今世の幸せはあなたの隣で生きること

かてきん

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-第2章- 新しい町と幸せな日々

3*

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「あ、あ、やだッ……やだって!」
「嫌と言うな。嘘でも傷つく」
 悲しそうな声を出しながらも、イヴァンは指を俺の中に入れたまま、ぐちぐちと動かし続ける。
 指は既に三本に増え、それらを広げるようにバラバラに動かされると堪らなかった。
 セックスをしてもいいのか尋ねた時のしおらしかったイヴァンはどこへ行ったのか、あれから俺の言葉で元気を取り戻し、ねちっこい前戯で俺を何度も泣かせた。

「んぅ、指止めてッ……出るからッ、出るぅ、」
「そのまま出せばいい。ああ、後ろでこんなに気持ち良くなって……アサヒはいい子だな」
 俺を仰向けに転がして後ろをいじる男の顔を見る。その表情は興奮しているようで、ほのかに頬が上気している。そして窄まりに指が出し入れする様子をじっと見ていた。
 俺の視線に気づいたイヴァンが顔をこちらに向ける。
「ほら、イこうな」
 俺の竿に軽く手をかける。
「やだぁ! イヴァンので、気持ちよくなりたいッ、俺、待ってたのに……!」
 俺はイッた後、身体がすごく敏感になる。
 腕や足を触られるだけでも苦しくなるので、しばらくは休憩しなければならない。今日、せっかくイヴァンとセックスをするのならば、お互いに気持ちよく幸せを感じながら果てたいと思っていた。
 もし先にイかされてしまっては、最悪の場合寝てしまい、続きが出来なくなる可能性もある。
 とっさに出た言葉だったが、イヴァンの手を止めるには十分有効だったようだ。
 静止した手にホッとしたが、自分を見つめる目はギラギラとしており、俺は獲物の気分を味わった。
「あの、イ、イヴァン?」
「……そのまま力を抜いていろ」
 仰向けにされたまま、俺の足の間に座るイヴァンは、窄まりに自身を当てがうと手を添えながら腰を進めた。
 ズッと先端が俺の中に埋まっていく。
「ああッ、ん!」
 あまりの大きさに思わず声が出たが、根気よく解された入口は、思ったよりもすんなりとイヴァンを受け入れる。
「はぁ、ん、……ッ」
 半分まで入ったところで、目の前で額に筋を立てている男が、自分を見下ろし眉を寄せている。
「アサヒ、大丈夫か?」
 コクリと頷いた俺に、安心した様子でイヴァンが話しかけてきた。
「はぁ、アサヒの中が気持ち良すぎて……すぐに気をやりそうだ」
 眉間のシワを濃くすると、甘い息を吐く。快感に耐える表情は雄臭く、大人の色気を感じる。
 ゴク……と思わず喉が鳴った。
「全部入れるぞ」
「う、うん」
 ゆっくりとだが確実に進んでいくイヴァンのソレに、俺の中が広がっていくのが分かる。
「うぁ……ッふ、」
 しかし、ある程度埋まったところで動きが止まった。
「狭くてまだ入らないな。今日はここまでにしておこう」
「ッやだ、」
 思わず駄々をこねたような声を出してしまう。その反応に笑いながら、よしよしとなだめるようにキスをされた。
「これで終わりじゃないぞ。今からいっぱい動いて、たくさん気持ちよくなるんだからな」
 そう言うと、キスをするために屈んだ身体を再度起こし、少しだけ腰を引くとズッと再び中へ進むイヴァン。
「あっ、」
「ゆっくり動いて馴染ませるからな」
「ん、んう、……ゃあ、」
 その言葉通り、腰をゆっくりと揺するイヴァン。
 熱いモノが出入りする感覚に思わず声が漏れる。
 しばらくそれを繰り返していたイヴァンだったが、そろそろいいか、と呟いた。何のことか分からずにぼんやりした視界で恋人を見ていると、腰を大きく引いたイヴァンが大きなモノを中へグッと押し込んだ。
