19 / 72
2巻
2-3
しおりを挟む
第三話 密売組織
「はっはっ、見ろよ! 二匹も出てきたぞ!」
「こんなんでいいのかよ。楽勝だな」
第十階層の、とある場所。
そこに、数人の男達がいた。
数は十名――全員が、それぞれのスタイルに準じた格好をした、探索者である。
そして共通点として――全員が、マスクを被って顔を隠していた。
「おい! まだそこらへんに出てきてないか?」
「いや、いないな。こんなところだろ。むしろ二匹もいたのに驚きだぜ」
男の前には、地面に突き立てられた、巨大な青白い水晶のようなものがある。
かなりの重量があるそれは、根元から切り落とされたアルテミスドラゴンの角だった。
「しかし、そのアルテミスドラゴンの角ってのは便利なアイテムだな。電流を流すと、特殊な電波を発して、モンスターの誘引効果が発生するなんてな」
「普通だったら小せぇサイズくらいしか流通してねぇのに、こんな馬鹿でかいサイズが手に入るなんてよぉ」
「おうよ」
二人の男の会話に、体からパリパリと電気を発している男が加わる。
「そこで、この俺様の出番ってわけだ。スタイル――《電気使い》の俺様が、このサイズのアルテミスドラゴンの角に電気を流せば、超強力な誘引効果が得られる。雑魚モンスターは逆に恐れて近付かず……そいつ等みたいな高レベルのモンスターだけ釣れるって寸法だ」
電気使いの男の視線の先――仲間の男達二人の腕の中には、拘束された二匹のフェンリルの子供がいた。
「クゥ……」
「キャゥン……」
まだ幼体で、体が小さいフェンリルが、特殊素材の金属の紐で雁字搦めにされている。
「後は捕縛用トラップに引っ掛かって、そのザマよ」
「すっげぇ! フェンリルだよ、フェンリル! ぜってぇ嘘だと思ってたぜ、あの噂!」
「超希少種のフェンリル、しかもまだ幼体だぜ!? なぁ、こいつ等売っ払ったらいくらになるよ!?」
「んなもん、億はくだらねぇよ」
少し離れた位置にある岩の上に腰掛け、タバコを吹かしている男が言う。
迷彩柄のバンダナに、迷彩柄のパンツ。
上半身はタンクトップで、筋骨隆々とした体付き。
顔は仮面で隠しており、両腕は無骨で巨大なガントレットを装備している。
「しかも二匹だ。奪ったものを裏ルートに流すだけでクソ程金が入ってくる。全く、ボロい商売だぜ」
「なぁなぁ! 報酬は山分けだろ?」
「あぁ? んなわけねぇだろ」
盛り上がる男達に対し、迷彩柄の服を着た男は言う。
「てめぇらは募集で集まったバイトだろうが。雇い主側の俺とそいつが九割もらうに決まってんだろ」
迷彩柄の男は、電気使いを顎でしゃくりながら言う。
「ハァ!? 何だよそれ!」
「こんな中層まで連れてこられて、割に合わねぇよ!」
「あ? 何だ、文句でもあんのか?」
迷彩柄の男が立ち上がる。
立つとわかるが、図体がかなりでかく、迫力がある。
「何なら、この場でお前ら以外の分け前の比率を増やしてやってもいいんだぞ?」
凄まれ、脅され、闇バイトの男達は視線を泳がせる。
「わ、悪かった……」
「なぁ、もうこれで用は済んだんだろ? なら、もう帰ろうぜ」
「ああ、そうだな」
迷彩柄の男が言うと、男達は撤収の作業に入る。
「おらっ! 大人しくしろ!」
「キャンッ! キャンッ!」
フェンリルの子供達は、男達に体を締め上げられながらも、必死に声を上げる。
「うるせぇな! 大人しくしねぇと――」
その時。
「ガァアアアアアアアアアアアアアアアア!」
「は?」
その場に駆け付けたフェンリルが、男達に襲い掛かった。
「おわぁぁぁぁああ!?」
「な、何だコイツ!?」
「でけぇ! まさか、こいつが噂の――」
風のように現れた巨大な白色の狼を見て、その場にいた男達は悲鳴を上げる。
「ガアアアアアアッ!」
驚嘆の最中、白色の狼――フェンリルの振るった前足が、子供のフェンリルを抱きかかえていた男達に命中した。
「ぐあっ!」
「でっ!」
吹き飛ぶ男達だが、腕の中の小さなフェンリル達は離さなかった。
「ひっ! ひっ! ……ほ、骨、折れて……」
「いや、大丈夫だ、クソ痛ぇけど……」
「グルゥゥゥゥ……」
フェンリルは忌々しそうに男達を睨む。
子供のフェンリル達を抱きかかえている事を考慮し、本気で殴れなかったためだ。
「キュゥン! キャン!」
「キャンッ! キャンッ!」
二匹の子供達は、現れたフェンリルに助けを求めるように悲鳴を上げる。
その声に応えるように、フェンリルは大地を踏みしめ牙を剥く――。
「ったく、何やってんだ」
その時だった。
フェンリルは、迷彩柄の服を着た男がすぐ間近に接近している事に気付いた。
怒りで我を忘れ、注意力が散漫になっていたのだ。
「シィッ!」
次の瞬間、ガントレットを纏った男の拳が、フェンリルの横っ腹を殴った。
「グゥッ!」
打ち込まれた拳の威力に、フェンリルは思わず喉を鳴らし、一旦距離を取る。
かなりのパンチ力だったが、耐えられない程ではない。
フェンリルは疾駆し、スピードで男達を翻弄しようとする。
「無駄だ、馬鹿」
が、その時だった。
――いつの間にかフェンリルの真横にいた迷彩柄の男が、再び拳をフェンリルに打ち込んでいた。
「!!!????」
まさか、自分のスピードに付いてきているのか?
