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-第4章- 家族と未来

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「んーッ、ん! んぅ、」
 またしても指でぐにぐにといじられる。その手を静止するよう訴えたいが、口を塞がれていて叶わない。
 くぐもった声でイヴァンに『やめて』と伝えるが、指の動きは止まらない。
「アサヒ、どうだ?」
 やっと口を離したイヴァンが聞いてくる。
「ッ分かんないよ……そこばっか触ったら変になる…っ、違うとこ触って…っ、」
「では、望み通りに他を触るぞ」
 涙目のまま訴えると、イヴァンは嬉しそうに笑った。
 それからは脇から手を離し、首から鎖骨までを丁寧になぞり始めたイヴァン。
 そのゆっくりな動きが妙に恥ずかしく感じ、顔を横に向けていた俺だったが、指がふいに胸に持っていかれたことで、ビクッと全身が揺れた。
「ゃ……ッ!」
 イヴァンは俺の胸の先端がすでにピンと立っているのを確認すると、ふぅっと息を吹きかけてきた。
「可愛い。舐めて欲しそうだぞ」
 俺が羞恥を感じつつ頷くと、乳首に舌が押し当てられた。そのまま舌全体でズリズリと擦られ、その先端がさらに硬くなる。
「あ、あぅ……っ」
「アサヒはここが好きだから、いっぱい弄ってやろうな」
 イヴァンは嬉しそうに言うと、手を空いている片方へ伸ばす。ぬめった舌で優しく擦られる乳首と反対側の先端は、指でぎゅっと力を込めて摘まれた。
「あ、やぁん……ッ」
 いきなりの刺激に驚いてイヴァンをバッと見る。目の前の恋人は、いじわるな表情でこちらを見ていた。
「も、もぉ、……急にやめて」
 睨む俺におかまいなしに、そのまま乳首を軽く引っ張られる。
「あう……っ」
 離されてジンとしたところを濡れた舌で優しく舐められた。それを何度も繰り返され、両先端は擦れて赤くなり、それに伴って刺激をもっと敏感に感じるようになった。
 ぎゅっと捻るような動きで先端を弄られる度に甘い声が漏れる。
「もう、しないでぇ」
 さらに舌を這わせようとしたのが見え、イヴァンの頭をぎゅっと抱きしめて止める。
 胸にくっつくように頭を固定されたイヴァンは、クスッと笑った。
「嫌だと言いながら、もっと舐めて欲しいのか?」
 形の良い唇が先端に押し当てられ、じゅうっと音を立てて吸われる。
「んん、……それ、ぁぁ、きもちぃ……」
 無意識に気持ちがいいと伝えてしまう。
 その言葉を聞いたイヴァンは、片方の先端を摘まむ指にぎゅっと力を込め、口に含む乳首に歯を当てた。
「……ああッん…!」
 急な刺激に大きな声が出る。
 胸から下半身に電流が流れたような感覚がし、俺の昂りがさらに熱を持ってふるっと震えた。
「はぁ…はぁ……」
 イヴァンは赤くなった胸からようやく顔を離し起き上がると、汗ばみ息を乱す俺を見下ろしてくる。
「ああ、胸がこんなに真っ赤になって」
 興奮した顔で、親指で先端を掠めるように撫でてくる。
「はぁ……ッ」
 先ほどまでの刺激が蘇り、俺はピクッと腰が揺れた。
「もしかして、胸だけでこんなになったのか?」
 下半身を確認しながらイヴァンが尋ねてくる。
 顔に熱が集まり、何も言い返せない。
「見てみろ、濡れて気持ちよさそうだ」
 先走りを溢れさせながら上を向く俺のモノ。
「触って欲しそうだな」
 その言葉に控えめに頷く。
 もう、触って欲しい。出したい……
 胸をいじられ、そのまま竿を優しく触ってもらういつもの流れを想像し、期待した目をイヴァンに向ける。
 イヴァンが優しく笑ったのを見て安心する。
 早く……もう、触ったらすぐに出るから……
 俺はイヴァンから視線を外して目を閉じる。
 しかし快感はいつまで経ってもやってこない。
 しびれを切らした俺がうっすら目を開けると、イヴァンは俺のモノから視線を逸らし、お腹の窪みをじっと見つめている。
