白狼は森で恋を知る

かてきん

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第2章 白狼と秘密の練習

25*

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「ミア、今から10分程歩くが大丈夫か?」

「うん!お腹いっぱいだし、歩きたかったからちょうど良かった。」

見上げて言うミアの手を取る。
その大きな手を絡めるように小さな手が握り返してきた。

「まさか勧誘とはな…。」
「ん…さっきの?きっと冗談だよ。」

明るく言うミアに、「違うだろ。」と真剣な声で返すガイアス。

ん?とその顔を窺うと、ムっとした表情。

「ミアはとても魅力的だから、俺はいつも気が気じゃない。」

前を向いたままの横顔は、夜風で前髪が少し揺れている。

「…すまない。ミアのこととなると、冷静になれないんだ。」

「俺が取られなるか不安なの?」
「…。」

ミアの言葉に、前を向いていたガイアスの顔は反対側に傾けられ、今は赤い耳しか見えない。

ミアは何も言わず、繋いでいる手を顔に寄せると、その甲に口づけた。
やわらかい感触に、思わずガイアスがミアの方をバッと向く。

「ミア?」
「ガイアス、好きだよ。」

ガイアスが見ている状態で、もう一度手の甲に口づける。
そして手を絡めたままピタっとガイアスにくっついた。

「このままホテルまでいい?」
「ああ。」

2人は人通りの多い街の真ん中を、人目も気にせず寄り添って歩いた。





「こっち来てみて!すっごい綺麗だよ!」

窓辺に腰掛け、興奮して自分を呼ぶミアの隣に座る。

一番上の階の角部屋。
どのお店も書き入れ時で、遅くまで明かりが灯っている。

「たしかに、凄いな。」
「でしょ!…あれ、俺達がご飯食べたところかな。」

ミアが街から1本外れた暗い路地を指差す。

「いや、その隣の道だ。」
「ガイアスよく分かるね。」
「地元だからな。」

尊敬の目を向けるミアの頭を軽く撫でる。
しばらく窓辺に2人で座り、景色や人が歩く姿を見ていたが、ガイアスが口を開く。

「風呂に入らないか。」

頷くと、ガイアスは「用意してくる。」と言って風呂場へ向かって歩いて行った。

扉の奥から水の音がする。
戻ってきて備え付けの寝巻を持って風呂場へ行ったガイアスが、ミアを呼ぶ。

「おいで、一緒に入ろう。」

その声にミアはぴょんと窓辺から降りると、ガイアスの元へ小走りで向かった。



「ああ~、最高~!!」

肩までお湯に浸かったミアが手足を伸ばしてくつろぐ。
その背中を後ろから抱えるようにして湯舟に入るガイアスは、ミアが自分の胸にもたれても良いように体勢を整える。

「長い時間座ってたからな。よくほぐすといい。」
「ガイアスは疲れてない?」
「俺は大丈夫だ。」

ふ、と笑ってミアのおでこから前髪を後ろに撫でつける。
既に身体を洗い終えた2人は、あとはゆっくりと浸かって上がるだけだった。

2人が入っても十分にスペースのある湯舟。
大きい風呂に浸かって上機嫌のミアは「ふんふん~♪」と鼻歌を歌っている。

後ろから掬うようにミアの左手を自らの指に絡める大きな手。
そしてミアの手は後ろにスッと持っていかれた。

ミアが「ん?」と後ろを振り返ろうと頭を揺らした時、手の甲に柔らかい感触を感じた。

ちゅ、

それが唇の感触だと分かったミアはじっとしていたが、何回も音を立てて手の甲にキスをされだんだん恥ずかしくなってきた。

それでも耐えていたミアだったが、突然ぬめった感触があり、思わず後ろを振り返る。

「ッ…ガイアス?」

ガイアスは絡めた手の甲をべろっと舐めている。

振り向いたことで、緑の視線と目が合う。
じっとミアを見つめながら舌を這わすガイアスに、ミアは身体がビクっと震えた。

「急に…どうしたの?」

ミアの問いかけには答えず、その舌は指の間を滑っていく。
普段触れることのない部分に熱いぬめりを感じ、ミアはぞくぞくと何かが背筋から這い上がってくる気持ちがした。

視覚的にも感覚的にも刺激されたミアは、自分の中が熱くなっていくのを感じる。

(どうしよ…このままじゃ勃っちゃうかも。)