フェンリルは驚愕する。
だが、真実は違う。
「残念だったな、俺のスタイルは《磁力拳士》――殴った対象にSかNの、磁力のエフェクトを付与する事ができる」
迷彩柄の男は言う。
先程殴られたフェンリルの胴体部分に、Sという青い文字が貼り付いていた。
「そして、磁力が付与されている限り――俺の拳はお前を自動で追跡する。お前がどれだけのスピードを持っていようが、関係なくな」
その言葉の通りだった。
すかさず地面を蹴って距離を取るフェンリル。
しかし次の瞬間には、まるでそのフェンリルに引き寄せられるように男が移動し――。
「オラァッ!」
抵抗する間も与えず、フェンリルの胴体に拳を打ち込む。
「ギャゥッ!」
思わず、フェンリルも悲鳴を上げて蹲る。
「オラ! オラ! オラ! オラ! オラ! オラ! どうした、こんなもんか超希少種!?」
二発、三発、四発、五発、六発、七発――男は、倒れたフェンリルに容赦なく拳を打ち込んでいく。
「カ……カフ……」
やがて、血の塊を吐き出し、フェンリルは地面に横たわった。
白色の体は、拳を叩き込まれた箇所が血に染まり、その下の皮膚が腫れ上がり、小刻みに痙攣している。
「おい! せっかくのフェンリルだぞ、殺すなよ!?」
「殺してねぇよ。ちょっと痛めつけただけだ」
電気使いの男が叫ぶと、磁力拳士の男は浮薄に笑う。
「んだよ、ビビらせやがって……」
「おい! 俺にも殴らせてくれよ! さっき一発食らった分だ!」
地面に横たわったフェンリルの周りに男達が集まってくる。
「しかし、やっぱ強ぇな、あいつ……元プロなんだっけ?」
「なんか不祥事やらかして懲戒食らったって聞いたけど、腐っても実力者だな」
男達は、磁力拳士を見ながらヒソヒソ話をする。
そう言う彼等は、電気使いと磁力拳士に雇われただけの闇バイトだ。
探索者の才能はあるもののダンジョンには興味がなかった人間で、手軽に金を手に入れようと磁力拳士達に協力しているのだ。
「ところでよう……こいつ、そのガキ共とどういう関係なんだ?」
そこで、タバコを吹かしながら磁力拳士が呟く。
「もしかして、そいつ等の親か?」
「まさか! モンスターがモンスターを産むわけねぇだろ! モンスターはダンジョンから生まれるんだからよぉ!」
磁力拳士の言葉に、電気使いが笑いながら反応する。
「いや……聞いた話だがよ、モンスターの中には時々イレギュラーっつぅ変わった個体が生まれる事があるそうだ」
磁力拳士は、眼下のフェンリルを見下ろしながら言う。
「もしそうならよぉ、こいつは超希少種のフェンリル、かつイレギュラーっつぅ事になる。相当貴重な存在だ。しかも、ガキを産む個体っつぅなら……」
そこで、磁力拳士が何を考えているのか察したのだろう。
電気使いも下卑た笑みを浮かべる。
「手に入るのは、この二匹どころじゃねぇ……おいおい、いくらでも金を生み出せるかもしれねぇな、こいつ」
「おい、クソ狼」
磁力拳士がしゃがみ、フェンリルの頭を掴む。
「そっちのガキ共を殺されたくなかったら、大人しく言う事聞け」
「ク、クゥ……」
フェンリルは、弱々しく子供達を見る。
「キャン! キャン!」
「キャウゥ……」
怯える子供達の姿を見て、憎々しげに目を瞑る。
「よし、お前等、こいつも持ち帰るぞ。おい、《アイテムボックス》寄越せ」
「待てよ、まずはこいつをしまわねぇと……」
電気使いが、アルテミスドラゴンの角を、地面に置いた皮の鞄に突っ込もうとしている。
「そんな馬鹿でかい角、どこで手に入れたんだ?」
そこで、一人の闇バイトが電気使いに尋ねた。
「ああ? ああ、この前新東京ダンジョンから運び出されてたからよう、それを横からかすめ取ってや――」
「なるほ――!?」
――気付くと、男達の後方に一人の男が立っていた。
――軽装の防具を身に纏い、両腰に一対のダガーを装備した男だった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
