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第四章
第69話 決勝進出者達
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「お帰りなさい、影狼。上着をお預かりします」
「……ああ、ありがとう」
本日――所用で外出していた俺が帰宅すると、一人の青年が玄関先まで出迎えにやって来た。
俺は彼に上着を渡す。
赤髪に無数の髪留めを付けた、表情の薄い中性的な青年――蘭。
彼は先日、KOD決勝ラウンドで俺のサポーターになりたいと、そう話を持ち掛けてきた参加者の一人である。
「お疲れじゃないですか? お風呂の用意も出来ますが」
「いや、それほどでもない。今日は秋葉原ダンジョンの第十階層まで潜ってきただけだ。あのサキュバスが悪さをしていないか、定期的に観察してタイマへ報告するようにしているからな」
「そうですか。食事の用意もできていますので、好きなタイミングで声を掛けて下さい」
「……なぁ、蘭」
リビングに向かうと、オレンジとすっかり元気になったヒスイが、「キャン」「キャン」と俺に飛び付いてくる。
二人の背中を撫でながら、俺は蘭に言う。
「今更だが……本当いいのか? これ」
「何がですか?」
「いや、家のことを何から何までやってもらって、フェンリル達の世話までしてもらっているが……これじゃ、ただのお手伝いさんだぞ? 君は、単に俺のサポーターになりたいっていうだけだろ? ここまでしてもらう筋合いは無いというか……まぁ実際、助かってはいるんだが」
「何も間違っていません」
蘭はスパッと言い切る。
「俺の目的は影狼の弟子になること。師匠の身の回りの手伝いを行うのは、弟子として当然の務めです」
「そうは言うが……君、確か大学生だろ? 医大に通ってるんじゃなかったっけ? 医学部なんて、勉強やら講義やら実習やらでメチャクチャ忙しいものなんじゃないのか?」
「大学は現在休学中です。今は、俺が一番やりたい事に打ち込むと決めています。学費等の必要経費も自分で稼いで支払っているので、誰にも文句は言われません」
「………」
……参ったな、凄い自立心と行動力だ。
有名大学に通っている優等生が、ある日いきなり芸術家に惚れ込み弟子入りする的なストーリーに、まさか自分が師匠側の立場で参加する時が来ようとは……。
「影狼に、俺の本気が伝われば本望です」
「……わかってる。ここまで助けてもらって、今更『弟子にもしないし、サポーターの件も結構だ』なんて人間失格な事は言わないよ。次のKOD決勝ラウンドでは、よろしく頼む」
改めて、俺は蘭にそう伝えた。
瞬間、ずっと無表情だった蘭の顔が、微弱に変化する。
「!」という感嘆符が頭上に発生して見えた。
「ありがとうございます、影狼。誠心誠意、務めさせていただきます」
「ああ」
「よければ食事にしましょう。冷めてしまうと味が落ちます。すぐに用意できるのでくつろいでお待ち下さい。フェンリル達の分も用意します。ところでお酒は飲みますか? 飲まれますよね? 影狼がお酒好きだというデータは収集済みです。ビール、日本酒、ウィスキー、ワイン、焼酎、カクテル、何でも準備できています。僭越ながら自分も今夜はお付き合いさせていただきます」
「落ち着け落ち着け落ち着け」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「さて」
用意してくれた夕餉を平らげた後、俺は蘭に話を切り出す。
ちなみに、酒は飲んでいない。
酔っ払いながらこの話はできないからだ。
「蘭、KOD決勝ラウンドまで、あと10日程だ。その前に、幾つか確認しておきたい事がある」
「はい」
「一つ目に、君に何が出来るかだ」
蘭がサポーターになるということは、俺も彼の能力を把握しておかないといけない。
通常、決勝ラウンドで競い合う参加者同士、手の内を明かし合うのはあり得ない事だが――仲間であるなら逆に互いの事を理解しておく必要がある。
