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第1章 白狼は恋を知る
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ガイアスの屋敷の使用人は、執事、メイド長に若いメイドが2人、庭師兼雑務と庭師見習い、料理長とその見習いの8人。
皆、元はガイアスの本家に勤めていたが、ガイアスが亡くなった祖父の家の管理も兼ねてこちらに越してくる際、一緒に付いてきた者達だ。
新人は教育も兼ねており、教育期間が終われば、ここで働くか本家に戻るか自由に選ぶことができる。
今、ガイアスの屋敷では、8人による平日末恒例の使用人会議が行われていた。
「今夜の夕食についてだが…ガイアス様は予定通り我々と食べられるとのことなので、魚料理を中心にメインを作り、俺の地元の郷土料理も2,3品作る予定だ。…そして明日は、ガイアス様より昼食用の弁当を2人分作るよう言われている。野菜なしで肉がたっぷり入ったサンドウィッチに揚げ物をいくつか、と指定があった。 調理場からは以上!」
いかつい顔に貫録のある身体の料理長が、大きい声で使用人全員に予定を伝える。
普段は1人で夕食を食べるガイアスだが、使用人達の意見を聞くため、平日最終日の夕食は、この屋敷の全員で食べることになっている。
「あの…すごくボリュームのあるお昼ご飯ですが、大丈夫でしょうか?」
若いメイドのうちの1人が心配そうに質問する。
「大丈夫とは?」
「えーっと、ガイアス様がどのような方とお会いしているのか分かりませんが、もし女性の方でしたら、少々重たいのでは、と…。」
「ふむ、たしかにな。」
「どうやらガイアス様は、その方に剣を教えていらっしゃるようです。剣の練習とあれば体力がいりますから、たくさん食べる方なのかもしれないですね。」
この屋敷を取り仕切る初老の執事は、あごの髭を少し指で触りながら答える。
「そうだったんですね。いつも私達が好みそうなティーセットとお菓子を持って出かけられるので、てっきりお相手の方は可愛らしい女性だと思っておりました。」
「私もよ。一体、どんな方とお会いしてるのかしら…。」
「毎回、余分にお菓子を準備しているんだけど、全部なくなってるから不思議に思ってたんだ。」
若いメイド2人が疑問を浮かべながら話し、料理見習いの若い男もそれに加わった。
他の使用人達も、今までこの場で話題には出さなかったが、ガイアスの相手がどのような人物なのか気になっていた。
皆ソワソワとした様子を隠せていない。
「本来ならば、主人であるガイアス様からの報告を待つべきなのですが…。」
そう喋りだした執事に、全員の視線が向けられる。
「…今日の夕食の席で私からガイアス様に伺ってみましょう。」
「「「「「「「・・・!」」」」」」」
「いいのか?プライベートな事だぞ。」
今まで黙っていた庭師の男が口をはさみ、隣に座る見習いの青年はそれに賛同するように控えめに頷く。
「これはガイアス様のためでもあります。私達はガイアス様に快適に過ごしていただくためにこの屋敷におりますが、それは身の回りの世話だけを指すのではありません。ガイアス様の関係者を把握し、その方々に失礼のないように配慮するのも仕事です。」
「たしかにそうだが・・・」
「もしお相手が、爵位のある御令嬢だったら…明日のお昼のメニューは危険だわ。」
「ガイアス様はお優しい方ですのに、もしそれで配慮の足らないお方だと思われたら…。」
「せっかく良い感じですのに!」
「待て待て、ガイアス様がその方に好意があるとは限らねぇだろうが。」
「帰った時のガイアス様のお顔をご存じないの?あれは恋するお顔ですわ。」
「あなた達!口が過ぎますよ。憶測でものを言ってはいけません!」
