58 / 77
第3章 白狼と最愛の人
2
しおりを挟む
「陛下には既に報告をし、結婚をお許しいただくようお願しています。」
「そうか。近いうちに会議の席を設けている。結果が分かればすぐに知らせるので少し待っていてくれ。」
「なに、すぐ結婚できるようにしてやるからな。」と言うアイバンの力強い言葉を受けて、ミアとガイアスは礼を述べた。
それからは和やかな雰囲気で話が進んだ。
夕食の時間まで少しあるため、アイバンとシナは一度部屋へと戻る。ミアとガイアスはこの応接室に残って少し休むことにした。
「ガイアスさんはいつからミアのこと好きだったの?」
「初めて会った時からです。」
「きゃ~!」と高い声がし、シナとスーシャ、カルバンの妻が騒いでいる。今、家族揃っての夕食の席では、数日前にこの食事会の為に帰ってきたスーシャがガイアスに質問をぶつけていた。そのどれもが2人の馴れ初めや普段の様子に関することで、ミアは顔から火が出そうだった。
きゃっきゃと談笑する女性陣とは違いズーンとした雰囲気のカルバンは、両隣に座る子ども達に心配されていた。
ガイアスは挨拶の時とは違い本当に落ち込んだ元気のない姿に、少しだけ心が痛み「すみません」と言った。
その言葉に反応したカルバンが慌てて返事をする。
「いや、君がミアに対して真剣だということは伝わっている。結婚も反対ではない。ただ、少し…頭を整理する時間が必要なんだ。」
今日の食事会がどうなるかと冷や冷やしていた弟リースとカルバンの妻、そしてスーシャの婚約者は、てっきりカルバンが怒り出すものと思っていたため少し拍子抜けだ。
カルバンの声はガイアスにしっかりと届き「はい」と返事をしたが、カルバンは「すまないな」と言ったきり、また覇気のない姿に戻ってしまった。
気にするガイアスをよそに、「じゃあ、告白はどんな感じだったの?」とさらに聞いてくるスーシャ。律儀に答えるガイアスに、ミアは兄のことを忘れ、「もう言わないでってば!」と赤い顔でガイアスの口を手で覆った。
今日はミアの部屋に泊まることになっており、リースを含めた3人で廊下を歩く。
「ちょっとミアの部屋に行ってもいい?」
「うん、何かあったの?」
リースが頷き、一旦自室に帰ると言うので部屋で待つことになった。廊下で別れて少するとリースがミアの部屋へ訪ねて来た。
「ごめんね。でも早めに渡した方がいいと思って。」
ソファに座るミアとガイアスの前に小さな小瓶が差し出された。
「何これ?透明だけど。」
「あの花の研究してたでしょ。成分を調べたから2人に伝えようと思って。」
花と聞いて、すぐに森の奥に生えていた狼の耳のような小さい花を思い出す。ガイアスもそれが何なのか気になっていたようで、興味深げに瓶の中の液体を見ている。
「これ、品種改良されて出来た花みたい。で、これは成分を抽出したものなんだけど…その、これ…、」
「早く言ってよ!気になるじゃん。」
歯切れ悪く話すリースをミアが急かした。
「あの…媚薬成分なんだ。」
「は?」
ミアはポカーンとしており、ガイアスも驚いた顔をしている。言った本人も照れているが、研究結果を早く教えたいという研究者気質な性格が、これを伝えずにはいられなかったようだ。
「『びやく』って何?」
リースは慌てて「ほら、本に書いてあったじゃん!」と言い、ミアがベッドサイドから本を取り出してパラパラとめくっている。
(ミアが読んだと言っていた本、リース様も読んだのか…。)
ガイアスはポップな本の表紙と『ミア様はここから』と従者が書いたと思われる付箋を見て、この兄弟を不安に思った。
「巻末のおまけページじゃん!リース読み込んでるな!」
「ちょっと!僕はしっかり勉強しただけ!最後まで教科書を読むのは基本でしょ。」
うりうり、と肘でリースをつつくミアに顔を赤くして怒る姿。白黒の狼が戯れている様子に癒されたガイアスだったが、学生であるリースとこれを一緒に研究したのはジェンだろうな…とすぐに分かった。
(そういえばジェンはそろそろ第7隊に帰ってくる頃だな。)
ずっと離れており、お互いに何の報告も出来ていない。
王の恩賜の式以来見ていない副隊長の顔を思い出し、懐かしく思うガイアスだった。
「えっ!!そんなものがあるの?!」
本を読んでいたミアが驚いた声でガイアスに尋ねる。指を差している部分を見ると、『性欲を催させる薬。また、相手に恋情を起こさせる薬。』と書いてある。
「ああ、意味は合っている。」
「こんなの、使ったら大変なことになるんじゃ…」
ミアはガイアスの顔と小瓶を交互に見比べる。察しの良いリースが付け加えるには、『この薬は狼にしか効かない』らしい。ミアは少し残念そうな顔をした。