自分の股間が心配になり足を閉じると、ガイアスが耳元で呟いた。

「今日、あいつがミアの手に口づけた。」
「え…。」

(あいつってエドガーさんのことか…。)

「俺もしたことが無かったのに。」

(ガイアスとはそれより凄いことをしてるんだけど…先を越されたことが悔しいのかな。)

「塗り替えていいか?ミアの手の甲にキスをしたのは俺だと。」

(キスどころか、いやらしく舐めてるじゃん…。)

「…うん。」


それからさんざん手を舐められた後に顎を取られ、後ろを振り向くような体勢でキスをしていると、腰に固いモノを感じた。

「ガイアス、これ…。」

キスの合間にミアが片方の手でガイアスの緩く勃ち上がったものに触れる。

「…ッ、」

小さく呻いた後、ギラギラした緑の目がミアを捉える。

(あ…食べられる。)

ミアがそう思ったと同時に、ガイアスは小さな身体を抱きかかえるように湯舟から出ると、そのままスタスタと浴室を出た。





ポフン、とベッドの上に降ろされたミアは、上から覆い被さるように乗り上げる男を見つめる。

「ミア…。」

熱い吐息交じりに自分の名前を呼ぶ声に、興奮する。


風呂から上がり、タオルで全身くまなく拭かれたミアは寝間着のガウンを肩からかけられた。
さっと身体を拭き自らもガウンに袖を通すと、ガイアスは腰に帯を巻き固定させる。
タオルを雑に床に放ると、ミアを抱き抱えてベッドまで向かった。


ベッドに横たわるミアの肩にかかったガウンは寝かせた時に落ち、今は何も身に着けていない状態だ。
ガイアスはしっかりと寝間着を着ており、その差に恥ずかしさを覚えるが、降ってくるキスによって抗議することは叶わない。

「ん…っ」
「…はぁ、ミア。」

キスの合間に漏れる声はミアの名前を呼ぶ。

大きな両手がミアの胸を包むように撫でていき、その指が先端を捉え、ぐに、と挟んだ。

「あぁ…っ」

ミアの声に満足げな顔をしたガイアスは、そのピンクを弾いたり摘まんだりと好きにいじる。
その動きにミアもくぐもった声を出していたが、同時に両方の頂をぎゅー、っと摘ままれた瞬間、思わず大きな声が漏れた。

「ああぁ…んんッ!」

自分の腹に跨るガイアスのせいで見えないが、自分のソレが完全に勃ちあがっていることが分かる。
ドクドクと心臓が鳴り、ソコを触ってほしいと全身が訴えていた。

「触って…。」

小さい声でミアが訴えるもガイアスは、ふ、と笑うだけで肝心なソコに触れてこない。

赤く色づいてぷっくりと主張する乳首をさらに弄ると、ミアを見下ろす。

「触ってるだろ?」
「違うッ…そこじゃなくてぇ…。」

ぐにぐに、と胸の上で動く指を掴むと、その手の平にちゅ、と口づける。

そのまま、ちゅ、ちゅ、と何度も口づけるとミアが掠れた声を出した。

「お願い…ココいじって…。」

ガイアスの指の間から舌を覗かせながら、ミアが涙の溜まった目で見上げてきた。
快感で滲んだ綺麗なはちみつ色が揺れる様子が、背徳感を煽っていく。

目の前にある胸は弄られてピンと立っている。
足を閉じて擦り合わせているのか…背後でシーツの擦れる音がした。

その扇情的な光景に、ガイアスは自身が昂るのを感じる。

ミアの上からずれて横に移動すると、やっと触ってもらえるのだと安心した顔が見えた。
その小さな身体を半分起こし胸に吸い付く。

「やぁぁッッ!」

期待していた刺激とは違った快感に頭が追い付かないようだ。
ミアがいやいや、と首を振る。

「ミアは覚えがいいな。」

(たった2回の『練習』でずいぶん快感を拾うようになったな…。)