「おい、結局明日のメニューはどうしたらいいんだよ!」
言い争う使用人達を見ながら、咳払いをひとつした執事は「今晩、私がしっかり伺いますから…会議を続けましょう。」と、みんなを鎮めた。
・・・・・
夕食の時間、いつものように真ん中の席に座るガイアスを囲むように、使用人達が席に着いた。
「今日もうまそうだな。」
「ありがとうございます!」
ガイアスが食事に手を付けたのを合図に、使用人達も食事を始める。
「もし、屋敷のことなどで何かあったら報告してくれ。」
ガイアスが使用人全員にそう言うと、メイドの1人が話し出した。
「はい、最近朝の紅茶を変えたのですが、お口に合っていますでしょうか。」
「ああ、スッキリしてて好みだ。」
「ありがとうございます。」
「こちらこそ、いつも細かい気遣いに助かっている。」
ガイアスが感謝の気持ちを伝えると、メイドはうつむいて静かに震えだした。
「・・・ぐすっ・・・・うっ・・」
「どうした?!」
突然泣き出したメイドに、ガイアスはうろたえる。
「な、何かあったのかっ?」
「ガイアス様はッ…ッうう・・・お優しい方でッ…すのッ…に…勘違いッ・・・ヒック・・されます・・お肉が…うっ・・胃がもたれ…っ!」
何を言っているの分からずにガイアスが混乱していると、執事が2人の間に入り口を開いた。
「ガイアス様。大変失礼なことをお聞きいたしますこと、どうかお許しください。」
「…なんだ。」
訳が分からないといった様子のガイアスは、頼りである執事に先を促す。
「皆、ガイアス様が毎週末お会いになられているのが、どのような方か気にしております。」
「ん…?」
何をどうしたらそれが、今メイドが泣いている原因になるのか。
「この半年間、ガイアス様は誰かを探しておいでのようでした。しかし先日、初めて空になったバスケットを見て、ここにおります使用人一同、ガイアス様の願いが叶ったと感激しておりました。しかるべき時にガイアス様からご連絡があるものとお待ちしておりましたが、どのような方か分からず、知らないうちに失礼な事をしてはならない、と本日ガイアス様に訊ねることにいたしました。…すべて私達の想像でしかないのですが。」
それから執事は、今日の会議で話したことやみんなの思いをガイアスに伝えた。
「そうだったのか。」
よもや明日のお昼の心配をしてメイドが泣いていたとは予想できず、ガイアスは眉間を押さえた。
「皆、ガイアス様を心配しております。」
「皆に伝えなかったのは、話して良いものか悩んでいたからだ。今はまだ言えないことも多いが、確かに毎週末誰かと会っている。そしてその相手は…狼だ。」
まさか狼だとは誰も想像していなかったようで、驚いた表情でガイアスの次の発言に注目している。
「彼は男の狼でミアという。毎週末、私が剣を教え、彼は私に狼について教えてくれている。彼はよく食べるから、量は今まで通りでいい。明日の昼も、彼が希望したメニューだ。」
「さようでしたか。」
「じゃあ、明日は俺の特製サンドだな!」
嬉しそうな料理長は「最近お上品な料理ばかり作ってたからな、楽しみだ!」と張り切っている。
「俺の昼もそれにしてくれ。」と庭師の男が言うと、俺も!とばかりに見習いの青年が手を挙げた。
「・・・よがっだ・・ううッ」
安心したらまた泣けてきたのか、メイドがぐすん、と鼻をすすり、メイド長は「ガイアス様の前で急に泣くなんて…」と叱りながらもハンカチを手渡している。
ガイアスは、ミアが半年前にこの森に来ていたことや、最近になって奇跡的にまた出会うことができ、今の関係になったことなど、簡単に説明をした。
2人のメイドは「運命ですわ…」と目を輝かせて手を取り合っている。
他の使用人達も、再び出会えたことは偶然ではない、と頷いていた。
