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20.ルシアの幸福 ※
しおりを挟むみちみち、と太い肉の棒がルシアのお腹の壁をかき分けて奥へと侵入してきた。太い上に長くて、壁を押し広げながらお腹の奥深くまで入り込んできて行き止まりの壁をずんと突いた。
「あぁっん…!」
気持ちよくて声を漏らした瞬間、ルシアはハッとして口を押さえた。
ここは馬車の中だ。窓を閉め切っていると言ってもすぐそばに御者がいるし、道を歩く人もすれ違う馬車もいる。困った顔でディランに助けを求めると中の肉竿がぐんと勢いを増した。
「ディ、ディラン…!」
眉を吊り上げた瞬間、バツの悪そうな顔をしたディランは誤魔化すようにルシアの顔を胸に引き寄せた。
「…ゆっくり動きますから」
トントンと胸を叩いて怒るとディランはその手を掴んで優しく口づけを落とした。
「首に回して」
小さな手を大切そうに握りしめて告げられると拒めるはずもなくてルシアは素直に応じる。
両手をディランの体に回してしがみつくとディランはゆっくりと腰を動かし始めた。
激しくしないと初めに宣言した通り、行為はとても穏やかなものだった。
ルシアがディランの膝の上に乗って、深く繋がったままゆるゆると動いて交わる。
馬車の振動に合わせて二人の結合部が擦れてルシアの小さな声がじゃり道を転がる滑車の音に紛れて聞こえた。
派手な動きはしていないのに、ディランの肉竿は衰える事はなくて、それがお腹の中に詰まっているおかげでひどく心地よかった。
硬い先端が子宮口の近くに擦れてお腹の奥を刺激して、大きな刺激ではないのにその心地いい突き上げが続く事で快感が蓄積していって敏感になっていく。
そのうち小さな突き上げにも敏感に反応するようになって、ルシアはディランにしがみついて必死に耐えた。
ベッドの上で激しく求められるのは決して嫌いではない。愛に飢えた獣に貪られるように抱かれるのは番の本能がくすぐられてそれはそれでとても心地いい。
でも、これはこれで悪くないとルシアは思った。
ディランにずっと抱きついたまま交わって同じ動きを長くゆっくり。ディランの息遣いや、手の暖かさ、興奮し切った肉竿がルシアのお腹の奥に何度も口付ける感覚、体を交わらせているのだという実感を全身で受け止めることができていつにも増して愛おしい気持ちが胸の奥から湧いて来る。
あれだけ馬車の中は嫌だと言ったのに結局ディランとくっついているのが嬉しいルシアもいて、矛盾しているなと思いつつも、優しいディランに甘えて考えるのをやめた。
ディランがいいと言ってくれるのならそれでいいや。寂しくなってディランの顔をじっと見つめると眉をぴくりと持ち上げてすぐに顔を近づけてくれる。
両手でディランにしがみついたまま口付けをする。また深く舌を絡め合って今度も長く貪り合っているとそのうちディランの手に力が入り始めた。お腹の肉竿もそろそろ限界のようだった。
ノロノロしてた動きが少しずつ早まる。
「んっ!」
太い肉竿がお腹にずんずんと入り込んでルシアは慌てて手で口を塞いだ。いつもはこれくらいでびっくりしないのに、長い時間かけて高めあげられていたせいで全く我慢できなかった。
気持ち良すぎておかしくなる。顔を歪ませてディランの突き上げに耐えていると急に手を引き剥がされた。
じっと見た後親指で唇をふにりと押し潰される。口の中に微かに鉄の味が広がって唇から出血していることに気がついた。声を抑えるために噛んでしまっていたようだ。
ディランはすぐにタイに手をかけるとするりと抜いて襟を乱した。
「噛んで」
「…へ」
目を見開いた瞬間、ディランはルシアの腰を抱いて引き寄せる。
肉竿がぬっと入り込んでそのまま腰を強く動かした。
「あっ…」
お腹の奥にディランの高ぶりがずんと当たって声が漏れそうになったときディランが背を丸めてルシアの体を抱いた。目の前に筋肉質な首筋が見えて声が我慢できずにルシアは噛み付いた。