現場へと追い付いた俺は、その場の状況を見て――全てを理解した。
まずはフェンリル。
やはり、あのフェンリルは子供を護っていた。
本来下層にいるべきフェンリルが、中層の比較的安全なエリアに上がってきていたのは、即ち、下層の危険から護りたいものがあったからだ。
地面に横たわった、痛々しい姿のフェンリル。
拘束されている小さなフェンリル達を見て、その子達を救うために怒り狂い、しかし平常心を失って足を掬われてしまった……というところか。
そして、そのフェンリルの周囲に立つ男達。
こいつ等の正体が何なのかは……一番奥の男の傍、地面に突き立てられたアルテミスドラゴンの角を見れば、一目瞭然だ。
『犯人の目星はついとる。ここ最近、この業界で暗躍しとる密売組織や』
俺の脳裏に、葉風さんとの会話が蘇る。
「ちっ……通りすがりの探索者かよ」
一番手前でしゃがみ込んでいた、迷彩柄の服を着た男が立ち上がって俺に近付いてくる。
眼前に立った男は俺よりも一回り、いや二回りもでかい図体をしていた。
「おい、何見てんだ。消えろ」
〈あ、やっと追い付いたみたい〉
〈フェンリルも影狼も速過ぎるんだよぉ〉
〈あれ、でも……あれ? なんか、画面暗くない?〉
〈これ、影狼の背中だろ〉
追い付いてきたドローンカメラを、俺は静かに自身の背後へと隠すように操作する。
これで、男達にはカメラの存在はわからない。
映像には映っていないが、マイクは会話を拾っているはずだ。
「こんなところで何をしている。その狼は……お前達が重傷を負わせたのか?」
俺は、何もわかっていない通行人のように問い掛ける。
「消えろつってんだろ、聞こえねぇのか?」
迷彩柄の服を着た男は苛立ち混じりの声を発する。
〈んん? 何何? 何が起こってんの?〉
〈なんか、別の男の声が聞こえない?〉
〈誰かいるのか?〉
〈なんかこれ、あれだな……あれっぽくね?〉
〈ああ、わかる、「ぼったくりバーに潜入してみた」みたいな配信の感じだ〉
〈隠し撮りだから、会話だけ聞こえてくる感じのな〉
〈っていうか、今、狼が重傷負ってるとか言わなかった?〉
「その狼……フェンリルじゃないのか? そっちの小さなフェンリルは捕まえたのか? まさか、ダンジョンの外に持ち出して密売するつもりじゃないだろうな?」
「……おい、お前、何のつもりだ?」
〈は? 密売? モンスターの?〉
〈小さなフェンリルって……幼体って事?〉
〈ああ、あのフェンリルは親だったのか?〉
〈いやいや、モンスターはダンジョンから生まれるんだから子供を産むわけ……〉
〈いやそれどころじゃないだろ! モンスターを外の世界に持ち出して売るとか言ってるぞ!?〉
〈かんっぜんにアウトだろ! アイテムや素材と違って、確かモンスターは国際条約で……〉
「おい、何だよそいつ。なんか気味が悪ぃよ……もうずらかろうぜ」
「いや、もういい。コイツはこの場で殺す」
奥の方でパリパリと電気を発していた男は撤収する事を提案するが、迷彩柄の男は殺気だって俺を睨みつける。
そして、ガントレットを嵌めた拳を持ち上げる。
一方、俺は電気男の方に目線を向ける。
「最後の質問だ。そのアルテミスドラゴンの角は、どこで手に入れた?」
〈アルテミスドラゴンの角……?〉
〈アレって確か、影狼が新東京ダンジョンの中層に……〉
〈でも、あの後、確か回収してなかったような……〉
〈確か、アルテミスドラゴンの角って電気を流すと、特殊な電波を発してモンスターの誘引効果が発生するんだよな?〉
〈……あ〉
〈あ〉
〈あ〉
〈あ〉
〈あ、ふーん(察し)〉
〈点と点が繋がって線になりましたね〉
〈まさか、こいつ等……〉
「……あ」
そこまで来てやっと、電気男は俺を見て何かに気付いたのかもしれない。
「あ、おい、そいつ……」
慌てて言葉を発しようとした。
しかし、それよりも早く――
「無視してんじゃねぇぞ、コラァ!」
迷彩男の方が、俺の襟首を掴み上げた。
「調子に乗って首突っ込んできたテメェの責任だ。大人しく何も見てないふりしておけば良かったって、あの世で後悔しても遅ぇぞ」
