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1巻
1-3
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◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「ちくしょうっ! もうこんな会社辞めてやる!」
その夜。
またしても仕事が終わらないまま退社の時間を迎えた俺は、帰り道で早くも今年通算六回目となる退職宣言を口にしていた。
結局、例の企画書を手直ししている時間はないし。
明日の朝一で提出という事なので、今夜中に仕上げないといけない。
わかっていた事だが、二晩連続サービス残業決定である。
「……はぁ。なんだか、気分が落ち込むなぁ」
まぁ、へこたれていても明日は来るので、やるしかないのだが。
そこで、俺はふと足を止める。昨日と同じ、新東京ダンジョンの前を通り掛かったからだ。
「……」
昨夜の記憶を想起する。
久しぶりに、昔に戻ったみたいで楽しかったな……。
「……よし、今日も潜っていくか」
昨日も、何やかんやでダンジョンで遊んだ後、企画書を完成させる事ができた。気分転換の方法としては成功だったという事だ。
俺は首元のネクタイを緩めると、意気揚々とダンジョンの入り口へ向かう。
「……んん?」
しかし、そこで昨日とは違う異変に気付く。人がむちゃくちゃ多い気がするのだ。
ここはまだ入り口前だが、見渡す限りに何十という人間がいる。
第一階層に下りてみると、またとんでもない数の探索者がいた。
誰も彼もが何やら盛り上がり、撮影用ドローンやタブレットを持っている。
皆、動画撮影中か?
「何だ? 何か、イベントでもあるのか?」
よくわからないが……仕方がない。
あまり人が多いと、ちょっと気後れしてしまう。俺は、別のダンジョンにしようかと考える。
しかし、明日も朝から出勤だ。
あまり遠出できる時間でもない。
「秋葉原ダンジョン……新橋ダンジョン……んー……」
試しにスマホで周辺のダンジョンを探してみるが、ちょうど良さそうな場所などない。
「……はぁ、しょうがないな」
せっかく、こっちはテンションが上がっているのだ。ここで我慢したくない。
ちょっと人の少ない経路を選びながら行くか。
というわけで、人混みを避けて、俺は物陰で探索者の姿に換装。
両手に得物を握り、口元を覆うスカーフを締め直す。
「よし、今夜もひとっ走り行きますか」
そして、早速俺はダンジョン探索を開始した。
――この後、とんでもない事件に巻き込まれるとも知らず。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「……あれは、ブラックスライムか」
前方で、真っ黒な楕円形の軟体生物がプヨプヨと揺れながら群れを作っている。
ブラックスライムというモンスターだ。
サイズも小さいしそこまで強そうには見えないが、見た目に騙されるなかれ。
油断して近付くと、一気に体を三~四倍に膨張させ、全身で獲物を包み込む。
呑み込まれたら最後、ゆっくり消化されてオシマイ――という、おそろしいモンスターである。
まぁ――。
「防御力は大した事ないから、素早く武器を振るえば瞬殺できるんだけどな」
呟きながら、俺はブラックスライムの群れの中を風のように通り抜ける。
「?」
『今何か通った?』というような愚鈍な反応をするブラックスライム達は、直後、細切れになった。
「……ふぅ」
だいぶ、体が昔の感覚に近付いてきた……と思う。
今し方のブラックスライム達は、すれ違いざまに斬撃を数十回打ち込んで倒した。
昨日は、攻撃を的確に叩き込めずモンスターを取り逃がす事もあったので、まずまず調子を取り戻してきたと言えるだろう。
「さてと……」
ブラックスライムの破片が飛び散った場所に戻ると、幾つかアイテムがドロップしていた。
手の平に収まるくらいの、黒いぶよぶよとした塊――〔黒油〕というアイテムだ。
そこそこ珍しいし、使い方次第では重宝するものなので拾っておく。
「……で、俺は今どこにいるんだ?」
ここまで何も考えず、ただストレス解消のため駆け抜けてきた俺は、現在地を確認する。