この事の重要性や、その上でのコミュニケーションを事前に学習させるのが、二次予選をタッグマッチ方式にした理由だろう。
「君のスタイルやスキル、技……そういったデータを知りたい」
「わかりました。俺のスタイルは《ドクター》。簡単に言うと、医者のような能力を持ったスタイルです。とはいえ、一般的な医者と同じように解釈をすると齟齬が生じるので、そこは近々、実際にダンジョンに潜りながら説明できればと思います」
「わかった」
蘭のステータスの確認自体は、また後で行うとして……。
「二つ目、君の情報収集能力を確認したい」
「他の参加者達の情報、ですね」
蘭は言う。
流石、察しが早い。
「探索者の解説動画を配信し、探索者達の能力値の分析が趣味というほどのステータスマニア……そんな君の目から見た、重要性の高い競争相手の情報が欲しい」
誰がどれほどの強さなのか。
得意とする分野は何なのか。
そして……誰と徒党を組む確率が高いのか。
「了解しました。俺の知識が、早速影狼の役に立てて光栄です」
……いちいち感動してくれるのはありがたいが、なんだかむず痒い気分だ。
蘭は、自身の荷物(リュックサック)の中から、コンパクトなデザインのノートPCを取り出し、起動させる。
「これが、俺の収集・分析したKOD決勝ラウンド参加者達のデータです」
パソコン画面の中に、何十という探索者達の名前が羅列されていく。
これら全部、蘭が自分で纏め上げたものなのか。
改めて、凄い。
「まず一番に注意すべき相手は……影狼に次いで優勝候補2位の存在。第一回KOD、第二回KOD優勝の《絶対王者》――ヒバナ」
画面の中に、ヒバナのデータが表示される。
全身の3Dモデル画像に、各種のステータス表、所属企業から最近のメディア露出の媒体名まで……よくここまで網羅できたものだ。
主なステータスは、《パワー》《スピード》《テクニック》《知力》《協調性》《リーダーシップ》の六角形5段評価で表示されている。
ちなみに、ヒバナは《パワー》5、《スピード》5、《テクニック》5、《知力》4、《協調性》3、《リーダーシップ》3、という評価だった。
「流石は《絶対王者》。単純な能力値はずば抜けているな」
「影狼の方が上です。影狼のステータスは《パワー》5、《スピード》計測不能、《テクニック》計測不能、《知力》5、《協調性》5、《リーダーシップ》5です」
サラッと言う蘭。
俺のステータス、本当にそれでいいのか?
計測不能が二つあったぞ。
「《協調性》や《リーダーシップ》が平均点なのは、過去の大会での彼女の成績によります。ただ一人で、ぶっちぎりの優勝。ゲーム内容やルールの問題もありますが、彼女は仲間を必要としません。あまりにも強い個の存在。それがヒバナです」
「そうか……」
「逆に、仲間との協力が不可欠なシチュエーションや、複数名で挑むことが絶対条件のクエスト等を前にすれば彼女も苦戦するかと」
「いや……それはわからない」
先日、俺はヒバナと一緒にコラボ配信をした。
確かに彼女は個性的でクセが強い性格をしていたが、多くの人々がそんな彼女に魅力を感じているのも事実だ。
「何より、圧倒的に強いという姿は――熱烈な信奉者を作る。決勝ラウンドでは、彼女に付いて行く参加者が現れてもおかしくない」
「なるほど。影狼にとっての俺のような存在ですね」
そこも重要だ。
事前の説明会で、当日の詳しいゲーム内容が説明された。
チームを作る事が可能であると知れ渡った以上――おそらく水面下で、既に幾つも派閥が出来上がっているはずだ。
派閥の中心になるような人物……つまり、ランキング上位陣の事はよく把握しておきたい。
「同じ《シャイニング・エピソード》所属の参加者や、熱烈なヒバナのファンは彼女の派閥に入る可能性が高いですね。そういう意味では、ランキング4位の音夜も要注意です」
「音夜……」
先日、カガッチの生配信でコラボしていた青年か。
正論を言い放ってカガッチと喧嘩になっていたが……。
「音夜。ステータスは《パワー》4、《スピード》4、《テクニック》5、《知力》5、《協調性》4、《リーダーシップ》5です」
「《協調性》と《リーダーシップ》が高いな。彼を中心とした派閥が出来たら中々強敵になるか」
