの鼻先から、高い嬌声が漏れていた。Nはただただ呻いて、二人の唇が離れたタイミングで達した。絞り出すようにゆっくりと手を降る最中で、Sも遅れて果てていた。
二人は粗い呼吸のまま抱き合い、息が整うのを待った。
「ああ、最高だった。ありがとう。顎、疲れて痛くない?」
「はい。僕も最高でした・・・あの、キスを沢山したいんですが・・・」
Sの言葉に顔を寄せたNは、寸での所で顔を背けられた。
「・・・もっと爽やかな・・・甘い感じの味が・・・いいんですが・・・・」
気まずそうに言うSに、Nは声を出して笑った。
「ああ、生臭いもんな。シャワーのついでにマウスウォッシュしよっか?」
Nは笑いながらベッドボードのティッシュを取って右手を拭った。
「一緒に行こう?」
Nは汚れていない左手でSの左手を握り、バスルームへ向かった。こんな幸せな気分は、二人共初めて味わうものだった。
スマホの目覚ましのアラームが鳴って、Sが先に目を覚ました。
隠し事が無くなった分だけ、身が軽くなったかのようだ。爽快な目覚めだった。そして、夢に見た事で久々に思い出す事が出来たNとの”初めて”の余韻に浸って、Sは上機嫌だった。
「Nさん、起きて。ジョギングに行くんでしょ?それとも、今日は止めるの?」
「う~ん。」
ベッド脇に立って顔だけNに近付いたSの腕を突然引っ張って、Nは再び懐に抱き入れた。
「もうっ!起きてるなら、早く準備しないと!」
「ん~~~起きたくない~~~」
「だったら、ご飯出来たら起こすから、二度寝満喫して。」
SはNの頬に音を発ててキスをした後、器用にするりとNの腕の中から脱出した。
Nは壁掛けのカレンダーに印を着けて、朝目覚めると一番に今日の日付に斜めに線を引くのを日課にしていた。SがNの部屋に引っ越して来るカウントダウンだ。
自室の片付けなどでNと自室とを行ったり来たりのSが、引っ越し前日の夜は自室に泊った。Nが掛けて来たビデオコールで、Sはほぼがらんとした自室のルームツアーをしてみせた。
「そんなに思い入れ無かったというか、寂しい思いはあんまりないかなあ~」
話の中で何気に呟いたSに、Nは唇を尖らせてみせた。
「明日から楽しい同居生活なのに、そこを去る未練があったら俺が寂しいでしょうよ。」
「ふふっ。そうでした。そうだ、明日の会社帰りに買い物を頼んでもいいですか?」
「なんだい?」
「花を・・・僕が退院した時に買って下さった花みたいなのを、僕に買ってくれませんか?」
「うん。分かった。じゃあ、明日。何も無くて寒々しいけど、風邪引くなよ?」
「はい。午後一便で作業しますので、僕はご飯作って待ってますね。」
「うん。楽しみに待ってる。あ!S!電話切る前にあれ、あれやってくれ!」
「あれ?」
「ファンサ、ファンサ!」
「なんだ、気に入ってるの?はい。」
Sはアイドルスマイルを作ると空キッスを息で飛ばす真似をしてみせ、ウィンクして手を振った。Nがにやけた顔のままいつまでも切らないので、Sは笑いながらオフスイッチをタップした。
後ろ手にNの頭を抱いてキスをせがみ、自分が放った精の味を初めて知って眉を潜めた。
「生臭い・・・んだ・・・・」
思わず漏れたSの呟きに、Nは腰を振りながら笑っていた。腹筋が揺れる振動まで背中越しにSに響いて、余計に固く勃ち上がった。
「これ位勃ったら、大丈夫かな。S君、ゴム着けて・・・すぐに挿れても大丈夫にしてあるから。あ、ジェルはたっぷり着けてね。」
「・・・本気なんですか?」
Sの声が沈んでいるようにNには聞こえて、また笑ってしまった。
「一応、チャレンジしてみて?ほら。」