「…そして皆が心配していたことだが…俺は、彼の傍にいたいと思っている。どんな関係でいれるのか、俺には決めることができない……少し複雑なんだ。」
ミアは狼で、しかも王家の者だ。
古い書を見ても、王家の狼と人間が結ばれた記録はない、と以前ミアは言っていた。
(彼と一緒にいるためには、どうしたらよいのだろうか。)
ガイアスは寂しげに皆から視線を外す。
(友人という立場ならば…笑いながら話をして、剣を一緒に振って、時々頭を撫でて…。)
ガイアスは自分の理想とは少し違った未来を想像し、それでいいじゃないか、と納得しようとした。
シーンとした部屋に、ガタッと大きな音が響いた。
「弱気になってはダメですっ!どのような形でいるかは、ガイアス様がお決めになることですわっ!」
「まずは、ガイアス様の魅力をしっかりお見せするんです!そして、そのお気持ちをお伝えすれば、きっとお相手の方に届きますわっ!」
2人のメイドがガイアスにずいっ、と近づき力強く言った。
こちらの屋敷に来るまでは、男爵家の令嬢として過ごしていた2人。
爵位を持つ家の令嬢が、上の爵位の屋敷で働くことは、この国では少なくない。
見習いという形をとり、この屋敷でメイドとして一生懸命働く2人だが、仕えることに慣れてない2人は、こうして時折、主人に対して物申すことがあった。
「こらっ!貴方達!失礼なことを言うんじゃありません!」
彼女達の世話役であるメイド長が、ガイアスに迫る2人を止めようと手を前に出すが、ふっと笑ったガイアスに「良い。」と制され、手を降ろす。
「心配させてしまってすまない。そうだな…どうするか決めるのは自分だ。」
ガイアスは皆の顔をしっかりと見た。
「ミアを諦めない。俺の望む形で共に在れるよう努力するつもりだ。……まずは、魅力とやらを伝えなければな。」
黙って聞いていた使用人達は、主人の宣言に大きく頷いた。
「……グスッ…ガイアス様…ッ」
「もう!あなた何回泣く気ですか!」
一度泣いたことで涙腺が緩んでいるのか、また目を潤ませ始めたメイドの目元を、メイド長が呆れつつも、優しく拭った。
皆、元はガイアスの本家に勤めていたが、ガイアスが亡くなった祖父の家の管理も兼ねてこちらに越してくる際、一緒に付いてきた者達だ。
新人は教育も兼ねており、教育期間が終われば、ここで働くか本家に戻るか自由に選ぶことができる。
今、ガイアスの屋敷では、8人による平日末恒例の使用人会議が行われていた。
「今夜の夕食についてだが…ガイアス様は予定通り我々と食べられるとのことなので、魚料理を中心にメインを作り、俺の地元の郷土料理も2,3品作る予定だ。…そして明日は、ガイアス様より昼食用の弁当を2人分作るよう言われている。野菜なしで肉がたっぷり入ったサンドウィッチに揚げ物をいくつか、と指定があった。 調理場からは以上!」
いかつい顔に貫録のある身体の料理長が、大きい声で使用人全員に予定を伝える。
普段は1人で夕食を食べるガイアスだが、使用人達の意見を聞くため、平日最終日の夕食は、この屋敷の全員で食べることになっている。
「あの…すごくボリュームのあるお昼ご飯ですが、大丈夫でしょうか?」
若いメイドのうちの1人が心配そうに質問する。
「大丈夫とは?」
「えーっと、ガイアス様がどのような方とお会いしているのか分かりませんが、もし女性の方でしたら、少々重たいのでは、と…。」
「ふむ、たしかにな。」
「どうやらガイアス様は、その方に剣を教えていらっしゃるようです。剣の練習とあれば体力がいりますから、たくさん食べる方なのかもしれないですね。」
この屋敷を取り仕切る初老の執事は、あごの髭を少し指で触りながら答える。
「そうだったんですね。いつも私達が好みそうなティーセットとお菓子を持って出かけられるので、てっきりお相手の方は可愛らしい女性だと思っておりました。」
