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第1章 白狼は恋を知る
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ガイアスは城の向かいに佇む棟の中にいた。
1階の控室では、剣舞に参加した男達が雑談をしながら着替えている。
「ガイアス、剣舞があるせいで全休にならなくて残念だったな。」
「そうそう、せっかく祭だってのに。」
「今度は休みもらえるように上に言っとくから、しっかり休めよ。」
「いや、大丈夫です。」
第4隊の隊長がガイアスに話しかけてきたのをきっかけに、他の男達も話しかけてくる。
各隊の隊長や副隊長ばかりの控室では、ガイアスはまだ若造と言われる年齢だ。
仕事中、男達に子ども扱いされることも多かった。
ガイアスは甲冑を脱ぎ、濡れたタオルで体を拭くと、午前着ていた服に着替えた。
城の中とあって、他の皆も正装に腕を通している。
「シーバの王家の面々、相変わらず凄かったな。」
「え、お前近くで警備だったのか?」
「あぁ、ミア様お美しかった…。」
「まじか。俺なんて城下で見回り班の指揮だぞ。」
「ははっ、ご愁傷さま。」
今日の式の感想を思い思いに話している男達。
「なんか、神様が狼を創ったってのも頷けるよな。」
「サバルでも、『ミア様のためなら』って危ない奴が今後増えそうだよな。」
「かぁ~、忙しくなりそうだなぁ~。」
他にも「ミア様が…」「白い毛並みが…」と話題の中心は、今日の主役であるミアだ。
皆の話を聞きながら、ふぅ…と下を向いていたガイアスに影がさす。周りがどよめき、思わず顔を上げると、ミアが自分を見下ろしていた。
「ミア…。」
つぶやくように言ったガイアスに、ミアが静かに問いかける。
「なんで黙ってたんだ?」
腕を組み、いかにも『怒っています』といった風で立っているミア。
他の隊員達は、「ミア様じゃないか?」「え、なんでここに?」「ガイアスに用事か?」と混乱した様子で話している。
ガイアスはミアを見上げながら、とっさに「すまない」と言おうとしたが、その顎をミアに掴まれ上を向かされた。
それと同時に、すっきりとした花の匂いを感じたかと思うと、唇に柔らかい感触。
少しして離れていく小さな薄いピンク色。
ガイアスはその色を目で追ったが、ハッとして我に返る。
「…っミア?」
ミアはしてやったりといった顔でガイアスに視線を送り、後ろを振り返った。
「彼を少し借りるぞ。」
ミアと目が合った男達がコクコクと頷いたと同時に、2人の姿は控室から消えた。
さっきまでガイアスが座っていた椅子には、白い毛が1本、ふわりと落ちた。
・・・・・
「あ…。」
思わず自室に帰ってきてしまったミアは、森に行くべきだったか?と後悔した。
頭には「あの人間の男を自室に?」と睨む兄カルバンの顔が思い浮かぶ。
(いや、そんなの気にしてる場合じゃない。)
ガイアスと話さなければいけない緊急事態に、兄の顔を無理やり頭から消した。
「ミア。さっきのはッ…」
「ガイアス。」
ガイアスの手を握ったままだったのを思い出したミアは、その手を引いて抱きついた。
「ミア…どうしたんだ?なんであんな…」
状況が分からず混乱しているガイアスがミアに尋ねようとするが、ミアがそれを遮って話をする。
「今日のガイアス…かっこ良かった。」
ガイアスは何の話だろうか、と静かに続きを待っている。
「剣舞に出てただろ?」
「…ッ!」
まさかミアが気づいていたとは思わず、動揺する。
しかし、ガイアスもミアに聞いておきたいことがあった。
「...あいつよりか?」
「あいつ?」
「王の戴冠式の時の…そういえば会わなくてよかったのか?せっかく控室まで来たのに。」
ミアはガイアスの胸に埋もれていたが、少し顔を上げて上目使いにガイアスを見た。
「……ぃぃ。ガィ…ァスだったから。」