「や、ああッ……!」
 俺の口から嬌声が漏れる。
 さっきまでとは全く違う。中を犯すような動き。ズルッと太いモノが抜けていく感覚に鳥肌が立つ。
 そして入れる時には先端が俺のいいところを掠めていく。
 今日、風呂で知ったばかりの気持ちの良い場所を何度も擦られ、俺の先端はダラダラと涎を垂らしている。
「んっ、んっ、んぁ……ああ!」
 突かれる度に高い声が出る。恥ずかしさで手の甲を口元に持っていくが、掴まれてベッドに縫い止められた。
「声を出せ」
 その甘い命令に逆らうことができない。
 どんな動きをされても声が漏れてしまい、身体はイヴァンの熱い息にすら反応する。
「あ、あつ、熱いッ……、」
「ここも触ってやろうな」
 俺の竿に手を掛けるイヴァン。期待していたようにソレが震え、垂れた透明なぬめりが後ろの穴まで伝っていく感覚がした。
 ぬちゅ、ぬちゅ……
 ぬめりを含む水音と、突かれる度に上がる俺の声が部屋に響く。今は顔を見られて恥ずかしいとか、俺ばかりが喘いで悔しいなどの感情は既に無く、目の前の快感にすがりつくばかりだ。
「あ、あ、」
 口から漏れる声はイヴァンを喜ばせ、より動きが激しくなることが分かっているのに止められない。
「イヴァン…ッあ、こっち」
 額に汗をかきながら腰を揺らし続ける目の前の愛しい男に手を伸ばす。
 俺の行動に気づいて近づいてきたイヴァンの顔を両手で掴むと、その唇に口を寄せた。そのまま舌を一生懸命伸ばして、厚い舌をチロチロ舐める。
「…ッ」
 中に埋まっているモノがさらに大きく脈打ったのを感じると、イヴァンが口付けを激しくしていく。
 舌を吸われ、口の中で舌先を舐められると堪らなかった。
 快感でおかしくなりそうだと感じ、ぷは…とイヴァンの口から逃れると限界だと告げる。
「ん……出るッ!」
「俺もだ……ッ」
 イヴァンが覆い被さるような体勢で激しく腰を打ち付ける。気持ちの良い部分を突かれ、俺自身から何かがせり上がってくるのを感じた。
「あ、何か、くる……ッ、」
「アサヒ、出せ」
 その言葉に頭が快感でいっぱいになり、身体を震わせ精をビュクッと吐き出した。
「ああぁ、……!」
 イッた快感で後ろをギュッと締め上げてしまい、イヴァンの息が詰まったのが分かった。
「……ッ、」
 眉間のシワを深くしたイヴァンが中から自身を抜き、数回手で扱いて俺の腹に白濁を散らした。
「はぁ、アサヒ。凄く良かった」
 倒れ込むように隣に寝転ぶと、汗で張り付いた俺の前髪を払いながらイヴァンが目を細める。
「俺も」
 そう告げると嬉しそうに笑って頬に口付けてきた。

 それから濡れた布で身体を清め、お互いに向き合って寝転がる。
 イヴァンは俺の顔中にキスの雨を降らせながら「好きだ」と言い、俺は照れながらも同じ言葉を返した。

「アサヒ、起きれるか?」
 隣から自分を呼ぶ声がする。ん……と身動ぎし、目を薄く開く。視線の先には目を輝かせているイヴァン。
 起きてぼんやりした頭のまま話を聞くと、その内容は俺の夢遊病に関するものだった。
 いつもの俺は眠って少しすると、外に出ようとするらしく、イヴァンが抱きしめて止めているのだと言う。しかし昨晩はベッドから抜け出そうとすらしなかったようだ。
 毎晩、イヴァンが抱き留めてくれてたのか。
 新たな事実に驚きと申し訳なさを感じつつ、俺は夢遊病の新たな対策となる情報が聞けるとドキドキした。
「つまり毎晩セックスすればいい」
「え……?」
 名案とばかりに頷くイヴァンに無理だと告げる。
「愛し合えて、安心して眠れて、一石二鳥だな!」
 返ってきたのは眩しいほどの笑顔。
 毎晩って……俺、本当に死んじゃうよ。
 顔を引きつらせながら、別の案を提案するために起きたての頭をフル活動させた。
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