下って下って……ここは、そう、確か第五階層だ。
昨日は、結局第六階層……あのタイラントが出現した所までしか行けなかったので、今日はもうちょっと先まで挑戦してみようかな――と、考えていた時だった。
ポケットの中でスマホが鳴った。
「ん? 誰だ、こんな時間に……」
もうすっかり夜中だ。
こんな時間に電話を掛けてくるなんて、悪戯か? ……と思いながら、スマホを取り出す。
「……うわ」
表示されていたのは鬼島課長の名前だった。
思わず吐き気を催す。
課長から掛かってくる電話なんて百パーセント碌なものではない。おそらく、仕事絡みの話だ。
俺は慌てて電話に出ようとする――が、そこで思い出す。
まずい。今はダンジョンの中だ。
こんな場所で悠長に電話なんてしていたら隙だらけになる。モンスターに襲われるかもしれない。
何より、もしもダンジョンに潜っているなんて事が鬼島課長にバレたら、それをネタに何を言われるかわからない。
「そんな所で遊んでるからお前はいつまで経ってもダメなんだよ!」とか、簡単に想像が付く。
一旦、安全な場所まで移動しなければ。
俺はすぐさま、今来た道を逆に走り出す。
その間も、スマホの着信音は止まらない。切れたと思ったらまた掛かってくる。
画面には不在着信の表示が溜まっていく。
まずいまずいまずい、まずいぞ、このパターンは! 電話に出ないから、怒りのボルテージが上がっていってるんだ!
「キシャアアア!」
「邪魔するなぁッ!」
焦る俺の前方に、モンスター達が現れる。
ああ、もう! 今それどころじゃないんだよ!
俺は斬る。とにもかくにも斬る。
出現したモンスターの種類とか習性とかを細かく考えている余裕はないので、全て微塵切りにしながら駆け抜ける。
「グオオオ!」
「ブラァアアア!」
「GAAAAA!」
クソッ! なんで来た時よりもモンスターに出会うんだよ! 本当に今は邪魔しないでくれ! 早くダンジョンから脱出したいだけなんだ、俺は! うわぁ、そうやってる間にもどんどん不在着信が溜まっていく!
俺はもう無我夢中だった。
目の前のモンスターを斬って斬って斬りまくる!
「グェッ!」
「ブアッ!」
「あ、助けていただきありがとうござ……」
ん? 今、誰かいたか?
人とすれ違った気もしたが、今は暢気に挨拶している場合じゃない。体を躍動させ、俺は第五階層から一気に駆け上がる。そして、遂に第一階層まで辿り着いた。
「よしっ!」
ここを上がれば、ダンジョンの入り口――即ち、第零階層だ。
何より、第一階層はほとんどモンスターは出現しない、ダンジョンの玄関のような場所。
相変わらず、人で溢れかえっているが、ここまで来たら後は外に出るだけ――。
「こ、困ります、撮らないでくれませんか」
ん? 何だ?
その途中、俺は何やら人だかりができているのに気付く。
どうやら、揉め事のようだ。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
――時間は少し遡る。
「……いない、かなぁ」
銀色の美しい髪に、整った顔立ち。アイドルのような少女、探索系配信者シュガァは、今夜もここ――新東京ダンジョンを訪れていた。
昨日の配信と今朝のネット記事の影響で第一階層は、普段以上の人数で賑わっている。
シュガァは、そんな人混みの中を進みながら、ある人物を探していた。
「あ、シュガァちゃん!」
そこで、シュガァの存在に気付いた若い女の子達が、声を上げて駆け寄ってくる。
「すごい、本物だ! かわいい!」
「いつも配信観てます!」
「本当に!? ありがとう!」
シュガァはにこやかに微笑み、しかし申し訳なさそうに言う。
「でも、ごめんね。今日はプライベートだから、配信に来たんじゃないんだ。そっとしておいてもらえると嬉しいな」
「そうなんだ、わかりました!」
「応援してます!」
女の子達は、素直に距離を取ってくれた。
シュガァのファンは、とても行儀が良く、いい子達ばかりだ。それが、何よりの自慢だとシュガァは思っている。
「よう、シュガァ」
再び探し人の捜索を始めたシュガァは、そこで背後から声を掛けられ振り返る。
「わっ」
思わず声が出てしまった。