「はい。しかし、それ以上に危険だと思うのが……音夜がヒバナの派閥に入った場合、です」
「……なるほど」
つまり、音夜がヒバナにとって参謀の位置に立った場合、ということか。
「音夜は《知力》も高い。二次予選では、数々のクリア条件や《超強》ゴーレムの弱点等を瞬時に見抜いていました。そして彼は《シャイニング・エピソード》の所属タレント。《協調性》も高いので、ヒバナとチームを組む可能性は高い」
「圧倒的強さを誇りカリスマ性も持つ個体――ヒバナに、知力と発想力を持ち合わせリーダーシップもある音夜がサブリーダーとして付く……厄介そうだな」
「圧倒的な強さを持つ個体……という点で言えば、他にも」
蘭は他の参加者達のデータを上げていく。
「ランキング5位。白亜ジュラ。《パワー》5、《スピード》4、《テクニック》2、《知力》2、《協調性》2、《リーダーシップ》2。無所属のアマチュアですが、戦闘能力……特にパワーの高さはダンジョン探索界隈でも評価が高いです」
「それ以外はズタボロだな」
「……我の強い性格の持ち主なので。よほど彼女に同調してくれる人でないとチームを組むのは無理かと。そういう意味では……」
蘭は別の参加者をピックアップする。
「ランキング7位の緒形サンシロウ。《パワー》5、《スピード》3、《テクニック》5、《知力》3、《協調性》4、《リーダーシップ》5。《霊長類最強道場》というチャンネルを運営しており、現役の武闘家でもあります。自身でジムも営業していて、ネットで演武やスパーの動画を配信したりして宣伝しています」
「経営者系か……《リーダーシップ》と《協調性》が高いのも頷ける」
「加えて、実力も低くありません。もしかしたら、既に大きな派閥を作っているかも」
「なるほど……」
唸る俺。
蘭はそこで、俺がよく知る人物のデータを表示する。
「ランキング9位、シュガァ。彼女もカリスマ性という点では白眉です。《パワー》2、《スピード》4、《テクニック》4、《知力》3、《協調性》5、《リーダーシップ》4。個人のステータス的には見劣りしますが、スタイル《歌姫》が秘めるポテンシャルは底が知れない。最近は探索者としての実力も成長してきているため侮れません。加えて天性のアイドル性もあり、《協調性》の高さから十分チームの中心を担える人材です」
「ああ」
シュガァの評価に関しては、何も文句無い。
俺も素直に頷く。
「プロ探索者も数名参加していますが、彼等の動向は読めません。プロ同士で協力し合うのか、それとも単独で動くのか……もしかしたら、影狼が声を掛ければ皆あなたに付いてくるかもしれませんよ」
「んー……それはどうだろうな」
「他には、影狼もご存じのランキング19位トーカと、ランキング24位ミケ……《トーミケ》は共同でチャンネルを運営しているので、おそらくコンビで動くでしょう。同じように、《野良犬チャンネル》を一緒に運営しているランキング17位の野良黒、18位の野良白兄弟も……派閥的に注意が必要なのは、こんなところです」
逆に……と、蘭はまた別の参加者達をピックアップする。
「チームに所属する可能性が極めて低い……完全に個人で動くであろう参加者も何名かいます。10位の快刀乱麻。この人物は要注意です」
「《辻斬りチャンネル》……だったか」
「スタイル《人斬り》……ダンジョンに潜ってはモンスターを辻斬りしていくチャンネルを運営していますが、この人物、過去に探索者を斬殺した記録も残っています」
「………」
「どのようにして無罪になったのかは不明ですが、あまり近付かない方がいいかもしれません。他にも、ランキング16位の鎌倉武士、ランキング21位のハングドマンなんかも、ネタ色の強いチャンネルを運営しているクセのある探索者です。ですが、ランキング上位に名を連ねている以上実力者でもあります」
「宝箱アケオはどうだ?」
「ランキング20位の宝箱アケオ。《パワー》4、《スピード》3、《テクニック》3、《知力》4、《協調性》4、《リーダーシップ》2。スタイルは《隠者》で、気配を殺して宝箱に擬態する特技を持ちます。宝箱に並々ならぬ愛情を持っていますが、意外と意思の疎通はできますし協調性も高い。仲間にできたら心強い存在だと思われます」