「私もよ。一体、どんな方とお会いしてるのかしら…。」
「毎回、余分にお菓子を準備しているんだけど、全部なくなってるから不思議に思ってたんだ。」
若いメイド2人が疑問を浮かべながら話し、料理見習いの若い男もそれに加わった。
他の使用人達も、今までこの場で話題には出さなかったが、ガイアスの相手がどのような人物なのか気になっていた。
皆ソワソワとした様子を隠せていない。
「本来ならば、主人であるガイアス様からの報告を待つべきなのですが…。」
そう喋りだした執事に、全員の視線が向けられる。
「…今日の夕食の席で私からガイアス様に伺ってみましょう。」
「「「「「「「・・・!」」」」」」」
「いいのか?プライベートな事だぞ。」
今まで黙っていた庭師の男が口をはさみ、隣に座る見習いの青年はそれに賛同するように控えめに頷く。
「これはガイアス様のためでもあります。私達はガイアス様に快適に過ごしていただくためにこの屋敷におりますが、それは身の回りの世話だけを指すのではありません。ガイアス様の関係者を把握し、その方々に失礼のないように配慮するのも仕事です。」
「たしかにそうだが・・・」
「もしお相手が、爵位のある御令嬢だったら…明日のお昼のメニューは危険だわ。」
「ガイアス様はお優しい方ですのに、もしそれで配慮の足らないお方だと思われたら…。」
「せっかく良い感じですのに!」
「待て待て、ガイアス様がその方に好意があるとは限らねぇだろうが。」
「帰った時のガイアス様のお顔をご存じないの?あれは恋するお顔ですわ。」
「あなた達!口が過ぎますよ。憶測でものを言ってはいけません!」
「おい、結局明日のメニューはどうしたらいいんだよ!」
言い争う使用人達を見ながら、咳払いをひとつした執事は「今晩、私がしっかり伺いますから…会議を続けましょう。」と、みんなを鎮めた。
・・・・・
夕食の時間、いつものように真ん中の席に座るガイアスを囲むように、使用人達が席に着いた。
「今日もうまそうだな。」
「ありがとうございます!」
ガイアスが食事に手を付けたのを合図に、使用人達も食事を始める。
「もし、屋敷のことなどで何かあったら報告してくれ。」
ガイアスが使用人全員にそう言うと、メイドの1人が話し出した。
「はい、最近朝の紅茶を変えたのですが、お口に合っていますでしょうか。」
「ああ、スッキリしてて好みだ。」
「ありがとうございます。」
「こちらこそ、いつも細かい気遣いに助かっている。」
ガイアスが感謝の気持ちを伝えると、メイドはうつむいて静かに震えだした。
「・・・ぐすっ・・・・うっ・・」
「どうした?!」
突然泣き出したメイドに、ガイアスはうろたえる。
「な、何かあったのかっ?」
「ガイアス様はッ…ッうう・・・お優しい方でッ…すのッ…に…勘違いッ・・・ヒック・・されます・・お肉が…うっ・・胃がもたれ…っ!」
何を言っているの分からずにガイアスが混乱していると、執事が2人の間に入り口を開いた。
「ガイアス様。大変失礼なことをお聞きいたしますこと、どうかお許しください。」
「…なんだ。」
訳が分からないといった様子のガイアスは、頼りである執事に先を促す。
「皆、ガイアス様が毎週末お会いになられているのが、どのような方か気にしております。」
「ん…?」
何をどうしたらそれが、今メイドが泣いている原因になるのか。
「この半年間、ガイアス様は誰かを探しておいでのようでした。しかし先日、初めて空になったバスケットを見て、ここにおります使用人一同、ガイアス様の願いが叶ったと感激しておりました。しかるべき時にガイアス様からご連絡があるものとお待ちしておりましたが、どのような方か分からず、知らないうちに失礼な事をしてはならない、と本日ガイアス様に訊ねることにいたしました。…すべて私達の想像でしかないのですが。」