消えそうな声で話すミア。
「…ん?なんだ?」
「だから!!ガイアスだったって言ったの!俺の憧れの隊員は!!」
そう大声で言うと、力が抜けたようにガイアスにもたれかかる。
左頬をガイアスの胸にぴったりとつけ、照れたように目線を逸らせている。
そんなミアの背を撫でながら、もう片方の手でミアの頬を撫でる。
「ミア。こっち向いてくれ。」
「……ゃだ。」
「どうしてだ?ミアの目が見たい。」
「だめ…。」
ガイアスはミアの頬から顎に手を滑らせると、こしょこしょと毛づくろいするような手つきで顎から喉をくすぐった。
ミアがビクッと反応して顔を上に上げる。
「あ、こっち向いたな。」
ミアが前に教えてくれた『狼の気持ちいい部分』。
(こんな時に役に経つとは…)
嬉しそうな顔のガイアスがミアを見下ろしている。
背中に回されている手は逃げないようにミアをがっちりと抱き込んでおり、顎にかかる指はミアを上向きに固定するためにグッと力が入っているようで、顔をそらすことができない。
「ガイアスッ…いじわるすんなよ。」
「していない。」
「俺がなんでガイアスの顔見れないのか…分かるだろ?!」
そう言って、眩しいとばかりに目をぎゅっと瞑ったミアの瞼に口づけたガイアス。
「え…ガイア」
ちゅ
何の感触だ、と目を開け喋りかけたミアの口をガイアスが塞いだ。リップ音とともにぼんやりとしたガイアスの輪郭が離れ、はっきりと顔が見える。
「分かっている。」
そう言ったガイアスはミアを抱きしめて「好きだ。」と力強く言った。
それから、あわあわと照れだすミアを落ち着けるため、ひとまず座ろうとミアをソファへ連れていく。あろうことか、ガイアスが子どもを抱えるようにミアを前抱きにして歩き出し、ミアは顔から火が出るかと思った。
ソファに座ると横に降ろされ、ガイアスがちゃんと話そうとしているのが分かった。
「控室でミアが聞いてきたこと、説明させてくれないか?」
「うん…。」
「実は…、」
ガイアスは、ミアのことを好きだと告白した。
そして続ける。ミアに憧れの人がいるという事実に嫉妬したこと。本当は会って欲しくないが、ミアが幸せなら見守ると決めたこと。
最後に会った日に、自分も剣舞に出ると伝えるつもりだった。しかし急に出てきた『憧れの自衛隊員』の話に、式の日はその人に集中した方が良いだろう、とあえて言わなかったこと。
ガイアスは、式に至るまでの自分の思いをミアに全て伝えた。
ガイアスの告白に、ミアはわなわなと震える。
「…ミア?」
「そんなことで諦めんのかよッ!俺の事好きなんだろ?!」
熱く声を上げるミアに圧倒されるガイアス。
「あんなに熱烈な手紙送ってきたくせに!今さら諦めたら承知しないからなッ!」
言い切って、ぜぇぜぇと息を吐くミア。
「…手紙読んだのか。」
つぶやくガイアスに、さらにミアが続ける。
「俺の事、その程度だったんだな!俺が今日、他の隊員と良い感じになっても良かっ」いいわけないッ!」
ガイアスが急に声を大きくしたので、ミアはビクッとした。
ミアの目には涙の膜が張り、今にもこぼれそうだ。真剣な顔のガイアスをじっと見つめ、続きを待つ。
「俺はミアを諦めるなんて言っていない。」
ガイアスが、ソファについているミアの手を自分の手で包み込む。
「…え。」
「今日1日…、1日だけそいつと会ってもいいと思っただけだ。ただ次の日からは、たとえミアがそいつを好きになっても戦ってミアを手に入れるつもりでいた。」
「ガイアス…?」
「ミアは分かってない。俺はもう、お前を離してやれない。」
ぎゅっと手が握りこまれ、ガイアスが小さく震えているのが分かった。
「ミアのことが、好きなんだッ…」
ガイアスの顔は少し苦しそうに、でも愛おしいという気持ちでいっぱいの表情だった。
初めて見るその顔に、今まで我慢していた涙がポロッと落ちた。
「…っ、俺も、ガイアスが好き…ヒック…好きだ。」
「両想いなんだから…泣くな。」