一匹狼達は、そんなところでしょうか……と、蘭は言う。
「いや、一人気になる存在がいるんだが」
そこで、俺は蘭に確認する。
ここまで、不自然なほど明言を避けられている存在を名指しする。
「ランキング3位、ゴースト」
「………」
「この人物は、一体何者なんだ?」
俺とヒバナに次ぐトップ3。
蘭は、ゴーストのデータを表示する。
しかし、そこに表示されたのはステータスと……『情報収集中』という文字だけだった。
「ゴースト……《パワー》?、《スピード》4、《テクニック》5、《知力》5、《協調性》?、《リーダーシップ》? ……《狙撃部屋》というチャンネルを運営しており、ダンジョン内で攻略難度の高いモンスターを狙撃で倒す配信を行っています……が、それくらいしかデータがありません。一体のモンスターを倒すために、ダンジョン内で三日間身動き一つせず潜伏したりと……狙撃に関する腕はずば抜けていますが、特に解説や雑談をする様子も無い。他配信者とのコラボ記録も無し。パーソナリティ等は一切不明」
「予選では活躍しなかったのか?」
「一次予選はそれほどでしたが……二次予選、彼は第三ステージの敵である《超強》ゴーレムのコアを弾丸一発で仕留めました。胴体内部を移動する極小のコアをです。全ブロックで、第三ステージを最速でクリアしたのは彼のいた会場でした」
「………」
「目立つ回数は少ないですが、その数回の活躍で劇的な存在感を残している。しかし、どれだけ調べてもほとんどデータが存在しない……ダンジョン探索界隈では優勝候補ランキングで3位に入る程の人気を獲得しているのに、素性不明。それが、ゴーストです」
圧倒的な実力を持つ個体が、ここにも一人。
「色々と解説をしましたが、個人的には決勝ラウンドまで上ってきた49名、全員が日本でもトップクラスの探索者。注意が必要だと思っています」
「ああ、ジミ子さんのように急成長する株も存在する」
「以上を踏まえて俺から言える事は……目欲しい人材には手早く声を掛けるべき、です。他の陣営に取られてしまう前に」
……チーム、か。
確かに、協力者は一人でも多い方が良いかもしれない。
その点もよく考えておこう。
「ありがとう、蘭。とても参考になった」
「お役に立てて光栄です」
「で、だ」
俺は立ち上がる。
「ちょっと、付き合わないか?」
「こんな時間に、どちらへ?」
「ダンジョンだ。ここから一番近くのダンジョンに、ちょっと潜りに行こうと思う」
俺が言うと、蘭は驚いたように目を丸める。
「今からですか?」
「色んな探索者達との話を聞いてたら、なんだか気分が高まってきてな。体を動かしたくなった」
強敵達の存在を知り、自分の力を今一度確かめたくなった。
まったく、自分も中々の戦闘民族だな……と、呆れ気味に思う。
でも、これが本来の俺なんだろう。
「どうする? 蘭」
「喜んでお供します」
蘭も、どこか嬉しそうに立ち上がる。
「影狼に、俺の能力を把握してもらう良い機会です。是非」
「ああ……だが、その前に」
「ええ」
俺達は、システムキッチンに移動させたままの食器類を見る。
「まずは、洗い物を終えてからだな」
「はい」
「クゥ」
マリン達が、自分達の夕飯の皿を咥えて持ってきた。
「お粗末様です」
蘭は、それを受け取る。
……なんだか、すっかりこの家に溶け込んじゃってるな、彼。
「……ああ、ありがとう」
本日――所用で外出していた俺が帰宅すると、一人の青年が玄関先まで出迎えにやって来た。
俺は彼に上着を渡す。
赤髪に無数の髪留めを付けた、表情の薄い中性的な青年――蘭。
彼は先日、KOD決勝ラウンドで俺のサポーターになりたいと、そう話を持ち掛けてきた参加者の一人である。
「お疲れじゃないですか? お風呂の用意も出来ますが」
「いや、それほどでもない。今日は秋葉原ダンジョンの第十階層まで潜ってきただけだ。あのサキュバスが悪さをしていないか、定期的に観察してタイマへ報告するようにしているからな」
