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第2章 白狼と秘密の練習
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食後のお茶を飲みながら、2人は今日の剣舞について語り合う。
見た型の中で、細かく何度も宙を突くような動きを試してみたい、と言うミア。
「ミアならできるんじゃないか?」
「本当?」
「ああ、俺は少し難しいかもしれないがな。身体が重たいし、ああいう動きは得意じゃない。」
「へぇ~、見て覚えたし、帰ったら練習してみようかな。」
「俺も手伝おう。」
次の目標ができ、「よし!」とやる気のミアの頭を撫でようとガイアスが手を動かした時、後ろから声がした。
「君達、剣をしてるの?」
「…ッ!!」
急に話しかけられ、ミアがビクっと動く。
尻尾は消えているが、きっとぶわっと膨らんでいるだろう。
視線の先には、先ほどのキラキラした男。
「驚かせてごめんね。…ちょっといいかな。」
にっこりとした表情を崩さず、ミアの隣にさりげなく座る。
「あの…、」
ミアがどうしたらいいのか、とガイアスを見やる。
「何ですか?」
ミアの視線を受け、ガイアスが男に話しかける。
「奥に飲み物を頼みに行ったら、君達が今日の剣舞の話をしていたから…ちょっと気になっちゃって。」
「今日来てくれたんだね。」と、笑ってミアの目を覗き込む。
「はい。今日の剣技素晴らしかったです。」
ミアが素直に感想を述べる。
「ふふ、ありがとう。私はエドガー。君は?」
「ガイアスだ。それで、何か用か?」
「…。」
明らかにミアに問いかけていたにも関わらず、ガイアスが答えたことで男が黙る。
「まぁいいよ。君は剣を始めたばかりなの?」
「本格的に始めたのは、3か月くらい前からです。」
「彼が教えてるの?」
「はい、俺の剣の師匠です。」
目をじっと見てくる男にひるまず、ミアが返事をする。
「君、アスマニカに来ない?俺が剣を教えてあげる。」
「え?」
「君の体格だったら、サバルの型よりこっちの方が合ってると思うな。私のところで修行したらいい。」
唖然としているミアに男が続ける。
「…少し手を見てもいいかな?」
「え…、」
ミアが返事をする前にサッと手を取り、その平を撫でる。
「…!」
「頑張って練習してる良い手だね。……なんだい?」
ミアの手を触るエドガーの手をガイアスが掴んでいる。
ぐ、と力を込められ、男がミアの手を離す。
「君の師匠様は何でお怒りなの?」
エドガーは笑顔を崩さずミアに問いかけるが、代わりにガイアスが男に向けて言う。
「彼に触るな。」
「君には関係ないよね。」
バチバチと火花が見えそうな2人の間にミアが割り込む。
「あの、ガイアスは俺の恋人です。」
「へぇ、君の師匠兼恋人はずいぶん嫉妬深いんだね。」
「手も握らせてくれないなんて」と笑う男は、ガイアスが恋人であっても気にしていない素振りだ。
席を立つと胸から封筒を取り出しミアに渡す。
「3か月後、またあの会場で剣舞をするんだ。ぜひ見に来て欲しいな。」
えっと…と戸惑うミアに握らせるように、エドガーはその封筒を手渡す。
「チケットは2枚入ってるから、師匠と来たらいいよ。」
『師匠』と強調して言ったエドガーは2人を見て少し俯く。
「もし来なかったら最前列が2席空いて、ちょっと寂しいけどね。」
エドガーが寂しそうに言うので、ミアは思わず「行きます。」と声を出してしまった。
「本当?約束だよ。」
ミアの左手を取ると、その甲にちゅ、と音の鳴るキスをした。
ガタッ
ガイアスが立ち上がると、男はサッと後ろに下がり手を上げる。
「じゃあ、また今度ね。」
ウインクを1つ投げると、男は自分の席に戻って行った。
「お会計はあちらの団体さんが払うって聞いたぞ。」
帰ろうと店主を呼ぶと、あの男がこちらの会計を持つとのことだった。
「いや、結構だ。こちらで払う。」
ガイアスは自分達の分の食事代を支払うと店を後にする。