「…………」
〈ちょっと待って、この流れ……〉
〈なんかとんでもない展開になってない!?〉
〈そうだ! ダンジョンのアイテムや武器を強奪して売り捌く密売グループが増えてるって、タイマが注意喚起してたっけ!〉
〈こいつ等、影狼のアルテミスドラゴンの角を盗んで、密猟目的でフェンリルを誘き出して、しかも捕獲しようとして重傷負わせたって事!?〉
〈ドクズかよ!〉
〈いや、というか、影狼、喧嘩売られてない?〉
〈逆ギレじゃん〉
「良い事教えてやるよ。今、お前の体にS、俺の拳にNのエフェクトを付与した」
迷彩柄の男が、俺の襟首を掴み上げながら言う。
発言から察するに……コイツのスタイルは磁力に関連するタイプらしい。
「もう終わりだ。お前が急いで逃げようが、俺の拳はお前の体に吸い寄せられて命中する。お前が挽肉になるまで、百発はぶち込んでやるよ」
「…………」
丁寧な説明セリフだ。
よっぽど、相手をビビらせたいらしい。
俺は、溜息を吐く。
その、何も感じていないような反応が気に食わなかったのか。
「死ねェッ!」
迷彩男は、俺を突き飛ばすと、渾身の力を込めた右ストレートを俺に打ち込む――。
――瞬間、男の右手のガントレットが粉々に砕け散った。
「―――は」
バラバラの鉄屑になって舞い散るガントレット。
その下の拳の……五本の指も根元から切断され、ボトボトと地面に落ちた。
「あ、ああああああああああああ!?」
「……百発か」
驚愕し雄叫びを上げる男の前で、沙霧を振り抜いた状態の俺は言う。
「人を一人仕留めるのに、何故そんなに手数が掛かる」
「な、何者だ、てめぇえええ!?」
すかさず、左の拳を放ってくる男に――俺は沙霧を振るう。
迷彩男の首が、宙に舞った。
「お前等にアイテムを奪われた被害者だ」
俺は沙霧についている【峰打ち】というスキルを発動していた。
このスキルは、相手が探索者の場合、絶命に至るダメージを与えても死なないというもの。
ただ、相手は死亡する代わりにステータスが初期状態に戻ってしまうが……。
爆煙が発生し、【峰打ち】の効果により気絶状態となった迷彩男が地面に転がる。
仮面が外れ、その下の素顔が露わとなった。
俺は、背後に隠していたドローンを自動操縦に戻すと、残った九人の男達に沙霧の切っ先を向けた。
「並べ、全員打ち首だ」
〈影狼ぶち切れてますやん〉
〈まぁ……ね?〉
〈まさか、リアル窃盗団の現行犯逮捕配信が始まるとはww〉
〈いけえええええええええ! ぶちのめしてやれ影狼!〉
〈犯罪者共をとっ捕まえちまえ!〉
〈今来たところなのだけど、何やらとんでもない事になっていないか? あの男達は何をしでかしたんだい?〉
〈彼等は影狼のアルテミスドラゴンの角を盗み、犬(フェンリル)をいじめました〉
〈ワオ、自殺志願者かな?〉
〈某海外映画の伝説の殺し屋かよ〉
「はっはっ、見ろよ! 二匹も出てきたぞ!」
「こんなんでいいのかよ。楽勝だな」
第十階層の、とある場所。
そこに、数人の男達がいた。
数は十名――全員が、それぞれのスタイルに準じた格好をした、探索者である。
そして共通点として――全員が、マスクを被って顔を隠していた。
「おい! まだそこらへんに出てきてないか?」
「いや、いないな。こんなところだろ。むしろ二匹もいたのに驚きだぜ」
男の前には、地面に突き立てられた、巨大な青白い水晶のようなものがある。
かなりの重量があるそれは、根元から切り落とされたアルテミスドラゴンの角だった。
「しかし、そのアルテミスドラゴンの角ってのは便利なアイテムだな。電流を流すと、特殊な電波を発して、モンスターの誘引効果が発生するなんてな」
「普通だったら小せぇサイズくらいしか流通してねぇのに、こんな馬鹿でかいサイズが手に入るなんてよぉ」
「おうよ」
二人の男の会話に、体からパリパリと電気を発している男が加わる。