「そうですか。食事の用意もできていますので、好きなタイミングで声を掛けて下さい」
「……なぁ、蘭」
リビングに向かうと、オレンジとすっかり元気になったヒスイが、「キャン」「キャン」と俺に飛び付いてくる。
二人の背中を撫でながら、俺は蘭に言う。
「今更だが……本当いいのか? これ」
「何がですか?」
「いや、家のことを何から何までやってもらって、フェンリル達の世話までしてもらっているが……これじゃ、ただのお手伝いさんだぞ? 君は、単に俺のサポーターになりたいっていうだけだろ? ここまでしてもらう筋合いは無いというか……まぁ実際、助かってはいるんだが」
「何も間違っていません」
蘭はスパッと言い切る。
「俺の目的は影狼の弟子になること。師匠の身の回りの手伝いを行うのは、弟子として当然の務めです」
「そうは言うが……君、確か大学生だろ? 医大に通ってるんじゃなかったっけ? 医学部なんて、勉強やら講義やら実習やらでメチャクチャ忙しいものなんじゃないのか?」
「大学は現在休学中です。今は、俺が一番やりたい事に打ち込むと決めています。学費等の必要経費も自分で稼いで支払っているので、誰にも文句は言われません」
「………」
……参ったな、凄い自立心と行動力だ。
有名大学に通っている優等生が、ある日いきなり芸術家に惚れ込み弟子入りする的なストーリーに、まさか自分が師匠側の立場で参加する時が来ようとは……。
「影狼に、俺の本気が伝われば本望です」
「……わかってる。ここまで助けてもらって、今更『弟子にもしないし、サポーターの件も結構だ』なんて人間失格な事は言わないよ。次のKOD決勝ラウンドでは、よろしく頼む」
改めて、俺は蘭にそう伝えた。
瞬間、ずっと無表情だった蘭の顔が、微弱に変化する。
「!」という感嘆符が頭上に発生して見えた。
「ありがとうございます、影狼。誠心誠意、務めさせていただきます」
「ああ」
「よければ食事にしましょう。冷めてしまうと味が落ちます。すぐに用意できるのでくつろいでお待ち下さい。フェンリル達の分も用意します。ところでお酒は飲みますか? 飲まれますよね? 影狼がお酒好きだというデータは収集済みです。ビール、日本酒、ウィスキー、ワイン、焼酎、カクテル、何でも準備できています。僭越ながら自分も今夜はお付き合いさせていただきます」
「落ち着け落ち着け落ち着け」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「さて」
用意してくれた夕餉を平らげた後、俺は蘭に話を切り出す。
ちなみに、酒は飲んでいない。
酔っ払いながらこの話はできないからだ。
「蘭、KOD決勝ラウンドまで、あと10日程だ。その前に、幾つか確認しておきたい事がある」
「はい」
「一つ目に、君に何が出来るかだ」
蘭がサポーターになるということは、俺も彼の能力を把握しておかないといけない。
通常、決勝ラウンドで競い合う参加者同士、手の内を明かし合うのはあり得ない事だが――仲間であるなら逆に互いの事を理解しておく必要がある。
この事の重要性や、その上でのコミュニケーションを事前に学習させるのが、二次予選をタッグマッチ方式にした理由だろう。
「君のスタイルやスキル、技……そういったデータを知りたい」
「わかりました。俺のスタイルは《ドクター》。簡単に言うと、医者のような能力を持ったスタイルです。とはいえ、一般的な医者と同じように解釈をすると齟齬が生じるので、そこは近々、実際にダンジョンに潜りながら説明できればと思います」
「わかった」
蘭のステータスの確認自体は、また後で行うとして……。
「二つ目、君の情報収集能力を確認したい」
「他の参加者達の情報、ですね」
蘭は言う。
流石、察しが早い。
「探索者の解説動画を配信し、探索者達の能力値の分析が趣味というほどのステータスマニア……そんな君の目から見た、重要性の高い競争相手の情報が欲しい」
誰がどれほどの強さなのか。
得意とする分野は何なのか。
そして……誰と徒党を組む確率が高いのか。
「了解しました。俺の知識が、早速影狼の役に立てて光栄です」