そこに立っていたのは、短い金髪で、額に剃り込みを入れた強面の男。浅黒い肌に無骨な防具を纏い、拳には刺々しい装飾が施されたグローブを装着している。
「あれ? あの、シュガァと話してるの……《疾風》じゃない?」
周囲の人混みの中から声が聞こえてくる。
「疾風って、ストリートファイト配信の?」
「迷惑系じゃん……」
「ダンジョンで他の探索者に絡んで、喧嘩ふっかけて配信してる奴だろ?」
「お、疾風じゃん、何、喧嘩?」
「俺結構好きなんだよな、疾風。態度はでかいけど、実際強いし」
「この前も、探索者ボコボコにしてたろ?」
「えー、怖……」
「女の配信者にもすげぇ声掛けまくってるよな、あいつ」
「そういえば、この前シュガァにコラボ依頼のメッセージ送ったのに無視されたって、動画でブチ切れてたっけ?」
「それで直接凸ってきたって事? 怖い……」
疾風という男は、野次馬の間で交わされた会話の通りの人間だ。
シュガァは、警戒するように表情を引き締め、眼前の疾風と対峙する。
「すみませんけど、今日はプライベートなので……」
「そう冷たくするなよ」
足早に逃げようとするシュガァだが、疾風は粘着質に絡む。
「前々からコラボしようって誘ってるのにさ、全然返信くれないから悲しかったんだぜ?」
「私、今日は人を探しにここに来たんです。配信もするつもりはありません」
シュガァは、毅然とした態度で疾風に言う。ここで怯えたり、困ったような態度を取れば、相手はつけあがる。その事をよく知っていた。
「つれない事言うなよ、もう流れちゃってるんだぜ? これ」
「え?」
見ると、疾風の傍に撮影用ドローンが飛んでいた。
「ほら、生配信中だ。おお、すげぇな、シュガァ効果。もう同接20万超えたぞ」
「こ、困ります、撮らないでくれませんか」
疾風にはシュガァの言葉を聞く気はなく、「今からシュガァとダンジョン探索楽しんできまーす」などと、勝手な事を言い出している。
どうすれば……警察に通報した方が良いのか。だが、動画でも犯罪スレスレの行為をしている男だ、何をされるかわからない。
シュガァはそう思い悩む。
(どうしよう……)
毅然とした態度で対応しているが、シュガァは実際十代の少女。
本当は怖くて泣きそうなくらいだ。
「あ」
そんな時、野次馬の中から声が上がった。
シュガァは思わず、そちらを見る。そこに、一人の男性が立っていた。
「……あ」
シュガァは、目を見開く。
全体的に暗い色合いの軽装姿。左右の腰に、一対の剣を佩いている。
顔の鼻より下を布で隠した、彼は――。
「アナタは!」
思わず自分の状況も忘れ、シュガァは、昨夜自分を窮地から救ってくれたヒーローに声を掛けていた。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
課長からの鬼電に出るため、大急ぎで第一階層へ戻ってきた俺は――そこで、何やら人だかりができている事に気付いた。
「前々からコラボしようって誘ってるのにさ、全然返信くれないから悲しかったんだぜ?」
人だかりの中心は、二人の人物だ。
男の方は、がっしりした体格で金髪を短く刈り込んだ強面だ。
あ……なんだか、ネットニュースで見た気がする。「炎上」というワードと一緒に顔写真が並んでいたような。
「あれ?」
よく見ると、その男に纏わり付かれている女性の方も、見覚えがある。
銀色の髪に、大きな目。アイドルみたいな可愛らしい服装。
そうだ、昨日、タイラントに襲われていた女の子だ。
「私、今日は人を探しにここに来たんです。配信もするつもりはありません」
女の子は困ったような、しかし毅然とした態度で相手に言い返している。
しかし、相手の男は「つれない事言うなよ、もう流れちゃってるんだぜ? これ」と、傍に撮影用ドローンを浮かせている。
……なるほど。
おそらく、あの探索系配信者が女の子に絡んで無理やり生配信をやってるという形か。
大変だなぁ、この業界も。
規模が大きくなると、ああいう他人の迷惑を顧みない奴も出現するのか。
かわいそうだとは思うが、このまま野次馬をやってる場合でもない。
今は爆撃のように襲来している鬼島課長からの着信に出るのが優先だ。
ここは一刻も早く外に――。
「あ」
その時、俺の間近にいた野次馬の一人が、俺の姿を見て声を上げた。
ん? 何だ?