それから、どうやって分かったのかと聞いたミアに、研究の過程を説明しだしたリースだったが、難しい単語が並び興味を失ったのか、ミアは「ふーん」と言いながら小瓶の蓋を開けて中身を嗅いだ。
「ちょっ!嗅いだらダメだよ!」
「わっ!」
大きな声で注意し瓶の蓋を慌てて閉めるリース。「何だよ…」と奪われた小瓶を見るミアに、リースが説明する。
「これ、原液だから匂いだけでも効果があるんだ。ミア…どれくらい吸った?」
「え…ちょっとだけだよ。本当に香りを確かめたくらい。」
どのくらいの効果があるかは分からないが、念の為早く寝た方が良いのではないかとリースに言われ、ミアはさっさと風呂に入ることにした。
「じゃあ、僕は部屋に帰るけど、何かあったら呼んで。解熱剤が効くかもしれないから。」
そう言って少し不安そうに出ていくリースを2人で見送った。
「風呂、入るか?」
ガイアスが尋ね、ミアは小さく頷いた。
用意されていた風呂に入り、さっきリースが持ってきた媚薬について話す。
「全然平気だよ。やっぱりあれくらいじゃ効かないんだよ。」
「念の為早く上がろう。体調が悪くなるかもしれない。」
ガイアスはそう言ってさっさとミアを上がらせると髪と身体を素早く洗い、先に出るよう言った。
タオルで全身を拭きベッドに倒れこむ。気の利いた従者によって用意されている冷たい茶が火照った身体に気持ちいい。ミアはそのままボーっとベッドの天蓋を見つめていた。
「ミア、大丈夫か?」
ガイアスが覗き込んできて、ハッとする。ぼんやりしていたミアを心配するガイアスは「すぐ寝よう」と提案してきた。特に身体に異常も無いミアはまだ起きていたかったが、ガイアスが電気を消そうとベッドサイドへ手を伸ばしたため諦めて布団に入った。
ベッド下にあるオレンジ色の灯りのみの室内は、お互いの表情は分からないもののその輪郭は見える程度の暗さだ。
いつものようにガイアスに擦り寄ると、ガイアスがミアの頭を少し持ち上げ腕枕の体勢になる。そのまま反対の腕でミアを抱きしめた。
「苦しくないか?」
「うん、いい感じ。」
笑いを零した息がミアの額にかかる。ガイアスはそのまま目の前の丸いおでこにキスをすると、「おやすみ」と言ってぎゅっと1回ミアを抱きしめた。
「そうか。近いうちに会議の席を設けている。結果が分かればすぐに知らせるので少し待っていてくれ。」
「なに、すぐ結婚できるようにしてやるからな。」と言うアイバンの力強い言葉を受けて、ミアとガイアスは礼を述べた。
それからは和やかな雰囲気で話が進んだ。
夕食の時間まで少しあるため、アイバンとシナは一度部屋へと戻る。ミアとガイアスはこの応接室に残って少し休むことにした。
「ガイアスさんはいつからミアのこと好きだったの?」
「初めて会った時からです。」
「きゃ~!」と高い声がし、シナとスーシャ、カルバンの妻が騒いでいる。今、家族揃っての夕食の席では、数日前にこの食事会の為に帰ってきたスーシャがガイアスに質問をぶつけていた。そのどれもが2人の馴れ初めや普段の様子に関することで、ミアは顔から火が出そうだった。
きゃっきゃと談笑する女性陣とは違いズーンとした雰囲気のカルバンは、両隣に座る子ども達に心配されていた。
ガイアスは挨拶の時とは違い本当に落ち込んだ元気のない姿に、少しだけ心が痛み「すみません」と言った。
その言葉に反応したカルバンが慌てて返事をする。
「いや、君がミアに対して真剣だということは伝わっている。結婚も反対ではない。ただ、少し…頭を整理する時間が必要なんだ。」
今日の食事会がどうなるかと冷や冷やしていた弟リースとカルバンの妻、そしてスーシャの婚約者は、てっきりカルバンが怒り出すものと思っていたため少し拍子抜けだ。
カルバンの声はガイアスにしっかりと届き「はい」と返事をしたが、カルバンは「すまないな」と言ったきり、また覇気のない姿に戻ってしまった。
気にするガイアスをよそに、「じゃあ、告白はどんな感じだったの?」とさらに聞いてくるスーシャ。律儀に答えるガイアスに、ミアは兄のことを忘れ、「もう言わないでってば!」と赤い顔でガイアスの口を手で覆った。
今日はミアの部屋に泊まることになっており、リースを含めた3人で廊下を歩く。
「ちょっとミアの部屋に行ってもいい?」
「うん、何かあったの?」
リースが頷き、一旦自室に帰ると言うので部屋で待つことになった。廊下で別れて少するとリースがミアの部屋へ訪ねて来た。
「ごめんね。でも早めに渡した方がいいと思って。」
ソファに座るミアとガイアスの前に小さな小瓶が差し出された。
「何これ?透明だけど。」