Nは起き上がり、素早くSにコンドームを装着させ、それにジェルをたっぷりと垂らした。
「俺の身体がでかいから、君が抱くのは無理だと思う。後ろ向きになるから・・・そのまま、いいよ?」
突き出されたNの臀部にSは両手を掛けてみたものの、いつまでもそれ以降の動きが無かった。
「Nさん、ごめんなさい・・・・しぼみました。」
泣きそうな声のSに振り返ると、唇をへの字にして涙を堪えているようだった。
「ああ、気にするなって。」
Nは振り返り膝立ちになっているSの身体を抱き締めた。
「ごめんなさい。折角準備してくれたのに・・・」
「いいって。」
Nは笑顔でSの頭を何度も撫でた。
「Nさん、あの、僕、やっぱり・・・・・」
「ん?こういうのは無理だったか?」
Sは首を振った。
「僕、やっぱり、抱いて欲しいんだって、分かりました。最初から抱かれるのが前提だから、検索して・・・想像して、怖くなったんだと思います。」
「え?」
「Nさん、僕を抱けますか?」
「何言ってるの!当たり前じゃん。今、そうしたばっかりじゃないか。」
「・・・僕が、Nさんを、欲しかったんだって、今、分かりました。」
「無理すんなよ。俺に合わせなくていいんだぞ?」
「初めてなんです。こんなに・・・痛い位、勃つの・・・・明日、リベンジしていいですか?ちゃんと準備しますから。」
「痛い位に勃っても・・・中に、欲しいんだね?」
「怖い・・・けど、そうです。」
「じゃあ、俺が経験者というか達人?達にレクチャー受けたのを、君に話そうか。」
「はい・・・その前に・・・」
Sは抱き合ったNの胸を腕でそっと押して、Nの身体はベッドに仰向けになった。
「僕も、したいんです。やり方、教えて下さい。」
そう言って半勃ちのままのNの猛りを握った。
「え?口で?いいよ、無理しないで。」
「僕が欲しいとお願いしているのに?」
「・・・こんな事、勿論、初めてだよね?」
「はい。されたのも、さっきが初めてです。気持ち良すぎて、何処をどうされたのか全く覚えてなくて・・・だから、Nさんに言われた通りにしてみたいんです。」
「ありがとう。本当はこのまま君の身体を触りながらが一番いいんだけど、初めてだと色々危ないから・・・君が少しでも楽な方がいいから・・・ベッドに腰掛けるからね、君は足の間に座って。」
言われた通り、腰掛けたNの両足の狭間に正座したSは顔を上げてNの言葉を待った。NはSの髪を何度も撫で、口元で微笑んで優しい眼差しで見下ろした。
「S君、俺、幸せ過ぎて死にそう。」
「・・・まだ何もしてませんよ?」
Sは笑ってNの完全に勃ったものを握った。
「あっつい・・・・」
「吐き気との勝負になっちゃうから、無理して全部口に入れなくていいんだけど・・・」
「はい、よろしくお願いします。」
「って、それ、俺のセリフ。」
Nは笑ってSの頬を撫でた。
「手で扱きながら口にモノを出し入れするんだけど、君が気持ちいい場所を思い出して、そこを舐めたり吸ったりしてくれたらいいかな・・・」
SはNの滴が溜まった先端に音を発ててキスをした後、口を開けて思い切り咥え込み、そしてすぐに嘔吐いて咳き込んだ。
「ほらぁ。無理しないでって言ったでしょ?咥えなくても、ハーモニカ拭くみたいにしてくれてもいいよ・・・」
涙目で頷きながら、Sは言われた通りにしながらも時折喉奥に向かってNの猛りを滑らせ、嘔吐きながらも次第に慣れたのか咥える深さが増していった。上目遣いにNを見上げるSの顔は涙と鼻水とで洪水状態だったが、眉を寄せながらも懸命に悦ばせようとしている姿はNには可愛く美しくしか見えなかった。