泣き出したミアをあやすように、ガイアスはミアを抱えると自分の膝に乗せ、その背をさすった。
1階の控室では、剣舞に参加した男達が雑談をしながら着替えている。
「ガイアス、剣舞があるせいで全休にならなくて残念だったな。」
「そうそう、せっかく祭だってのに。」
「今度は休みもらえるように上に言っとくから、しっかり休めよ。」
「いや、大丈夫です。」
第4隊の隊長がガイアスに話しかけてきたのをきっかけに、他の男達も話しかけてくる。
各隊の隊長や副隊長ばかりの控室では、ガイアスはまだ若造と言われる年齢だ。
仕事中、男達に子ども扱いされることも多かった。
ガイアスは甲冑を脱ぎ、濡れたタオルで体を拭くと、午前着ていた服に着替えた。
城の中とあって、他の皆も正装に腕を通している。
「シーバの王家の面々、相変わらず凄かったな。」
「え、お前近くで警備だったのか?」
「あぁ、ミア様お美しかった…。」
「まじか。俺なんて城下で見回り班の指揮だぞ。」
「ははっ、ご愁傷さま。」
今日の式の感想を思い思いに話している男達。
「なんか、神様が狼を創ったってのも頷けるよな。」
「サバルでも、『ミア様のためなら』って危ない奴が今後増えそうだよな。」
「かぁ~、忙しくなりそうだなぁ~。」
他にも「ミア様が…」「白い毛並みが…」と話題の中心は、今日の主役であるミアだ。
皆の話を聞きながら、ふぅ…と下を向いていたガイアスに影がさす。周りがどよめき、思わず顔を上げると、ミアが自分を見下ろしていた。
「ミア…。」
つぶやくように言ったガイアスに、ミアが静かに問いかける。
「なんで黙ってたんだ?」
腕を組み、いかにも『怒っています』といった風で立っているミア。
他の隊員達は、「ミア様じゃないか?」「え、なんでここに?」「ガイアスに用事か?」と混乱した様子で話している。
ガイアスはミアを見上げながら、とっさに「すまない」と言おうとしたが、その顎をミアに掴まれ上を向かされた。
それと同時に、すっきりとした花の匂いを感じたかと思うと、唇に柔らかい感触。
少しして離れていく小さな薄いピンク色。
ガイアスはその色を目で追ったが、ハッとして我に返る。
「…っミア?」
ミアはしてやったりといった顔でガイアスに視線を送り、後ろを振り返った。
「彼を少し借りるぞ。」
ミアと目が合った男達がコクコクと頷いたと同時に、2人の姿は控室から消えた。
さっきまでガイアスが座っていた椅子には、白い毛が1本、ふわりと落ちた。
・・・・・
「あ…。」
思わず自室に帰ってきてしまったミアは、森に行くべきだったか?と後悔した。
頭には「あの人間の男を自室に?」と睨む兄カルバンの顔が思い浮かぶ。
(いや、そんなの気にしてる場合じゃない。)
ガイアスと話さなければいけない緊急事態に、兄の顔を無理やり頭から消した。
「ミア。さっきのはッ…」
「ガイアス。」
ガイアスの手を握ったままだったのを思い出したミアは、その手を引いて抱きついた。
「ミア…どうしたんだ?なんであんな…」
状況が分からず混乱しているガイアスがミアに尋ねようとするが、ミアがそれを遮って話をする。
「今日のガイアス…かっこ良かった。」
ガイアスは何の話だろうか、と静かに続きを待っている。
「剣舞に出てただろ?」
「…ッ!」
まさかミアが気づいていたとは思わず、動揺する。
しかし、ガイアスもミアに聞いておきたいことがあった。
「...あいつよりか?」
「あいつ?」
「王の戴冠式の時の…そういえば会わなくてよかったのか?せっかく控室まで来たのに。」
ミアはガイアスの胸に埋もれていたが、少し顔を上げて上目使いにガイアスを見た。
「……ぃぃ。ガィ…ァスだったから。」
消えそうな声で話すミア。
「…ん?なんだ?」
「だから!!ガイアスだったって言ったの!俺の憧れの隊員は!!」
そう大声で言うと、力が抜けたようにガイアスにもたれかかる。
