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事故物件の幽霊 ④
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「昨日、早川に会ってきた。彼は、無実だと話していたよ。それと、鮎川さんに『信じ続けてくれてありがとう』と言っていた」
制服姿の美玖の体に乗り移る鮎川は笑顔で、「はい」と答えると、右目から涙がこぼれ頬を伝った。
美玖と並んでソファに座る桜は、ハンカチを鮎川に手渡し、「どうやって真犯人を探すの?」
正人の隣に座る隼人は、机の上に置かれていた写真を手に取り眉間にしわを寄せ、はあーと息を吐いた。
「ため息をつくなよ。確かに、何の手掛かりも無しに探し出すのは難しい。でも殺人犯は、彼女の事を知っていた」
「どこかで犯人と会っているのですよね。鮎川さんに日々の生活を思い出してもらっては?」と、隼人は正人に話しかけた。
「朝起きてから会社に行って、アパートに帰って来るまでか。その間に犯人と会っている可能性は高いな。鮎川さん、どうなんだ」
「毎朝、アパートを出て同じ時間の電車に乗って、でも帰りの時間はバラバラだったし。早く帰れた時は、十九時に最寄り駅について、近所のスーパーで買い物をするくらいだったかな」
「犯人は、君をストーキングしていたはずだから、普段の日常に潜んでいたはずなんだがな」
「あっ」と、鮎川が声を上げた。
「何か思い出したの?」、横を向いた桜は、鮎川の腕を掴んだ。
「そう、そう。あの特徴的なホクロのある顔、確か毎朝同じ電車に乗っていたかも。忘れていたけど、駅で何度か挨拶したような気がする」
「手がかりがつかめるかも知れないから、明日の朝、駅周辺で張り込もう」
正人の提案に桜と隼人は、ゆっくりと頷いた。
朝早くから鮎川明美のアパートからほど近い最寄り駅で、真犯人を見つけるべく、四人で張り込みを始めた。
正人は、駅の改札が見える位置でコンクリートの柱にもたれながら新聞を広げる。隼人と桜は、別々で近くのベンチに座り駅に向かって歩いてくる人の顔を注意深く見ていた。高校生の美玖は、目立たないように改札の傍で立っていた。彼女は、学校があるのでギリギリ八時まで一緒に張り込みをする予定だ。
四人は、無線を使ってやり取りをする。
「通勤ラッシュの時間帯だ、混雑してきたが犯人は特徴的な顔をしているから、落ち着いて確認してくれ」
耳に付けるイヤホンから正人の声が聞こえた。
「分かりました。犯人を見つけたらどうしますか? 後を付けますか?」と、隼人は周囲を気にして小声で話した。
「俺と隼人で犯人の勤め先を見つけようか」
「えー、私達は、どうしたら良いの」、隣に座る人に聞こえたのか、初老男性は何事かと桜の方を見た。
「桜は、事務所に戻ってくれ。もしかしたらバックアップが必要になるかもしれないから。美玖は、大人しく学校に行け」
「つまんないよ。私だけ、学校なの」
「学校を休んでアルバイトしていた事が、源一郎さんにバレたらどうなるか分かるだろ。俺もお前もただじゃすまないぞ」
ブルッと、背筋に冷や汗が出た美玖は身震いした、「考えるだけで、恐ろしいわ!」
犯人を見つけたのかグレーのスーツを着る男性の周りをクルクルと宙に浮く鮎川は回りながら、男を指さす。彼女は口を大きく開いて皆に呼びかけるが、誰にも聞こえない。しきりにみんなの注意を引こうと、大きく手を振った。
「正人、何かを見つけたみたいよ。彼女、横断歩道を渡ってくる男性に纏わりついている」
「犯人を見つけたのか? 近くに来たら俺が奴の顔を確認する」
すれ違いざまに正人は、鮎川に纏わりつかれる男の顔を見た。写真に写る男と似ているが、顔にホクロが無い。
「危ない、見逃す所だな。多分、あいつが犯人何だろう。隼人は俺と一緒にあの男を追うぞ」
改札を抜けた正人と隼人は、犯人を追いかけてホームへと向かって行った。