「ん…っ、うぅっ…ふぅぅっ」
しがみつくものが見つかって必死にそれに縋るとディランは安心した様子で腰を振り始めた。
ルシアの尻を掴んで肉竿を引き抜いてはずぷんと奥まで打ち込む。先程までの静かな挿入とはまるで違って激しくて、すぐに高まっていく。長く繋がっていたせいでそれは一瞬だった。
太い肉竿がお腹の奥を激しく突き上げて子宮口を撫で上げた瞬間、ルシアが体を震わせる。ガクガクと腰を揺らすとディランにしがみついて絶頂を迎えた。中が急激に締まってディランに食いつく。
我慢していたのはディランも同じで、すでにはち切れそうになっていた肉竿はルシアに絡みつかれびくりと震えた。
小さな体を抱えて太い雄をその中へと抜き差しする。ルシアの熱を感じて、香りに包まれて柔らかい体を抱きしめているだけで身体中がゾクゾクとして肉竿が蠢いた。
もう出る。
その衝動を感じてディランは激しく腰を突き上げてルシアの体を抱え込む。腹の奥へと大きく膨らんだ肉竿を詰め込んで子宮口に先端を擦り付けると愛おしい番の温もりを感じながら全てを放った。
ルシアの体内にディランの精が放出される。ゆっくり溜め込んでいたせいか勢いが良くてどくどくと奥まで注がれる。いつになく熱く多い気がしてルシアはディランの精でお腹が満たされるのを感じながらな身悶えていた。
すごい出てる。熱くてたくさん。すべて、ディランの。
こてんと体を預けるとディランはしっかりと腰を動かしてルシアの中に塗り込むよう精を押し込んだ。
「はぁ…ぅ…ぁ」
「体調は良くなりましたか」
「…疲れたけど、むずむずは…んっ…しなくなった」
「よかった」
言葉を返すのも気だるくて小さく呻くとぼんやりと遠くを眺める。
「家に着くまで休んでください」
ディランの手がルシアの頬を撫でる。ルシアはその手に自分の手を重ね合わせた。
大きな手。ルシアの手より何倍も。
その手を取るのが怖かった。
振り払われるかも、拒絶されるかも、後で突き放されるかも。
何をされるかわからない、明日どうなるかはわからない。
どうせ傷つくなら初めから掴み取らなければ良い。
そう思っていたのに、そんなルシアをその大きな手は優しく時にしっかりと包み込んでくれた。
無償の愛は怖かった。
誰も補償してくれないからいつ抜け落ちて無くなるかわからない。
でも怖いのに、失いたくないと思うほどに、それは暖かいのだ。
「どうしました」
何においてもされるがまま、が多いルシアが反応を返すとディランが興味深そうな顔をする。
「ディランは番だからじゃなくて、ルシアだからと言ってくれたけど、どこが良いの」
目の色でも顔立ちでも、スタイルでもいい。魔草薬に詳しいところでも、少し無頓着…おおらかなところでもいいから、とにかく何か一つでも拠り所にできるものが欲しかった。ディランの愛を信じる確証が欲しい。
言い方が悪かったのか一瞬でディランの顔が曇って、ルシアの頬を撫でる。
「全て」
「嘘。明らかに悪い所もたくさんあるでしょう。この前だって部屋が汚いって怒って掃除してた」
「もちろんあります。でも、それを含めて全てが愛おしいんです」
眠そうな顔をしていたルシアが目を見開く。
「特に好きな所はとても直向きで努力家な所。誰に対しても平等で誠実で媚び諂わない所。嫌いな所はあまり人に頼らない所と…薄着でふらふらと出歩いてはよく風邪をひく所。実験具を雑に扱ってよく怪我をする所。部屋の掃除を怠ってよく転…」
「嫌いなところの方が多いじゃない」
「そうだとしても」
ディランのもう片方の手がルシアの空いてる方の頬に触れる。大き手で両頬を覆われて、ゆっくりと額にディランの額が触れる。
「仮にそうだったとしても、そうやって、いろんな要素から形成されたルシアという存在が、僕はどうしようもなく愛おしく感じます。何よりも尊く大切な存在です」
「そんなこと…」