左頬をガイアスの胸にぴったりとつけ、照れたように目線を逸らせている。
そんなミアの背を撫でながら、もう片方の手でミアの頬を撫でる。
「ミア。こっち向いてくれ。」
「……ゃだ。」
「どうしてだ?ミアの目が見たい。」
「だめ…。」
ガイアスはミアの頬から顎に手を滑らせると、こしょこしょと毛づくろいするような手つきで顎から喉をくすぐった。
ミアがビクッと反応して顔を上に上げる。
「あ、こっち向いたな。」
ミアが前に教えてくれた『狼の気持ちいい部分』。
(こんな時に役に経つとは…)
嬉しそうな顔のガイアスがミアを見下ろしている。
背中に回されている手は逃げないようにミアをがっちりと抱き込んでおり、顎にかかる指はミアを上向きに固定するためにグッと力が入っているようで、顔をそらすことができない。
「ガイアスッ…いじわるすんなよ。」
「していない。」
「俺がなんでガイアスの顔見れないのか…分かるだろ?!」
そう言って、眩しいとばかりに目をぎゅっと瞑ったミアの瞼に口づけたガイアス。
「え…ガイア」
ちゅ
何の感触だ、と目を開け喋りかけたミアの口をガイアスが塞いだ。リップ音とともにぼんやりとしたガイアスの輪郭が離れ、はっきりと顔が見える。
「分かっている。」
そう言ったガイアスはミアを抱きしめて「好きだ。」と力強く言った。
それから、あわあわと照れだすミアを落ち着けるため、ひとまず座ろうとミアをソファへ連れていく。あろうことか、ガイアスが子どもを抱えるようにミアを前抱きにして歩き出し、ミアは顔から火が出るかと思った。
ソファに座ると横に降ろされ、ガイアスがちゃんと話そうとしているのが分かった。
「控室でミアが聞いてきたこと、説明させてくれないか?」
「うん…。」
「実は…、」
ガイアスは、ミアのことを好きだと告白した。
そして続ける。ミアに憧れの人がいるという事実に嫉妬したこと。本当は会って欲しくないが、ミアが幸せなら見守ると決めたこと。
最後に会った日に、自分も剣舞に出ると伝えるつもりだった。しかし急に出てきた『憧れの自衛隊員』の話に、式の日はその人に集中した方が良いだろう、とあえて言わなかったこと。
ガイアスは、式に至るまでの自分の思いをミアに全て伝えた。
ガイアスの告白に、ミアはわなわなと震える。
「…ミア?」
「そんなことで諦めんのかよッ!俺の事好きなんだろ?!」
熱く声を上げるミアに圧倒されるガイアス。
「あんなに熱烈な手紙送ってきたくせに!今さら諦めたら承知しないからなッ!」
言い切って、ぜぇぜぇと息を吐くミア。
「…手紙読んだのか。」
つぶやくガイアスに、さらにミアが続ける。
「俺の事、その程度だったんだな!俺が今日、他の隊員と良い感じになっても良かっ」いいわけないッ!」
ガイアスが急に声を大きくしたので、ミアはビクッとした。
ミアの目には涙の膜が張り、今にもこぼれそうだ。真剣な顔のガイアスをじっと見つめ、続きを待つ。
「俺はミアを諦めるなんて言っていない。」
ガイアスが、ソファについているミアの手を自分の手で包み込む。
「…え。」
「今日1日…、1日だけそいつと会ってもいいと思っただけだ。ただ次の日からは、たとえミアがそいつを好きになっても戦ってミアを手に入れるつもりでいた。」
「ガイアス…?」
「ミアは分かってない。俺はもう、お前を離してやれない。」
ぎゅっと手が握りこまれ、ガイアスが小さく震えているのが分かった。
「ミアのことが、好きなんだッ…」
ガイアスの顔は少し苦しそうに、でも愛おしいという気持ちでいっぱいの表情だった。
初めて見るその顔に、今まで我慢していた涙がポロッと落ちた。
「…っ、俺も、ガイアスが好き…ヒック…好きだ。」
「両想いなんだから…泣くな。」
泣き出したミアをあやすように、ガイアスはミアを抱えると自分の膝に乗せ、その背をさすった。
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