「あの花の研究してたでしょ。成分を調べたから2人に伝えようと思って。」
花と聞いて、すぐに森の奥に生えていた狼の耳のような小さい花を思い出す。ガイアスもそれが何なのか気になっていたようで、興味深げに瓶の中の液体を見ている。
「これ、品種改良されて出来た花みたい。で、これは成分を抽出したものなんだけど…その、これ…、」
「早く言ってよ!気になるじゃん。」
歯切れ悪く話すリースをミアが急かした。
「あの…媚薬成分なんだ。」
「は?」
ミアはポカーンとしており、ガイアスも驚いた顔をしている。言った本人も照れているが、研究結果を早く教えたいという研究者気質な性格が、これを伝えずにはいられなかったようだ。
「『びやく』って何?」
リースは慌てて「ほら、本に書いてあったじゃん!」と言い、ミアがベッドサイドから本を取り出してパラパラとめくっている。
(ミアが読んだと言っていた本、リース様も読んだのか…。)
ガイアスはポップな本の表紙と『ミア様はここから』と従者が書いたと思われる付箋を見て、この兄弟を不安に思った。
「巻末のおまけページじゃん!リース読み込んでるな!」
「ちょっと!僕はしっかり勉強しただけ!最後まで教科書を読むのは基本でしょ。」
うりうり、と肘でリースをつつくミアに顔を赤くして怒る姿。白黒の狼が戯れている様子に癒されたガイアスだったが、学生であるリースとこれを一緒に研究したのはジェンだろうな…とすぐに分かった。
(そういえばジェンはそろそろ第7隊に帰ってくる頃だな。)
ずっと離れており、お互いに何の報告も出来ていない。
王の恩賜の式以来見ていない副隊長の顔を思い出し、懐かしく思うガイアスだった。
「えっ!!そんなものがあるの?!」
本を読んでいたミアが驚いた声でガイアスに尋ねる。指を差している部分を見ると、『性欲を催させる薬。また、相手に恋情を起こさせる薬。』と書いてある。
「ああ、意味は合っている。」
「こんなの、使ったら大変なことになるんじゃ…」
ミアはガイアスの顔と小瓶を交互に見比べる。察しの良いリースが付け加えるには、『この薬は狼にしか効かない』らしい。ミアは少し残念そうな顔をした。
それから、どうやって分かったのかと聞いたミアに、研究の過程を説明しだしたリースだったが、難しい単語が並び興味を失ったのか、ミアは「ふーん」と言いながら小瓶の蓋を開けて中身を嗅いだ。
「ちょっ!嗅いだらダメだよ!」
「わっ!」
大きな声で注意し瓶の蓋を慌てて閉めるリース。「何だよ…」と奪われた小瓶を見るミアに、リースが説明する。
「これ、原液だから匂いだけでも効果があるんだ。ミア…どれくらい吸った?」
「え…ちょっとだけだよ。本当に香りを確かめたくらい。」
どのくらいの効果があるかは分からないが、念の為早く寝た方が良いのではないかとリースに言われ、ミアはさっさと風呂に入ることにした。
「じゃあ、僕は部屋に帰るけど、何かあったら呼んで。解熱剤が効くかもしれないから。」
そう言って少し不安そうに出ていくリースを2人で見送った。
「風呂、入るか?」
ガイアスが尋ね、ミアは小さく頷いた。
用意されていた風呂に入り、さっきリースが持ってきた媚薬について話す。
「全然平気だよ。やっぱりあれくらいじゃ効かないんだよ。」
「念の為早く上がろう。体調が悪くなるかもしれない。」
ガイアスはそう言ってさっさとミアを上がらせると髪と身体を素早く洗い、先に出るよう言った。
タオルで全身を拭きベッドに倒れこむ。気の利いた従者によって用意されている冷たい茶が火照った身体に気持ちいい。ミアはそのままボーっとベッドの天蓋を見つめていた。
「ミア、大丈夫か?」
ガイアスが覗き込んできて、ハッとする。ぼんやりしていたミアを心配するガイアスは「すぐ寝よう」と提案してきた。特に身体に異常も無いミアはまだ起きていたかったが、ガイアスが電気を消そうとベッドサイドへ手を伸ばしたため諦めて布団に入った。
ベッド下にあるオレンジ色の灯りのみの室内は、お互いの表情は分からないもののその輪郭は見える程度の暗さだ。
いつものようにガイアスに擦り寄ると、ガイアスがミアの頭を少し持ち上げ腕枕の体勢になる。そのまま反対の腕でミアを抱きしめた。
「苦しくないか?」
「うん、いい感じ。」
笑いを零した息がミアの額にかかる。ガイアスはそのまま目の前の丸いおでこにキスをすると、「おやすみ」と言ってぎゅっと1回ミアを抱きしめた。
8
お気に入りに追加
377
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
異世界ぼっち暮らし(神様と一緒!!)