徐々に、他の野次馬達も俺を見て様々な反応をする。
「昨夜の……」「配信の……」とか呟いている気がするが……。
「アナタは、あの時の!」
そこで、例の女の子が声を上げた。特徴的な声なのですぐにわかった。
その目線の先は、俺だった。瞬間、彼女は俺に駆け寄ってくる。
その大きな目をキラキラと、星空のように輝かせながら。
「あ、あの、き、昨日の夜、覚えてますか!?」
「え……えーと……」
覚えてはいるんだけど……いや、申し訳ない、今俺はそれどころじゃないんだ。
早く電話に出なければいけないのだ。
着信が来過ぎて、スマホが若干熱くなってきているのだ。
「あれ? お前……昨日、シュガァの配信に出てた奴じゃねぇか」
更に、迷惑系配信者まで俺に絡んできた。
気付くと、その場にいる全ての視線が俺達に注がれている。ざわめきも強まる。
何なんだ、勘弁してくれ。
俺はパニックを起こし掛ける。
早くトイレに駆け込みたいのに、その入り口で街頭アンケートに捕まったような気分だ。
「ふぅん……」
迷惑系配信者の男が、俺と、いつの間にか俺の手を握っている銀髪の女の子を見比べる。
「なるほど……昨日助けられて、随分と惚れこんだんだなぁ」
「な、何を言ってるんですか! 私はただ、お礼が言いたくて……」
「なぁ、お前、この場で俺と喧嘩しねぇか?」
は? 何? 何だって?
迷惑系配信者の突飛な提案に、俺は頭上に「?」を並べる。
「こ、断った方が良いです」
そこで、女の子が俺に囁く。
「この人……名前は疾風っていうんですけど、ダンジョン内でストリートファイト的に探索者に喧嘩を申し込む動画を上げてて、それで荒稼ぎしてるんです。だから、誰彼構わず絡んで、それでみんなに嫌われてて……」
「まさか逃げる気かよ? なんだ、噂よりも大した事なさそうだな」
迷惑系配信者……疾風だったか……がカメラを見て、わざとらしくガッカリしたジェスチャーをしている。
違うんだよ、こっちはそれどころじゃないんだよ。子供の遊びならそっちで勝手にやってくれ。
というか、ちょっと待て、今これ、撮影されてるのか? まずい!
俺は慌てて顔を背ける。
スカーフで顔を隠しているとはいえ、今の時代、どこから個人情報が流出するかわからない。
できるだけ、ネット上に痕跡は残さないに限る。
ああ、もう、なんでこんな事になってるんだ。
俺は早くダンジョンから出たいだけなんだ。
……段々腹が立ってきた。
喧嘩だって? 喧嘩すればいいのか?
苛立ちが限界を迎えたためか、俺の判断力も荒れ気味だ。
「わかった」
俺は地声より声を低くし、そう言った。
疾風が振り返る。
「とっととやろう」
「おお? 了承って事でいいんだな? じゃあ、先に言質取っとくぜ。どんな怪我を負っても文句は言わない。治療費、慰謝料は請求しない。喧嘩の動画の所有権と各種権利は俺の――」
「わかった」
いちいち確認している時間が惜しい。所詮、子供の遊びだ。
俺は「早くしろ」と言う。
「いいねぇ、中々ノリノリじゃねぇか! じゃあ、始めるぞ!」
周囲から興奮の雄叫びが上がる。
いつの間にか、俺と疾風を中心に野次馬の輪ができ上がっていた。
疾風がファイティングポーズを取る。どうやら、近接戦闘型のようだ。
スタイルは格闘系……《ボクサー》あたりか?