……いちいち感動してくれるのはありがたいが、なんだかむず痒い気分だ。
蘭は、自身の荷物(リュックサック)の中から、コンパクトなデザインのノートPCを取り出し、起動させる。
「これが、俺の収集・分析したKOD決勝ラウンド参加者達のデータです」
パソコン画面の中に、何十という探索者達の名前が羅列されていく。
これら全部、蘭が自分で纏め上げたものなのか。
改めて、凄い。
「まず一番に注意すべき相手は……影狼に次いで優勝候補2位の存在。第一回KOD、第二回KOD優勝の《絶対王者》――ヒバナ」
画面の中に、ヒバナのデータが表示される。
全身の3Dモデル画像に、各種のステータス表、所属企業から最近のメディア露出の媒体名まで……よくここまで網羅できたものだ。
主なステータスは、《パワー》《スピード》《テクニック》《知力》《協調性》《リーダーシップ》の六角形5段評価で表示されている。
ちなみに、ヒバナは《パワー》5、《スピード》5、《テクニック》5、《知力》4、《協調性》3、《リーダーシップ》3、という評価だった。
「流石は《絶対王者》。単純な能力値はずば抜けているな」
「影狼の方が上です。影狼のステータスは《パワー》5、《スピード》計測不能、《テクニック》計測不能、《知力》5、《協調性》5、《リーダーシップ》5です」
サラッと言う蘭。
俺のステータス、本当にそれでいいのか?
計測不能が二つあったぞ。
「《協調性》や《リーダーシップ》が平均点なのは、過去の大会での彼女の成績によります。ただ一人で、ぶっちぎりの優勝。ゲーム内容やルールの問題もありますが、彼女は仲間を必要としません。あまりにも強い個の存在。それがヒバナです」
「そうか……」
「逆に、仲間との協力が不可欠なシチュエーションや、複数名で挑むことが絶対条件のクエスト等を前にすれば彼女も苦戦するかと」
「いや……それはわからない」
先日、俺はヒバナと一緒にコラボ配信をした。
確かに彼女は個性的でクセが強い性格をしていたが、多くの人々がそんな彼女に魅力を感じているのも事実だ。
「何より、圧倒的に強いという姿は――熱烈な信奉者を作る。決勝ラウンドでは、彼女に付いて行く参加者が現れてもおかしくない」
「なるほど。影狼にとっての俺のような存在ですね」
そこも重要だ。
事前の説明会で、当日の詳しいゲーム内容が説明された。
チームを作る事が可能であると知れ渡った以上――おそらく水面下で、既に幾つも派閥が出来上がっているはずだ。
派閥の中心になるような人物……つまり、ランキング上位陣の事はよく把握しておきたい。
「同じ《シャイニング・エピソード》所属の参加者や、熱烈なヒバナのファンは彼女の派閥に入る可能性が高いですね。そういう意味では、ランキング4位の音夜も要注意です」
「音夜……」
先日、カガッチの生配信でコラボしていた青年か。
正論を言い放ってカガッチと喧嘩になっていたが……。
「音夜。ステータスは《パワー》4、《スピード》4、《テクニック》5、《知力》5、《協調性》4、《リーダーシップ》5です」
「《協調性》と《リーダーシップ》が高いな。彼を中心とした派閥が出来たら中々強敵になるか」
「はい。しかし、それ以上に危険だと思うのが……音夜がヒバナの派閥に入った場合、です」
「……なるほど」
つまり、音夜がヒバナにとって参謀の位置に立った場合、ということか。
「音夜は《知力》も高い。二次予選では、数々のクリア条件や《超強》ゴーレムの弱点等を瞬時に見抜いていました。そして彼は《シャイニング・エピソード》の所属タレント。《協調性》も高いので、ヒバナとチームを組む可能性は高い」
「圧倒的強さを誇りカリスマ性も持つ個体――ヒバナに、知力と発想力を持ち合わせリーダーシップもある音夜がサブリーダーとして付く……厄介そうだな」
「圧倒的な強さを持つ個体……という点で言えば、他にも」
蘭は他の参加者達のデータを上げていく。
「ランキング5位。白亜ジュラ。《パワー》5、《スピード》4、《テクニック》2、《知力》2、《協調性》2、《リーダーシップ》2。無所属のアマチュアですが、戦闘能力……特にパワーの高さはダンジョン探索界隈でも評価が高いです」