「だから、ルシアの何がいいとかでは無くルシアがいいんです。何ができるからとか、何を持っているからとか、そういうことでは無く、ルシアとして生きてる、そんなルシアの全てが好きです」
わかりましたかと聞かれて、聞かれた時にはもう大粒の雫がボロボロと溢れ出していた。
ルシアの心に体当たりして弾き返されていたディランの好意が急にストンと心の中へと落ちていく。ぽっかりと空いたルシアの心の穴を埋めていく。
もう、嫌がられるかもなんて、そんな心配をすることなく、涙でぐちゃぐちゃになった顔をディランに押し付ける。
服を力強く引っ張って、昔のようにわんわん泣いて、喚いて。
それでもやっぱりディランは優しく背中を撫でて何も言わずにそんなルシアを受け止めてくれて、ただとても暖かかった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ディランはカタカタと沸騰したことを知らせるヤカンを掴むと茶葉を入れたティーポットにコポコポとお湯を注いだ。
ルシアが起きていればココアを入れていたところだが、馬車に揺られ、いろんな意味でくたくたになって帰ってきたルシアは夕食を食べた後またすぐにリビングのソファで眠ってしまった。
もしルシアが起きたら蜂蜜を入れて飲ませようと、戸棚を開けてルシアの好きな花の香りが強い蜂蜜を取り出す。予想以上に蜂蜜の残量が少なくて、またつまみ食いしたなとディランは眉を顰めた。
ルシアの好きな蜂蜜が切れないように。
蜂蜜の残量を気にしながら生活するようになって一体何年が経っただろう。
昔は自分自身がこんなふうになるだなんて、考えもしなかったと思いながらディランはご機嫌に蜂蜜のビンをきゅっと握った。
fin.
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当てられてました/////
作者様、ご返信&ご更新誠にありがとうございます♫♪♬
甘い。ディランさんがひたすらに甘々で… しかも心底寛容で。ルシアさん、羨ましいぞなもしw
次回ご更新、エピローグに向けて、とても愉しみです。
今日は特に冷え込みました。くれぐれもご自愛召されまして暖かく〜♢‥·*"
ご感想ありがとうございます!
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あと2話で完結ですが、27、28日の20時ごろを予定しています。
お気遣いいただきありがとうございますす。mさまもご自愛くださいませ。
>「もし仮に、ルシアが私の気を引こうとしているなら、それこそ貴方には構っている暇はありません」
って辛辣ーーー! しかも惚気にも口説きにも聴こえるwww 素敵なセリフ〜
作者様、ご返信&ご更新誠にありがとうございます♢‥·*"
あ。ルシアさんは貴族令嬢として閨教育を受けて… 無い…? これはもぉね、ディランさんが光源氏でw ルシアさんが紫の上w みたいに? ディランさんがこれからも色々と調えて様々に教え自分好みに仕込んじゃうのでは? ふふふのふ〜♬♪♫
次回ご更新も愉しみに♢♢♢
(p.s. 作者様、大変失礼しました汗汗。送信ボタンを押したと同時にスマホ画面が真っ黒になり、承認されたら〜、という運営さんのデフォメッセージが無かったので思い出しつつ再送した次第……
作者様、時間泥棒をして大変申し訳ございませんでした。教えて下さったことで謝罪が出来て安堵しております。本当にありがとうございます«<(_ _)>» 引き続きどうぞ宜しくお願い致します)
こちらこそ感想、誤字報告までありがとうございます!
セリフ褒めていただき嬉しいです☺
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p.s.
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