「そこで、この俺様の出番ってわけだ。スタイル――《電気使い》の俺様が、このサイズのアルテミスドラゴンの角に電気を流せば、超強力な誘引効果が得られる。雑魚モンスターは逆に恐れて近付かず……そいつ等みたいな高レベルのモンスターだけ釣れるって寸法だ」
電気使いの男の視線の先――仲間の男達二人の腕の中には、拘束された二匹のフェンリルの子供がいた。
「クゥ……」
「キャゥン……」
まだ幼体で、体が小さいフェンリルが、特殊素材の金属の紐で雁字搦めにされている。
「後は捕縛用トラップに引っ掛かって、そのザマよ」
「すっげぇ! フェンリルだよ、フェンリル! ぜってぇ嘘だと思ってたぜ、あの噂!」
「超希少種のフェンリル、しかもまだ幼体だぜ!? なぁ、こいつ等売っ払ったらいくらになるよ!?」
「んなもん、億はくだらねぇよ」
少し離れた位置にある岩の上に腰掛け、タバコを吹かしている男が言う。
迷彩柄のバンダナに、迷彩柄のパンツ。
上半身はタンクトップで、筋骨隆々とした体付き。
顔は仮面で隠しており、両腕は無骨で巨大なガントレットを装備している。
「しかも二匹だ。奪ったものを裏ルートに流すだけでクソ程金が入ってくる。全く、ボロい商売だぜ」
「なぁなぁ! 報酬は山分けだろ?」
「あぁ? んなわけねぇだろ」
盛り上がる男達に対し、迷彩柄の服を着た男は言う。
「てめぇらは募集で集まったバイトだろうが。雇い主側の俺とそいつが九割もらうに決まってんだろ」
迷彩柄の男は、電気使いを顎でしゃくりながら言う。
「ハァ!? 何だよそれ!」
「こんな中層まで連れてこられて、割に合わねぇよ!」
「あ? 何だ、文句でもあんのか?」
迷彩柄の男が立ち上がる。
立つとわかるが、図体がかなりでかく、迫力がある。
「何なら、この場でお前ら以外の分け前の比率を増やしてやってもいいんだぞ?」
凄まれ、脅され、闇バイトの男達は視線を泳がせる。
「わ、悪かった……」
「なぁ、もうこれで用は済んだんだろ? なら、もう帰ろうぜ」
「ああ、そうだな」
迷彩柄の男が言うと、男達は撤収の作業に入る。
「おらっ! 大人しくしろ!」
「キャンッ! キャンッ!」
フェンリルの子供達は、男達に体を締め上げられながらも、必死に声を上げる。
「うるせぇな! 大人しくしねぇと――」
その時。
「ガァアアアアアアアアアアアアアアアア!」
「は?」
その場に駆け付けたフェンリルが、男達に襲い掛かった。
「おわぁぁぁぁああ!?」
「な、何だコイツ!?」
「でけぇ! まさか、こいつが噂の――」
風のように現れた巨大な白色の狼を見て、その場にいた男達は悲鳴を上げる。
「ガアアアアアアッ!」
驚嘆の最中、白色の狼――フェンリルの振るった前足が、子供のフェンリルを抱きかかえていた男達に命中した。
「ぐあっ!」
「でっ!」
吹き飛ぶ男達だが、腕の中の小さなフェンリル達は離さなかった。
「ひっ! ひっ! ……ほ、骨、折れて……」
「いや、大丈夫だ、クソ痛ぇけど……」
「グルゥゥゥゥ……」
フェンリルは忌々しそうに男達を睨む。
子供のフェンリル達を抱きかかえている事を考慮し、本気で殴れなかったためだ。
「キュゥン! キャン!」
「キャンッ! キャンッ!」
二匹の子供達は、現れたフェンリルに助けを求めるように悲鳴を上げる。
その声に応えるように、フェンリルは大地を踏みしめ牙を剥く――。
「ったく、何やってんだ」
その時だった。
フェンリルは、迷彩柄の服を着た男がすぐ間近に接近している事に気付いた。
怒りで我を忘れ、注意力が散漫になっていたのだ。
「シィッ!」
次の瞬間、ガントレットを纏った男の拳が、フェンリルの横っ腹を殴った。
「グゥッ!」
打ち込まれた拳の威力に、フェンリルは思わず喉を鳴らし、一旦距離を取る。
かなりのパンチ力だったが、耐えられない程ではない。
フェンリルは疾駆し、スピードで男達を翻弄しようとする。
「無駄だ、馬鹿」
が、その時だった。
――いつの間にかフェンリルの真横にいた迷彩柄の男が、再び拳をフェンリルに打ち込んでいた。
「!!!????」
まさか、自分のスピードに付いてきているのか?