帰り際、エドガーが2人に「また会おうね。」と言って笑った顔に、形だけの礼を取った。
「ちょっと団長!!何ですか、あの気持ち悪い絡み方は!」
「しかも、初対面の相手の手ぇ撫でまわして!」
「あれだと次の舞台は観に来ないでしょうね。」
「……うるさい。」
机に突っ伏し、ズーンと沈む男エドガーに団員達がさらに追い打ちをかける。
「一目惚れって言っても、やり方があるでしょ。」
「しかも恋人いましたね。」
「百戦錬磨の団長が、何やってんすか。」
「……うるさい。」
同じ言葉しか発さないエドガーは、すっかり落ち込んでおり机から顔を上げない。
「団長なら選び放題じゃないっすか。次行きましょ!」
「…嫌だ。」
「え?」
小さい声で呟くエドガー。
「…あの子がいい。」
「「「…。」」」
今日の舞台終わり、いつも通り観客に挨拶をしていた時に見つけたあの青年。
普段はぼんやりと見える観客席が、彼だけははっきりと輝いて見えた。
エドガーは一目で心を打ちぬかれ、その青年に釘付けになった。
隣の男がこちらを見てフードを被せたことで、その視線を無理やり外したが…
(ずっとあの目を見ていたかった。)
舞台から降りる時も、着替えてこの店に来る時も、ずっと彼のことを考えていた。
ぼーっとする団長を心配し団員達が理由を尋ねてきたので、『観客席にいた青年に惚れた』と素直に告白した。
その返答に驚き、質問してくる団員達を引き連れ店に入ったところに、あの青年の姿。
思わず声を掛けずにはいられなかった。
(これは運命だ…。)
高鳴る胸を押さえて青年に冷静に話し掛け、帰ろうとするのを呼び止めた。
それからは緊張であまり覚えていない。
しかし、いつもの余裕な自分で無かったことは、はっきりと言える。
「…俺は諦めない。」
こんなに胸が苦しいのだ。これは恋だ…簡単には手放せない。
突っ伏したままのエドガーを見て、顔を見合わせた団員達は、空いたグラスに酒を注ぐ。
「さ、今夜は打ち上げですし、飲みましょう!」
「とりあえず飲んで、作戦でも練りましょうよ!」
「飲んで飲んで!」
「…。」
この剣舞団をまとめるスターがこの調子では困る。
団員達は『このまま青年のことを忘れてくれ』と願いを込めて、注いだ酒をエドガーに勧めた。
見た型の中で、細かく何度も宙を突くような動きを試してみたい、と言うミア。
「ミアならできるんじゃないか?」
「本当?」
「ああ、俺は少し難しいかもしれないがな。身体が重たいし、ああいう動きは得意じゃない。」
「へぇ~、見て覚えたし、帰ったら練習してみようかな。」
「俺も手伝おう。」
次の目標ができ、「よし!」とやる気のミアの頭を撫でようとガイアスが手を動かした時、後ろから声がした。
「君達、剣をしてるの?」
「…ッ!!」
急に話しかけられ、ミアがビクっと動く。
尻尾は消えているが、きっとぶわっと膨らんでいるだろう。
視線の先には、先ほどのキラキラした男。
「驚かせてごめんね。…ちょっといいかな。」
にっこりとした表情を崩さず、ミアの隣にさりげなく座る。
「あの…、」
ミアがどうしたらいいのか、とガイアスを見やる。
「何ですか?」
ミアの視線を受け、ガイアスが男に話しかける。
「奥に飲み物を頼みに行ったら、君達が今日の剣舞の話をしていたから…ちょっと気になっちゃって。」
「今日来てくれたんだね。」と、笑ってミアの目を覗き込む。
「はい。今日の剣技素晴らしかったです。」
ミアが素直に感想を述べる。
「ふふ、ありがとう。私はエドガー。君は?」
「ガイアスだ。それで、何か用か?」
「…。」
明らかにミアに問いかけていたにも関わらず、ガイアスが答えたことで男が黙る。
「まぁいいよ。君は剣を始めたばかりなの?」
「本格的に始めたのは、3か月くらい前からです。」
「彼が教えてるの?」
「はい、俺の剣の師匠です。」
目をじっと見てくる男にひるまず、ミアが返事をする。
「君、アスマニカに来ない?俺が剣を教えてあげる。」
「え?」
「君の体格だったら、サバルの型よりこっちの方が合ってると思うな。私のところで修行したらいい。」
