【完結】好きな人に会いたくて幽霊になった令嬢ですが恋を叶えてもいいですか?

雪井しい

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28.消えない朝

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1人と2匹は王兄殿下にキレていたが、まあこのくらいじゃどうということはない、と矛先を納めてもらった。その代わりといってはなんだが、王都に家を所望した。詫びなんちゃら、とかいうやつだ。前世の部下がスマホでゲームをしていて、メンテナンスが長引くたびに「詫び石よこせ!」と叫んでいた。何が詫びなんだと問うと、メンテナンスのせいでゲームの出来ない『詫び』だと…。無料ゲームで何言ってやがると小突いた記憶があるが、まさにそれ。

詫び家。

こう書くとなんかすごい感があるけど、将来まだまだ稼ぐであろう子供の賠償金だ。ティグレと犬猫2匹はむすっとしてるけど、まあ妥当だと思う。貴族街の端っこにでもある小さな家、もしくは平民街でも良い。できればポチとタマを放せる庭付きで。


「ふむ……大公邸うちから近い方と遠い方、どちらが良いかな?」

「あっ、出来るだけ遠い方で」

「……………」


王兄殿下よ。俺は怒ってないだけで、許してはないんだからな?はいはい、ちょっと拗ねて見せたって、それが演技だとわかってるから。別室に用意されていた新しい服に着替えて、なんだか銀ピカの馬車に揺られてついた先は ーーー 森っ!?えー…ええー……?

森の……洋館…!?何この豪邸!ちょっと!?ちょ、ちょ……ちょおおおお!!??


先王ちちの所有していた屋敷だけど、手入れはしてあるよ。中心街からは遠いけれど、食材はから届けさせよう」

「………あー…えー……あの?殿下?森の奥の…あそこにちょっととぉーくに見えるのは、お城…ですかね?」

「そうだよ。ああ、この森は好きに使っていいよ。フェンリルやケットシーを放してもいい。には許可をとっているし、何よりからね」


やっぱり王家の森かよ!チクショウ!!


いいか、王兄殿下!これは家じゃねえ!屋敷だ!豪邸だ!!家っったよなあ、俺はァ!!



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