「それ以外はズタボロだな」
「……我の強い性格の持ち主なので。よほど彼女に同調してくれる人でないとチームを組むのは無理かと。そういう意味では……」
蘭は別の参加者をピックアップする。
「ランキング7位の緒形サンシロウ。《パワー》5、《スピード》3、《テクニック》5、《知力》3、《協調性》4、《リーダーシップ》5。《霊長類最強道場》というチャンネルを運営しており、現役の武闘家でもあります。自身でジムも営業していて、ネットで演武やスパーの動画を配信したりして宣伝しています」
「経営者系か……《リーダーシップ》と《協調性》が高いのも頷ける」
「加えて、実力も低くありません。もしかしたら、既に大きな派閥を作っているかも」
「なるほど……」
唸る俺。
蘭はそこで、俺がよく知る人物のデータを表示する。
「ランキング9位、シュガァ。彼女もカリスマ性という点では白眉です。《パワー》2、《スピード》4、《テクニック》4、《知力》3、《協調性》5、《リーダーシップ》4。個人のステータス的には見劣りしますが、スタイル《歌姫》が秘めるポテンシャルは底が知れない。最近は探索者としての実力も成長してきているため侮れません。加えて天性のアイドル性もあり、《協調性》の高さから十分チームの中心を担える人材です」
「ああ」
シュガァの評価に関しては、何も文句無い。
俺も素直に頷く。
「プロ探索者も数名参加していますが、彼等の動向は読めません。プロ同士で協力し合うのか、それとも単独で動くのか……もしかしたら、影狼が声を掛ければ皆あなたに付いてくるかもしれませんよ」
「んー……それはどうだろうな」
「他には、影狼もご存じのランキング19位トーカと、ランキング24位ミケ……《トーミケ》は共同でチャンネルを運営しているので、おそらくコンビで動くでしょう。同じように、《野良犬チャンネル》を一緒に運営しているランキング17位の野良黒、18位の野良白兄弟も……派閥的に注意が必要なのは、こんなところです」
逆に……と、蘭はまた別の参加者達をピックアップする。
「チームに所属する可能性が極めて低い……完全に個人で動くであろう参加者も何名かいます。10位の快刀乱麻。この人物は要注意です」
「《辻斬りチャンネル》……だったか」
「スタイル《人斬り》……ダンジョンに潜ってはモンスターを辻斬りしていくチャンネルを運営していますが、この人物、過去に探索者を斬殺した記録も残っています」
「………」
「どのようにして無罪になったのかは不明ですが、あまり近付かない方がいいかもしれません。他にも、ランキング16位の鎌倉武士、ランキング21位のハングドマンなんかも、ネタ色の強いチャンネルを運営しているクセのある探索者です。ですが、ランキング上位に名を連ねている以上実力者でもあります」
「宝箱アケオはどうだ?」
「ランキング20位の宝箱アケオ。《パワー》4、《スピード》3、《テクニック》3、《知力》4、《協調性》4、《リーダーシップ》2。スタイルは《隠者》で、気配を殺して宝箱に擬態する特技を持ちます。宝箱に並々ならぬ愛情を持っていますが、意外と意思の疎通はできますし協調性も高い。仲間にできたら心強い存在だと思われます」
一匹狼達は、そんなところでしょうか……と、蘭は言う。
「いや、一人気になる存在がいるんだが」
そこで、俺は蘭に確認する。
ここまで、不自然なほど明言を避けられている存在を名指しする。
「ランキング3位、ゴースト」
「………」
「この人物は、一体何者なんだ?」
俺とヒバナに次ぐトップ3。
蘭は、ゴーストのデータを表示する。
しかし、そこに表示されたのはステータスと……『情報収集中』という文字だけだった。
「ゴースト……《パワー》?、《スピード》4、《テクニック》5、《知力》5、《協調性》?、《リーダーシップ》? ……《狙撃部屋》というチャンネルを運営しており、ダンジョン内で攻略難度の高いモンスターを狙撃で倒す配信を行っています……が、それくらいしかデータがありません。一体のモンスターを倒すために、ダンジョン内で三日間身動き一つせず潜伏したりと……狙撃に関する腕はずば抜けていますが、特に解説や雑談をする様子も無い。他配信者とのコラボ記録も無し。パーソナリティ等は一切不明」