野次馬の間から、「この前、リアルでも格闘技の試合に出てた」という声が聞こえてきたので、まぁその方向性で間違いないだろう。
「ストリートファイト最強伝説! この俺、疾風の今日の相手は、今巷で話題の凄腕探索者だ! 行くぜぇ!」
カーン、というゴング音が疾風の撮影ドローンから鳴った。
今のが開始の合図か? 開始の合図だな。いいんだな。
「ちくしょうっ! もうこんな会社辞めてやる!」
その夜。
またしても仕事が終わらないまま退社の時間を迎えた俺は、帰り道で早くも今年通算六回目となる退職宣言を口にしていた。
結局、例の企画書を手直ししている時間はないし。
明日の朝一で提出という事なので、今夜中に仕上げないといけない。
わかっていた事だが、二晩連続サービス残業決定である。
「……はぁ。なんだか、気分が落ち込むなぁ」
まぁ、へこたれていても明日は来るので、やるしかないのだが。
そこで、俺はふと足を止める。昨日と同じ、新東京ダンジョンの前を通り掛かったからだ。
「……」
昨夜の記憶を想起する。
久しぶりに、昔に戻ったみたいで楽しかったな……。
「……よし、今日も潜っていくか」
昨日も、何やかんやでダンジョンで遊んだ後、企画書を完成させる事ができた。気分転換の方法としては成功だったという事だ。
俺は首元のネクタイを緩めると、意気揚々とダンジョンの入り口へ向かう。
「……んん?」
しかし、そこで昨日とは違う異変に気付く。人がむちゃくちゃ多い気がするのだ。
ここはまだ入り口前だが、見渡す限りに何十という人間がいる。
第一階層に下りてみると、またとんでもない数の探索者がいた。
誰も彼もが何やら盛り上がり、撮影用ドローンやタブレットを持っている。
皆、動画撮影中か?
「何だ? 何か、イベントでもあるのか?」
よくわからないが……仕方がない。
あまり人が多いと、ちょっと気後れしてしまう。俺は、別のダンジョンにしようかと考える。
しかし、明日も朝から出勤だ。
あまり遠出できる時間でもない。
「秋葉原ダンジョン……新橋ダンジョン……んー……」
試しにスマホで周辺のダンジョンを探してみるが、ちょうど良さそうな場所などない。
「……はぁ、しょうがないな」
せっかく、こっちはテンションが上がっているのだ。ここで我慢したくない。
ちょっと人の少ない経路を選びながら行くか。
というわけで、人混みを避けて、俺は物陰で探索者の姿に換装。
両手に得物を握り、口元を覆うスカーフを締め直す。
「よし、今夜もひとっ走り行きますか」
そして、早速俺はダンジョン探索を開始した。
――この後、とんでもない事件に巻き込まれるとも知らず。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「……あれは、ブラックスライムか」
前方で、真っ黒な楕円形の軟体生物がプヨプヨと揺れながら群れを作っている。
ブラックスライムというモンスターだ。
サイズも小さいしそこまで強そうには見えないが、見た目に騙されるなかれ。
油断して近付くと、一気に体を三~四倍に膨張させ、全身で獲物を包み込む。
呑み込まれたら最後、ゆっくり消化されてオシマイ――という、おそろしいモンスターである。
まぁ――。
「防御力は大した事ないから、素早く武器を振るえば瞬殺できるんだけどな」
呟きながら、俺はブラックスライムの群れの中を風のように通り抜ける。
「?」
『今何か通った?』というような愚鈍な反応をするブラックスライム達は、直後、細切れになった。
「……ふぅ」
だいぶ、体が昔の感覚に近付いてきた……と思う。
今し方のブラックスライム達は、すれ違いざまに斬撃を数十回打ち込んで倒した。
昨日は、攻撃を的確に叩き込めずモンスターを取り逃がす事もあったので、まずまず調子を取り戻してきたと言えるだろう。
「さてと……」
ブラックスライムの破片が飛び散った場所に戻ると、幾つかアイテムがドロップしていた。
手の平に収まるくらいの、黒いぶよぶよとした塊――〔黒油〕というアイテムだ。
そこそこ珍しいし、使い方次第では重宝するものなので拾っておく。
「……で、俺は今どこにいるんだ?」
ここまで何も考えず、ただストレス解消のため駆け抜けてきた俺は、現在地を確認する。
下って下って……ここは、そう、確か第五階層だ。
昨日は、結局第六階層……あのタイラントが出現した所までしか行けなかったので、今日はもうちょっと先まで挑戦してみようかな――と、考えていた時だった。
ポケットの中でスマホが鳴った。
「ん? 誰だ、こんな時間に……」
もうすっかり夜中だ。
こんな時間に電話を掛けてくるなんて、悪戯か? ……と思いながら、スマホを取り出す。
「……うわ」
表示されていたのは鬼島課長の名前だった。
思わず吐き気を催す。
課長から掛かってくる電話なんて百パーセント碌なものではない。おそらく、仕事絡みの話だ。
俺は慌てて電話に出ようとする――が、そこで思い出す。
まずい。今はダンジョンの中だ。
こんな場所で悠長に電話なんてしていたら隙だらけになる。モンスターに襲われるかもしれない。
何より、もしもダンジョンに潜っているなんて事が鬼島課長にバレたら、それをネタに何を言われるかわからない。
「そんな所で遊んでるからお前はいつまで経ってもダメなんだよ!」とか、簡単に想像が付く。
一旦、安全な場所まで移動しなければ。
俺はすぐさま、今来た道を逆に走り出す。
その間も、スマホの着信音は止まらない。切れたと思ったらまた掛かってくる。
画面には不在着信の表示が溜まっていく。
まずいまずいまずい、まずいぞ、このパターンは! 電話に出ないから、怒りのボルテージが上がっていってるんだ!