「イヴァン? あの、触って、」
「まだだぞ。言っただろう、いろんなところで気持ちよくなるようにすると。ここを弄ってからだ」
 俺のお腹が、大きな掌で撫でられる。熱を持った下半身を触って欲しくて堪らなかった俺は、いやいやと首を振る。
「いやぁ、もう……出したいッ、イヴァン」
「触ってやりたいが、今日は俺の好きなようにしていい約束だからな。いい子のアサヒはもう少し我慢できるな?」
 意地悪く笑って、イヴァンは俺のお腹を撫で続ける。
 いつもなら、すぐに気持ちいいところに触ってもらえるのに……
 俺は理不尽に思いながらも、約束をしてしまった手前、もう少しだけ我慢することにした。
 イヴァンは抵抗しなくなった俺のお腹を撫でたり、へそに指を入れて優しくクイッと動かしたりしている。
 そして、しばらく撫でて満足したのか、その手が腰の辺りに移動する。
 腰骨を辿るように手で撫でられ、窪みに指を這わせると、ぎゅっと押してきた。
「んッ!」
 昂ぶりに近い部分に刺激を与えられ、俺の腰がピクッと震える。
 その反応を見て、さらに窪みへ押し込むように指を上下させるイヴァンは、晒された俺のへそに舌を這わせた。
「んゃッ……ああっ!」
 肉の薄い場所で感じるぬめった感覚に、俺は驚き思わずイヴァンの頭を掴む。
 俺の勃ちあがったものがイヴァンの胸辺りに擦れる。溢れる先走りが目の前の胸元を汚し、俺が限界であることは分かっているはずだ。
 それを気に留めず、へそに舌を這わせるイヴァン。気づけば、俺は腰を揺らしてイヴァンの胸に自分のソレを擦り付けていた。
「はぁ、アサヒ。自分で押し当ててくるなんて、いやらしいな」
 熱い息を零し興奮を隠せないイヴァンが、自分の下にある俺のモノを見ている。
「ん、ん、…はぁ」
 返事をする余裕もなく、イヴァンに『触って』と思いを込めて腰を揺らした。
 気持ち良くなれるよう自身を擦りつけるが、それだけでは射精するには足らないようだ。
 震える自分のモノに手を伸ばした時、イヴァンが低く唸って俺のモノを咥えた。
「ああッ……!」
 いきなり熱い刺激に包まれ、喉が勝手にのけ反る。
 イヴァンは俺のモノを全て口に含むと、中で舌を動かして裏筋を刺激してきた。
 そのままぎゅっと口内で俺を締め付けると、ゆっくりと先端まで吸っていく。
 そしてカリの部分まできたところで、その窪みを一周するように舐めていく。
「あ、あ、やぁ、んん…」
 あまりの気持ちよさに頭がぼうっとする。
 じゅっ、じゅっ、と音を立てて自分のモノを舐める恋人の姿に目を向けると、イヴァンが口を離して俺の顔を見上げた。
「もっといろいろするつもりだったのに、アサヒが可愛すぎて抑えられなかった」
 少し悔しそうなイヴァンの顔。
 イッた後、いつもすぐに疲れて寝てしまう俺をゆっくりと抱きたかったのか、性感帯を開発したかったのか、どちらにせよ目的通りにはいかなかったようだ。
「また次回にして。……俺、すごく我慢したんだから」
 急にいろんなことをされても頭が付いていかないと文句を言うと、イヴァンは謝りつつ笑った。
「焦らしてすまなかった。待たせた分、アサヒの好きなようにたっぷり触ってやるからな」
『たっぷり』という言葉が少し不安だが、今は目先の快感のことで頭がいっぱいだ。
 深く考えずにコクリと頷いた。

「あ……あ、出ちゃっ、」
「んー? もう出るのか? まだ指も入れてないぞ」
 イヴァンは俺の竿を扱きながら、ちゅうっとぬめる先端にキスをする。
「もう、一回出したいッ。イヴァンお願い…ッ」
「可愛い」
 そう言って俺のモノを強く擦り上げた。
「あ、出る……っ!」
 身体を震わせたと同時に、イヴァンがキスをしていた先端を強く吸った。
 イヴァンは精液を零さないように吸い切ると、イッて敏感な俺の先端を舌でグリグリと刺激し始めた。
「あ、やめ、……や、ッまた出る!」