現場に残った桜は、イヤホンを外し、うーんと体を伸ばした。
「お姉さまと、二人きりになっちゃた」と、いつの間にか桜の隣に美玖が座っていた。彼女は、桜の腕に自分の腕を絡ませて来た。
「仕事は終わったから、早く学校に行きなさい」
「えーっ、このまま二人でデートしましょうよ」
パシッと、桜は美玖の頭を叩いた、「冗談はやめて。源一郎さんに言いつけるわよ」
「ずるーい、叔父さんを出すなんて」、美玖は立ち上がり「意地悪するなら、はやポンとデートするからね」と、桜にあっかんベーをした。
「そんな事したら許さないから」と、走り去る美玖に向かって桜は叫んだ。
犯人を追いかける正人と隼人は、地下鉄に乗り継いだ。
平日の午前八時、電車の中はすし詰め状態だった。
犯人を見失わない様に二人は、彼の近くに立っていたが、慣れない満員電車の中で四方八方から人に押され息苦しく感じる。
犯人は、堺筋本町駅で地下鉄を降り、人の流れに従って地下から外に出た。
地下鉄の出入り口から三、四分歩くと、犯人は雑居ビルの中へと入って行った。
「エレベーターは、五階で止まりましたね」
「良いぞ、勤め先から男の身元は分かる。後は、茜に頼んでおこう」と、正人はスマホを取り出し事務所に電話を掛けた。
「正人さん、この後は、どうしますか?」
「そうだな、そこのコーヒーショップでモーニングでも食べようか。朝早かったから何も食べてなくて、腹が減ったな」
「同感です。朝食を食べてから、事務所に戻りましょう」
茜は、プリントアウトした資料を正人に手渡した。
「さすが、仕事が早いな」
「当たり前でしょ、世界中のどんな情報だって閲覧可能なシステムなんだから」
資料には、男の身元が詳細に書かれている。
藤崎真一(ふじさきしんいち)
男性 三十七歳 独身
住所 大阪府大阪市東淀川区・・・
電話番号 090-XXXX-XXXXXX
勤め先 株式会社〇〇〇
鮎川を殺害した犯人は、アラフォーの独身男性。犯罪歴は無く、勤務先では真面目で取引先からの信頼も厚いと書かれている。
普通のサラリーマンの暴走かと、正人は資料を見ながら考える。
資料をくまなく見ても、全く鮎川や早川との接点は無い。
警察の資料には、藤崎に関する事は何も書かれていなかった。怠慢な捜査の結果なら、捜査線上に藤崎の名前は挙がってくるはずがない。
正人の後ろから資料を覗き込む桜は、机の上に置いてあった写真を取った。
「顔のホクロが無くなっていたのか。どうやって真犯人だと証明するの?」
正人は、腕を組みながら椅子を回転させ隼人と桜の方を向いた。
「証拠が無いから、自首してもらうか」
「それこそ、無理難題よ。他人が捕まって、二年間逃げ延びたのに自分から自供するかしら。バレないようにホクロを取っていたのよ」
「普通に考えたら、自首なんかしないだろうね。桜、考えて見ろよ俺達にしか出来ない事を」
「うーん、何かしら?」、顎に指を当てて桜は考える。
「相手を心理的に追い込むとか」
隼人の言葉を聞いた桜は、「どうやって心理的に追い込むのよ」
「例えば、鮎川さんを見せるとか、長老や四郎を使うとか。この間、早川さんに信じて貰う為に正人さんは、長老と四郎を使ったと言っていたし」
「そういう事だ、手荒な方法だが、奴の寝込みを襲う」
「面白そう、私もやって見たい!」
「やるやる、お姉さまと一緒に私もやる」、学校が終わり急いで事務所にやって来た美玖は、手を上げる桜に抱き付いた。
「お前は、留守番だ。未成年の美玖に危険な仕事をやらせる訳にはいかない」
「嫌よ、絶対に一緒に行くから! 最後まで仕事を手伝わせてよ」
「正人さん、僕がフォローしますから一緒に連れて行ってあげてください」
「隼人、珍しいな。危険なのを分かっていて、そんな事を言い出すなんて」
「仕事を最後までやり遂げたい気持ちは、僕にも分かります」