「キシャアアア!」
「邪魔するなぁッ!」
焦る俺の前方に、モンスター達が現れる。
ああ、もう! 今それどころじゃないんだよ!
俺は斬る。とにもかくにも斬る。
出現したモンスターの種類とか習性とかを細かく考えている余裕はないので、全て微塵切りにしながら駆け抜ける。
「グオオオ!」
「ブラァアアア!」
「GAAAAA!」
クソッ! なんで来た時よりもモンスターに出会うんだよ! 本当に今は邪魔しないでくれ! 早くダンジョンから脱出したいだけなんだ、俺は! うわぁ、そうやってる間にもどんどん不在着信が溜まっていく!
俺はもう無我夢中だった。
目の前のモンスターを斬って斬って斬りまくる!
「グェッ!」
「ブアッ!」
「あ、助けていただきありがとうござ……」
ん? 今、誰かいたか?
人とすれ違った気もしたが、今は暢気に挨拶している場合じゃない。体を躍動させ、俺は第五階層から一気に駆け上がる。そして、遂に第一階層まで辿り着いた。
「よしっ!」
ここを上がれば、ダンジョンの入り口――即ち、第零階層だ。
何より、第一階層はほとんどモンスターは出現しない、ダンジョンの玄関のような場所。
相変わらず、人で溢れかえっているが、ここまで来たら後は外に出るだけ――。
「こ、困ります、撮らないでくれませんか」
ん? 何だ?
その途中、俺は何やら人だかりができているのに気付く。
どうやら、揉め事のようだ。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
――時間は少し遡る。
「……いない、かなぁ」
銀色の美しい髪に、整った顔立ち。アイドルのような少女、探索系配信者シュガァは、今夜もここ――新東京ダンジョンを訪れていた。
昨日の配信と今朝のネット記事の影響で第一階層は、普段以上の人数で賑わっている。
シュガァは、そんな人混みの中を進みながら、ある人物を探していた。
「あ、シュガァちゃん!」
そこで、シュガァの存在に気付いた若い女の子達が、声を上げて駆け寄ってくる。
「すごい、本物だ! かわいい!」
「いつも配信観てます!」
「本当に!? ありがとう!」
シュガァはにこやかに微笑み、しかし申し訳なさそうに言う。
「でも、ごめんね。今日はプライベートだから、配信に来たんじゃないんだ。そっとしておいてもらえると嬉しいな」
「そうなんだ、わかりました!」
「応援してます!」
女の子達は、素直に距離を取ってくれた。
シュガァのファンは、とても行儀が良く、いい子達ばかりだ。それが、何よりの自慢だとシュガァは思っている。
「よう、シュガァ」
再び探し人の捜索を始めたシュガァは、そこで背後から声を掛けられ振り返る。
「わっ」
思わず声が出てしまった。
そこに立っていたのは、短い金髪で、額に剃り込みを入れた強面の男。浅黒い肌に無骨な防具を纏い、拳には刺々しい装飾が施されたグローブを装着している。
「あれ? あの、シュガァと話してるの……《疾風》じゃない?」
周囲の人混みの中から声が聞こえてくる。
「疾風って、ストリートファイト配信の?」
「迷惑系じゃん……」
「ダンジョンで他の探索者に絡んで、喧嘩ふっかけて配信してる奴だろ?」
「お、疾風じゃん、何、喧嘩?」
「俺結構好きなんだよな、疾風。態度はでかいけど、実際強いし」
「この前も、探索者ボコボコにしてたろ?」
「えー、怖……」
「女の配信者にもすげぇ声掛けまくってるよな、あいつ」
「そういえば、この前シュガァにコラボ依頼のメッセージ送ったのに無視されたって、動画でブチ切れてたっけ?」
