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6【完】
しおりを挟むそんな私を見てジェフは愉しげに笑う。
「もう限界ですか? それでは一晩と身体が持ちませんよ?」
息を切らしながらジェフへと視線を向けると、生理的に浮かんでいた涙が目端からぽろりと溢れる。彼はそれを人差し指で掬い取り、意味深な笑みを浮かべて告げる。
「……エロい顔ですね。早く犯したくてたまらなくなります」
「……っ、なんでこんなひどいこと……」
信頼を壊され、私は声を震わせながらジェフへと言い放つ。対してジェフはまるで全てを諦めた面持ちでつぶやいた。
「ルーナさんは僕みたいな男は嫌いでしょう? どうせ距離を置かれるくらいなら、いっそこの手で手折ってしまいたい」
涙は出ていないのに、何故か泣いているようにも見えた。気がつけばジェフは私の衣服の胸元を乱し、表へと露わになった乳房を口に含む。
「……やぁっ、」
「──抵抗しても無駄ですよ。男の僕とでは力の差がありすぎます。……っ、ルーナさんのここは薄い桃色で本当に綺麗です」
私の腕を頭上でまとめるようにして拘束し、胸の先端を口に含んで転がす。敏感なそこははじめての感覚に打ち震え、全身に電流が走る。気がつけば口からは甘い声が漏れ、全身がじわじわと溶かされていくようだった。
「固く尖って甘い……ああ、本当に綺麗だ」
ジェフはやけにうっとりとした口調で私の乳房を舐め、ときには犬歯で甘噛みをする。もう片方はその大きな掌で包みこむようにして揉まれ、私は快楽の波に流された。
抵抗しようにも胸だけで身体はドロドロに蕩けさせられていた。私は与え続けられる刺激に耐えることで精一杯で。ジェフの手が下腹部はと伸びていたことには気が付かなかった。
「…………っ! んんっ」
「もうこんなに下着がぐっしょりしてますね。本当にルーナさんって処女ですか」
ジェフはそう口にしながら私の下着の上から陰部を割れ目に沿ってなぞる。その指先が陰核の上を通るたびに腰が勝手に動いてしまう。甘い吐息を漏らしていると、ジェフの指は下着の中へと侵入し、思わず腰を捻る。けれどそんな些細な抵抗が功を奏することはなく。
「…………あぁぁ!」
「ぐちょぐちょになってますね。ここにぶち込んだら最高だろうな」
ジェフの凶悪な囁きは耳に届かない。それよりも私は彼の指技に翻弄され、絶え間なく声を上げていた。
彼の指は蜜壺から溢れた液を掬い、赤く膨れ上がった陰核を集中的にいじり続けた。花弁は勝手にひくつき、さらに蜜をこぼし続ける。
「これなら指も簡単にはいりますね。……ほらっ」
「んンンン! ぁぁっ、っ!」
ジェフの指はいとも容易く内部へと侵入し、窮屈な中を蹂躙する。中でくるくるとかき混ぜられ、入口付近で抜き刺しされると最初は違和感ばかりだったそれも次第に快楽へと置き換わっていった。
自然と腰が揺れ動き、私は快楽に身悶える。人生でこんなにも悦楽に浸った経験などなく、気持ちがよくて頭がおかしくなりそうだった。
「……もうそろそろいいですよね。僕、ずっと我慢し続けていたんです」
ジェフそう口にすると下肢の衣服を緩め、己の欲望を取り出した。
「……っ!」
それを目にした途端、大きく息を呑んだ。
ジェフの怒張はその顔に似合わず歪で凶悪な大きさをしていた。男のそれを目にしたことは初めてであったが、彼の怒張はよく使い込まれているのだと一目でわかるほど赤黒い。思わずジェフの頭上にある11809の数字が頭によぎり、こくりと唾を飲み込んだ。
男性器の存在に呑まれた私はジェフが蜜壺にそれを擦り付けてきたことによって正気に戻る。思わず顔を青ざめさせ、首を横に振りながら主張する。
「や、やめて……こ、こんなことして何が楽しいの……」
震える声でいい募る私に対し、ジェフは鼻で笑いながら目を細めた。
「…………これは僕を遠ざけようと思ったルーナさんのせいです。僕の気持ちにずっと気が付かなかったルーナさんが悪い。僕のことを嫌ってもいい。だからお願いします。今だけはどうか受け入れて──っ!」
抵抗する猶予もなく、ジェフの怒張は私を貫く。
「……あっ、ああああ!」
まるで体を引き裂かれるような苦痛が全身に行き渡り、私は悲鳴をあげた。ジェフの欲望はめりめりと私の内壁をかき分けるようにして進んでいき、最奥へと到達する。
私は内臓を押し上げられるような圧迫感に吐き気を催しながらも耐え続けていた。
ジェフは私の乱れていた呼吸が少しずつ元戻るのを見届けた後、ゆっくりと腰を動かし始める。肌と肌がぶつかり合う音が部屋に響き渡り、自分はすでに純潔ではなくなったのだと実感した。
未だに痛みを訴え続ける下腹部と同時に、ジェフが擦り上げた中からじわりじわりと不思議な熱が灯り始める。それが快感なのだと気がつくのはすぐだった。
「……あぁっ、はっっんんっ、……ぁぁっ、ンンンっ」
「…………もっと大切にっ、したかったっ、……っ、傷つけたくなんてなかった……はぁ、でも、ルーナさんは……っ、過去に色んな女を抱いてきたって言えば、……っ拒絶するでしょう? はぁ、どうせ距離を置かれるならっ、僕は僕のやりたいようにするっ」
私はジェフを受け入れながら、頭の中で理解し始めていた。
彼は私のことを女性として見ていた。つまり────好きだったのだと。
その執着心の現れが今のこの状況だろう。
犯され続けながらも、私はこの執着を拒否しようとは思えなかった。ジェフの瞳が狂おしいほど私を求めていたから。
これほどまでに他人に求められたことが今まであっただろうか?
それを考えれば口ではやめてと言いながらも、ジェフに求められることが嬉しいとさえ思っている自分がいた。
ときおり罪悪感を滲ませながらも私に欲望をぶつけるジェフに愛おしさが芽生え始めている。
自分が絆されていることは分かりきっていた。私はこの現実とは思えない状況のせいでおかしくなっているのかもしれない。
彼は何度も私の中に白濁を吐き出した。私も初めて絶頂を経験したかと思えば、立て続けに彼の欲望で達した。互いの体が混ざり合った体液で汚れても、激しく求め合った。
何度目かの絶頂の後、意識がなくなる寸前でジェフの頭上に浮かぶ数字に視線を送る。
11812。
数は知らぬ間に増えていた。
頭上の数は抱いた女の数ではなく女の中に出した数なのか、などと場にそぐわなぬ考えが頭をよぎる。
この力はジェフの本性を暴くために発現したのかもしれない。本当のところは神のみぞ知るところだ。
汗だくでわたしを未だ求め続ける男に対して呆れ半分で苦笑いを浮かべ、私の意識は闇へと落ちていった──。
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