Sの頬や耳を撫でながら、Nはずっと呻いていた。テクニックの欠片も無い行為でも、愛しさが全てをカバーする。まして、泣きながら顔を振るごとに、腹にくっつきそうな程のSの揺れる猛りが目に入って、Nは刺激の限界を迎えた。
「S君・・・来て。」
NはSの腕を強く引いて腰掛ける自分に跨ぐように膝に乗せ、唇を深く重ねながら二人の猛りをひと掴みに握った。
「先にイったらごめん。」
キスの合間に苦しそうに囁き、Nは激しく手を降った。Nの首に縋りつくSの鼻先から、高い嬌声が漏れていた。Nはただただ呻いて、二人の唇が離れたタイミングで達した。絞り出すようにゆっくりと手を降る最中で、Sも遅れて果てていた。
二人は粗い呼吸のまま抱き合い、息が整うのを待った。
「ああ、最高だった。ありがとう。顎、疲れて痛くない?」
「はい。僕も最高でした・・・あの、キスを沢山したいんですが・・・」
Sの言葉に顔を寄せたNは、寸での所で顔を背けられた。
「・・・もっと爽やかな・・・甘い感じの味が・・・いいんですが・・・・」
気まずそうに言うSに、Nは声を出して笑った。
「ああ、生臭いもんな。シャワーのついでにマウスウォッシュしよっか?」
Nは笑いながらベッドボードのティッシュを取って右手を拭った。
「一緒に行こう?」
Nは汚れていない左手でSの左手を握り、バスルームへ向かった。こんな幸せな気分は、二人共初めて味わうものだった。
スマホの目覚ましのアラームが鳴って、Sが先に目を覚ました。
隠し事が無くなった分だけ、身が軽くなったかのようだ。爽快な目覚めだった。そして、夢に見た事で久々に思い出す事が出来たNとの”初めて”の余韻に浸って、Sは上機嫌だった。
「Nさん、起きて。ジョギングに行くんでしょ?それとも、今日は止めるの?」
「う~ん。」
ベッド脇に立って顔だけNに近付いたSの腕を突然引っ張って、Nは再び懐に抱き入れた。
「もうっ!起きてるなら、早く準備しないと!」
「ん~~~起きたくない~~~」
「だったら、ご飯出来たら起こすから、二度寝満喫して。」
SはNの頬に音を発ててキスをした後、器用にするりとNの腕の中から脱出した。
Nは壁掛けのカレンダーに印を着けて、朝目覚めると一番に今日の日付に斜めに線を引くのを日課にしていた。SがNの部屋に引っ越して来るカウントダウンだ。
自室の片付けなどでNと自室とを行ったり来たりのSが、引っ越し前日の夜は自室に泊った。Nが掛けて来たビデオコールで、Sはほぼがらんとした自室のルームツアーをしてみせた。
「そんなに思い入れ無かったというか、寂しい思いはあんまりないかなあ~」
話の中で何気に呟いたSに、Nは唇を尖らせてみせた。
「明日から楽しい同居生活なのに、そこを去る未練があったら俺が寂しいでしょうよ。」
「ふふっ。そうでした。そうだ、明日の会社帰りに買い物を頼んでもいいですか?」
「なんだい?」
「花を・・・僕が退院した時に買って下さった花みたいなのを、僕に買ってくれませんか?」
「うん。分かった。じゃあ、明日。何も無くて寒々しいけど、風邪引くなよ?」
「はい。午後一便で作業しますので、僕はご飯作って待ってますね。」
「うん。楽しみに待ってる。あ!S!電話切る前にあれ、あれやってくれ!」
「あれ?」
「ファンサ、ファンサ!」
「なんだ、気に入ってるの?はい。」
Sはアイドルスマイルを作ると空キッスを息で飛ばす真似をしてみせ、ウィンクして手を振った。Nがにやけた顔のままいつまでも切らないので、Sは笑いながらオフスイッチをタップした。
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