それから執事は、今日の会議で話したことやみんなの思いをガイアスに伝えた。
「そうだったのか。」
よもや明日のお昼の心配をしてメイドが泣いていたとは予想できず、ガイアスは眉間を押さえた。
「皆、ガイアス様を心配しております。」
「皆に伝えなかったのは、話して良いものか悩んでいたからだ。今はまだ言えないことも多いが、確かに毎週末誰かと会っている。そしてその相手は…狼だ。」
まさか狼だとは誰も想像していなかったようで、驚いた表情でガイアスの次の発言に注目している。
「彼は男の狼でミアという。毎週末、私が剣を教え、彼は私に狼について教えてくれている。彼はよく食べるから、量は今まで通りでいい。明日の昼も、彼が希望したメニューだ。」
「さようでしたか。」
「じゃあ、明日は俺の特製サンドだな!」
嬉しそうな料理長は「最近お上品な料理ばかり作ってたからな、楽しみだ!」と張り切っている。
「俺の昼もそれにしてくれ。」と庭師の男が言うと、俺も!とばかりに見習いの青年が手を挙げた。
「・・・よがっだ・・ううッ」
安心したらまた泣けてきたのか、メイドがぐすん、と鼻をすすり、メイド長は「ガイアス様の前で急に泣くなんて…」と叱りながらもハンカチを手渡している。
ガイアスは、ミアが半年前にこの森に来ていたことや、最近になって奇跡的にまた出会うことができ、今の関係になったことなど、簡単に説明をした。
2人のメイドは「運命ですわ…」と目を輝かせて手を取り合っている。
他の使用人達も、再び出会えたことは偶然ではない、と頷いていた。
「…そして皆が心配していたことだが…俺は、彼の傍にいたいと思っている。どんな関係でいれるのか、俺には決めることができない……少し複雑なんだ。」
ミアは狼で、しかも王家の者だ。
古い書を見ても、王家の狼と人間が結ばれた記録はない、と以前ミアは言っていた。
(彼と一緒にいるためには、どうしたらよいのだろうか。)
ガイアスは寂しげに皆から視線を外す。
(友人という立場ならば…笑いながら話をして、剣を一緒に振って、時々頭を撫でて…。)
ガイアスは自分の理想とは少し違った未来を想像し、それでいいじゃないか、と納得しようとした。
シーンとした部屋に、ガタッと大きな音が響いた。
「弱気になってはダメですっ!どのような形でいるかは、ガイアス様がお決めになることですわっ!」
「まずは、ガイアス様の魅力をしっかりお見せするんです!そして、そのお気持ちをお伝えすれば、きっとお相手の方に届きますわっ!」
2人のメイドがガイアスにずいっ、と近づき力強く言った。
こちらの屋敷に来るまでは、男爵家の令嬢として過ごしていた2人。
爵位を持つ家の令嬢が、上の爵位の屋敷で働くことは、この国では少なくない。
見習いという形をとり、この屋敷でメイドとして一生懸命働く2人だが、仕えることに慣れてない2人は、こうして時折、主人に対して物申すことがあった。
「こらっ!貴方達!失礼なことを言うんじゃありません!」
彼女達の世話役であるメイド長が、ガイアスに迫る2人を止めようと手を前に出すが、ふっと笑ったガイアスに「良い。」と制され、手を降ろす。
「心配させてしまってすまない。そうだな…どうするか決めるのは自分だ。」
ガイアスは皆の顔をしっかりと見た。
「ミアを諦めない。俺の望む形で共に在れるよう努力するつもりだ。……まずは、魅力とやらを伝えなければな。」
黙って聞いていた使用人達は、主人の宣言に大きく頷いた。
「……グスッ…ガイアス様…ッ」
「もう!あなた何回泣く気ですか!」
一度泣いたことで涙腺が緩んでいるのか、また目を潤ませ始めたメイドの目元を、メイド長が呆れつつも、優しく拭った。
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