唖然としているミアに男が続ける。
「…少し手を見てもいいかな?」
「え…、」
ミアが返事をする前にサッと手を取り、その平を撫でる。
「…!」
「頑張って練習してる良い手だね。……なんだい?」
ミアの手を触るエドガーの手をガイアスが掴んでいる。
ぐ、と力を込められ、男がミアの手を離す。
「君の師匠様は何でお怒りなの?」
エドガーは笑顔を崩さずミアに問いかけるが、代わりにガイアスが男に向けて言う。
「彼に触るな。」
「君には関係ないよね。」
バチバチと火花が見えそうな2人の間にミアが割り込む。
「あの、ガイアスは俺の恋人です。」
「へぇ、君の師匠兼恋人はずいぶん嫉妬深いんだね。」
「手も握らせてくれないなんて」と笑う男は、ガイアスが恋人であっても気にしていない素振りだ。
席を立つと胸から封筒を取り出しミアに渡す。
「3か月後、またあの会場で剣舞をするんだ。ぜひ見に来て欲しいな。」
えっと…と戸惑うミアに握らせるように、エドガーはその封筒を手渡す。
「チケットは2枚入ってるから、師匠と来たらいいよ。」
『師匠』と強調して言ったエドガーは2人を見て少し俯く。
「もし来なかったら最前列が2席空いて、ちょっと寂しいけどね。」
エドガーが寂しそうに言うので、ミアは思わず「行きます。」と声を出してしまった。
「本当?約束だよ。」
ミアの左手を取ると、その甲にちゅ、と音の鳴るキスをした。
ガタッ
ガイアスが立ち上がると、男はサッと後ろに下がり手を上げる。
「じゃあ、また今度ね。」
ウインクを1つ投げると、男は自分の席に戻って行った。
「お会計はあちらの団体さんが払うって聞いたぞ。」
帰ろうと店主を呼ぶと、あの男がこちらの会計を持つとのことだった。
「いや、結構だ。こちらで払う。」
ガイアスは自分達の分の食事代を支払うと店を後にする。
帰り際、エドガーが2人に「また会おうね。」と言って笑った顔に、形だけの礼を取った。
「ちょっと団長!!何ですか、あの気持ち悪い絡み方は!」
「しかも、初対面の相手の手ぇ撫でまわして!」
「あれだと次の舞台は観に来ないでしょうね。」
「……うるさい。」
机に突っ伏し、ズーンと沈む男エドガーに団員達がさらに追い打ちをかける。
「一目惚れって言っても、やり方があるでしょ。」
「しかも恋人いましたね。」
「百戦錬磨の団長が、何やってんすか。」
「……うるさい。」
同じ言葉しか発さないエドガーは、すっかり落ち込んでおり机から顔を上げない。
「団長なら選び放題じゃないっすか。次行きましょ!」
「…嫌だ。」
「え?」
小さい声で呟くエドガー。
「…あの子がいい。」
「「「…。」」」
今日の舞台終わり、いつも通り観客に挨拶をしていた時に見つけたあの青年。
普段はぼんやりと見える観客席が、彼だけははっきりと輝いて見えた。
エドガーは一目で心を打ちぬかれ、その青年に釘付けになった。
隣の男がこちらを見てフードを被せたことで、その視線を無理やり外したが…
(ずっとあの目を見ていたかった。)
舞台から降りる時も、着替えてこの店に来る時も、ずっと彼のことを考えていた。
ぼーっとする団長を心配し団員達が理由を尋ねてきたので、『観客席にいた青年に惚れた』と素直に告白した。
その返答に驚き、質問してくる団員達を引き連れ店に入ったところに、あの青年の姿。
思わず声を掛けずにはいられなかった。
(これは運命だ…。)
高鳴る胸を押さえて青年に冷静に話し掛け、帰ろうとするのを呼び止めた。
それからは緊張であまり覚えていない。
しかし、いつもの余裕な自分で無かったことは、はっきりと言える。
「…俺は諦めない。」
こんなに胸が苦しいのだ。これは恋だ…簡単には手放せない。
突っ伏したままのエドガーを見て、顔を見合わせた団員達は、空いたグラスに酒を注ぐ。
「さ、今夜は打ち上げですし、飲みましょう!」
「とりあえず飲んで、作戦でも練りましょうよ!」
「飲んで飲んで!」
「…。」
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