「しょうがないな、連れて行くけど」と、源一郎の耳に入るのが怖いのか、正人は茜と目を合わせると、内緒だぞと言わんばかりに人差し指を口の前で立てた。
制服姿の美玖の体に乗り移る鮎川は笑顔で、「はい」と答えると、右目から涙がこぼれ頬を伝った。
美玖と並んでソファに座る桜は、ハンカチを鮎川に手渡し、「どうやって真犯人を探すの?」
正人の隣に座る隼人は、机の上に置かれていた写真を手に取り眉間にしわを寄せ、はあーと息を吐いた。
「ため息をつくなよ。確かに、何の手掛かりも無しに探し出すのは難しい。でも殺人犯は、彼女の事を知っていた」
「どこかで犯人と会っているのですよね。鮎川さんに日々の生活を思い出してもらっては?」と、隼人は正人に話しかけた。
「朝起きてから会社に行って、アパートに帰って来るまでか。その間に犯人と会っている可能性は高いな。鮎川さん、どうなんだ」
「毎朝、アパートを出て同じ時間の電車に乗って、でも帰りの時間はバラバラだったし。早く帰れた時は、十九時に最寄り駅について、近所のスーパーで買い物をするくらいだったかな」
「犯人は、君をストーキングしていたはずだから、普段の日常に潜んでいたはずなんだがな」
「あっ」と、鮎川が声を上げた。
「何か思い出したの?」、横を向いた桜は、鮎川の腕を掴んだ。
「そう、そう。あの特徴的なホクロのある顔、確か毎朝同じ電車に乗っていたかも。忘れていたけど、駅で何度か挨拶したような気がする」
「手がかりがつかめるかも知れないから、明日の朝、駅周辺で張り込もう」
正人の提案に桜と隼人は、ゆっくりと頷いた。
朝早くから鮎川明美のアパートからほど近い最寄り駅で、真犯人を見つけるべく、四人で張り込みを始めた。
正人は、駅の改札が見える位置でコンクリートの柱にもたれながら新聞を広げる。隼人と桜は、別々で近くのベンチに座り駅に向かって歩いてくる人の顔を注意深く見ていた。高校生の美玖は、目立たないように改札の傍で立っていた。彼女は、学校があるのでギリギリ八時まで一緒に張り込みをする予定だ。
四人は、無線を使ってやり取りをする。
「通勤ラッシュの時間帯だ、混雑してきたが犯人は特徴的な顔をしているから、落ち着いて確認してくれ」
耳に付けるイヤホンから正人の声が聞こえた。
「分かりました。犯人を見つけたらどうしますか? 後を付けますか?」と、隼人は周囲を気にして小声で話した。
「俺と隼人で犯人の勤め先を見つけようか」
「えー、私達は、どうしたら良いの」、隣に座る人に聞こえたのか、初老男性は何事かと桜の方を見た。
「桜は、事務所に戻ってくれ。もしかしたらバックアップが必要になるかもしれないから。美玖は、大人しく学校に行け」
「つまんないよ。私だけ、学校なの」
「学校を休んでアルバイトしていた事が、源一郎さんにバレたらどうなるか分かるだろ。俺もお前もただじゃすまないぞ」
ブルッと、背筋に冷や汗が出た美玖は身震いした、「考えるだけで、恐ろしいわ!」
犯人を見つけたのかグレーのスーツを着る男性の周りをクルクルと宙に浮く鮎川は回りながら、男を指さす。彼女は口を大きく開いて皆に呼びかけるが、誰にも聞こえない。しきりにみんなの注意を引こうと、大きく手を振った。
「正人、何かを見つけたみたいよ。彼女、横断歩道を渡ってくる男性に纏わりついている」
「犯人を見つけたのか? 近くに来たら俺が奴の顔を確認する」
すれ違いざまに正人は、鮎川に纏わりつかれる男の顔を見た。写真に写る男と似ているが、顔にホクロが無い。
「危ない、見逃す所だな。多分、あいつが犯人何だろう。隼人は俺と一緒にあの男を追うぞ」
改札を抜けた正人と隼人は、犯人を追いかけてホームへと向かって行った。
現場に残った桜は、イヤホンを外し、うーんと体を伸ばした。
「お姉さまと、二人きりになっちゃた」と、いつの間にか桜の隣に美玖が座っていた。彼女は、桜の腕に自分の腕を絡ませて来た。
「仕事は終わったから、早く学校に行きなさい」
「えーっ、このまま二人でデートしましょうよ」
