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第三章 魔女だなんて、とんでもない! わたしは聖女です!!

1 皆が皆、大混乱

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 それは、この世界に転移したあたしが、アイツに洗脳された人々の手で魔女として磔にされ、火あぶりにされる。まさに、その瞬間に起こった。

「グオオオォォ────!!」
「ギャオオオオォォ────!」
「う、うわあああああぁぁぁぁ────!?」

「ま、魔物だ────! 魔物が現れたぞ────!!」

 魔物が、街の中から湧くように出現したのだ。
それも、一体や二体の数ではない。

 本当にいきなり過ぎたから、洗脳された者達の中で魔女の処刑を一目見ようと来ていた冒険者や王と市民の平和を守る屈強な兵士達の中には、咄嗟の対応が出来ず、攻撃を受けて気絶してしまっている者達がいた。


 ソイツ等は、とにかく目に付いた相手を片っ端から襲い、街を破壊して暴れまくっている。
 人々は、今まで見たことのない魔物と突然の事態に大パニック。

「きゃあああああぁぁぁぁ──────!?」
「た、助けてくれ──────!!」

一般市民は、魔物の襲撃から逃れようと街の出口へと殺到。

 城の兵士や騎士や魔法使い達は必死になって戦うが、今まで全く見たことがない新種で強敵の魔物達に大苦戦。

 冒険者もいるが、全員が疑問を叫んでいる。

「おい、誰かコイツの弱点とか知らないのか!?
刃がぜんぜん通らねえぞ!?」
「こっちの方は、魔法も駄目だ!
植物みたいな見た目の癖に、炎を受けてもピンピンしてやがる!!」

 悲鳴と怒号と破壊音が飛び交う、戦場となってしまった街。まさに阿鼻叫喚。


 一先ず、残酷な処刑を逃れたことにあたしはホッとした。けれど、身体は縛りつけられ魔法は封じられたまま。

 ここから動くことが無理な今は、観察するしか出来ない。


(一体、何が起こっているというのよ──────!?)

 そう、思いっきり叫びたかった。だって、色んなことが起き過ぎて、頭がパンクしそうだったのだから。


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