「それで直接凸ってきたって事? 怖い……」
疾風という男は、野次馬の間で交わされた会話の通りの人間だ。
シュガァは、警戒するように表情を引き締め、眼前の疾風と対峙する。
「すみませんけど、今日はプライベートなので……」
「そう冷たくするなよ」
足早に逃げようとするシュガァだが、疾風は粘着質に絡む。
「前々からコラボしようって誘ってるのにさ、全然返信くれないから悲しかったんだぜ?」
「私、今日は人を探しにここに来たんです。配信もするつもりはありません」
シュガァは、毅然とした態度で疾風に言う。ここで怯えたり、困ったような態度を取れば、相手はつけあがる。その事をよく知っていた。
「つれない事言うなよ、もう流れちゃってるんだぜ? これ」
「え?」
見ると、疾風の傍に撮影用ドローンが飛んでいた。
「ほら、生配信中だ。おお、すげぇな、シュガァ効果。もう同接20万超えたぞ」
「こ、困ります、撮らないでくれませんか」
疾風にはシュガァの言葉を聞く気はなく、「今からシュガァとダンジョン探索楽しんできまーす」などと、勝手な事を言い出している。
どうすれば……警察に通報した方が良いのか。だが、動画でも犯罪スレスレの行為をしている男だ、何をされるかわからない。
シュガァはそう思い悩む。
(どうしよう……)
毅然とした態度で対応しているが、シュガァは実際十代の少女。
本当は怖くて泣きそうなくらいだ。
「あ」
そんな時、野次馬の中から声が上がった。
シュガァは思わず、そちらを見る。そこに、一人の男性が立っていた。
「……あ」
シュガァは、目を見開く。
全体的に暗い色合いの軽装姿。左右の腰に、一対の剣を佩いている。
顔の鼻より下を布で隠した、彼は――。
「アナタは!」
思わず自分の状況も忘れ、シュガァは、昨夜自分を窮地から救ってくれたヒーローに声を掛けていた。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
課長からの鬼電に出るため、大急ぎで第一階層へ戻ってきた俺は――そこで、何やら人だかりができている事に気付いた。
「前々からコラボしようって誘ってるのにさ、全然返信くれないから悲しかったんだぜ?」
人だかりの中心は、二人の人物だ。
男の方は、がっしりした体格で金髪を短く刈り込んだ強面だ。
あ……なんだか、ネットニュースで見た気がする。「炎上」というワードと一緒に顔写真が並んでいたような。
「あれ?」
よく見ると、その男に纏わり付かれている女性の方も、見覚えがある。
銀色の髪に、大きな目。アイドルみたいな可愛らしい服装。
そうだ、昨日、タイラントに襲われていた女の子だ。
「私、今日は人を探しにここに来たんです。配信もするつもりはありません」
女の子は困ったような、しかし毅然とした態度で相手に言い返している。
しかし、相手の男は「つれない事言うなよ、もう流れちゃってるんだぜ? これ」と、傍に撮影用ドローンを浮かせている。
……なるほど。
おそらく、あの探索系配信者が女の子に絡んで無理やり生配信をやってるという形か。
大変だなぁ、この業界も。
規模が大きくなると、ああいう他人の迷惑を顧みない奴も出現するのか。
かわいそうだとは思うが、このまま野次馬をやってる場合でもない。
今は爆撃のように襲来している鬼島課長からの着信に出るのが優先だ。
ここは一刻も早く外に――。
「あ」
その時、俺の間近にいた野次馬の一人が、俺の姿を見て声を上げた。
ん? 何だ?