「予選では活躍しなかったのか?」
「一次予選はそれほどでしたが……二次予選、彼は第三ステージの敵である《超強》ゴーレムのコアを弾丸一発で仕留めました。胴体内部を移動する極小のコアをです。全ブロックで、第三ステージを最速でクリアしたのは彼のいた会場でした」
「………」
「目立つ回数は少ないですが、その数回の活躍で劇的な存在感を残している。しかし、どれだけ調べてもほとんどデータが存在しない……ダンジョン探索界隈では優勝候補ランキングで3位に入る程の人気を獲得しているのに、素性不明。それが、ゴーストです」
圧倒的な実力を持つ個体が、ここにも一人。
「色々と解説をしましたが、個人的には決勝ラウンドまで上ってきた49名、全員が日本でもトップクラスの探索者。注意が必要だと思っています」
「ああ、ジミ子さんのように急成長する株も存在する」
「以上を踏まえて俺から言える事は……目欲しい人材には手早く声を掛けるべき、です。他の陣営に取られてしまう前に」
……チーム、か。
確かに、協力者は一人でも多い方が良いかもしれない。
その点もよく考えておこう。
「ありがとう、蘭。とても参考になった」
「お役に立てて光栄です」
「で、だ」
俺は立ち上がる。
「ちょっと、付き合わないか?」
「こんな時間に、どちらへ?」
「ダンジョンだ。ここから一番近くのダンジョンに、ちょっと潜りに行こうと思う」
俺が言うと、蘭は驚いたように目を丸める。
「今からですか?」
「色んな探索者達との話を聞いてたら、なんだか気分が高まってきてな。体を動かしたくなった」
強敵達の存在を知り、自分の力を今一度確かめたくなった。
まったく、自分も中々の戦闘民族だな……と、呆れ気味に思う。
でも、これが本来の俺なんだろう。
「どうする? 蘭」
「喜んでお供します」
蘭も、どこか嬉しそうに立ち上がる。
「影狼に、俺の能力を把握してもらう良い機会です。是非」
「ああ……だが、その前に」
「ええ」
俺達は、システムキッチンに移動させたままの食器類を見る。
「まずは、洗い物を終えてからだな」
「はい」
「クゥ」
マリン達が、自分達の夕飯の皿を咥えて持ってきた。
「お粗末様です」
蘭は、それを受け取る。
……なんだか、すっかりこの家に溶け込んじゃってるな、彼。
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勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
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アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
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そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
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無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~
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※本作品は他サイト様でも掲載中です。
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第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
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