 果てたばかりだというのに、先端からトロッと吐精する。
「はぁ、はぁ、は…ッ、ん、」
 身体から力が抜けベッドに身を預ける。
 イヴァンは、口に含んだ俺の白濁を飲み、ぐったりとしている俺のおでこにキスをした。
「続けて二回達したのか?」
「イヴァンが変なことするから」
 嬉しそうなイヴァンに、拗ねた声で答える。
「ああ、俺のせいだな」
 そう言って上機嫌に俺の額の汗を指で拭うイヴァン。
「少し休憩するか?」
 今日は長い時間弄られて、身体が重い。
「うん。休ませて」
 今は腕を動かすのも辛いため、恋人の提案を素直に受け入れる。
 イヴァンは俺の横に寝転がると、よしよしと小さい子どもを褒めるように撫でてくる。
「ねぇ、余裕ぶってたけどイヴァンも勃ってるじゃん」
「ああ、早くアサヒの中に入りたい」
 俺の足に当たるモノは硬く、少し触れば爆ぜてしまいそうだ。
 俺は嫌味で言ったつもりだったが、イヴァンが恥ずかしげもなく自身を擦りつけてくるので、フッと笑いが零れた。
「もうちょっと待ってね」
「分かった」
 大人しく俺の言うことを聞いて待つイヴァンの唇に、俺は軽くキスをした。

「いっつ……」
 俺は久々に腰の痛みで目が覚めた。
 あれから、休憩している最中に寝てしまいそうになった俺を起こし、散々抱き潰したイヴァン。
 横で気持ちよさそうに眠る顔が少し腹立だしい。
「なんだよ、自分だけすやすやと」
「……アサヒ? こっちおいで」
 文句を言いながら布団を捲っていると、イヴァンが俺の服の端を掴んで引っ張る。
「喉乾いたから水取りに行ってくる。いるでしょ?」
「……いる」
 目を瞑ったまま眉間に皺を寄せたイヴァンが、少し黙ってからそう答える。
 俺の腕を名残惜しそうに離した恋人を残し、水を取りに自分の部屋へと向かった。
 部屋にはしっかりと水やお茶の準備がされていて、優秀な従者が朝早くから用意してくれていたのだと分かる。
 水差しとコップを持ってベッドへ戻ると、イヴァンが眠そうにもぞもぞと動いていた。
「ほら、水だよ」
 コップに水を注ぎ渡すと、薄く片目を開けたイヴァンが、ぷいっと横を向いた。
「アサヒが飲ませてくれ」
「もう、何言ってんの」
 我儘を言う姿は子どものようで可愛いが、大の大人がこれでは駄目だろう。
「駄目だよ。自分で飲んで」
「分かった」
 イヴァンは薄目で俺を見た後、素直にコップを受け取った。喉が乾いていたのか、一気に飲み干す姿を見て、手を伸ばす。
「飲んだならコップかし……っわぁ!」
 水を飲むためにコップを受け取ろうとしたが、出した手をグッと引かれた。
「なに……? んぅ、」
 イヴァンが覆いかぶさるようにキスをしてきたかと思うと、口の中に冷たい水が入ってくる。
「ん、んぅ!」
 びっくりしながらも、コク……と口の中の水を嚥下する。
「ぷはッ……! ちょっとイヴァン!」
 口を離したイヴァンがニヤニヤと笑っている。
「急になにすんの!」
「アサヒが俺に意地悪するから、俺もしただけだ」
 その言葉を聞いてイヴァンを睨む。
「水を飲ませなかったのが意地悪か? それなら、昨夜のイヴァンは超超超、意地悪だった!」
 言い切ると、ハハッと声を出して笑いながらイヴァンが俺を後ろに押し倒す。
「本当にアサヒは可愛いな」
 上から覆いかぶさるイヴァンの目はすっかり覚めており、俺は重たいと抵抗する。
「潰れちゃうから!」
「じゃあ交代してもいいぞ。アサヒが俺を潰したらいい」
「覚悟しろよ!」
 なぜ言い合いになったのかも忘れ、ベッドの上でじゃれ合っていた俺達は、朝食のために呼びに来たナラの声に気づかなかった。
「おい、お前ら! いつまでも寝てないで、さっさと食堂に来い!」
 困ったナラに呼ばれたアルダリの怒号によって、俺はようやくベッドから抜け出ることができた。
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