【完結】相性のいい魔力の色が見える魔女と番犬騎士

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7 隠し事はダメ ※

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 すぐにノクスの背中が見えてステラは神経を集中させた。

 どこが不調なのか、どのくらい魔力が足りないのか、割り出すために魔力の流れを読み始めてすぐにステラは目を丸くした。

 ノクスの魔力は相変わらず綺麗で、ステラの大好きな深い青色をしていた。もちろんその美しい魔力が体の中を循環しているのだが、循環しているということ魔力は十分足りてるわけで。
 ノクスが嘘をついていたことがすぐにわかった。魔力不足ではない。

 だとしたらどうして嘘をつくのだろう。
 不思議に思いながら身体中の魔力の流れを見ていると、一部、不足どころか過剰に集まり過ぎている場所を見つけてステラは頬を赤く染めた。

「わ…」

 ずかずかと歩いていくノクスの背中を見て、その背中めがけてステラは走っていき、飛びついた。
 
「ノクス」
「…お前、向こうにいろって言ったろ」

 ノクスは不自然に体をびくつかせて驚く。やっぱりそうだと確信を持ちながらステラはノクスの前に回り込むとその場にしゃがんだ。

「あ?」

 何のつもりかわからず困惑しているノクスをよそに、ステラはノクスのローブに触れる。前の合わせをかき分けてノクスの服に触れるとベルトを掴んだ。

「っ…おい」

 そこでようやくノクスもステラの意図に気づいたようで慌てて手を離そうとベルトを掴む手を掴まれる。

「ノクス、離して。痛い」

 全く痛くなかったが、ステラがそう言えばノクスの手は止まり身動きの取れない人形とかす。
 ノクスが子猫に触れるような手つきになったのをいいことに、ステラは好き勝手に服を引っ張り、ベルトを外すと履いていたズボンをえいやっと下ろした。

「待て!」

 ノクスが慌てて声を上げたと同時にズボンも下着も何もかもが下ろされて、中からぶんと立派な雄の印が飛び出した。
 
 丈の長いローブのおかげで全く気づかなかったが、ノクスのそこはとても元気よく上を向いて聳り立っていて今にも爆発しそうな状態だった。

「やっぱり」

 全て納得が行ったステラはそれを見て、申し訳なさそうな顔をした。

「ララを庇ったせいで雄兎の発情香、浴びちゃってたんだ」

 雄兎の顎下から噴出する発情香は女性にかかった場合は反応が強く出てて一日中欲情しっぱなしになると言われているが、男性にかかった場合も短時間かつ弱くではあるが同じ症状が出ると言われている。

 飲み屋でどことなく心ここに在らずだったのもこれのせいだったのだ。

「もういいだろ。その辺でどうにかしてくっから少し待ってろ」

 理由を知られたノクスはバツが悪そうな顔をするとすぐにそれをしまおうとした。ステラはそのノクスの手を掴んで止めた。

「ステラがするよ」
「はぁ?」

 ノクスは目を丸くする。

「外だぞ」
「誰もいないから大丈夫」

 そう告げるとステラは躊躇うことなくノクスの肉竿を優しく握った。ステラが真剣に肉竿を見つめて小さな手が肉竿を扱く光景は視覚的にひどく興奮するもので、そこが急激に爆ぜそうな感覚に陥り、ノクスは慌てて目を逸らした。

「やめろ。離せ」
「何で。1人でするより気持ちいよ。ララ、頑張るし」
「いいから」

 いつになくノクスは頑なでステラは困惑してしまう。

「なんで。ステラの手そんなに気持ちよくない?」

 そんなことはないはずだ。
 ノクスのそこはステラが触れば触るほどわかりやすいくらい反応して硬くなる。
 気持ちは昂っているはずなのに、どうして任せてくれないのだろうと不思議に思いながらもステラはノクスを扱いた。

 さっき口付けをしたように気持ちよくなればノクスも身を委ねてくれるだろうかと考えて、ステラは思いついたように顔を肉竿に近づける。
 ぽってりとした唇で雄の先にちゅっと口付けを落として優しく撫でた。

 ノクスが気持ち良くなってくれればステラも嬉しい。良かれと思って肉竿の先を舐めて上目遣いで見上げた瞬間、ノクスは顔を歪めてステラを突き放した。

「やめろ」
「っ…」

 押しのけられて、ふらつくステラをノクスは慌てて支える。支えてくれる手つきはいつも通り優しかったが、それよりも拒絶されたことが衝撃的すぎて、ステラは小さな声で尋ねた。

「嫌だった…?」

 外で勝手に人の大切な部分を弄るなんて、冷静に考えてみれば最低な行為だ。

 相手がノクスであり、とても辛そうな状態だったから良かれと思ってしたことだったが、不快にさせてしまったかもしれないと反省しているとノクスはステラの手を引き、その場に立ち上がらせた。

「別にお前にされるのも、外でするのも抵抗はねえけど…」
「じゃあ、どうして」
「こうやって処理のためだけにすんのは嫌だ。金で買った娼婦じゃないんだ、便利な道具みたいに扱いたくない」

 そう告げるとステラの唇から汚れをとるようにノクスは親指で拭った。

「ノクス…」
「お前もただ責任感じて抜こうとしてるんだろ。そういうの、一番萎える」

 どこが萎えてるって。と聞き返したくなったが、火に油を注ぐだけになりそうなため言葉を飲み込んだ。

 つまりは義務的に行為に及ぼうとしているのが嫌だと言いたいのだろうか。

 義務も何も、ステラは好きな人にしかこんな事はしないし、大好きなノクスに少しでも楽になってほしくて、あとは立派な肉竿に多少むらっとしてしまったから口でしようとしただけなのに。

 どうして義務とか、責任感でしようとしてるだなんて言うのだろう。

 ただ好きだからしようとしただけなのに。
 
 ノクスの考えが読めず、でもとにかく拒まれたままなのが嫌でステラはノクスの腕を引っ張った。

「じゃあなんだったらいいの。ノクスのお手伝いはしちゃダメなの」
「なにもしなくていいって言ってんだ。そもそもお前のせいじゃない。魔導士の安全を確保できなかった俺の落ち度だ」

 遠く離れた場所から一瞬で駆けつけてくれて、ステラを助け出してくれて、その代わりに少し発情香の影響を受けてしまって。悪いのはどう考えてもぼんやりして発情香を被りそうになったステラだ。

 心配したり、発散の手伝いをするのがどうしてダメなのかステラには全くわからなかった。なぜそんなに他人行儀にするのだろう。

 ノクスは昂ったままのそれを一度しまって、今すぐにでも雑木林の奥へと行こうとする。ステラは手を振り解かれそうになって力を強めた。

「義務でも責任でもないよ。そうやってノクスがララに優しくしてくれるように、ララもノクスに何かしたいと思っちゃダメなの」
「…」

 必死にそう告げるとノクスは動きを止めた。
 なんだかとても不機嫌そうな顔をしていて、ステラは不安げな瞳でノクスをじっと見つめた。

「どうしてお前は…」

 なんと言おうとしたのかはわからない。ノクスは言いかけて、諦めたように吐き捨てた。

「勝手にしろ」


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