失恋は甘く苦く

谷川ベルノー

文字の大きさ
上 下
4 / 4

4 後悔も食べられたら

しおりを挟む

 真っ黒な塊は、香ばしくて苦く甘い。
 何度も作り続けた末の完成品。
 失敗からの成功。
 そんな努力の結晶を砕いたことで出来た欠片。

 美味しいとは思うのだが、味はよく分からない。
 心の曇りが味覚に悪影響を与えている。
 舌が麻痺して、木の板でも齧っているようにしか感じられない。
 
 たっぷり時間を掛けて、ようやく一つを食べた。
 そして、とても深い溜息を吐く。
 
「…………はぁっ…………」


 ──────苦悩は、まだ尽きない。

しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

人形姫さまの受難とその後

下菊みこと
恋愛
報われない恋、浮気、死別。そんな中でも相手を思い続けながらも前を向く女性のお話。 小説家になろう様でも投稿しています。

振られた私

詩織
恋愛
告白をして振られた。 そして再会。 毎日が気まづい。

もういいです、離婚しましょう。

杉本凪咲
恋愛
愛する夫は、私ではない女性を抱いていた。 どうやら二人は半年前から関係を結んでいるらしい。 夫に愛想が尽きた私は離婚を告げる。

愛されない女

詩織
恋愛
私から付き合ってと言って付き合いはじめた2人。それをいいことに彼は好き放題。やっぱり愛されてないんだなと…

婚約者

詩織
恋愛
婚約して1ヶ月、彼は行方不明になった。

【完結】愛に裏切られた私と、愛を諦めなかった元夫

紫崎 藍華
恋愛
政略結婚だったにも関わらず、スティーヴンはイルマに浮気し、妻のミシェルを捨てた。 スティーヴンは政略結婚の重要性を理解できていなかった。 そのような男の愛が許されるはずないのだが、彼は愛を貫いた。 捨てられたミシェルも貴族という立場に翻弄されつつも、一つの答えを見出した。

愛されていないのですね、ではさようなら。

杉本凪咲
恋愛
夫から告げられた冷徹な言葉。 「お前へ愛は存在しない。さっさと消えろ」 私はその言葉を受け入れると夫の元を去り……

耐久拒否

谷川ベルノー
恋愛
もう、耐えきれない

処理中です...