フェンリルは驚愕する。
だが、真実は違う。
「残念だったな、俺のスタイルは《磁力拳士》――殴った対象にSかNの、磁力のエフェクトを付与する事ができる」
迷彩柄の男は言う。
先程殴られたフェンリルの胴体部分に、Sという青い文字が貼り付いていた。
「そして、磁力が付与されている限り――俺の拳はお前を自動で追跡する。お前がどれだけのスピードを持っていようが、関係なくな」
その言葉の通りだった。
すかさず地面を蹴って距離を取るフェンリル。
しかし次の瞬間には、まるでそのフェンリルに引き寄せられるように男が移動し――。
「オラァッ!」
抵抗する間も与えず、フェンリルの胴体に拳を打ち込む。
「ギャゥッ!」
思わず、フェンリルも悲鳴を上げて蹲る。
「オラ! オラ! オラ! オラ! オラ! オラ! どうした、こんなもんか超希少種!?」
二発、三発、四発、五発、六発、七発――男は、倒れたフェンリルに容赦なく拳を打ち込んでいく。
「カ……カフ……」
やがて、血の塊を吐き出し、フェンリルは地面に横たわった。
白色の体は、拳を叩き込まれた箇所が血に染まり、その下の皮膚が腫れ上がり、小刻みに痙攣している。
「おい! せっかくのフェンリルだぞ、殺すなよ!?」
「殺してねぇよ。ちょっと痛めつけただけだ」
電気使いの男が叫ぶと、磁力拳士の男は浮薄に笑う。
「んだよ、ビビらせやがって……」
「おい! 俺にも殴らせてくれよ! さっき一発食らった分だ!」
地面に横たわったフェンリルの周りに男達が集まってくる。
「しかし、やっぱ強ぇな、あいつ……元プロなんだっけ?」
「なんか不祥事やらかして懲戒食らったって聞いたけど、腐っても実力者だな」
男達は、磁力拳士を見ながらヒソヒソ話をする。
そう言う彼等は、電気使いと磁力拳士に雇われただけの闇バイトだ。
探索者の才能はあるもののダンジョンには興味がなかった人間で、手軽に金を手に入れようと磁力拳士達に協力しているのだ。
「ところでよう……こいつ、そのガキ共とどういう関係なんだ?」
そこで、タバコを吹かしながら磁力拳士が呟く。
「もしかして、そいつ等の親か?」
「まさか! モンスターがモンスターを産むわけねぇだろ! モンスターはダンジョンから生まれるんだからよぉ!」
磁力拳士の言葉に、電気使いが笑いながら反応する。
「いや……聞いた話だがよ、モンスターの中には時々イレギュラーっつぅ変わった個体が生まれる事があるそうだ」
磁力拳士は、眼下のフェンリルを見下ろしながら言う。
「もしそうならよぉ、こいつは超希少種のフェンリル、かつイレギュラーっつぅ事になる。相当貴重な存在だ。しかも、ガキを産む個体っつぅなら……」
そこで、磁力拳士が何を考えているのか察したのだろう。
電気使いも下卑た笑みを浮かべる。
「手に入るのは、この二匹どころじゃねぇ……おいおい、いくらでも金を生み出せるかもしれねぇな、こいつ」
「おい、クソ狼」
磁力拳士がしゃがみ、フェンリルの頭を掴む。
「そっちのガキ共を殺されたくなかったら、大人しく言う事聞け」
「ク、クゥ……」
フェンリルは、弱々しく子供達を見る。
「キャン! キャン!」
「キャウゥ……」
怯える子供達の姿を見て、憎々しげに目を瞑る。
「よし、お前等、こいつも持ち帰るぞ。おい、《アイテムボックス》寄越せ」
「待てよ、まずはこいつをしまわねぇと……」
電気使いが、アルテミスドラゴンの角を、地面に置いた皮の鞄に突っ込もうとしている。
「そんな馬鹿でかい角、どこで手に入れたんだ?」
そこで、一人の闇バイトが電気使いに尋ねた。
「ああ? ああ、この前新東京ダンジョンから運び出されてたからよう、それを横からかすめ取ってや――」
「なるほ――!?」
――気付くと、男達の後方に一人の男が立っていた。
――軽装の防具を身に纏い、両腰に一対のダガーを装備した男だった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
現場へと追い付いた俺は、その場の状況を見て――全てを理解した。
まずはフェンリル。
やはり、あのフェンリルは子供を護っていた。
本来下層にいるべきフェンリルが、中層の比較的安全なエリアに上がってきていたのは、即ち、下層の危険から護りたいものがあったからだ。
地面に横たわった、痛々しい姿のフェンリル。
拘束されている小さなフェンリル達を見て、その子達を救うために怒り狂い、しかし平常心を失って足を掬われてしまった……というところか。
そして、そのフェンリルの周囲に立つ男達。
こいつ等の正体が何なのかは……一番奥の男の傍、地面に突き立てられたアルテミスドラゴンの角を見れば、一目瞭然だ。