藤雪たすく
BL
愛してくれない家族から旅立ち、希望に満ちた一人暮らしが始まるはずが……異世界で一人暮らしが始まった!?
手違いで人の命を巻き込む神様なんて信じません!!俺が信じる神様はこの世にただ一人……俺の推しは神様です!!
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?
寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。
ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。
ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。
その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。
そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。
それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。
女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。
BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。
このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう!
男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!?
溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。
ブレスレットが運んできたもの
mahiro
BL
第一王子が15歳を迎える日、お祝いとは別に未来の妃を探すことを目的としたパーティーが開催することが発表された。
そのパーティーには身分関係なく未婚である女性や歳の近い女性全員に招待状が配られたのだという。
血の繋がりはないが訳あって一緒に住むことになった妹ーーーミシェルも例外ではなく招待されていた。
これまた俺ーーーアレットとは血の繋がりのない兄ーーーベルナールは妹大好きなだけあって大いに喜んでいたのだと思う。
俺はといえば会場のウェイターが足りないため人材募集が貼り出されていたので応募してみたらたまたま通った。
そして迎えた当日、グラスを片付けるため会場から出た所、廊下のすみに光輝く何かを発見し………?
白い結婚三年目。つまり離縁できるまで、あと七日ですわ旦那様。
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
異世界に転生したフランカは公爵夫人として暮らしてきたが、前世から叶えたい夢があった。パティシエールになる。その夢を叶えようと夫である王国財務総括大臣ドミニクに相談するも答えはノー。夫婦らしい交流も、信頼もない中、三年の月日が近づき──フランカは賭に出る。白い結婚三年目で離縁できる条件を満たしていると迫り、夢を叶えられないのなら離縁すると宣言。そこから公爵家一同でフランカに考え直すように動き、ドミニクと話し合いの機会を得るのだがこの夫、山のように隠し事はあった。
無言で睨む夫だが、心の中は──。
【詰んだああああああああああ! もうチェックメイトじゃないか!? 情状酌量の余地はないと!? ああ、どうにかして侍女の準備を阻まなければ! いやそれでは根本的な解決にならない! だいたいなぜ後妻? そんな者はいないのに……。ど、どどどどどうしよう。いなくなるって聞いただけで悲しい。死にたい……うう】
4万文字ぐらいの中編になります。
※小説なろう、エブリスタに記載してます
迷子の僕の異世界生活
クローナ
BL
高校を卒業と同時に長年暮らした養護施設を出て働き始めて半年。18歳の桜木冬夜は休日に買い物に出たはずなのに突然異世界へ迷い込んでしまった。
通りかかった子供に助けられついていった先は人手不足の宿屋で、衣食住を求め臨時で働く事になった。
その宿屋で出逢ったのは冒険者のクラウス。
冒険者を辞めて騎士に復帰すると言うクラウスに誘われ仕事を求め一緒に王都へ向かい今度は馴染み深い孤児院で働く事に。
神様からの啓示もなく、なぜ自分が迷い込んだのか理由もわからないまま周りの人に助けられながら異世界で幸せになるお話です。
2022,04,02 第二部を始めることに加え読みやすくなればと第一部に章を追加しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる