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第二章 白狼と秘密の練習

愛する行為*

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 二人でベッドに横たわる。
「おいで」
 ガイアスに言われて胸の中に潜り込む。ぎゅっと抱きしめられて幸せを感じていたミアだったが、少しして違和感を感じた。
 あれだけ解したのに、続きをしてくれそうな気配がないのだ。
「気持ち良かった。ミア、ありがとう」
 まるで今日の行為は終わりだと言いたげな雰囲気だ。
 それでも様子を見ていたミアだったが、電気を消そうと言って立ち上がりかけたガイアスに、我慢できずに尋ねた。
「ねぇ、セックスしないの?」
「今日は疲れただろう」
 そう言うガイアスだが、まだ下半身が臨戦態勢なのは分かっている。自分のためを思って言っているのだと気付き、ミアはムッとした表情で話す。
「俺、ガイアスと早く繋がりたいよ」
 ミアの言葉に黙るガイアスだったが、このまま寝かされては次いつ出来るか分からない。
「ガイアス、もしかして俺としたくないの?」
「違う」
 拗ねた声での問いに、ガイアスははっきりと答えた。
「本音を言うなら、今すぐにでもしたい。でも、ミアに痛い思いをしてほしくないんだ。俺だけが気持ち良くても意味がないだろ」
 自分の下半身に視線を向けたガイアスは、「もっと慣らさないと……」と溜息をつく。
 たしかに目の前のソレは大きい。全然怖くないと言ったら嘘になる。しかしミアは、それ以上にガイアスともっと深いとことで繋がりたいと思っていた。
「ミア」
 ガイアスが子供を宥めるようにミアの頬を撫でる。
(ガイアス、俺の為に我慢してるんだよね……)
 それを知ったミアの胸はきゅんと鳴り、ガイアスと愛し合いたいという思いがさらに強くなる。
「ガイアス」
 ミアがガイアスに唇を寄せる。ちゅっとリップ音を立てて口を啄み、何度も名前を呼んだ。
「俺、ガイアスが欲しいよ」
「……ミア」
「俺のこと愛してるって、身体でも伝えて」
 まだ芯の残るガイアスのモノを、手の平でそっと撫でた。
「……痛かったら、すぐに言うんだぞ」
「うん」
 ガイアスは熱の籠った目を向けながら、ミアの身体をうつ伏せにした。

 ぐちっ、ぐちゅ……
 ガイアスが中を広げる音が部屋に響く。
 ミアはうつ伏せで顔の下に置かれた枕をぎゅっと掴んでおり、後ろから丸見えになったミアの後ろをガイアスが丁寧に指で解していく。
 刺激するたびに局部を隠すかのように揺れる尻尾。ガイアスはそれを手で押さえ、片手で尻たぶを開く。ちゅっと音を鳴らしてミアの後ろの窄まりに口づけると、ミアの双丘が震えた。
「やぁ! 恥ずかしッ……」
「赤くて美味しそうだ」
 あまりの恥ずかしさに顔を熱くしているミア。ガイアスはきゅんと閉じる穴に舌を付けた。
 そこは固く閉じていたが、何度も舌を往復させると収縮して舌を迎え入れる。
「あん! やッ……」
「開いたり閉じたりしている」
 舐められたり舌を差し込まれたりと、未知の体験でミアの身体からぐったりと力が抜けたのを見て、ガイアスが後ろに重なるように膝を立てて密着する。
「あ……」
 ミアの尻には硬く熱い感触。ミアはそれがガイアスの興奮した証だとすぐに分かった。
「ゆっくり入れるからな」
「う、うん……」
 怖さ半分期待半分で声がうわずる。ガイアスはそのまま窄まりに擦りつけるように先端を行き来させる。穴がひくひくと動くのが自分でも分かり、ミアは誘っているようで恥ずかしくなった。
 ミアが何も考えないように努めていると、ガイアスの先端が中に入ってきた。ズズ……とゆっくり入っていくソレはかなりの質量で、思わず息を詰めてしまう。
「ミア、痛くないか?」
「……うん。ちょっと大きくて、びっくりしただけ」
(これがガイアスの……)
 ガイアスは腰をゆっくりと進めていく。
 硬い熱が埋まっていくのを中から感じ、ミアは不思議な気持ちになっていた。
 時折、背後から聞こえるガイアスの堪えるような息遣いに、ミアの下半身も徐々に反応する。
 ゆっくりとした挿入を受け入れていたミアだったが、ガイアスの動きが止まったことに気付き声を掛ける。
「ガイアス……入った、の?」
「ああ……はぁ、気持ちが、良すぎる」
 はぁ……と甘い息をつくガイアスの声に、ミアは何とも言えない胸の高鳴りを感じた。
「き、気持ちいいの? 挿れてるだけなのに?」
「ここに、ずっといたいくらいだ」
(どんな顔して言ってるんだろ……)
 気になって後ろを振り返ると、眉間に皺を寄せ、口を少し開けて息を漏らすガイアスの姿があった。
 手はミアの腰を強く掴み、強すぎる快感に耐えているようだ。汗が額から伝い筋肉質な胸にぽたっと落ちていく。
 その姿に、自分を組み敷いているガイアスの雄の部分を感じ、ミアは心臓がうるさく鳴った。思わず声が漏れる。
「ぁ……」
 目を瞑って快感に耐えていたガイアスが、ミアが見ていることに気付く。
「見るな。気持ち良すぎて、ミアの顔を見たらすぐにイきそうだ」
 眉間の皺を深くし、少し困ったように下げられた眉。
「ご、ごめんッ」
 ミアは、顔を真っ赤にして前を向いた。
(かっこ良すぎて、見てたら俺もすぐ出ちゃう……!)
 挿入したモノを馴染ませる間、ミアの腰にある模様を手でなぞったり、尻尾を撫でていたガイアスだが、中が緩んできたのが分かりミアの様子を窺う。
「少し動いてもいいか?」
 ミアが頷くのを確認し、ガイアスは密着している腰を前後に軽く揺すった。
「うぁ……ッ」
 ゆっくりと、痛い思いをさせないように腰を動かす。
 何度か繰り返されると、ミアの方がそのじれったい動きに我慢できなくなってきた。抜き差しの際に感じる部分がゆっくりと擦られ、何とも言えない快感がじんわりとやってくるのだ。
 しかし射精するまでに至る刺激ではなく、ミアは生殺しのような状態で気持ち良さに耐えていた。
「あ、あ、ガイアス、もう……出したい、」
「……ッ、もっと、早く動いていいか?」
「いいから……気持ちい、とこ、もっと突いてぇ」
 ミアが本能のまま発した言葉に息を飲んだガイアスは、さっきまでの動きが嘘のように腰を激しく揺すり始めた。
「あ、あ、あッ、あぁ……!」
「ミア、ミア……ッ」
 突かれる度にあがる嬌声。ガイアスはその声を聞いてさらに激しく腰を前後させる。
(今、触ったら絶対出る……)
 ミアはクッションを掴んでいた手を片方離し、自分の股の間にそろりと手を伸ばす。この気持ちよさの中で達したいという気持ちでいっぱいだった。
「や、ぁぁ…ガイアッ、」
 ミアが昂りに触れようとした瞬間、後ろから大きな手がソレを握りこんできた。尻尾がブワッと膨らみ立ち上がる。
 その手は、腰の動きに合わせてミアの熱を上下に激しく擦る。
「や、…気持ちぃ、気持ちぃぃ……っ」
 素直なミアの言葉に我慢ができなくなったガイアスは、腰を奥へグッと進めた。
「あ、ゃああ、もう、いくッ……!」
「ん……俺もだッ」
 上から押し込むような角度に変えると、ガイアスは中の気持ちいい所を激しく突く。
「ん……あああッ、ガイア、ス……ッ!」
 その快感に耐えきれなくなったミアは、喉をのけ反らせて果てた。
「ッう……」
 果てる時の締め付けで中がさらに狭くなり、その圧迫感でガイアスも限界を迎える。
 精子がせり上がってくる感覚がする。自分のモノをミアの中から抜いたガイアスは、目の前の背中へ精を飛ばした。
「……ミア、大丈夫、か?」
「うん」
 はぁ、はあ、と落ち着かない息のままガイアスが尋ねる。ミアはガイアスと繋がれた幸福感でいっぱいで、自然と頬が緩んだ。

「ミア、初めてなのに激しくしてしまってすまない」
 ガイアスとミアは軽く風呂へ入り身を清め、新しい寝間着に着替えると共に寝転がる。
 その間、ガイアスはミアの体調を気にして、ずっと胸に抱えていた。
「ううん。すっごく気持ち良かった」
 ミアの素直な返事に愛しさがこみ上げ、ガイアスは小さい身体を抱きしめてこめかみにキスをする。
「今日は後ろからしたが、次は向き合ってしよう」
「……え?」
「ミアの顔を見ながらしたい」
 ガイアスが説明を付け加えると、ミアは怪訝な顔をした。
「え、それって変態っぽい」
「いや、違うぞ! 人間は皆そう思う、はずだ」
 ガイアスは焦ったように弁解するが、ミアには確認する術がない。ミアの読んだ本では、バックでのやり方しか載っていないのだ。
 というのも、ミアの読み込んだ教材は『狼のセックス』について詳しく書かれた本である。そして、基本的な狼の行為はバックの体勢で行われる。
 ミアは本の内容をもう一度頭の中で思い起こし、ガイアスにアブノーマルな性癖があると認定したのだ。
「うーん。別に俺は、ガイアスが変態でも構わないけど」
「だから違うと言っているだろ」
 慌てるガイアスに笑いが込み上げてきたミアと、違うと言い張るガイアスの攻防が続き、二人はなかなか眠ることが出来なかった。
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