『犯人の目星はついとる。ここ最近、この業界で暗躍しとる密売組織や』
俺の脳裏に、葉風さんとの会話が蘇る。
「ちっ……通りすがりの探索者かよ」
一番手前でしゃがみ込んでいた、迷彩柄の服を着た男が立ち上がって俺に近付いてくる。
眼前に立った男は俺よりも一回り、いや二回りもでかい図体をしていた。
「おい、何見てんだ。消えろ」
〈あ、やっと追い付いたみたい〉
〈フェンリルも影狼も速過ぎるんだよぉ〉
〈あれ、でも……あれ? なんか、画面暗くない?〉
〈これ、影狼の背中だろ〉
追い付いてきたドローンカメラを、俺は静かに自身の背後へと隠すように操作する。
これで、男達にはカメラの存在はわからない。
映像には映っていないが、マイクは会話を拾っているはずだ。
「こんなところで何をしている。その狼は……お前達が重傷を負わせたのか?」
俺は、何もわかっていない通行人のように問い掛ける。
「消えろつってんだろ、聞こえねぇのか?」
迷彩柄の服を着た男は苛立ち混じりの声を発する。
〈んん? 何何? 何が起こってんの?〉
〈なんか、別の男の声が聞こえない?〉
〈誰かいるのか?〉
〈なんかこれ、あれだな……あれっぽくね?〉
〈ああ、わかる、「ぼったくりバーに潜入してみた」みたいな配信の感じだ〉
〈隠し撮りだから、会話だけ聞こえてくる感じのな〉
〈っていうか、今、狼が重傷負ってるとか言わなかった?〉
「その狼……フェンリルじゃないのか? そっちの小さなフェンリルは捕まえたのか? まさか、ダンジョンの外に持ち出して密売するつもりじゃないだろうな?」
「……おい、お前、何のつもりだ?」
〈は? 密売? モンスターの?〉
〈小さなフェンリルって……幼体って事?〉
〈ああ、あのフェンリルは親だったのか?〉
〈いやいや、モンスターはダンジョンから生まれるんだから子供を産むわけ……〉
〈いやそれどころじゃないだろ! モンスターを外の世界に持ち出して売るとか言ってるぞ!?〉
〈かんっぜんにアウトだろ! アイテムや素材と違って、確かモンスターは国際条約で……〉
「おい、何だよそいつ。なんか気味が悪ぃよ……もうずらかろうぜ」
「いや、もういい。コイツはこの場で殺す」
奥の方でパリパリと電気を発していた男は撤収する事を提案するが、迷彩柄の男は殺気だって俺を睨みつける。
そして、ガントレットを嵌めた拳を持ち上げる。
一方、俺は電気男の方に目線を向ける。
「最後の質問だ。そのアルテミスドラゴンの角は、どこで手に入れた?」
〈アルテミスドラゴンの角……?〉
〈アレって確か、影狼が新東京ダンジョンの中層に……〉
〈でも、あの後、確か回収してなかったような……〉
〈確か、アルテミスドラゴンの角って電気を流すと、特殊な電波を発してモンスターの誘引効果が発生するんだよな?〉
〈……あ〉
〈あ〉
〈あ〉
〈あ〉
〈あ、ふーん(察し)〉
〈点と点が繋がって線になりましたね〉
〈まさか、こいつ等……〉
「……あ」
そこまで来てやっと、電気男は俺を見て何かに気付いたのかもしれない。
「あ、おい、そいつ……」
慌てて言葉を発しようとした。
しかし、それよりも早く――
「無視してんじゃねぇぞ、コラァ!」
迷彩男の方が、俺の襟首を掴み上げた。
「調子に乗って首突っ込んできたテメェの責任だ。大人しく何も見てないふりしておけば良かったって、あの世で後悔しても遅ぇぞ」
「…………」
〈ちょっと待って、この流れ……〉
〈なんかとんでもない展開になってない!?〉
〈そうだ! ダンジョンのアイテムや武器を強奪して売り捌く密売グループが増えてるって、タイマが注意喚起してたっけ!〉
〈こいつ等、影狼のアルテミスドラゴンの角を盗んで、密猟目的でフェンリルを誘き出して、しかも捕獲しようとして重傷負わせたって事!?〉
〈ドクズかよ!〉
〈いや、というか、影狼、喧嘩売られてない?〉
〈逆ギレじゃん〉
「良い事教えてやるよ。今、お前の体にS、俺の拳にNのエフェクトを付与した」
迷彩柄の男が、俺の襟首を掴み上げながら言う。
発言から察するに……コイツのスタイルは磁力に関連するタイプらしい。
「もう終わりだ。お前が急いで逃げようが、俺の拳はお前の体に吸い寄せられて命中する。お前が挽肉になるまで、百発はぶち込んでやるよ」
「…………」
丁寧な説明セリフだ。
よっぽど、相手をビビらせたいらしい。
俺は、溜息を吐く。
その、何も感じていないような反応が気に食わなかったのか。
「死ねェッ!」
迷彩男は、俺を突き飛ばすと、渾身の力を込めた右ストレートを俺に打ち込む――。
――瞬間、男の右手のガントレットが粉々に砕け散った。
「―――は」