元々くすぐったがりで敏感なミアだ。
『素質がある』とガイアスは喜ばしく思いながら、ミアの背後にクッションを置く。
そこにもたれかけさせると、刺激を求めて震えているソコに大きな手を伸ばした。

優しく握りこむと、「ああ…」と気持ちよさそうに顎を少し上げるミア。

胸に口を寄せながら、手は立ち上がって涎を垂らすミアのソレに掛ける。

ガイアスは先走りでぐっしょりと濡れそぼった可愛らしいモノを上下に扱く。

「あッ、あぁ…んっ!」

上から、動きに合わせて気持ちの良さそうな声が漏れた。
片手はガイアスの後頭部に添えられ、時々グッと力が入る。

「凄く濡れてるな…。そんなに胸が良かったか?」

先走りを指で掬い、ミアに見せつけるように目の前に持っていくと、顔を真っ赤にして首を振る。

「ち、ちがうッ。」

「…ここ、どうしようか。」

指の腹で鈴口をくるくると撫でながらガイアスが問いかけた。
ミアは何のことか分からず、きょとんとした目をしている。

「このまま手で擦るか?それとも…口でするか?」

ゴク、とミアの喉が上下する。

(今日のガイアス、本当に意地悪なんだけど…!)

目がぐるぐると回りそうになりながら、「どうする?」と口の端を少し上げた男に呟く。


「………両方。」

目に涙を溜めて口を尖らせ、どうやって自分に快感を引き出してもらうか選択する可愛い恋人。

「欲張りだな。」

口の端は未だに意地悪く上がっているが、そのこめかみには筋が浮き上がる。
ガイアスは興奮を抑えるのに必死だった。



「あ、ふぁ…あッ…!ああ!」

ジュポジュポ…
ミアの嬌声と口淫の音が部屋に響く。

ガイアスの手はミアの根本を扱くように指で挟んでいる。
口には立ち上がったミアのモノがビクビクと痙攣している。

「や、や、…ああ、もう、でる!」

我慢できないといったように、ミアがいやいやと首を左右に振る。

「ミア、そのままいいぞ。」

一旦口からソレを離すと、いって良いのだと伝える。

「やだぁ…あ、来て…んんッ!」

『来て』とは何か…、ガイアスは手の動きはそのままにミアの顔を窺い見る。

「ちゅ…、あ、ちゅーしてぇ、ちゅーで出したい…ッ。」
「…っ、」

その言葉に、何とも言えない興奮を覚えたガイアスは、小さな口に無遠慮に食いついた。

その口に舌を差し込むと、中を舐めまわす。
「んん…」とくぐもったミアの声と、熱を含んだガイアスの吐息。

「ん、ガイア、ス…ッ」

名前を呼ぶと、ギューッと足を閉じるように力を込めて、熱い肉厚な舌に吸い付いた。

ビクビクッと大きく全身が震えたと思うと、ミアのソレから温かい白濁が零れる。

トク、トク、と2度精液を出すと強張っていた身体が緩み、ぐったりとクッションに身を投げ出す。

「ミア、大丈夫か?」

しっとりと汗ばむミアの額についた前髪を指で払いながらガイアスが尋ねる。

「うん、気持ち良かった…。」
「そうか。」
「キスしながら出すの、好きかも…。」

くっ…と悶えたガイアスは自身のソレを手で押さえる。

(ミアは出したばかりで疲れている。俺はもう少し待ってからでいい…。)

耐えながら、身体を横にしてあげようとミアの背後にあるクッションを抜き取る。
こてん、と寝転ぶミアの横に自分も転がろうとすると、グイっと腕を引かれた。


「ガイアスも、しよ。」
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