徐々に、他の野次馬達も俺を見て様々な反応をする。
「昨夜の……」「配信の……」とか呟いている気がするが……。
「アナタは、あの時の!」
そこで、例の女の子が声を上げた。特徴的な声なのですぐにわかった。
その目線の先は、俺だった。瞬間、彼女は俺に駆け寄ってくる。
その大きな目をキラキラと、星空のように輝かせながら。
「あ、あの、き、昨日の夜、覚えてますか!?」
「え……えーと……」
覚えてはいるんだけど……いや、申し訳ない、今俺はそれどころじゃないんだ。
早く電話に出なければいけないのだ。
着信が来過ぎて、スマホが若干熱くなってきているのだ。
「あれ? お前……昨日、シュガァの配信に出てた奴じゃねぇか」
更に、迷惑系配信者まで俺に絡んできた。
気付くと、その場にいる全ての視線が俺達に注がれている。ざわめきも強まる。
何なんだ、勘弁してくれ。
俺はパニックを起こし掛ける。
早くトイレに駆け込みたいのに、その入り口で街頭アンケートに捕まったような気分だ。
「ふぅん……」
迷惑系配信者の男が、俺と、いつの間にか俺の手を握っている銀髪の女の子を見比べる。
「なるほど……昨日助けられて、随分と惚れこんだんだなぁ」
「な、何を言ってるんですか! 私はただ、お礼が言いたくて……」
「なぁ、お前、この場で俺と喧嘩しねぇか?」
は? 何? 何だって?
迷惑系配信者の突飛な提案に、俺は頭上に「?」を並べる。
「こ、断った方が良いです」
そこで、女の子が俺に囁く。
「この人……名前は疾風っていうんですけど、ダンジョン内でストリートファイト的に探索者に喧嘩を申し込む動画を上げてて、それで荒稼ぎしてるんです。だから、誰彼構わず絡んで、それでみんなに嫌われてて……」
「まさか逃げる気かよ? なんだ、噂よりも大した事なさそうだな」
迷惑系配信者……疾風だったか……がカメラを見て、わざとらしくガッカリしたジェスチャーをしている。
違うんだよ、こっちはそれどころじゃないんだよ。子供の遊びならそっちで勝手にやってくれ。
というか、ちょっと待て、今これ、撮影されてるのか? まずい!
俺は慌てて顔を背ける。
スカーフで顔を隠しているとはいえ、今の時代、どこから個人情報が流出するかわからない。
できるだけ、ネット上に痕跡は残さないに限る。
ああ、もう、なんでこんな事になってるんだ。
俺は早くダンジョンから出たいだけなんだ。
……段々腹が立ってきた。
喧嘩だって? 喧嘩すればいいのか?
苛立ちが限界を迎えたためか、俺の判断力も荒れ気味だ。
「わかった」
俺は地声より声を低くし、そう言った。
疾風が振り返る。
「とっととやろう」
「おお? 了承って事でいいんだな? じゃあ、先に言質取っとくぜ。どんな怪我を負っても文句は言わない。治療費、慰謝料は請求しない。喧嘩の動画の所有権と各種権利は俺の――」
「わかった」
いちいち確認している時間が惜しい。所詮、子供の遊びだ。
俺は「早くしろ」と言う。
「いいねぇ、中々ノリノリじゃねぇか! じゃあ、始めるぞ!」
周囲から興奮の雄叫びが上がる。
いつの間にか、俺と疾風を中心に野次馬の輪ができ上がっていた。
疾風がファイティングポーズを取る。どうやら、近接戦闘型のようだ。
スタイルは格闘系……《ボクサー》あたりか?
野次馬の間から、「この前、リアルでも格闘技の試合に出てた」という声が聞こえてきたので、まぁその方向性で間違いないだろう。
「ストリートファイト最強伝説! この俺、疾風の今日の相手は、今巷で話題の凄腕探索者だ! 行くぜぇ!」
カーン、というゴング音が疾風の撮影ドローンから鳴った。
今のが開始の合図か? 開始の合図だな。いいんだな。
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