バラバラの鉄屑になって舞い散るガントレット。
その下の拳の……五本の指も根元から切断され、ボトボトと地面に落ちた。
「あ、ああああああああああああ!?」
「……百発か」
驚愕し雄叫びを上げる男の前で、沙霧を振り抜いた状態の俺は言う。
「人を一人仕留めるのに、何故そんなに手数が掛かる」
「な、何者だ、てめぇえええ!?」
すかさず、左の拳を放ってくる男に――俺は沙霧を振るう。
迷彩男の首が、宙に舞った。
「お前等にアイテムを奪われた被害者だ」
俺は沙霧についている【峰打ち】というスキルを発動していた。
このスキルは、相手が探索者の場合、絶命に至るダメージを与えても死なないというもの。
ただ、相手は死亡する代わりにステータスが初期状態に戻ってしまうが……。
爆煙が発生し、【峰打ち】の効果により気絶状態となった迷彩男が地面に転がる。
仮面が外れ、その下の素顔が露わとなった。
俺は、背後に隠していたドローンを自動操縦に戻すと、残った九人の男達に沙霧の切っ先を向けた。
「並べ、全員打ち首だ」
〈影狼ぶち切れてますやん〉
〈まぁ……ね?〉
〈まさか、リアル窃盗団の現行犯逮捕配信が始まるとはww〉
〈いけえええええええええ! ぶちのめしてやれ影狼!〉
〈犯罪者共をとっ捕まえちまえ!〉
〈今来たところなのだけど、何やらとんでもない事になっていないか? あの男達は何をしでかしたんだい?〉
〈彼等は影狼のアルテミスドラゴンの角を盗み、犬(フェンリル)をいじめました〉
〈ワオ、自殺志願者かな?〉
〈某海外映画の伝説の殺し屋かよ〉
11
お気に入りに追加
3,168
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~
ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。
玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。
「きゅう、痩せたか?それに元気もない」
ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。
だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。
「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」
この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
最強のコミュ障探索者、Sランクモンスターから美少女配信者を助けてバズりたおす~でも人前で喋るとか無理なのでコラボ配信は断固お断りします!~
尾藤みそぎ
ファンタジー
陰キャのコミュ障女子高生、灰戸亜紀は人見知りが過ぎるあまりソロでのダンジョン探索をライフワークにしている変わり者。そんな彼女は、ダンジョンの出現に呼応して「プライムアビリティ」に覚醒した希少な特級探索者の1人でもあった。
ある日、亜紀はダンジョンの中層に突如現れたSランクモンスターのサラマンドラに襲われている探索者と遭遇する。
亜紀は人助けと思って、サラマンドラを一撃で撃破し探索者を救出。
ところが、襲われていたのは探索者兼インフルエンサーとして知られる水無瀬しずくで。しかも、救出の様子はすべて生配信されてしまっていた!?
そして配信された動画がバズりまくる中、偶然にも同じ学校の生徒だった水無瀬しずくがお礼に現れたことで、亜紀は瞬く間に身バレしてしまう。
さらには、ダンジョン管理局に目をつけられて依頼が舞い込んだり、水無瀬しずくからコラボ配信を持ちかけられたり。
コミュ障を極めてひっそりと生活していた亜紀の日常はガラリと様相を変えて行く!
はたして表舞台に立たされてしまった亜紀は安らぎのぼっちライフを守り抜くことができるのか!?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
八百長試合を引き受けていたが、もう必要ないと言われたので圧勝させてもらいます
海夏世もみじ
ファンタジー
月一に開催されるリーヴェ王国最強決定大会。そこに毎回登場するアッシュという少年は、金をもらう代わりに対戦相手にわざと負けるという、いわゆる「八百長試合」をしていた。
だが次の大会が目前となったある日、もうお前は必要ないと言われてしまう。八百長が必要ないなら本気を出してもいい。
彼は手加減をやめ、“本当の力”を解放する。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。