パシッと、桜は美玖の頭を叩いた、「冗談はやめて。源一郎さんに言いつけるわよ」
「ずるーい、叔父さんを出すなんて」、美玖は立ち上がり「意地悪するなら、はやポンとデートするからね」と、桜にあっかんベーをした。
「そんな事したら許さないから」と、走り去る美玖に向かって桜は叫んだ。
犯人を追いかける正人と隼人は、地下鉄に乗り継いだ。
平日の午前八時、電車の中はすし詰め状態だった。
犯人を見失わない様に二人は、彼の近くに立っていたが、慣れない満員電車の中で四方八方から人に押され息苦しく感じる。
犯人は、堺筋本町駅で地下鉄を降り、人の流れに従って地下から外に出た。
地下鉄の出入り口から三、四分歩くと、犯人は雑居ビルの中へと入って行った。
「エレベーターは、五階で止まりましたね」
「良いぞ、勤め先から男の身元は分かる。後は、茜に頼んでおこう」と、正人はスマホを取り出し事務所に電話を掛けた。
「正人さん、この後は、どうしますか?」
「そうだな、そこのコーヒーショップでモーニングでも食べようか。朝早かったから何も食べてなくて、腹が減ったな」
「同感です。朝食を食べてから、事務所に戻りましょう」
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「さすが、仕事が早いな」
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資料には、男の身元が詳細に書かれている。
藤崎真一(ふじさきしんいち)
男性 三十七歳 独身
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鮎川を殺害した犯人は、アラフォーの独身男性。犯罪歴は無く、勤務先では真面目で取引先からの信頼も厚いと書かれている。
普通のサラリーマンの暴走かと、正人は資料を見ながら考える。
資料をくまなく見ても、全く鮎川や早川との接点は無い。
警察の資料には、藤崎に関する事は何も書かれていなかった。怠慢な捜査の結果なら、捜査線上に藤崎の名前は挙がってくるはずがない。
正人の後ろから資料を覗き込む桜は、机の上に置いてあった写真を取った。
「顔のホクロが無くなっていたのか。どうやって真犯人だと証明するの?」
正人は、腕を組みながら椅子を回転させ隼人と桜の方を向いた。
「証拠が無いから、自首してもらうか」
「それこそ、無理難題よ。他人が捕まって、二年間逃げ延びたのに自分から自供するかしら。バレないようにホクロを取っていたのよ」
「普通に考えたら、自首なんかしないだろうね。桜、考えて見ろよ俺達にしか出来ない事を」
「うーん、何かしら?」、顎に指を当てて桜は考える。
「相手を心理的に追い込むとか」
隼人の言葉を聞いた桜は、「どうやって心理的に追い込むのよ」
「例えば、鮎川さんを見せるとか、長老や四郎を使うとか。この間、早川さんに信じて貰う為に正人さんは、長老と四郎を使ったと言っていたし」
「そういう事だ、手荒な方法だが、奴の寝込みを襲う」
「面白そう、私もやって見たい!」
「やるやる、お姉さまと一緒に私もやる」、学校が終わり急いで事務所にやって来た美玖は、手を上げる桜に抱き付いた。
「お前は、留守番だ。未成年の美玖に危険な仕事をやらせる訳にはいかない」
「嫌よ、絶対に一緒に行くから! 最後まで仕事を手伝わせてよ」
「正人さん、僕がフォローしますから一緒に連れて行ってあげてください」
「隼人、珍しいな。危険なのを分かっていて、そんな事を言い出すなんて」
「仕事を最後までやり遂げたい気持ちは、僕にも分かります」
「しょうがないな、連れて行くけど」と、源一郎の耳に入るのが怖いのか、正人は茜と目を合わせると、内緒だぞと言わんばかりに人差し指を口の前で立てた。
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